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2017年12月

皆様、よいお年を

20171230_163932 ●夕方、ちょっと駅前まで散歩(兼買い物)に行くつもりで家を出て、結局駅前には行かず、披露山に登ってぐるりと歩いて帰る。

雲がかかってあまりよい条件ではないが、披露山展望台下からの夕空。

ロケーションとしてはこれまでにもたぶん何度か出している場所の写真だが、左から、日が沈む伊豆の山、雲がかかった箱根、右に頭を出している富士山。その手前に江の島。前景は逗子マリーナと、さらに手前が披露山庭園住宅。

●hn-nhさんが年末の〆的に、今年買った模型のリストを作成している(『COLLECTION 2017』)。

3社のバレンタインをまとめて買っていたり、miniartのT-60を3種買っていたりするのがなかなか豪気だ……。

と思いつつ、我が身を振り返ってみると、緊縮財政下で購入を極力控えよう……と思っているにも関わらず、意外に買っている。きちんと記録を残していないので漏れなどあるかもしれないが、とりあえず今年買った模型を(思い出せる限り)並べてみた。

リンクは長短関わらず、とりあえず当ブログに書いたキット評的なもの。一番下のローデンのアルバトロスは、神保町の古本市の歩道の露店で500円で売っていて、つい衝動買いしてしまったもの。エアフィックスのカーチスP-40とか、FTFのプラガRVトラックとかも今年じゃなかったっけ、と思ったが、昨年12月だった。

うーん。均すとおおよそ月一で買ってるか……。これだけ買っても、「ああ、あれも買ってない、あれも欲しい」と思うのがモデラーの業(いや、そうじゃないモデラーも世の中にいるかもしれないが)。

ちなみに今年の完成はエアフィックス76のクルセーダーとCyber/Dragon35のT-34の2つ。それでも1年に1つの完成品もない時期が結構続いたことを考えるとだいぶマシ、ではあるのだが。

●31日~1月1日は例年通り川崎の実家に行くので、これが今年最後の更新になります。皆様、よいお年を。

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ARMA HOBBY 1:72 PZL P.7A

20171227_102419 ●先日の「東京AFVの会2017」の折、下北沢のサニーで購入したもの。

ARMA HOBBYはポーランドの新興メーカーで、これまでにインジェクション・キットとしてはTS-11イスクラ、フォッカーE.Vなどを出している。メーカーのサイトはこちらだが、どうやらポーランド語だけのようだ。

「うわあっ! この機体の新キットが出るのを今か今かと待ってたんだよ!」という人は、少なくとも日本にはあまりいなさそうな気がするが、それだけに日本語のキットレビューなどどこにも出なさそうなので、簡単に中身について書いておきたい。……役に立つ機会は少なそうだなあ。

●実機について

1930年代前半、ポーランドのPZLで開発・生産された単発単座の戦闘機。ジグムンド・プワフスキ設計による一連のガル翼戦闘機のなかで、初めて量産されたのがこのP.7Aで、ポーランド空軍の主力戦闘機として約150機が生産され、1933年より使われた。

その後まもなく、エンジンが強化され機体も各部が手直しされた発展型P-11が登場。その主生産型であるP.11cの配備が1935年に開始され、主力戦闘機の座は受け渡したものの、余剰となったP.7Aは訓練部隊で使われたほか、1939年戦役時にもなお少数が実戦部隊で使われていた。

●キット概観

というわけで、「大戦時の主力戦闘機の1世代前」という微妙な位置にあるうえ、その主力戦闘機であるP.11cとは、外見上、素人目では「どこが違うの?」くらいの差しかないため、インジェクション・キットが発売されること自体ですでに驚けるレベル。

もっとも、今からたぶん30年くらい前だと思うが、ポーランドのPZWからやはりインジェクション・キットが出ており(もちろん持っている)、それを考えると、ポーランド本国では根強い人気があるのかもしれない。……たとえば九六艦戦的な?

ちなみにそのPZW社のP.7Aは、その後MasterCraftやZTSなどで箱替えで発売され、どうも最近でも売っているようなのだが、かなりプリミティブな出来で、このARMA HOBBYのキットが出た今となっては手を出す価値はほとんどない(そもそも当初は、このARMA HOBBYのキットも、PZWの箱替えではと少々疑っていた)。

私の買ったARMA HOBBYのキットは、箱の上部に「JUNIOR SET」と書かれているが、実は同社からは、同じP.7Aで、他にも「DELUX SET」「EXPERT SET」「EXPERT SET 1939」と、計4種出ている。

基本はどれもプラパーツ部分は同一のキットなのだが、私の買ったジュニアセットが廉価版で、ARMA HOBBYのサイトによれば32ズウォティ(1ズウォティは30円ちょっと)。エキスパートセット2種が52ズウォティで、デラックスセットが118ズウォティ。

それぞれ中身の違いは、

ジュニアセット:デカールは2種(1939年戦役時)で、エッチングは簡易版。

エキスパートセット:デカールがジュニア版より大判(ただのエキスパート版は戦前、1939版は1939年戦役時で、それぞれ4種に対応)。エッチングも大判。風防・車輪用カッティング済マスキングシート付。

デラックスセット:2機入りで、デカールはエキスパート版よりさらに豪華。ポーランド空軍のほか、ルーマニア空軍、ドイツ空軍も含む8種対応。エッチング、マスキングシートはエキスパート版と同じで、さらにレジンの自重変形タイヤが付く(当然それぞれ2機分)。

同じ廉価版でもエデュアルドの「ウィークエンド版」の場合は、ないとちょっと困るパーツ(例えば風防の外に付く照準環とか)も入っていなかったりするのだが、このキットの場合はジュニア版でも最低限のエッチングが付いているのが良い。

●基本のプラパーツはグレーの成型で枝1枚。1:72の小型単発の戦間機としてはこんなものかな、という感じ。

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各翼表面は、細かな波板、いわゆる「コルゲート板」の表現が入っている。同じ波板でも、いかにもトタン板然としたユンカースよりもずっと細かい模様だが、モールドはなかなか綺麗。ただし、上下を貼り合わせた時に翼後縁はやや厚ぼったくなりそうな感じもあるが、モールドがあるので表から削り込むのは不可能。

方向舵下部の厚くなっている部分に若干のヒケが生じていたが、この部分は波板ではないのが救い。

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コクピット部分の胴体内側にはリブモールドあり。床(というかフットステップ?)やシートが付くフレーム、計器盤など、コクピット内のこのスケールならほぼ十分なパーツが揃っている。

主脚は胴体下部の一部と一体に成型されていて、角度決めに苦労する必要がないだけでなく、脚の間にある燃料タンク部分も継ぎ目消しなどの作業が不必要になっている。

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ブリストル「ジュピター」エンジンは前側のフェアリングと一体成型。ちなみに後のP.11cでは、グロースター・グラディエーターなどと同様、排気管はカウリング前面に集めてから後方に排出しているのだが、P.7Aではシリンダー前面から直接後方に取り回している。しかし箱絵ではカウリング前面がP.11風に焼鉄色になっているような……。

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●エッチングパーツ&透明パーツ。

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エッチングはカウリング(タウネンドリング)の支柱と照準環、シートベルトとコクピット内の若干の小部品。エキスパートセットでは、このほかに武装の別に対応したオプションの外板や、さらにこまごまとしたパーツが入っている。

透明部品は風防が2種類。側面形が三角形のP.7A用の風防と、上面が平らになって側面形が台形になったP.11c用の風防が入っている。一部のP.7AでP.11用の風防に交換されている例があるためだが、とりあえず、ジュニアセットの塗装例はどちらもP.7A用を使うようだ。……余ったP.11用はエレールのキットに使おうかな(合うかな?)。

ちなみにエキスパート版/デラックス版では、エッチングの風防枠と風防用透明シートも用意されているようだ。この手の構成は簡易インジェクションキットなどで時々見るが、素材的には薄さを表現するにはいいにしても、接着と塗装はどうするんだろう。

●説明書。カラー印刷なのは同じくポーランドのMirage HOBBYあたりと似ている。

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ジュニアセットのデカールは先述のように2種で、シリアル「6.11」・機番「999」は飛行学校の所属機。飛行場でおそらく無傷で鹵獲され、ドイツ兵と一緒の写真ほか複数の写真が残っているようだ。

シリアル「6.120」・機番「青の1」は151戦闘中隊所属機で、おそらく退避基地で木の枝でカムフラージュされた状態でドイツ軍に接収されたらしい写真が残っている。一部外板がはがされ、プロペラがなくなっている写真がある一方、プロペラ付きの写真もあるので、小破したのは記念品漁りによるものかも。

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デカールそれ自体はポーランド製としては割とお馴染みのテックモッド(Techmod)製。印刷はかなり綺麗。

