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2017年4月

バレンタインの日(3)

●タミヤのバレンタインのその後。

キット評的にちょっと書いて、ちらっとお手付きレベルでいじってそれっきり――になるような気もしていたのだけれど、なんとなく、箱に仕舞い込まずにちまちま埋めたり削ったりしている。

せっかくのタミヤの新キットなんだからパッパカ作れよ!……と、自分でもちょっとツッコミたい感じですが。

●とういわけで、今回は、おそらく組み上げるとフェンダーと履帯の陰に隠れてほとんど見えなくなりそうな、誘導輪基部の工作。

バレンタインは、履帯張度を変えるための誘導輪位置調整機構が車体外にむき出しになっていて、どこをどう動かすかがなんとなく判る感じになっている。

誘導輪基部上側には基部の回転をロックするツメと、そのロックを解除するレバー(キットのパーツのD7、D8)が付いている。本来、このレバーからは垂直にロッドが立っていて、フェンダー内側の穴から上に突き出ているのだが、キットはこのロッドが省略されていて、フェンダーの穴も浅い窪みのモールドだけとなっている。

20170427_233834 最初は、「このモールド位置に穴を開け直して、ロッドを立てればいいよね」と簡単に思っていたのだが、いざ穴を開けて仮組みしてみると、D7、D8パーツのレバーを挟んでいる垂直のフォーク部分と、フェンダーの穴との位置が合わない。

フェンダーの穴の位置は、フェンダーの段差との位置関係はおおよそ適正な感じなので(もちろん全体的にずれている可能性はあるのだが)、D7、D8パーツのモールドの方を、一度削り落として(基部側の「受け」のモールドと合わせて)作り直した。位置はフェンダーパーツとの現物合わせだが、約1mmの前進。

誘導輪基部の前面にも若干のディテールアップ。

20170427_233910 まず、誘導輪の受け(D13、D14)には、誘導輪調整用のバー(後々工具箱の上に取り付けるC21)を差し込む穴が開いていないので、ドリルやナイフの先を使ってコリコリ削り込んだ。穴は2カ所に開いていて、そのこと自体は位置によってはバーが差し込みづらくなってしまうからだと思うのだが、なぜその形状に差があるのかがよく判らない。

加えて、基部側の上下2カ所に、グリスポイントではないかと思わっる円筒形の突起と、その先端の小ボルトを追加した。

初回にも書いたように、この誘導輪基部にはリブ付きのものがある。IIやIVの途中でリブ付きが一般的になるようで、クビンカやソミュールの現存車輌ではそれが確認できる。ちょっと「追加したいな~」という気もあったのだが、上記グリスポイント(?)との位置関係も調整する必要があり、ややこしいので諦めることにした。PMMSの比較レビューを見ると、AFVクラブのMk.IIはリブ無し、MiniartのMk.IIはリブ付きを再現しているらしい。

ちなみにMk.II/IVなどの初期型バレンタインと、後期のバレンタインでは、この誘導輪基部のリブの位置に違いがあるようだ。

●豆考証~。

この形式のバレンタインでは、操縦席上に2カ所、砲塔上に2カ所、「ヴィッカース・ペリスコープMk.IV」が装着されている。もとはポーランドの技術士官、ルドルフ・グンドラフ設計のもので、TKSに(たぶん)初めて搭載・実用化されたもの。

20170427_234202 キットのペリスコープのパーツは、車体側のものは向きが自由に選べるようになっている。実物も回転式なのでそれでいいのだが、実車写真を見ると、(少なくともイギリス軍の場合は)直前方は覗き窓があるので、ペリスコープはそれを補う形で、斜め左右に振っていることが比較的多いようだ。というわけでそんな形に接着したが、レンドリースのソ連軍車両の場合は、あまりそんなことには気を使っていないような気もする。そもそも細かく左右を気にしなければいけない場所を走っていないから?(そもそも撃破後の写真が多かったりするのでよくわからないが)。

ちなみに、砲塔上面用はパーツの取り付けベロにダボがあり、真っ直ぐ前方に固定されるようになっているが、実車写真を見る限り、「使わない時はまっすぐ前を向けておけ」みたいな規定があるわけでもないようだ。

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First to Fight 1:72 II号戦車D型

●先日実家に行った帰り、横浜のVOLKSに行ったら、再生産が掛かったのか、FTFの1:72、II号戦車D型(FIRST TO FIGHT 1:72 Pz.Kpfw.II Ausf.D)が入荷していたので、ついつい購入。

