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3度目の正直なるか?(IBGのTKS)

●ちらほらとニュルンベルク・トイ・フェア(Spielwarenmesse)関連のネタが流れ始めて来ている。

以前はPrimePortalでスケールモデルの会場発表の各社別写真レポートが出ていて非常に重宝していたのだが、同サイトは更新が止まってしまったので、一覧できるところがなく不便。どなたか「ここに出ているよ」というのをご存知なら、情報をぜひ。

ともあれ、とりあえず流れてきた「ちらほら情報」から。

●タミヤからは35では「M3スチュアート後期型」と「ヴェスペ(イタリア戦線)」。48でチャーチル・クロコダイル。

M3スチュアートは完全新金型でのリニューアル。現行のタミヤのスチュアートは、(Scalemateによれば)1977年の発売。リベットだらけのクラシカルな姿を、当時としてはかなり頑張ってキット化したものなのだが、細かなミスや省略を除いても、次のような難点がある。

(1).(タミヤにありがちなミスで)博物館現存車輌をそのままキット化したため、基本、実戦で使われていないディーゼルエンジン型になってしまった。

(2).ポリキャタピラに柔軟性を持たせるためか、エンドコネクターがリンクをまたいでいないトンデモな形状。実際にこのような形状だった場合、一瞬後には履帯が全部バラバラになって地面に落ちることになる。

(3).転輪が薄い。

発売予定のリニューアルキットは現行とは仕様も違い、馬蹄形砲塔だがキューポラ無しのより後期のタイプ。従来ならM3A1に分類されていそうだが、(英語版wikipediaによれば)「M3の車体に、砲塔バスケットを除いたM3A1砲塔を載せたもの」という仕様であるらしい。

車体自体は(『週末模型親父』さんのところのBBSで教えて貰ったが)、後端が平板の装甲板の組み合わせか(M3)、丸めた装甲板か(M3A1)の違いがあり、また、M3A1ではスポンソンの機銃が略されている。

レンドリースのソ連軍マーキングのデカールも付属していて、「どうしちゃったの? タミヤ、『レンドリースの呪い』か何かにかかってるの?」という気がしないでもないが、とはいえ私自身レンドリース車輌は好物なのでまったく異存はない。

そのうち部品差し替えで八角砲塔の「ハニー」とかも出るかしらん?

ヴェスペは従来品の一部パーツ替えで、車輌自体に関しては履帯がインジェクションに変更。起動輪も新しいパーツが付属していて、歯数が違っていたのも修正されているらしい。まあ、こっちは個人的にあまり用事がないなあ……。

●もっと驚いたのは、IBGからTKSの発売が予告されたこと。

FTFはIBGの別ブランドだと聞いた気がするので、既発売のFTFの72のTKSを箱替えで出すのか?……なんて思ったら、35だった。すでにSCALEMATEには、20mm砲搭載型の箱絵が出ている。

さらに、めがーぬさんが見つけてきた、IBGのテストショットを組んだ見本と思われるもの。こちらはオチキス機銃型。

TK系列のインジェクションキットは、TOM Modellbauから発売されたものが最初で(TomからはTKS 20mm、TK-3の2種が発売されただけだったが、後にRPMでシリーズ展開)、その後Mirage hobbyから別設計の新キットが出た。それぞれ、「意欲は買うけれどちょっとなあ……」という出来だったので、第三の選択肢が登場するのは素直に嬉しい。

とりあえず、IBGの見本と思われる写真を見る限りでは、

・ハッチ、貼視口は開閉選択式で、車内再現されているらしい。ただし(なにしろ相手が小さすぎるので仕方ないのだが)ハッチ類は実車に比べ厚め。

・見本は上記のように機銃型。箱絵で予告が出ている20mm砲搭載型とは戦闘室上面レイアウトに若干の違いがあるが、キットでそれがちゃんとフォローされているかどうかは現時点では未知数。

・武装マウント部分のバルジは、Tomのキットでは上面の絞り込みが足りないのが弱点だったが、このキットでは割といい感じに見える(Mirageもここの形状はまずまず)。