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スターリングラード・トラクター工場(25)

●前回書いたように、下北沢で開催された「東京AFVの会2017」に、ドラゴン/cyber-hobbyの「T-34 スターリングラード・トラクター工場製1942年生産仕様」を持って行った。

もともと、週末模型親父さんのところの「SUMICON2016」エントリー作として作ったものの、未塗装リタイアし、その後(去年の東京AFVの会に持って行くつもりで)基本塗装だけして、そのまま1年間ほったらかしになっていたもの。

エナメル塗料のバフ~茶を薄めてじゃぼじゃぼウェザリングをしていたら、サスアームが1本根元から折れたり、左右とも基本6分割状態で組んであった履帯を繋ぐのに苦労したり。

そんなわけで若干「やり残し感」もあるが、とりあえずこんなところで(実はつや消しスプレーも吹いていない)。

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●なお、会場での展示に際しては、未塗装の全体・部分写真付きで、以下のような紹介文を印刷して添えた。

エラの削れたピロシキ砲塔、各部が組み接ぎになった車体装甲など、T-34のバリエーションのなかでも最も特徴的なスターリングラード・トラクター工場(STZ)製、1942年生産のT-34です。

その独特で鋭角的な外観からT-34マニアの間でも人気は高いと思うのですが、cyber-hobbyの「T-34/76 STZ Mod.1942」は知る人ぞ知る地雷キット。車体上部の部品設計が決定的に間違えており、ディテールがどうの以前に、「そのままではまともに組み上げることさえできない」という代物で、発売直後には世に怨嗟の声が溢れました(大袈裟)。

そこで、元キットは「STZ製T-34用のディテールパーツ詰め合わせセット」であると割り切り、車体上部は通常の(ハリコフ機関車工場製の)T-34 1941年型キットを使ってSTZ仕様に改造。特徴的な「エラの削ぎ落とされた砲塔」もその部分の形状解釈に誤りがあったので作り直しています。

その他にも、同工場製のこの時期の生産車に独特の排気管カバーのボルト位置、誘導輪形状、550mmワッフル履帯に合わせてボルト位置が開け直されたグローサーなど、とりあえず、製作時点で把握していた特徴はほぼ盛り込んだつもりです。

前述のようにキットはとんでもないポンコツなのですが、ベースとなったドラゴンのT-34シリーズの基本設計はしっかりしているので、「手を入れるだけしっかりしたものができる」実感はあり、楽しく作業することができました。

●「ハラショーT-34」筆者であるところの青木先生からはビシバシと指摘の一斉射撃が来るかと思ったが、どうも氏も最近(体型と共に)丸くなったのか、「転輪と履帯の色合いが合ってないね」としか言わず。その昔、静岡ホビーショーで**の**さんを涙目にさせた彼が!(話盛ってます)

その他何人かの知人より「やっと出来たの!?」と言われる。

うん。そうなの。やっと出来たの。

半ばまで並行製作した、クラスナエ・ソルモヴォ工場(+第27工場増加装甲)のT-34も完成させてやらんとなあ……。

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東京AFVの会2017

●静岡ホビーショー/モデラーズクラブ合同展にはすっかり行かなくなってしまったが、その代わり、ここ数年は必ず参加するようになった「東京AFVの会」に行ってきた。別に択一でなきゃいかんってものでもないけれど。

前の晩、日付が改まってもごそごそ作業していたT-34 STZ1942は、なんとか出しても大丈夫な状態まで仕上げ、それに加えて、今年初めのデザートコンで完成させたエアフィックスのミニスケールのクルセーダーを出品作として持って行った。

●今回は早めに家を出たので、開場時間前に下北沢・北沢タウンホールに到着。

何やら館内の改装だか補修だかで階段が通行止めになっており、一瞬、会場が変更になったのを知らずに来てしまったか、などと不安になったりする。

久々のケン太さん、1-colourさんと歓談。ほか、SUMICON仲間の人たちにも挨拶。旧nif仲間ではシェルさんに会ったが、昨年は来ていたむーさん、はーぷさんらは顔を見せず。昼近くなって“ハラT”青木氏もやって来たので、数人で昼飯を食いに行き、模型関連を中心にあれこれとバカ話をしたりする。

昨年、会場で課題の発表がなかったので、今回は課題無しのままなのかと思っていたら、今年のテーマは「砲」だとか。どうやら、春頃にtwitter?で発表があったらしい。そんなん知らんわー。今年も会場で「来年の課題」の発表はなかった気がする。

●作品カードの番号は、少なくとも120番台まではあった気がする。例によって、ぱっと見気になった作品とか、知り合いの作品しか撮っていない(そもそも午後になるとスマホのバッテリーも怪しくなっていたし)。そんなわけで非常に偏っているが、とりあえず撮った作品写真を以下に。そういえば自分の作品の展示風景は撮っていない。

▼2枚目、3枚目はzhukov氏の作品。「ベルリン陥落」「サイゴン陥落」(陥落じゃなくて解放?)の「なんとなく連作」。3枚目の奥に私のT-34のオシリが……。4枚目はシェル氏のヴァッフェントレーガー。小さい。そもそも砲に比べ砲塔がやけに小さく、これで後座長が確保できているのか不安なレベル。

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▼戦車大好き氏のアルマータとM32、青木氏のIV号駆逐戦車、1-colour氏の「キングフォースのチャーチル」。M32は「イタレリ+ニチモに各社パーツぶっこみ」という「あえて苦難の道」作品。青木氏の「4クチ」はタミヤの旧ラング改造で、「タミヤの新作ブルムベアをアクリルガッシュの境目くっきり塗装で仕上げる練習台に」とのこと。

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▼Tom Lowgun氏の、SUMICON2017参加のグラントCPほか。ブロンコのホルサの完成品は初めて見たが、何はともあれ「こんなん置く場所ないワ……」というのが正直な感想。

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▼ケン太さんのメルカバと「ケンタキンタ」(クンタ=キンテ?)。どこかのサークル?がテーマ作として作ったらしいものが中心のIII突群など。

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▼ケン太さんが「懐かし部門」に出品して入賞したタミヤのM60(向こう側に私のクルセーダー)。その「懐かし部門」1位だった中尾さんの「エーダイのV2」ジオラマ。なんとなくサンダーバード2号の基地のニオイがするような。

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▼スクラッチ、ガレージキット部門から。こんなん作る人がいるんだなあ……という時点ですでにクラクラ。SOMUA Sau40はエレール改造だそうだが、車幅が違って、結局車体はほぼ全部新造なので、流用部分は足回りのみ? 履帯はグンゼ製でもないので、フリウルかな? ARL44、カッコ悪~(笑)(もちろん、実物の格好悪さがよく表現されている、という意味で)。

それにしても(ここに写っている作品は違うが)、以前から東京AFVの会では、元キットの部分が過半を占めていて、私の感覚では明らかに「改造」の範疇の作品がしばしば「フルスクラッチ」として出ているのはどうにも引っかかる。

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▼会場に行って初めて知った課題「砲」のコーナーに出ていた、パッヘルベルさんのフルスクラッチ「10.5cmカノン砲K-17」。工作もまだもう少し残しているとのこと。この白い状態で見ると、プラバン積層からの削り出し含め工作の状態がよく判るだけでなく、その工作も丁寧で非常に美しい。工作記事はJAPANミリテールフォーラムで連載中。

ほか、息切れしてほとんど写していないフィギュアのコーナーから、どなたかが作った「デグレチャフ少尉」と、ケン太さんの「渾身の磨き作業を行った台座(IDF女性兵士付き)」。

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▼ディオラマのコーナー。VK氏の48「ポルシェ・ティーガーII(VK4502)」、TarotG_3氏の「桜」、金子辰也氏の中見せT-60、などなど。

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●AFVの会の後、青木氏と共に下北沢サニー、四谷仙波堂、秋葉原とハシゴ。

サニーで、ちょっと前に発売されて気になっていた、ARMA HOBBYの1:72、PZL P.7Aを購入。仙波堂でパッションのSU-76M用エッチングを買う。タミヤのSU-76Mは発売時に買ったはいいものの、なんとなくそれで満足してしまってそれきりなのだが、資料でポーランド軍所属車を見て「そのうち作ろうかな」感が増して来たため。

実はパッションの「35(t)用砲身」(CMK用、アカデミー用、ブロンコ用と3種出ているようなのだが、そのうちブロンコ用)が欲しかったのだが、仙波堂にも秋葉原にもなかった(サニーでは見忘れた)。

秋葉原で青木氏とビールを飲みつつ夕食。ヨドバシカメラの上階でコーヒーを飲んで解散。

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スターリングラード・トラクター工場(24)

20171222_205809 ●スターリングラード・トラクター工場製T-34の塗装の続き。

前回の延長で茶~バフ系の汚れをさらに塗り重ねつつ、並行して細部塗装。

グローサーその他を塗り分け、排気管も取り付けると、なんとなく生きた車輌っぽくなってきてちょっと嬉しい。地味なのは(元が元なので)仕方なく、塗装全体がパッとしないのも(こちらは私の技術のせいで)これまた仕方がない。

東京AFVの会はいよいよ明後日。

今夜~明日で完成まで持って行けるか?

