ビッカース6t戦車(2) 基本形
●CAMsのビッカース6tのうち、週末模型親父さんのところの「ニューキットコン」エントリー作の「中国軍・指揮車仕様」の基本形状、車体と砲塔の貼り合わせを行ってみた。
副題を付けたかったのでタイトルは短縮。
●車体基本形状。この形にするのに、(実車ではなくあくまで模型のパーツ数で)装甲板パーツ11枚、および上部転輪軸パーツ8本。あっ。車体内側に付けるはずの、起動輪の軸受けのドーナツ状のパーツを付け忘れてる!
まあ、大勢に影響はない……かな?
この状態は、まさに戦車の製造工場における装甲車体の組立同様で、なんだか見ていてじわじわ嬉しい。
先述のように、キットのパーツは床板、側面装甲板に若干の反りが生じていたが、思った通り、接着だけで修正できた。もっともそれも含め、無造作にバタバタ貼り合わせると車台にねじれが生じたり、気になるスキマが生じたりしかねないため、各面の接合はそれなりに気を使った。
キットの基本設計は優れているので、寸法が違ってくるような削り合わせは必要ないが、接合ライン部分をわずかにヤスるとか、段状になっている接ぎ合わせ部分で内側を若干削り込むとかの調整は行う必要がある。ただし、その手間を省いたりしなければ、パテ埋めなどが必要な部分は出てこないはず(実際、ほぼ歪みなくきっちり組み上がった)。
●指揮車仕様のバッスル付き砲塔の組立は、車体以上に、かなり手こずった。
砲塔基本形のパーツは、基本の円周が4パーツ、天井がスリット内側と上面板の2パーツ、バッスルが後面・底面の2パーツの計8パーツだが、基本、すべて入念なすり合わせを必要とした(そうしないと組めない、ということではなく、綺麗に仕上がらない、という意味で)。
キットの組立説明図では、砲塔前面パーツに武装の内部防盾を組み込んだ後、おおよそ、(1).円周を完成させ、(2).天井のスリット内側パーツ、バッスル底面を付け、(3).天井板とバッスル後面を付ける、という手順になっているが、すり合わせの都合上、および最終的につじつま合わせの必要が出て来ても隠しやすいよう、最後にバッスル底板とその下の円弧部品を付けることにした。
順を追って詳説。
▼砲塔前面(H4)に主砲、機銃の防盾(C5、H19)を組み込む。この際、機銃用はそのまま入るが、主砲用(C5)はきつくて入らず、開口部をヤスって広げてやる(防盾側面も若干ヤスって狭めてやる)必要があった。なお、砲身/機銃取り付け時にまた一悶着あったが、それに関しては後述。
▼前面に左右側面(H15、H18)を付ける。前面と側面の接合部の表側エッジがわずかにめくれたような感じになっており(特に側面パーツ)、そのまま付けると接合ラインが盛り上がってみっともなくなるので、リベットを傷付けないよう注意しつつ丁寧に処理。
また、接合部の内側には位置合わせ用のリブ状のダボがあるが、そのまま付けると、ごくわずかに側面板が外側にずれてしまうようだったので、慎重に内側で削り合わせた。
▼両側面板を取り付けた後、それを補強する意味合いもあって上面のスリット内側の、砲塔外周に沿ったC字型パーツ(H17)を取り付け。これもそのままではピタッとは行かず、ほんのわずかだが、ヤスって削り合わせた。
▼天井板(H7)を取り付け。これをガイドにバッスル部の左右幅を適正にするのだが、このパーツがなかなかピタッとはまらず苦労した。主に、側面板(H15、H18)後方のバッスル部分の上端直線と天井板(H7)後部のバッスル上面の接合がなかなか決まらなかったのだが、単純にこの部分を削り合わせるだけでなく、先に接着したC字型パーツ(H17)内周部も多少ヤスってやる必要があった。
▼さらにバッスル後面板(H6)を接着。隙間が出たり浮いたりしないよう慎重に擦り合わせ。一歩前の天井板取り付けと合わせ、この後面板の接着によって、左右装甲板取り付けでほんのわずかに生じている「ねじれ」を矯正する。