・機銃マウント部はやや表現がのっぺり?(もっとも先行キットよりはずっとよい)。

・戦闘室背面の冷却気排出口のメッシュは、見本を観る限りではエッチングパーツのようだ。

・戦闘室側面下部装甲板後端の縦列のリベットは、見本では3本。walkaroundでよく写真を見かける、ワルシャワのMuzeum Wojska Polskiego(ポーランド軍事博物館)所蔵の現存車輌では4本となっているので、ケアレスミスによるキットの間違いかと思ったのだが、改めて当時の写真を見てみたら、キットの3本のほうが正しかった。MWP所蔵車輌はレストア時に間違えたのではないかと思う(ただし、後期のTKSでは側面装甲が増厚されているそうなので、実は4本リベット仕様もあった、なんてドンデン返しもあるかも)。

・ちなみに上でうっかり「リベット」と書いたが、装甲板の接合は基本、尖頭2辺ボルトが使われている。キットは、見本写真だと普通の丸頭(あるいはもしかしたら平頭?)に見える。もっともこの大きさのキットだと、ぱっと見、肉眼ではよく判らないレベルかもしれない。なお、尖頭2辺ボルトは、MasterClubで「Bullet-proof bolt "Polish" cone-head」として製品化されているので、ディテールアップ時に使える。

・見本写真にある誘導輪のスポークは明らかに厚すぎ。履帯はパターンの表現が若干大味? ガイドホーンは樹脂ショートを起こしている場所がちらほらあるが、製品版では大丈夫だろうか?

(2/5追記。Armoramaにも発売予告が出ていた。テストショットによるものという作例は上と同じものだが写真は別。)

●とにかく1月末はむちゃくちゃに寒かった(今もまだかなり寒い)。

24日水曜日は寒かったうえに強風。大崎公園から見下ろした鎌倉の海(左)、逗子の海(右)は、波立っているというよりも泡立っているかのようだった。

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22日に(天気予報通りに)かなりの雪。さらに2月1日~2日にかけても雪。

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コメント

TKSの1/35 新キットリリースのニュースは嬉しい限りですが、IBGと聞いてなんとなく不安。テストショットは各部のハッチを開けているせいもあるのでしょうが、なーんとなく印象が違うように感じる部分もあります。

タミヤのM3スチュアートはハニーじゃないと聞いてスルーする気でしたが、レンドリース対応に心が揺れます。ロシア戦車兵の保護帽側面もちゃんと造形されてますし。
「呪い」は販売戦略からきてるのでしょうね。米軍ファンだけじゃなくソ連軍ファンも取り込めば一気にマーケットが2倍。バレンタイン、マチルダで味をしめたのか。
東部戦線で鹵獲、鉄十字をつけたドイツ軍ボイテ仕様はさすがに対応してないのかな。笑

投稿: hn-nh | 2018年2月 5日 (月) 06時24分

>hn-nhさん

まあ、所詮は「造形技術的・成型技術的に一流のメーカー」は製品化しそうにないアイテムなので仕方ない、ということで……(笑)。
なんて言っていたらブロンコあたりがいきなり出して来たりして。

なお、旧版スチュアートは、「ハンガリー軍によるボイテ仕様」として作りかけて、もう何年も(10何年も?)放置してます。

投稿: かば◎ | 2018年2月 5日 (月) 08時31分

既にご存知かと思いますが(苦笑)、IPMSのドイツ支部が毎年大量の写真をアップしてますよ。今年のページはこちら http://www.ipmsdeutschland.de/Ausstellungen/Nuernberg2018/Nuernberg_2018.html

投稿: 司龍 | 2018年2月 5日 (月) 17時53分

>司龍さん

おお! ありがとうございます。
この一覧表形式は以前にも見た覚えがありますが、すっかり存在も場所も忘れていました。

それにしても……タイトルが2017年になってますね(笑)。

最初、「え?去年のページ?」と思ったのですが、リストはしっかり新しかったので安心しました。

IBGのTKS、会場展示の見本は20mm砲型が出てたんですね。しっかり天井レイアウトは変えてあるようで安心しました。

投稿: かば◎ | 2018年2月 5日 (月) 21時07分

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