●それにしても、あれだけボンコツな元キットを切ったり貼ったり削ったりしてようやく形にしたのに、全体塗装をして隠れてしまうと、もう自分でもどこをどういじったのかあやふや。

何もかも皆懐かしい……。

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スターリングラード・トラクター工場(23)

●昨年の「SUMICON」エントリー作として、工作を完了させるところまでは進めたものの、結局リタイアする羽目になった(そんなんばっかりだな)、スターリングラード・トラクター工場製のT-34。

全体に基本色を吹き付けただけで1年以上放置してあったのだが、年末の東京AFVの会に持って行くことを考えて塗装中。「いつからの続きなんだよ……」と自分でも思ったが、前回の製作レポートは昨年10月だった。

やはり完成品を持って行った方がいいので、現時点ではwz.34の工作よりもこちらを優先。

20171221_004730 ●そもとも基本色のグリーンとして何色を吹いたのかさえ忘れてしまった。何ていい加減な!

とにかく、比較的暗めでグレーがかっている緑だったが、これに最近買ったクレオスの「Mr.ウェザリングカラー フィルタ・リキッド」の「スポットイエロー」を初めて使用した。若干黄色みが加わったことで、ちょっとOD色っぽくなった。一色重ねただけでは単調な気がしたので同じくフィルタ・リキッドの「フェイスグリーン」も使ってみたが、これは少々きつい感じに色が残ったので、一部に使っただけにとどめた。

「フィルタ・リキッド」は、フィルタリング(あるいはウォッシング)用にもともとしゃびしゃびに薄めてある塗料で、メーカーの案内文によれば「基本色を塗装した上に本塗料を塗布することで、作品の色調に深みを増し、リアリティを演出します」だそうな。

●このあと、タミヤエナメルの薄溶きしたバフ~茶系で全体に埃・泥染みなどを追加中。なにしろ塗装経験値が著しく低いので、どういう手順で塗ればよいのかもあやふや。

車体の細部塗装に関しては、現時点では、まだ前照灯の黒を塗ってあるだけで、ジャッキやワイヤー、グローサーもそのまま。

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ォンノウカオスェ

●月・火と、続けて都内で仕事。

ここぞとばかりに期間限定のポケモンをゲットするために右往左往したりする(いや、仕事に行ったんだよ! ほんとだよ!)。

●火曜日夕。神保町(猿楽町)で夕方から会議だったので、外メシをして帰る。

ふと思いついて、先日「シュエタウンそば」を食べた、三省堂裏のタイ・ミャンマー料理店へ。前回は店名を書かなかったが「エーヤナディーキッチン」という店。

「シュエタウンそば」もそこそこ美味かったが、やはりこれまで食べたことのないミャンマー料理をいろいろ試してみたいと思ったので、メニュー上の扱いから見て(少なくともこの店では)代表的な料理である「ォンノウカオスェ」を頼む。800円。

これも前回書き忘れたが、店の入り口で食券を買う/席はカウンターメインでキャパは10名少々?/料理のボリュームもそこそこ、という庶民的な店で、1人でふらりと入りやすいのも良し。

20171219_182805 問題のォンノウカオスェは(簡単に言えばラーメン風の)スープ麺料理だが、とろりとした濃厚なスープが、パステルレモンイエローという、ラーメンではまず見ないような色合であることにびっくりする。

スープはココナツ+鶏で、天下一品の濃いほうほどではないが、かなり濃厚で、(ココナツなので当然だが)甘みがある。前回のシュエタウンそば同様、「辛いの好きカ?」と唐辛子フレークと、さらに今回はレモン汁が出てきた。

店の表に貼ってあるメニューの紹介文には、

鶏肉の味とココナッツの味。薄切りの香りとあげとらしを入れて召し上がると一層美味しくなります。

と書かれていて、真ん中あたりの暗号めいた部分が気になっていたのだが、もしかしたら「とあげとらし=とうがらし」か?

他ではまず味わえないような独特な味だが美味しい(単に出てきたままだと甘さで飽きるかもしれないが、唐辛子を入れると確かに美味い)。

ちなみにネットで調べると(その場合、「オンノカウスエ」のほうが多くヒットするようだ)、本来は米麺が使われるようなのだが、昨日食べたものは中華麺(太麺)だったような気がする。そのへんはお値段/量と合わせてのアレンジの範囲内か。また、あとからメニュー写真を見直すとパクチーが乗っているのだが、私の食べたものは、写真のようにタマネギ薄切り・細ネギみじん切りが乗っていた。パクチー切れで代用品が乗っていたのかも。パクチーは好きだがこれはこれで美味かったので、「メニュー写真と違うじゃないか!」と暴れたりはしない。でも、この次食べる時にはパクチーが乗っていてほしいな……。

それにしても、前回行った時も、今回も比較的空いていたが、経営的に大丈夫かな……。珍しいものを食わせてくれるし美味しいので、代表的メニューを一通り試さないうちに撤退、なんてことにはならないで欲しい。

神保町に用事のある方は、ついでにぜひどうぞ(すぐ近くにある丸香のうどんもオススメだが)。

●miniartのT-60シリーズのバリエーションで、なんとTACAM T-60が出るそうだ。

miniartのT-60シリーズは気になっていて、もちろんT-60軽戦車というもの自体もそこそこ好きなのだけれど、個人的には「まずTACAMのためにT-60が欲しい」的な感じだったので(そんな奴ぁ少なそうだが)、これは嬉しい。

miniartのT-60を買って、T-60はそのドンガラだけ作って、中身はアエロプラストのT-60をTACAMに改造するのに使おうか……などと皮算用していたのだが、これで計画は振り出しに。っていうか、AZIMUTのTACAM改造キット、もう金輪際出番がないな……(それ以前からフェアリー企画のフルキットはもっと出番がない)。

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ビッカース6t戦車(5) 機関室工作

●「週末模型親父」さんのところの「New Kit Con」参加作、CAMs 1:35 ビッカース6t戦車の工作の続き。

前回、「エンジンルーム内部がわずかに覗けてしまう箇所について、なんとなしなきゃ、でも資料不足で判らないのはどうしよう」という話を書いたのだが、セータ☆さんからそのものズバリの情報を提供して頂いた。

前回記事のコメント欄を見て頂ければ済むのだが、情報のキモは、ロシアの軍事関係のサイトに出ている、ソ連による、フィンランド軍ビッカース6tの調査報告に関する記事で、特に背面のグリルを跳ね上げ、ラジエーター(これも連動して、もしくは別途開くらしい)を見せている写真が素晴らしい。

先述のようにフィンランドのビッカースは車体形状が異なる後期型なのだが、エンジン自体は同一なのでラジエーターも基本は同じである可能性は高い。合わせてセータ☆に見せて頂いたT-26のラジエーター写真を見てもどうやらほぼ同じであることがわかる。

20171215_224535 ●というわけで、ラジエーターを作る。グリルの間からチラ見えするだけのものなので、工作は適当。

コントレールのプラ棒(たぶん1mm径)を適当な長さに切ってプラバン上に並べて貼り、左右に枠状のものを付けただけ。

もっとラジエーターらしくするために、金属線に極細の銅線を巻いたものを並べたらどうか……などと一瞬考えたのだが、どうせほとんど見えないのだからと、早々に計画放棄した。

20171216_223248 ●合わせて、後部左の冷却気排出口の奥を工作。ここも上部はメッシュがあるが、割と目が粗いので少し見えてしまうかな、と思ったため。

ここは基本、実車でもほぼがらんどうで、誘導輪位置調整装置の軸受けと、排気管が見える程度のようだ。

車体内側にあったヒケ防止用の窪みをプラバンを刻んで埋めて整形。軸受け部はジャンクパーツの組み合わせ(ドラゴンのT-34のサスアームの一部、同ジャッキの一部、タミヤのヴェスペのダンパーの一部)。排気管はタミヤの48マーダーIIIのランナー。

20171217_175304 ●話は前後するが、内部組み込みの都合上、エンジンルーム天板は開いていた方が都合がよいので、もう一輌分、CAMsのビッカース6t(ポーランド軍仕様)からパーツを持って来て車体を組み直した(パーツ自体はまったく同じもの)。

最初に組んだ車体は逆にポーランド軍仕様にコンバート予定。ポーランド軍車輌はエンジンルーム上に大型の通風ダクトが付き、冷却気排出口にも円弧状カバーが付くため内部の追加はしなくて済む。