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先日買ったPRAGA RVはシリーズ番号34、II号D型は12なので、比較的シリーズ初期の製品ということになる。そもそもII号D型のミニスケールのインジェクション・キットは、これがおそらく初・唯一のもので、車種自体も割と好きなので気になっていたのだが、出たころに買い逃してそれっきりになっていたのだった。

20170422_183933 ●というわけでごく簡単なキット・レビュー。

プラパーツは全体で枝1枚。PRAGA RVが大小3枚も入っていたのに比べると、部品点数としてはだいぶ控えめな感じ。

一方、私はこれまで同社のキットはポーランド軍ものしか買ったことがなく、そのどれもデカールは入っていなかったが、これは珍しくデカール付きだった(ドイツ戦車のキットの場合はどれも基本入っているのかもしれないが)。デカールの内容は国籍マークの白十字のみ4つ。

このシリーズの装軌式車輌共通の特徴として、足回りは履帯まで含めて一体のロコ形式。当然、スプロケットに噛み合う穴や、履帯表側の細かいリブ表現などはないが、反面、センターガイドは(綺麗に抜けたりはしていないものの)穴開き表現が施されていて、横方向から見た時の精密度は高い。

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また、当然そうなっていなくては困るが、起動輪・誘導輪はいわゆるD1型(初期型)形状。転輪も含め、雰囲気はなかなかよい感じ。

車体上部は戦闘室上面が別パーツで、砲塔下側部の張り出しを表現している。操縦席・無線手席横のクラッペやエンジンルーム横のグリルは一体抜きのため、ちょっと不十分な表現。一方、フェンダーの滑り止め表現はなかなか細かく、この点ではかなりオーバースケールなタミヤ35のII号戦車よりいいかも。

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フェンダー上の細かいパーツでは、きちんと軽戦車用ジャッキが、それらしい形状で別パーツで用意されているのが良い。

砲塔は、側面クラッペが一体成型のためちょっとメリハリの足りないモールド。(写真には写っていないが)左前部側面に僅かにヒケがあった。

主砲・同軸機銃は防盾と一体成型だが、とにかく機銃が太すぎるのはなんとかしたい感じ。

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春の雑記(2)

●かみさんが今使っている湿布薬は、かみさんがいうには「めんそーれ」がキツイそうだ。……沖縄成分?

20170411_150444 ●我が家のちびの最近の粘土作品。「初音ミクふうの人形」(あくまで「ふう」であって、初音ミクではない、と言い切るところに何か妙なこだわりが)。細かい……。7歳児すげぇな(なんて言っている間に誕生日が来て8歳になった)。

●4月10日、逗子駅前に買い物に行く途中、久木川でカワセミを目撃。

昔(確か20年以上前)に葉山の森戸川上流で初めて見かけ、逗子近辺でも川の上流に行けばカワセミが見られるのか!と大いに感動したのだが、その後、割と最近になって、住宅地からすぐ近くの久木大池公園でも見られるというのを知った。

しかし今回見たのはまるっきり平地の住宅街。こんなところでも見られるものなのか……。

20170410_164414 久木川は、久木の町内はほとんど暗渠になっていて、横須賀線をまたぐ辺りから開渠となる。カワセミを見つけたのは久木川が久木町内を抜けて、逗子市逗子・新宿の境界を流れるところ。最初は、深いコンクリの掘割を上から覗き込んだら、足元を一直線に猛スピードで飛びぬけていく小鳥がいて、飛んでいく先で一瞬きらりと青く光った。流石にその時は、「カワセミ? まさか?」と半信半疑だったが、もう少し下流の川面が開けた場所で再発見。岸から飛び出た小枝に止まり、そこから何度もダイブして魚を獲っていた。

肉眼では青く光る背中も、オレンジがかったお腹も確認できてちょっと感動したが、スマホでは最大に拡大しても「……川の写真だね」程度のものしか撮れなかった。写真ほぼ中央辺り、枝の先で、河岸の石垣下部のコケで色が帯状に変わっている部分に重なっているが……わっかるかなあ?。