▼以上で砲塔の外形は一応仕上がったので、最後にバッスル下の2部品、底面板(H5)とその下の円弧(H10)を取り付ける。説明書では円弧(H10)の方を先に付けているが、実際には底面板(H5)の上にH10が重なる形なので、逆の方が作業しやすい。
底面板(H6)は基本、普通にしていれば見えない部分なので、最後につじつまが合わなくなっても目立たなくて済むため最後に持ってきたが、幸い隙間などはできず、若干左右及び後端をわずかに削ることでほぼピッタリ収めることができた。
最後に取り付けることになった円弧(H10)は、作業の都合上邪魔になる、左右接合部の位置決めダボは削り落としたが、寸法的にはすり合わせの必要なくピッタリはまった。
以上。
大々的に切ったり削ったり盛ったりは必要なく、実際には全て、普通に「プラモデルを作るにあたってきちんとすり合わせを行う」という基本の延長ではあるのだが、私自身、作っていて「こいつはなかなか難敵!」と感じた。そんなわけで、単純に「ランナーからパーツを切り離し、ゲートを処理すれば魔法のようにピタピタはまる」という(特に最近の)タミヤ級クォリティが基準になってしまっている人には厳しいかもしれない。変な言い方になってしまうが、「それなりに高度な素組スキルが必要」という感じ?
(繰り返し言うが、あくまで「納得いくまで綺麗に組むには」という話)
ちなみに、フィンランドが輸入したビッカース6t戦車も、これと同じ無線機バッスル付きで上面周囲にスリットがある砲塔だが、上面ハッチ位置・形状などに違いがある(フィンランド型の場合、ハッチはもっと後方寄りの中央にあり、さらに閉じた時に上面とツライチになる)。
●キットの砲身パーツ(C15)は、防盾に取り付ける側のエッジが若干ダルくなっていて、そのままでは使いづらかったので、防盾側に砲身と同径の穴を開け、砲身はランナーを削って新造した。ちなみに使ったのはタミヤのバレンタインのランナー(特に意味はない)。
機銃スリーブ(H11)は、なぜか接合部がきちんと平面になっておらず、そのままでは正しく付けられないため、ダボを避けて慎重に、出っ張っている部分を削り落とした。
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コメント
かば◎さん
快調な組み立てが進んでいる様で何よりです。
ビッカースといえば老舗の戦車メーカーでこの作品のものなどクラシックな感じが戦車然としていますね。製作の進捗が楽しみです。
私はホビーボスのビッカース中戦車が気になり買う寸前までいって我慢しています。
ところでどうでもいいのですが日本語標記ではビッカースもヴィッカースもありなのでしょうが個人的にはヴィッカース中戦車 Mk.IIと言うと響きがいい感じがします。
投稿: hiranuma | 2017年12月 4日 (月) 10時30分
>hiranumaさん
私もどちらかといえば「ヴィッカース」派で、以前、wikipediaにいくつかの項目を立てた時も「ヴィッカース」を使っています。
ヴィッカース6t戦車
ヴィッカース水陸両用戦車
ヴィッカース・ドラゴン
ヴィッカース・ユーティリティ・トラクター
など。
なのになぜ自分のブログで「ビッカース」を使っているかというと、最初に水陸両用戦車の記事を書いた時にうっかり「ビッカース」を使い、カテゴリー名称も「ビッカース水陸両用戦車」にしてしまったためです。
過去記事のカテゴリー・タグを全部貼り直すのは面倒くさく、同じvickersなのに読み方を変えて並び順が飛んでしまうのも嫌なので、今回も「ビッカース」を使用している次第です。
(なので、ブログのカテゴリー・タグと無関係なJapanミリテールの記事では「ヴィッカース水陸両用戦車」の表記を使っています)
投稿: かば◎ | 2017年12月 4日 (月) 15時40分