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ビッカース6t戦車(4) エンジンの謎

●「週末模型親父」さんのところの「New Kit Con」参加作品、CAMsのビッカース6t戦車(中国軍、指揮車仕様)の製作記の続き。といっても、今回は実際の製作というよりもああだこうだ疑問をこねくり回すのが主。

東京AFVの会に向けてwz.34も進めなきゃ、T-34も塗らなきゃ……なんて思いつつ、結局ちまちまビッカースを作っている。なんだかもう。

20171211_102257 ●そのビッカース。エンジンデッキ上の大きなグリルを仮組みしてみたら、角度によって床までほとんど丸見えになってしまうことが判明。過去のキットではここは抜けていなかったので油断した。

考えてみれば、左後方の通風孔も、メッシュは割と粗めなので中が覗けてしまう。

基本、内部をしっかり作り込む気はないものの、とりあえず「なんとなくそれらしく、何か入っている」くらいにはしないと情けないことになってしまう。その手掛かりとして、エンジンルーム内の資料を探してみたのだが、(その時点では)横方向からの透視図くらいしか見当たらず、何をどうしたらよいのやら。

●というような悩みをSUMICON掲示板に書き込んだら、キットの生みの親であるT.Wongさん自身から、「グリルの下にはラジエーターがあってエンジンなど見えないよ」(大意)というコメントを頂いた。

ええっ? ビッカース6t戦車って空冷エンジン搭載なんじゃなかったの? それなのにラジエーター?

Cooler ……と思ったのだが、Wydawnictwo Militariaシリーズの#325“Vickers 6-ton Mark E-F vol.II”に掲載の図を見ると、しっかりグリルの下に「COOLER」と書き込まれている。な、なんと!(右図はその拡大引用)

そもそもWydawnictwo Militariaシリーズでビッカースが2冊に渡って出ているということさえ、hnさんに教えて貰って初めて知った。まあ、自国ポーランドがビッカース6tの最大ユーザーだし、当然出ていると思って然るべきだったような。何しろ、普通に「シャーマン」を出したうえで、「ポーランド軍のシャーマン」だけで2冊も出すようなところだし。

●それはさておき。ビッカース6t戦車のエンジンに関しては、手元の資料、C.Foss、P.McKenzie, “THE VICKERS TANKS From Landship to Challenger”, PSL(1988)には、

The first engine to be fitted as standard in the six-tonner was a horizontal four-cylinder air-cooled V8 Armstrong-Siddeley.

と書かれている。ここにはエンジン名までは書かれていないが、他では「アームストロング・シドレー『ピューマ』4気筒空冷エンジン」としている資料が多いようだ(キットの説明書にもそう書かれている)。

私も今までは、それを鵜呑みにしていたのだが、改めて調べてみると、なんだかおかしい。そもそも上の「VICKERS TANKS」の説明も改めて読むと「?」な点がある。「fiirst」って何だ? 後にMk.Fで別のエンジンになったことを念頭に置いてるのかな? しかし、「空冷4気筒」なのに「V8」ってどういうこと?

名前の出てきたアームストロング・シドレー「ピューマ」に関しては英語版wikipediaにも記事がある(最初に作られた時点ではアームストロング・ホイットワースとの合併前なので、記事名は「Siddeley Puma」になっている)。このエンジンはもともと航空機用で、第一次大戦末期、エアコDH9に搭載されて使われた(しかし性能がよくなかったので、その後生産はアメリカのリバティー・エンジンに換装されたDH9Aに切り替わった)。

そのwikipediaの記事では、「ピューマ」の搭載先として「Vickers 6-Ton light tank」の名前も出ているのだが……。DH9に搭載された「ピューマ」は(少なくとも記事に出ているスペック表や写真を見る限りでは)、液例6気筒なのだ。

航空機エンジンを車載用にデチューンするといった話はよくありそうだが、気筒数を減らして冷却方式を変えたら、普通、エンジン名称も変えるんじゃなかろうか。少なくとも全ての資料に共通する「アームストロング・シドレー」製は確かそうだが。

●もちろん今回の製作では、エンジン名称がピューマであろうがトンマであろうが特に関係はない(もしエンジンまで自作するというのであれば資料検索に必要になるが、今回はグリルからチラ見えする範囲がどうか、というだけの話なので)。

グリル直下にあるラジエーター(クーラー)に関しては、T.Wongさんより、重ねて、滑油冷却器である旨の書き込みあり。なるほど、それならエンジンが空冷でも付いているか……。

なお、ビッカース6t戦車に搭載されたエンジンが4気筒であること自体は、上掲の側面透視図でも何となくわかるし、また、同じWydawnictwo Militaria“Vickers 6-ton Mark E-F vol.II”に出ているエンジンそれ自体の解説図でもわかる(ちなみにWydawnictwo Militariaには、特にエンジン名は書かれていないようだ)。

そこで改めて気付いたのは、直列4気筒のエンジンを、左方向に横倒しにして搭載していること。最初に上記「VICKERS TANKS」で「horizontal four-cylinder air-cooled」と書かれているのを見た時は、「なるほど、水平対向4気筒なのか」なんて思っていたのだが、「水平」なだけで全然対向じゃなかった……。しかし、直列を横倒しにしているなら(水平対向じゃなくても)エンジンルームが低いのも納得できる。ちなみに、Wydawnictwo Militariaの内部図から判断するに、左側に倒したシリンダーの下に冷却ファンがあり、そこからダクトになって後部の通風孔から暖気が出ていく、ということらしい。

というわけで、後部左通風孔の下は基本ダクトなのでがらんどう。誘導輪基部の受けと、排気管が通っているのがちょっと見えるかな。

とりあえず、「見える範囲」とはいえ、エンジンらしきものをでっち上げる、などという事態には陥らなくて済んだようだ。よかった……。現在は、(ライセンス型であるT-26を含め)グリル下のオイルクーラー(仮)がどれくらいの大きさのものかを調査中。グリル幅いっぱいに作っておいてええんかいのぅばあさんや(誰や)。

●その他の細かい進捗。

(1).誘導輪基部の履帯張度調整部(パーツC1、C2)は、調整用の「金てこ」を突っ込む穴が浅くモールドしてあるだけで開いていないので、コリコリと穴を削った。

(2).先述のように、このキットは、成型方向の都合上で略してあるボルト・ナット類に関しては、ランナーにモールドしてあるものを削り取って移植せよ、という(それなりにこだわっている人には嬉しい)設計。エンジンルーム上のグリル部分にも移植が必要な部分がある。

前部の斜めになった部分の6本に関しては、ぺろんと1枚エッチングを貼るオプションも用視されている。ボルト列の位置を揃えるにはそのほうが楽そうだが、ボルト頭が薄く、また貼る際に瞬着で汚しそうな気もしたので移植を選んだ。後部左右の2本ずつは、説明書では貼り付け位置が曖昧だが、上面左右枠内側ラインよりも、さらにやや内側、という感じのようだ。

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●ところで、ニュースサイトを見ていたら、いきなり、

おめでとうございます
最新版iPhone 7でさらに多くのテストユーザーが必要なため、あなたのDesktopが選出されました
参加するにはOKを押し、iPhone 7をゲットしましょう

という、怪しさ120%の文言+OKボタンの画面に切り替わってしまった。うわっ。なんじゃこりゃ。

今どき、こんなものに引っかかる奴が……ということ以前に、普通のニュースサイトを見ていて、いきなりフィッシング画面に飛ばす手口が「どうなっとるんじゃ」という感じ。

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スペシャル・アーマー 1:35 3.7cm KPÚV vz. 37M

20171209_010741 ●前々からちょっと気になっていたキットなのだが、チェコ、CMK/MPM系のレーベル、スペシャル・アーマー(Special ARMOUR)の「3.7cm KPÚV vz. 37M」を、横浜のヨドバシで初めて店頭で見て思わず購入。

ちなみにSpecial ARMOURはSpecial HOBBYの陸物ラインナップのレーベルで、以前CMKで出ていたLT vz. 35(35(t)戦車)やフォルクスワーゲンなども、現在はSpecial ARMOURで出ているようだ。

●3.7cm KPÚV vz. 37Mはシュコダ社製、チェコスロバキア軍制式の対戦車砲で、「KPÚV」はチェコ語の対戦車砲(Kanón Proti Útočné Vozbě)の頭文字、「vz.(vzor)」はポーランド語の「wz.(wzór)」と同じで「(年)式」の意。末尾のMは機械化部隊用にゴムタイヤを履いたタイプを示すのだそうな。ちなみに木製スポークの歩兵部隊用はwz.37P、ほかに騎兵部隊用のwz.37Jというのがあるらしいが、後者はPやMと何が違うのかよく判らない。