Kawasemi 拡大してみたのが次の組写真。カワセミかどうかより、鳥かどうかさえ怪しいレベル。残念。

●4月15日土曜日、赤板先行、でんでん両氏と川崎で飲む。

川崎らしく、タッカルビなど韓国料理のメニューの多い居酒屋で料理をつつきながら焼酎を飲む。赤板は途中から椅子に座ったまま居眠りをしていた(前回飲んだ時も寝ていたような)。「社長業が忙しいから」(でんでん)らしいが、赤いシャツを着て背中を丸めて居眠りをしているとダルマのようだ。

だいぶ飲んで食って、赤板を起こして店を出てから(前回もそうだったが)3人でBOOKOFFに寄ってから帰る。

酔っぱらって東海道線に乗って帰るのはなかなか危険なのだが(大船を乗り越して西に行ってしまう)、今回は大丈夫だった。

Screenshot_20170418144605 ●ポケモンgo、ついに図鑑登録200種を突破。右は201種類目。さすがにこのへんになると野生で新しい種類を捕まえることはほとんどなくなり、もっぱらすでに持っている種類からの進化か卵からの孵化(その後さらに何種か増えて、4月22日現在、204種)。

●20日。午後になって散歩に出掛ける。久木大池から、たぶん10年近くぶりくらいに、十二所果樹園方面への「山なみルート」を歩く。

逗子市久木~池子と鎌倉市十二所の境界の尾根道で、逗子市側は米軍管理地である例の池子弾薬庫跡地(正式な名称は池子住宅地区及び海軍補助施設)なので、久木大池方面から歩くと、道の右側はずっと柵がある。有刺鉄線ではなく、単に鉄線だけで、しかもそれが切れたままのところもあるので、セキュリティ的にはそう厳重ではない。

途中からは、およそ2mほどの高さのコンクリート塀が150mくらいだろうか、尾根上に続いている場所もあるが、旧海軍が作ったものなのか、米軍管理地になってからのものなのか、よくわからない。

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●散歩の途中でアケビの芽を精力的に収穫する。

そろそろ、特に日当たりのいいところに生えているアケビには、アケビコンボウハバチの幼虫が出始めている。春も深いこの時季になると、アケビの芽の収穫はコイツとの食うか食われるかの勝負になる。もちろん、食うのも食われるのもアケビだけれど。

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アケビコンボウハバチもまだ出始めなのでちんまりしたのが「の」の字になっているだけだが、以前に見た記憶からすると最終的には結構でかくなる(4cmくらい?)。ハバチなんてそんなに巨大にはならないと思うのだが、幼虫はなんでデカイんだ……(それを言うなら、スズメガも幼虫のほうがはるかにデカイ場合が多い気がする)。

山道でホウチャクソウも咲き始めた。てっぺんにヤブキリの幼虫が陣取っている。右は草藪で見かけた深い赤色の翅の甲虫。久しぶりのベニカミキリか!?と思ったのだが、どうもちょっと様子が違う。初めて見るアカハネムシという虫の仲間らしい(類似の種類がいくつかある)。残念ながらこのピンボケ1枚だけで逃げられてしまった。

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●21日。鎌倉の二の鳥居脇ですれ違った時に漏れ聞いた、小学校3,4年生くらいの女の子の会話。

「そういうの借りる人って、心情的にわかんない」

いきなり普通の会話に「心情的」なんて単語が入るところにまず驚いたが、そもそも何の話? まさかその歳でサラ金の話じゃないよね……。

●環境省生物多様性センター、「いきものログ」事務局から小さな包み。現在「いきものログ」ではプレゼントキャンペーン中で、その第一期で報告数がランクインしたので、感謝状とエコバッグ、クリアファイル、ふせん紙を頂いた。どうもありがとうございます。

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ちなみにトートバッグはA4が入る程度の大きさなので、買い物にはちょっとツライ感じ。図書館に本を借りに行くとき用?

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バレンタインの日(2)

●タミヤのバレンタインMkII/IVに関する、あるいはバレンタインそのものに関するアレコレ。前回の若干の補足というか続きというか。

●タミヤのバレンタインの転輪、もうちょっと“ふっくら”していてほしいよー問題に関して若干の試行。

20170413_000045 0.3mmプラバンをゴムリム内径で丸く切り抜き、内側をサンドペーパーで緩やかに薄くしてキットのゴムリム部に接着。さらに外径部分もヤスって丸めてみた(あくまで試行ということで、誘導輪の、おそらく使わないであろうタイプを実験台にしている)。ちなみに裏側は面倒くさいのでキットのままで角だけ丸めている。

