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wz.34装甲車リベンジ(5)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

CERTIのキットでエントリーしておきながら、いつの間にやらスクラッチ道まっしぐら。

ボディの基本形がほぼ出来上がったので、最初に手を付けたものの中途になっていた砲塔に戻ることにする。

●銃/砲架に関する若干の考証。

後期型装甲ボディの車輌の場合、通常は(機銃搭載型の場合の)銃架はTKSと同じ(あるいは同じではないにしても非常によく似ている)ボールマウントが使われている。砲搭載型の場合もおそらく外側のマウント部は同じだと思う。

一方で初期型装甲ボディの場合は角型の銃/砲架が使われている。

ただ、全車がそうだというわけではなく、若干の例外もある。例えば以下の写真では、右の車輌は新型装甲ボディだが角型銃架が使われている(ただし、この角型銃架は、旧型装甲ボディの車輌で一般的な形式のものとはちょっと違うような気もする)。写真はポーランドのナショナル・デジタル・アーカイブ(NAC:Narodowe Archiwum Cyfrowe、リンクは英語版)から引用した(写真番号:1-P-2993-8)。

Pic_1p29938s

また「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(1)では、逆に旧型ボディで丸型銃/砲架の車輌の写真も見ることができる。

もっとも、ほぼ装甲ボディの形式別に銃/砲架の仕様が違うとは言えそうで、そこから考えて、この差異はwz.28時代からのものと思われる。装甲ボディ形状が改設計されたのとほぼ同時期に銃/砲架も新型のものに変更され、同形式の銃/砲架が引き続きwz.29装甲車やTKSにも採用されたのではないだろうか。

●というような考証に基づき、角型の銃/砲架を工作。一応、ピュトー37mm砲搭載型を作ろうと考えているので(以前、ほぼストレートにCERTIのキットを作ったときにオチキス機銃型にしたので)、以下、砲架で統一する。

初期型装甲ボディ砲塔の周囲だけ作って天井を張っていなかったのはこの砲架の工作が残っていたからで、砲塔前面に砲架のはまる四角い穴を開口する。プラバンを四角く切り出すのは別に難しくないが、四角く綺麗に穴を開けるのは意外に面倒。

さて、この砲架は、砲もろともMENGのFT-17から流用してこようとも思ったのだが、砲塔に対して砲架がやや大きめで(もともとwz.34装甲車の角型砲架がFTに比べ小さめなのか、私の作った砲塔の前面の面積が足りないのかは不明)、細部形状も違うので使用を断念した。下写真で右側に写っているベージュのパーツがMENGのもの。

代わりにRPMのFT-17の砲架パーツを持って来て、これをもとに新たに砲架をでっち上げた。RPMの砲架パーツは実はMENGのモノよりさらに一回り大きいので、十文字に切り刻んで縦横の幅を詰めたうえで削って整形、前面はくり抜いてプラバンをはめた。

この角型砲架はルノーFTと同じく、カルダン枠形式になっていて(オチキス用銃架も同様)、俯仰だけでなく左右動もできる。FTの機構を引き継いだものと思われる日本戦車の砲架とも同じ仕組み。ただし、FTの37mm用砲架は左右動の軸が脇に寄っているのに対し、wz.34装甲車のものは中央にある。

また、不思議なことに、この防盾の前面には、照準口が見当たらない(たとえばこの写真参照)。オチキス機銃用の防盾、また37mm砲用でもルノーFTのものにはしっかりあるのに……なぜ?

20170612_010623

MENGのものを使えれば、パーツの俯仰軸を活かして一応上下動くらいはできるようにしようかな、とも思ったのだが、新たに砲架を作る段階で、RPMのパーツの軸は(作業に邪魔で)削り飛ばしてしまい、わざわざそのへんを再生するのも面倒だったので結局接着した。……結局接着するなら砲塔前面に開口しなくても、適当な角度で削った砲架をイモ付してしまえばよかったのでは(と、後から気付いた)。開口しておいてなぜ動かすようにしないんだ!と、みやまえさんに叱られそう。

●満を持して(?)天井板を貼る。

砲塔本体に天井板がかぶさったような状態を表現するため、表面は0.3mm板を使い、それだけではたわんでしまいそうなので0.5mm板で裏打ち。さらに前後の接合部近くにはタミヤの角材で桁を入れた。

●砲塔上の六角形のキューポラを作る。

この部分は、キューポラ自体が「ぱっかん」と前後に分かれるハッチになっているという、独特の構造。もっともここから上半身を出すのはちょっと窮屈そうな感じ。

現時点ではまだ工作していないが、キューポラ上のフタ部分は、円形のものと、キューポラ本体に合わせた六角形のものと2種類ある(CERTIのキットにも2種のパーツが入って選択式だった)。フタとキューポラの間にはわずかに隙間があって、これはおそらく硝煙の換気用。なお、このキューポラの周囲(6面)には視察用のスリットが付いていそうに思うのだが、手持ちの写真資料では確認できない(wz.34装甲車の視察スリットは他の部分のものも非常に狭く、写真では確認しづらいので、存在する可能性は捨てきれない)。

なお、ここでもう一度、上に引用したポーランドのナショナル・デジタル・アーカイブ(NDA)の写真を見て欲しいのだが、この写真に写っているwz.34装甲車は、キューポラ式ハッチの代わりに、平板のハッチが取り付けられているらしい。こんな例は他では見たことがなく、このパレード時の特別な改装なのか、少数はこんな仕様があったのか、よく判らない。

実際の工作。当初、ほぼ「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面に準じた大きさで工作。それなりに綺麗にできた……と思ったのだが、砲塔に載せてみるとどうも小さすぎる感じ。仕方がないので作り直したが、今度は大きすぎ・平たすぎになってしまうので、さらに作り直し。3度目でなんとか使えそうなものができた。

20170612_210124

中央が最初に作ったもの、右が2番目に作ったものの残骸、左が三度目の正直。

もっとも、この大きさのプラバンのコマ切れを工作する場合、目盛付きプラバンを使っても正確に同一形状に切るのは難しく(誤差の絶対値としては大きなパーツを切る場合とそう変わらないと思うが、相対値はどうしても大きくなる)、向かい合った面同士がしっかり平行になっていなかったりする。……が、ぱっと見には判りづらいので、これで良しとする。

既存の図面では、このキューポラ・ハッチは砲塔上面にそのまま載っているように描かれているが、実際には段差か縁取りのようなものがあるようなので、0.3mm板を貼り増した。砲塔に載せてみて、CERTIのキットのパーツと並べてみたのが以下。

20170612_234530

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コメント

おおお!せっかくの芸コマカルダン砲架
なせ動かさないのですかっ!(棒)
なんて怒れるわけないじゃないですか。
わたしの可動のはガタガタですからね、いじって遊ぶ派と、静物画的精密再現を両方追うのは難しいです。
老眼著しいので最近作るものはより一層ガタガタっす・・・
デジカメで写してから愕然とします。カメラの液晶では分からないのがまた・・老眼だから・・・

投稿: みやまえ | 2017年6月15日 (木) 20時21分

>みやまえさん

ありがとうございます。
ああ、よかった、叱られなかった(笑)。

ちなみに私もいよいよ老眼進行中です。
いやあ、本当にデジカメって偉大ですよね~(私の場合はスマホですが)。
自分の工作の結果は、写真に撮ってみて初めてちゃんとわかります。
……あ、ズレズレだ、って(笑)

投稿: かば◎ | 2017年6月15日 (木) 22時38分

>カメラの液晶では分からない
EVFがつく機種がオススメです。

投稿: めがーぬ | 2017年6月16日 (金) 12時29分

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