説明書によれば、「この時期、この種の砲のなかでは最高(At that time, this weapon was the world's best in its category)」であった由。1938年時点で、チェコスロバキア軍はPタイプ390門、Mタイプ300門を保有していたらしい(Jタイプはどこにいった?)。

また、ユーゴスラビア、ハンガリー、ブルガリアにも輸出されたらしい。チェコ解体に伴い、多数がドイツ軍に接収され、「3.7cm PaK 37(t)」の名で(あるいはユーゴで鹵獲したものは「3.7cm PaK 156(j)」の名で)使われている。また、スロバキア軍も158門(および旧型であるvz. 34を113門)をチェコスロバキア軍より引き継ぎ使っている(スロバキア軍の保有数については“GERMANY'S FIRST ALLY - ARMED FORCES OF THE SLOVAK STATE 1939-1945”より。他は基本、説明書の解説文から)。

なお、Lt vz. 35(ドイツ呼称Pz.Kpfw.35(t))の主砲として搭載されているのは、これの一代前の3.7cm KPÚV vz. 34の車載型で、多孔式のマズルブレーキなどよく似ているが、vz. 34(社内呼称A3)は砲身長が40口径なのに対し、vz. 37(社内呼称A4)は47.8口径と長砲身化されている。ちなみにLt vz. 38(ドイツ呼称Pz.Kpfw.38(t))に搭載されたのは同じく47.8口径だがさらに新型のシュコダA7。

20171208_233831 ●中身は小振りなランナーが2枚。2つ合計で、両手のひらを合わせた程度。TOMやMIRAGE HOBBYのボフォース37mm対戦車砲とおおよそ同等の、比較的少なめの部品数。「小口径の対戦車砲なんてそんなもんだよ」と言われてしまえば、そうかもしれないけれども。

大きいほう(左側)のランナーは一部が切りかかれているが、ここは、先に発売された歩兵型(Pタイプ)用のスポーク車輪が入っていたところ。

20171208_233955 こちらの機械化部隊型(Mタイプ)のキットには、半身になった車輪パーツが8枚、つまり2種類入っている。

違いはホイールディスク部の形状で、右写真で右側の、比較的のっぺりしているほうは、ドイツ軍用の塗装例のひとつの場合に使用するもの。(大きさは違うが)ディスク部の形状それ自体はラインメタルのPak36やFlak30あたりと似ていて、ドイツで作成された(あるいは別の何かから持ってきた)交換パーツであるらしい。

しかし、ゴムタイヤを2種類入れるのであれば、いっそ木製スポークもそのまま入れてしまってコンパチキットにしてもよかったんじゃ……。

チェコ型のタイヤのほうは、ゴムタイヤ部分の側面(両面)に「MATADOR」のロゴ入り。Matador Bratislavaは、1905年創業のスロバキアのゴム製品メーカーである由。現在も後身の自動車タイヤメーカー、Matador, a.s.が活動しているらしい。しかしこういうメーカーロゴって両面に入ってるもの?

20171208_233930 この手の牽引砲の「顔」とも言える防盾は、そこそこ頑張っているとは思うものの、やはりなお厚め。さらに、防盾の表側〈前側)にクリーニングロッド?測量用のポール?――どちらなのかよく判らないが、4本重ねて付けているロッドは、取付用のベルトも含めて一体成型で、いまひとつ実感に乏しい。

車輪の前に位置する、防盾左右下部は実物は別体で、内側の蝶番を介して繋がっている。実物は、この接続部に段差があり、別体部がちょっと前側に出ている。蝶番自体は裏側で、蝶番にツメが生えていて、この別体部分はこれ以上後ろ側には曲がらない(前方にだけ曲がる)仕組みのようだ。かつ、蝶番上下を繋ぐロッドにスプリングが巻いてある。

運搬時は折りたたむのか、それとも単純に、(防盾を可動にしておくことで)車輪との間に何か物が挟まっても大丈夫、という仕組みなのか。今ひとつよく判らないが、個人的には後者の可能性が高そうな気がする。

20171208_234036 もうひとつ、砲の重要なアクセントであるマズルブレーキは、実際には細かい穴が多数開いているのだが、キットのパーツはご覧の通り。砲口部を開けている一方で、側面の孔は潔く省略している。まあ、確かに1:35でこれをモールドで表現しろというのは大変だとは思うけれど。

35(t)戦車用の金属砲身は何社かから出ているが、基本、マズルブレーキは砲身と一体になっているのではと思う(少なくとも日本で一番手に入りやすい、パッション・モデルズの製品はそう)。で、35(t)用はこの砲よりも砲身長が短いので、そのままでは使用できない(もちろん、金属の砲身をゴリゴリ削り飛ばしてマズルブレーキだけ移植するという手もあるが)。あるいは、ブロンコの35(t)の砲身パーツはスライド型でマズルブレーキの穴もそれなりに表現されているので、そちらにパッションの砲身を使い、余ったプラパーツをこちらに使うという「玉突き流用」がいいかもしれない(などとパーツ一つ切り離さないうちに皮算用)。

20171208_234053 中口径以下の対戦車砲では、開脚式の砲架は、運搬時には単純に閉じるだけ、というものが多いと思うが、この砲はちょっと凝っていて、脚の中途から前方に折り畳み、全長を短縮するようになっている。この仕組みは前身の3.7cm KPÚV vz. 34も、また、より大口径の4.7cm KPÚV vz. 38(ルノーR35やI号戦車に載せて自走砲化されたヤツ)も同様。

キットは、この折り畳み機構を、真っ直ぐな状態と折りたたんだ状態、2通りの脚パーツをセットすることで選択式にしている。車輪・脚という、もともと細かい中では比較的「大物」のパーツが選択式なので、実際に使うパーツはますます少ない印象。

●説明図/箱裏で取り上げている塗装例は4種。チェコスロバキア制式の3色迷彩が2種(片方はチェコスロバキア軍、もう片方はスロバキア軍)、あと2つはドイツ軍の塗装で、グレー単色と、グレー地に白の冬季迷彩。スロバキア軍のものにのみ、防盾の隅に描き入れた二重十字の簡易国章(?)のデカールが用意されている。

●先行の木製スポークタイプ(P型)は2016年発売らしいが、このキットは今年、2017年発売のようだ。もしもっと早く入手していれば、New Kit Con参加作をこれにしていたかも。

パーツも少ないし、小さいし、楽そう――と思う反面、ディテールの解像度はCAMsのビッカースに比べると低いので、むしろ苦労したりして。

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ビッカース6t戦車(3) ギアハウジングの迷宮

●CAMsのビッカース6t戦車(中華民国軍、指揮車タイプ)の製作記の続き。

20171204_225042 ●起動輪基部のギアハウジング(C32、C33)には左右の別があるが、ダボ穴位置などには違いがないので、間違えやすいかもしれない。

ギアハウジング外周に等間隔に並んでいる小突起は、車体側から止めるボルトの受け部分なので、これが両側で揃うようにする。もちろん、説明図の「C32對側C33」――(図示されているのが)C32で、反対側がC33、という指示をちゃんと読み取れば間違わないはずだが。

こういう部分は、最近のタミヤならダボに変化を持たせるなどして「そもそも間違えるとうまく取り付けられない」状態にしているのが普通。その辺、「神経、行き届いてるなあ」と感心するし、実際、ストレスなく組み立てられるのは楽しいのも確かなのだが、一方で、もしもキット設計につぎ込める「こだわり」の総量が同じなのであれば、タミヤの場合、フールプルーフさはそこそこでいいので、もっとディテールの正確さに気を使って欲しいような気もする(わがままな話)。

●閑話休題。上の写真にも写っているが、ギアハウジング外周のやや大きめの2つの横U字型の突起は、どうやら、グリースポイントか何かのボルトの基部であるらしい。

Vickers しかし、これは(ソ連におけるライセンス生産型である)T-26系列ではこの位置に確認できるものの、オリジナルのビッカース6t戦車では位置が違っている可能性がある。

右写真は6t戦車の改良型であるMk.Fの当該部分の拡大。黄色矢印が、キットでは突起がある部分。赤矢印にはキットにはない突起がある。

このへん、当時の実車写真では、不鮮明だったり、履帯の陰に隠れていたりして、なかなか確認しづらいのだが、少なくとも、フィンランドに現存しているビッカース6tでは、キットのパーツの位置に突起がないことははっきり判る。

ちなみに、フィンランドのが輸入したビッカース6tは数輌が現存しており、ネット上にもそこそこ写真が上がっている。特に細部の詳細に関しては、以下のwalkaround写真集が非常に有用。

“DishModels”

“LEGION AFV”

問題個所のクローズアップも多数あって、例えばこれを見ると、上のMk.Fの写真と同じ配置になっていることがわかる(フェンダーに隠れる上部にももう一つ、ボルト頭がある)。