うーん、履帯に接する面自体にも、もうちょっと丸みが欲しいなかあ……。

もっとも、これを全転輪でやる気になれるかどうかが、まず問題。

●誘導輪基部のリブについて。

下は1942年、ジブラルタル防衛に配備されたバレンタインで、誘導輪基部はリブ付き。写真はインペリアル・ウォー・ミュージアム(Imperial War Museum/IWM)より。車体番号「T27632」は、NEW VANGUARD 233「VALENTINE INFANTRY TANK 1938-45」に従えば、メトロポリタン・キャンメル社製で1941年5~11月間に引き渡されたMk.IIの1輌。

前回書いたように、リブ無しは比較的初期の形質と考えられるのだが、どうやらリブの有無でMk.IIとMk.IVは分けられなさそうだ。

車輌番号と対応できる例が他に探し当てられなかったので、ヴィッカース社製、メトロポリタン・キャンメル社製、バーミンガム・レイルウェイ・キャリッジ&ワゴン社(BRCWC)製での導入時期の差などはよく判らない。

Iwm34

●もうひとつややこしい問題。Mk.I/II/IVの防盾には2種類の形があるそうだ。Britmodeller.comのこのトピックに詳しい。

簡単に言うと、同軸機銃の部分が防盾カバー部より窪んでいるか(キットのパーツの形状)、出っ張っているか(上写真、または下のカナディアン・ウォー・ミュージアムの実車写真参照)の違いで、窪んでいる方がより初期の仕様であるらしい。また、窪んでいる方のタイプの場合、2ポンド砲は付け根部分に明瞭な段がなくスムーズに繋がっているタイプ、出っ張っている方では明瞭な段差があるタイプが一般的であるらしい。

ただし、比較的有名な、ソ連に向けてのバレンタイン送り出しセレモニーの際の写真で、窪みタイプの防盾で段付き砲身のMk.IIも確認できる(リンクページの最初の写真、BRCWC製のMk.II、BRCWCのスメジック(Smethwick)の工場における撮影、1941年9月28日)。したがって、マーキングとの整合性はさておき、キットの状態が仕様として間違いであるとは言えない。

20170413_142442 私はより一般的なタイプとしたかったので、防盾にプラ材を貼り付けて削り中。「プラ材」というとそれなりのものを使っていそうに聞こえるが、何のことはない、単にキットのランナータグ。

なお、どうもキットの防盾は前後方向にと寸詰まり傾向にあるようで、砲身基部の高さに合わせると、機銃部バルジの高さはちょっと足りない感じがする。

●ついでに。インペリアル・ウォー・ミュージアムの写真で「あれ?」と思ったのが以下の写真。

Iwmh30178

キャプションには次のようにある。

Troops attack a 'German' tank (in reality a Valentine) with 'sticky bombs' during training at No. 3 GHQ Home Guard School at Onibury near Craven Arms in Shropshire, 20 May 1943.

要するに、バレンタインがドイツ戦車に扮して国内で対戦車訓練中の写真なのだが、よく見ると、スプロケットが複列になっていて、非常に珍しい履帯を履いている。

wikipediaのバレンタインの項を見ると、カナダ製のMk.VIIAで新型履帯が使われたとあるが、この写真の車輌番号、「T15963」は、NEW VANGUARD 233によればMk.Iのもの。またMk.VIIAに使われた新型履帯というのは、これもNEW VANGUARD 233の記述によれば「ice-studs on tracks」とのことなので、カナディアン・ウォー・ミュージアムに展示されている車輌が履いている、1リンク置きに接地リブにトゲの生えているヤツのことだろうと思われる(下写真はwikimedia commonsより)。

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というわけで、上のMk.Iが履いているのは、テストされたものの採用されずに終わった新型履帯、という感じのものか?

ちなみに車体前部が鋳造になったカナダ生産型はMiniartからもキットが出ていないようなので(Mk.Iとほとんど同じMk.VIは出ている)、ちょっと惹かれなくもない(ほとんどがソ連に行っている、という点でも)。もっとも、砲塔前後面も一体鋳造というのが面倒かな……。

●追記。wikimedia commonsに、もう一枚、上記の「変な履帯」を履いた車輌の写真があった(これももともとはIWMの写真らしい)。むう。1輌だけじゃなかったのか。後からそれなりの数が交換装備されたものか? グランパあたりに「この履帯は……」って出てるかな?