しかし悩ましいのは、「フィンランドの6t戦車がそうだったとしても、中国(もしくはポーランド)の6t戦車もそうであったとは言い切れない」こと。

6t戦車は顧客(輸出先)のニーズや製造時期によって細かく差があり、なかでもフィンランド仕様はイレギュラーの度合いが大きい。実際に、このギアハウジング周辺に関しても、ハウジング部の車体内側に斜めに突き出している(やはりグリースポイントかと思われる)ボルト頭付きのバルジは、他国の6t戦車には見られない。

ただし、ギアハウジング外周部のレイアウトに関しては、とりあえず、

  • ボービントンにある現存車輌も、どうやらフィンランドの車輌と同一配置(ただしこれもMk.F規格車体の後期型)。
  • ポーランドの6t戦車は、おそらく上と同一配置(少なくともこの写真を見る限り、キットの位置に突起はなさそう)。
  • タイの6t戦車も、この写真の車輌は、キットの位置に突起はないようだ。
  • ボリビアの現存双砲塔型。この写真では陰になっている上に不鮮明だが、どうやらキットの位置に突起はなさそう。
  • 中国軍車輌で断言できるほど鮮明な写真は見つけられなかったが、「う~ん、前面(キットの位置)にはボルトはないかな?」と思えるような写真が数枚。

20171206_015558 というわけで、今一つ確証は得られないものの、こればかりうじうじ悩んでいてもしょうがないので、意を決して工作してしまった。結果が右。突起上のボルト頭は、トライスターのIV号戦車のサスペンション基部不要部品から。

なお、ポーランドにおけるライセンス生産型、7TPはまた事情が異なり、もっと多数の箇所に突起がある模様(ただし試作車はビッカース6tと同じ?)。

●起動輪は外側スポークと内側ディスクの間に補強用のロッドがある、マチルダの起動輪などと似た構造(というよりも、マチルダが6t戦車の起動輪を参考にしたのだと思うが)。

20171205_232800 キットは小さなロッドのパーツ(Ab1)を起動輪内外のパーツで挟み込むようになっているのだが、工作手順上も、またパーツのゲート処理も面倒臭そうだったので、起動輪内側パーツにドリルで穴を開けてしまい、内外を貼り合わせたあとで、エバーグリーンのプラ材の細いロッドを差し込んだ。ちなみに穴の裏側は、どのみちギアハウジングがかぶるので見えない。

なお、起動輪内外の接着は、一応パーツに位置決め用の工夫はしてあるが、実際には角度はゆるゆる。内外の歯が揃うよう、慎重に接着する必要あり。

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浦賀

●土曜日、散歩に出て、ハイランドから、池子米軍管理地の北辺尾根を辿る「やまなみルート」に上がる。

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途中、道端のあちこちに、明らかに見た目がキイチゴの類の、真っ赤な小さな実がなっているのを発見。匍匐性で、丸みがかってつやのある、若干厚手の葉。調べてみると(今は散歩の途中でもネットで検索できるのが便利だ)フユイチゴという、この季節に実を付けるキイチゴの一種と判明。

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食べてみた感じ、モミジイチゴやカジイチゴほどの食べ応えはなく(大きさ的に)、甘みよりも酸味が強いが、しっかりとした味でなかなか美味しかった。アセロラとかクランベリーとか、そんな感じの味わい(その両方ともジュースでしか味を知らないが)。

熊野神社に出るつもりだったのに、そのすぐ手前で道を間違え、朝夷奈切通の十二所側入口付近まで戻ってしまった。改めて切通を越えて六浦まで。

●実はこの週末、私事で事件が発生し、身辺、だいぶすったもんだの騒ぎだった(それでいて、ビッカースの車体と砲塔は組んでいたりするわけだが)。

日曜日は、その件がらみで、「半日、家を空けていてくれ」とのことで、かみさんとともに外出する。

特に行きたい場所の当てもなく、また、かみさんと一緒だといつものように延々と歩くのは不可(かみさんは膝に故障を抱えているので)。「とりあえず、大船で昼飯を食って、田谷の洞窟でも見に行くかあ」などという、割とゆるゆるな計画に基づき、逗子駅で上り電車に乗ったが、電車が発車する前に、いきなり「普段行ったことのない方面のほうがいいんじゃないの?」という話になり、急遽行き先変更。向かい側の久里浜行きに乗り換える。

20171206_091911 なんとなく久里浜を目指し、なんとなく久里浜に到着し、なんとなく久里浜で昼食。

「久里浜と言えば、久里浜緑地?」(いつのまにか「くりはま花の国」と名称変更されていたらしい)くらいしか思い付かないが、冬に行っても単に見晴らしのいい野原があるだけのような気がしたので、またまた行き当たりばったりで、バスに乗って浦賀に出て、近辺を散歩。

ちなみに京浜急行の駅には右のような簡単な駅周辺観光パンフが用意してある。ごく簡単な内容だが、散歩の助けになった。今度、新逗子駅にも同様のものが置いてないか確かめてみよう……。

●バスの終点だった京急の浦賀駅前〈港の一番奥)を出発点に、浦賀港の西岸を歩き、渡船で東岸に渡り、また歩いて浦賀駅まで戻るという一周コース。途中、西岸の西叶神社、それと向い合せた東岸の東叶神社ほか、いくつかの寺社を回る。

渡船は(対岸に行っていた場合は)桟橋たもとの呼び出しボタンを押して来てもらうというのどかなもので、渡し賃は大人200円。歴とした「市道」なのだそうだ。以下、散歩途中のあれこれ。

▼港の最奥部にある旧ドック。間近に近寄ることできず、遠目に見るだけなので、「日本に2つしか現存しない」という、レンガ積みのドック内部はほとんど覗き込めない。ネットで見ると、時折「見学会」が開かれており、その時には内部に入ることもできるようだ。

巨大な鉄骨はおそらくドック脇に立っていた大クレーンの残骸?で、もともとは奥の塔の上に、手前の三角のトラスが乗っていたのではと思う。

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下左は入り口付近にある案内板。右はドックの海側の扉。

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▼思わず笑ってしまったネーミングの歯医者。なんだかこんな喋り方の歯医者さんが出て来そうな気が。および、西叶神社の社殿の彫刻。天保年間、火事による焼失からの再建で、現在の社殿が建てられた時のものだそうで、なかなか立派。

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▼東岸を歩くと、街角のあちこちに井戸がある(いや、西岸にもあるのかもしれないけれど)。こんな海辺で、ちゃんと真水が出るのかしらん。いや、山が迫っているからそこそこ普通に水が湧くのか。懐かしい手漕ぎのポンプがいかにも現役な感じで残っているのがなかなか素敵。

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ちゃんと下調べをしてくれば、もっとあれこれ面白い見どころもありそうだ。そういえば、観音崎の灯台も確か行ったことがないし。まあ、そのうちにまた。

●確か土曜日に気付いたのだが、「ポケモンgo」のマップ内容にかなりの変更があった。

単に「地図情報が更新されたのかな?」などと思っていたのだが、そうではなく、ベースマップがこれまでのGoogle Mapsから、オープンソース地図の世界的プロジェクトである、オープン・ストリート・マップ(OSM)に変更になったのだそうだ。

OpenStreetMap Japanの中心メンバーの一人であるF君が、facebookで

「NianticがOSMに変えた理由が「無料だから」と思っている人は本質的なモノの見方ができていない人。意外と多いな。」

と息巻いていて、いやまあ、そこまで言うほどのもんかな?とも思わなくはないが、少なくとも私の近辺で見る限りでは、今までの地図上では表記されていなかった細い山道や、「そもそもこれは道路なのか?」と思うよな、建物内や駅の連絡通路まで表示されるようになり、おおよそ、地図の質は向上したと言えそう(しかしその一方で、「こんなところに道ねぇよ!」という脇道が表示されていたり、ということも)。

もっとも、ネット上には「これまでの地図より大幅に簡略化された」という意見も多く、変更に関しては賛否両論入り乱れている感じ。どうもその地区に関わっている、OSMに情報を提供する“マッパー”の質と量によって、地図の粗密にだいぶ差が出ているようだ。

もちろんF君の言う「本質」は単純な地図の密度ではなく、地図それ自体もプレイヤーが関わることができるようになったんですよ、的なことではと思うが。

Screenshot_20171130141437 ●そのポケモンgo、先月末に「グローバルチャレンジ」なるイベントがあって、イベントクリアの報酬として本来オセアニアだけに出現するカンガルー風ポケモンが東アジア地域で時間限定で現れるようになったが、それに引き続き、今月上旬は期間限定で「伝説ポケモン」のホウオウが各地のポケモンジムのボス戦(レイド)に登場中。

レイドボスには強さの等級があるが、伝説ポケモンは当然ながら最強クラスで、プレイヤーが複数いないとまず倒すことはできない(最低でも7,8人、できれば10人以上)。というわけで……。

こんな田舎の山道に出てくるなよ! 出て来てもどうにもならねぇんだよ!(右SS)。

ちなみに以前、鎌倉駅前のジムに(ホウオウではないが)伝説級が湧いた時にも参加者がおらず、(その時点では事前に参加人数の確認ができない仕様だったので)無駄と判りつつ戦って瞬殺された。観光客があふれている鎌倉でさえそんな感じで、ポケモンgoは、少なくともレイドバトルに関しては完全に都会の遊びだなあと思う。

ちなみに、ホウオウに関しては、昨火曜日、仕事で新宿に出たので余裕の参加人数で対戦。3戦3勝したものの最初の2回は逃げられ、3回目でようやく捕獲した。

●一方で、田舎のプレイヤーのメリットもあって、ジムの長時間防衛が比較的やりやすい。

実際には貰える報酬(ゲーム内コイン)は8時間20分で頭打ちになるので、それ以上ジムに居座っても(ジムメダルのレベル上げ以外に)意味はないのだが、日曜日の散歩で浦賀の某ジムに置いたポケモンが、70時間を超えてまだ戻ってこない……。

12/8追記:結局、4日と5時間(101時間)後に戻って来た)

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ビッカース6t戦車(2) 基本形

●CAMsのビッカース6tのうち、週末模型親父さんのところの「ニューキットコン」エントリー作の「中国軍・指揮車仕様」の基本形状、車体と砲塔の貼り合わせを行ってみた。

副題を付けたかったのでタイトルは短縮。

●車体基本形状。この形にするのに、(実車ではなくあくまで模型のパーツ数で)装甲板パーツ11枚、および上部転輪軸パーツ8本。あっ。車体内側に付けるはずの、起動輪の軸受けのドーナツ状のパーツを付け忘れてる!

まあ、大勢に影響はない……かな?

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この状態は、まさに戦車の製造工場における装甲車体の組立同様で、なんだか見ていてじわじわ嬉しい。

先述のように、キットのパーツは床板、側面装甲板に若干の反りが生じていたが、思った通り、接着だけで修正できた。もっともそれも含め、無造作にバタバタ貼り合わせると車台にねじれが生じたり、気になるスキマが生じたりしかねないため、各面の接合はそれなりに気を使った。

キットの基本設計は優れているので、寸法が違ってくるような削り合わせは必要ないが、接合ライン部分をわずかにヤスるとか、段状になっている接ぎ合わせ部分で内側を若干削り込むとかの調整は行う必要がある。ただし、その手間を省いたりしなければ、パテ埋めなどが必要な部分は出てこないはず(実際、ほぼ歪みなくきっちり組み上がった)。

●指揮車仕様のバッスル付き砲塔の組立は、車体以上に、かなり手こずった。

砲塔基本形のパーツは、基本の円周が4パーツ、天井がスリット内側と上面板の2パーツ、バッスルが後面・底面の2パーツの計8パーツだが、基本、すべて入念なすり合わせを必要とした(そうしないと組めない、ということではなく、綺麗に仕上がらない、という意味で)。

キットの組立説明図では、砲塔前面パーツに武装の内部防盾を組み込んだ後、おおよそ、(1).円周を完成させ、(2).天井のスリット内側パーツ、バッスル底面を付け、(3).天井板とバッスル後面を付ける、という手順になっているが、すり合わせの都合上、および最終的につじつま合わせの必要が出て来ても隠しやすいよう、最後にバッスル底板とその下の円弧部品を付けることにした。

20171203_170041 20171203_170200

順を追って詳説。

▼砲塔前面(H4)に主砲、機銃の防盾(C5、H19)を組み込む。この際、機銃用はそのまま入るが、主砲用(C5)はきつくて入らず、開口部をヤスって広げてやる(防盾側面も若干ヤスって狭めてやる)必要があった。なお、砲身/機銃取り付け時にまた一悶着あったが、それに関しては後述。

▼前面に左右側面(H15、H18)を付ける。前面と側面の接合部の表側エッジがわずかにめくれたような感じになっており(特に側面パーツ)、そのまま付けると接合ラインが盛り上がってみっともなくなるので、リベットを傷付けないよう注意しつつ丁寧に処理。

また、接合部の内側には位置合わせ用のリブ状のダボがあるが、そのまま付けると、ごくわずかに側面板が外側にずれてしまうようだったので、慎重に内側で削り合わせた。

▼両側面板を取り付けた後、それを補強する意味合いもあって上面のスリット内側の、砲塔外周に沿ったC字型パーツ(H17)を取り付け。これもそのままではピタッとは行かず、ほんのわずかだが、ヤスって削り合わせた。

▼天井板(H7)を取り付け。これをガイドにバッスル部の左右幅を適正にするのだが、このパーツがなかなかピタッとはまらず苦労した。主に、側面板(H15、H18)後方のバッスル部分の上端直線と天井板(H7)後部のバッスル上面の接合がなかなか決まらなかったのだが、単純にこの部分を削り合わせるだけでなく、先に接着したC字型パーツ(H17)内周部も多少ヤスってやる必要があった。

▼さらにバッスル後面板(H6)を接着。隙間が出たり浮いたりしないよう慎重に擦り合わせ。一歩前の天井板取り付けと合わせ、この後面板の接着によって、左右装甲板取り付けでほんのわずかに生じている「ねじれ」を矯正する。

▼以上で砲塔の外形は一応仕上がったので、最後にバッスル下の2部品、底面板(H5)とその下の円弧(H10)を取り付ける。説明書では円弧(H10)の方を先に付けているが、実際には底面板(H5)の上にH10が重なる形なので、逆の方が作業しやすい。

底面板(H6)は基本、普通にしていれば見えない部分なので、最後につじつまが合わなくなっても目立たなくて済むため最後に持ってきたが、幸い隙間などはできず、若干左右及び後端をわずかに削ることでほぼピッタリ収めることができた。

最後に取り付けることになった円弧(H10)は、作業の都合上邪魔になる、左右接合部の位置決めダボは削り落としたが、寸法的にはすり合わせの必要なくピッタリはまった。

以上。

大々的に切ったり削ったり盛ったりは必要なく、実際には全て、普通に「プラモデルを作るにあたってきちんとすり合わせを行う」という基本の延長ではあるのだが、私自身、作っていて「こいつはなかなか難敵!」と感じた。そんなわけで、単純に「ランナーからパーツを切り離し、ゲートを処理すれば魔法のようにピタピタはまる」という(特に最近の)タミヤ級クォリティが基準になってしまっている人には厳しいかもしれない。変な言い方になってしまうが、「それなりに高度な素組スキルが必要」という感じ?

(繰り返し言うが、あくまで「納得いくまで綺麗に組むには」という話)

ちなみに、フィンランドが輸入したビッカース6t戦車も、これと同じ無線機バッスル付きで上面周囲にスリットがある砲塔だが、上面ハッチ位置・形状などに違いがある(フィンランド型の場合、ハッチはもっと後方寄りの中央にあり、さらに閉じた時に上面とツライチになる)。

●キットの砲身パーツ(C15)は、防盾に取り付ける側のエッジが若干ダルくなっていて、そのままでは使いづらかったので、防盾側に砲身と同径の穴を開け、砲身はランナーを削って新造した。ちなみに使ったのはタミヤのバレンタインのランナー(特に意味はない)。

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機銃スリーブ(H11)は、なぜか接合部がきちんと平面になっておらず、そのままでは正しく付けられないため、ダボを避けて慎重に、出っ張っている部分を削り落とした。

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CAMs 1:35 ビッカース6t戦車

「週末模型親父」さんのところは、毎夏(晩春から晩秋まで)に長期のSUMICON、毎春(年末から早春まで)にテーマ設定された短期のミニコンペを行うというスケジュールがほぼ定着していて、今日(12月1日)からは「2017年新発売キットのみ」の縛りの「New Kit Competition Vol.1」が開催される(2月末まで)。

10月末までの「SUMICON 2017」でだいぶ情けないリタイアぶりを晒してしまったので、今回は自粛しようかとも思ったのだが、ここ数年は、SUMICONのおかげでなんとか年1,2作の完成が可能になっているような具合でもあり、「リタイアのお詫びは完成で示すしか!」などと適当な(←自分で言うな)理由をこじつけて参加することにする。

●ということで、2017年発売の新キット、しかも私がすでに買って持っているものとなると、タミヤのバレンタイン、ブロンコのトゥラーンI、同じくブロンコのSKODA R-2、CAMsのビッカース6t戦車2種。

一応、年末の東京AFVの会までは、wz.34をなんとか形にすること/できればT-34を塗ることをメインにしたいと思っているので、本格的な製作は年末から年明けに行う予定。というわけで、ややこしそう(そしてもしかしたら何か落とし穴がありそう)なブロンコのキットは避け(若干偏見交じり)、考証と設計へのこだわりは水陸両用戦車で十分わかったCAMsのビッカースを選択。

同社からはすでに数種のバリエーションが出ているが、私が持っているのは

#CV 35-005 ビッカース6トンB初期型 ポーランド仕様
#CV 35-006 ビッカース6トンB指揮車型 中国民国仕様

の2種。1939年戦役時の塗装だとエアブラシ必須のポーランド仕様は(私にとっては)面倒なので(トゥラーンを避けたのはそれもある)、一昨年の水陸両用戦車とまったく同じ塗装になってしまうが、中国軍仕様を作ることにした。

●というわけで、戰甲模型(Combat Armour Models : CAMs)製ビッカース6tの簡単なキットレビュー。

ビッカース6t戦車の1:35インジェクションキットは、かつてMirage HOBBY/RPMからあれこれどっさり出たものの、太古のスポジニアの7TPのバリエーションだけにだいぶお粗末な出来だった(それでも発売当初は「インジェクションで6t戦車が出るなんて!」とだいぶ喜んだものだが)。それだけに、新キット、それもCAMsのようなマニアックなこだわりのあるメーカーからの発売は、大喜びしているビッカース・ファンは多いのではないかと思う。……いやまあ、ビッカース・ファンが世界に何人いるかは別として。

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左がポーランド軍型、右が中国軍指揮車型。

どちらも箱絵は似たような黒縁付き多色迷彩だが、ポーランド軍は3色であるのに対し、中国軍はグレーを加えた4色。

少なくとも中国軍のほうは、ビッカース社で輸出用に施したものではと思うが、ポーランドの場合、国産AFVにも同様のパターンの迷彩(「日本式迷彩」と名付けられていたらしい)を採用している。しかもポーランド軍のビッカース6tは、輸入時は全て双砲塔型であり、単砲塔型は、その後、イギリスから改修キットを輸入してポーランド国内で改装されたものなので、迷彩はポーランドで改めて施した可能性が高いのではと思う。

ポーランドで再塗装されている場合、黒縁付きの「日本式迷彩」の塗色は、(The PIBWL military siteによれば)従来言われてきたサンド/グリーン/ブラウンではなく、 イエローサンド、オリーブグリーン、ライトブルーグレーの新説が浮上してきているらしい。個人的には「えー、ほんとかなー?」と思う一方、TK-3あたりで試してみたい気もする。

なお、開戦直前に導入された3色ボカシ迷彩は従来説通りオリーブグリーン地にグレーサンド、ダークブラウン。

▼両キット共通の車体パーツ。

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ざっと見た感じ、全体のリベット表現はやや強調気味だが、「キットの味付け」の範囲内かと思う。むしろこれくらいのほうが好ましいと感じる人は多いのではと思う。

相対的なリベット・ボルトの大小や丸頭・平頭などの形状差に関しては、きっちり確認していないが、(ビッカース水陸両用戦車の例を考えても)だいぶ気を使っている感じがする。

車体はオーソドックスな箱組。側面、底面ともわずかに反りが見られたが、複雑な歪み方ではなく、強制接着で何とかなりそうなレベル。

両仕様で、車体前部上面板にわずかにボルト列の違いがあるようだが、これに関しては(中国軍指揮車型で)ランナーにモールドされたボルト2つを移植するよう指示されている。

▼足回り。

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左写真の枝が2枚、その上半分の転輪+履帯の枝がさらに2枚で1輌分となっている。

履帯は前作のビッカース水陸両用戦車同様、いわゆる「リンク&レングス」方式。起動輪、誘導輪に巻く部分も1コマずつではなく、2コマずつになっている。

ビッカース系列用の履帯は、なんだか私もよく整理できていなくてこんがらかっているのだが、少なくとも、初期のビッカース6tと、T-26系列とではやや形状が異なる(特に、起動輪の歯が噛み合う穴の脇に縦リブがあるかどうか、など)。ところが、ビッカースの一部や7TPでは、むしろT-26寄りなんじゃない?と思える形状のものがあったりしてややこしい。想像だが、ビッカースそれ自体にすでに履帯にバリエーションがあり(時期によるものかはっきりしないが、仮に初期・後期として)、7TPやT26はその後期型の方を採用している、ということなのではないだろうか?

……というような理屈(というか想像)は余談として、キットの履帯はその、オリジナルのビッカースで見られる「初期型」のほうをきちんと表現しているようだ。これまで出ていた履帯は(もちろんT-26用と銘打っているものは当然として)T-26寄りの形状のものばかりだったので、これは嬉しい。

サスペンションボギーは部品の分割自体はオーソドックスだが、抜きの関係で表現しづらい細かいボルト・ナット類は、ランナーにモールドしてあるものを削り取って移植せよというマニアック仕様。転輪4つ一組のボギーにつき、使用するボルト・ナットは計8つ。

使用するパーツにはキャッスルナット(a)とボルト頭(b)の2種があるのだが、どの部分にどちらを使えばいいのか。、説明書の図示はいささか判りづらい(ボギー軸キャップ留め金の下側にボルト頭(b)を使うのは判るのだが)。これに関しては実際に製作する前に写真資料などで確認予定。

▼ポーランド仕様の独自パーツと、そのエッチング。

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プラパーツは標準タイプのB型砲塔、ポーランド独自の後部デッキの大型ダクト、工具箱類など。T.Wongさんから、CAMsでビッカース6tを出す予定だと最初に伺ったときは、中国軍型は当然としても、ポーランド軍型まで出すとは思わなかった(その後予定として聞いたが)。

なお前述のように、ポーランド軍のビッカースは、T-26寄りの形状の履帯を使っている例も多いようだ。その場合、カステンのT-26用がそのまま使えるのではと思うのだが、本当に(形状的に)そのままでいいかどうかはなお要検証。

砲塔基本形部分の側面は3分割。ビッカース水陸両用戦車では、パーツの抜きの関係で一部のリベットが涙滴状になってしまっていたが、このキットではそれほどきつい抜き角度になっている場所はなく、リベット形状がおかしい部分もなかった。

塗装例は3種。もともとマーキングには乏しいポーランド軍なので、デカールもごく小さいもの。

(12/5追記)なお、よくよく実車写真を見てみると、ポーランドが使用した6t戦車の単砲塔型は、表面にリベットがほとんどない(つまり溶接?)ものが多い。ただし、キットのようなリベット接合仕様が間違いというわけではなく、箱絵にもなっている「8」号車は確かに(他国への輸出型同様の)リベット接合砲塔を載せている。ポーランドへは、砲塔は「パーツ状態」で輸出され、ポーランドで溶接で組み立てたのか? イギリス本国で、こういう仕様で作られた砲塔だったのか? そもそもポーランドの(22両分あったという単砲塔の)どれくらいの割合でリベット型・溶接型があったのか? そのうちDerelaさんが解き明かしてくれるかな?

▼中華民国軍指揮車仕様独自パーツとエッチング。

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指揮戦車型は砲塔後部に無線機搭載用のバッスルが付いている。大昔の資料だと、このタイプを「Vickers Mk.F」としているものがあるが、これは誤りで、実際には、Mk.Fは搭載エンジンを変更(合わせて車体形状も変更)した発展型の名称。キットのこのタイプに関して言うと、購入者の注文によって変わるオプション装備の範囲内で、「中華民国が購入した指揮戦車型」という以外に、特別な呼称などは設定されていないようだ。

ちなみに、フィンランドが購入したビッカース6tも、砲塔形状はこれとほぼ同形(ただしフィンランド型は車体形状が大きく違う)。

閑話休題。このタイプの砲塔は一見、バッスルが追加されただけに見えるが、実際には天井形状が大きく違い、おそらく換気用なのではないかと思われるが、砲塔上面周囲にスリットが開いている。なぜ通常型にはなく、このタイプにだけスリットが設けてあるのかは謎。それに合わせ、側面のリベット列の位置も、(例えば上のポーランド仕様などの)標準型砲塔とは異なっている。

側面の抜き角度については通常型同様で、こちらもリベット形状はOK。

説明書で取り上げられている塗装例は3種だが、うち2種はマーキングが無く、もう一種も3カ所に小さく青天白日が付くだけ。個人的には、砲塔に「虎」と書かれたものがいい!と以前から思っていたのだが、(指揮戦車ではない)通常型キットにはそのデカールが含まれるものの、こちらには無し。どうも指揮戦車型で「虎」マーキングが確認できる写真がなかったようだ。残念。

▼ほか、小さなライトレンズ部分の透明部品(共通)。

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