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「T16357」は(NEW VANGUARD 233によれば)メトロポリタン・キャンメル社製の生産第一ロット。T16221に始まる125輌のうちMk.Iが44輌、Mk.IIが81輌だったらしいから、番号順になっていればMk.IIということになる。ただし、エンジンルーム後部ハッチは左側だけだったりと、初期生産車の特徴を残している。(以下、2018/08/16訂正)BRCWC製、1939年6月29日に始まる生産第一ロット(Mk.I:67輌、Mk.II:133輌)。同ロットは「T16356」から始まるので、番号通りに生産されているなら同社製Mk.Iの生産第二号車ということになる。

起動輪との噛み合い方、外側形状はクルセーダーの履帯にそっくりだが、ガイドホーンが複列なので当然別物。

ちなみに、上で紹介したBritmodeller.comのトピックでもこの写真は紹介されていて、そこに載っている写真はnarrow tracks云々というキャプション付き。すでにこのタイプを取り上げている資料本もあるようだ。

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バレンタインの日

●前回書いたように、珍しく、おそらく発売日当日(?)にタミヤの新製品、バレンタインを買ってきた(MM352、イギリス歩兵戦車バレンタインMk.II/IV~BRITISH INFANTRY TANK Mk.III VALENTINE Mk.II/IV)。

以下、ネタバレ(旬のネタであるタミヤのバレンタインの紹介、の略)。

20170411_024518 箱絵は北アフリカのサンド(ライトストーン)単色のイギリス英軍所属車。バレンタインと言えば、本家イギリス軍の戦車としてはほぼ「北アフリカ用」「本国での訓練用」というイメージだから、これは妥当なところかと思う。

箱を開けてパーツをざっと見て最初の印象は、「うわ、バレンタインて、小せえ……」というもの(Miniart、AFVクラブのキットは持っていないが、VMのキットは持っているので「1:35のバレンタイン」は初見でないはずなのに)。

デカールは箱絵になっているイギリス軍1種と、レンドリースのソ連軍2種。もともとレンドリースのソ連軍車両を作りたい私としてはそれでもいいのだが、「バレンタインはイギリス戦車なのに!」と思う派にとってはちょっと不満の出そうな構成。選ばれたイギリス軍車両も、右側面にのみ大きく「3」と書かれているだけで目立つマーキングは他になしという地味な例で、2色以上の迷彩塗装だとか、目立つ部隊マークや識別帯入りとか、もう1,2例あってもよかったんじゃないかと(そっちでは作らない私でも)思う。

20170409_015746 プラパーツは枝が5枚。うち2枚は同一の足回りのパーツだが、実際にはそれぞれさらに2つの枝が合体した形になっている(Aパーツ+Pパーツ)。転輪部分(Pパーツ、写真左側)を差し替え可能にしてあるのは、いずれ後期型転輪のキットも出せるようにという含みだと思う。タミヤがミニアートのように小刻みにバレンタインの各形式を出すようにも思えないので、最有力候補はアーチャーかな? ちなみにビショップはこのキットと同じ中期型転輪が普通のはず。

20170409_015229 車体上部+フェンダーパーツの枝(Bパーツ)は、ランナー裏に大きくリブがくっついていて、車体上部やフェンダー、サイドスカートのパーツに反りが生じづらいようになっている。

ちなみに車体床面・側面パーツ(Dパーツ)のほうにはリブが入っていないが、こちらは形状的に反りが生じづらいか、それとも箱組で修正可能レベルという判断なのではと思う。

ちなみに車体箱組に関しては、車体前面・後面は側面に挟み込む形状になっているが、わざわざ接着の手順をややこしくしてまで(説明書でも注意喚起されている)挟み込み式にした意味はいまいちよくわからない(前面は上下ラインが違うので間違える可能性は低いし、後面は両側ダボ以外にも工夫のしようはあったはず)。

ほか、ちょっと組んでみた感じでは、タミヤらしく丹念な削り合わせなどなくてもピタピタと部品が組み合わさり、「買って、切り離して、組み立てる」プラモデルという工業製品の完成度の高さではやはり他の追随を許さない感じ。もちろん、それだけがプラモデルじゃない、というところにタミヤのツラさもあると思うのだけれど。

●このように「流石はタミヤの新製品!」という感じのキットであり、ささっと組んで旬のネタを楽しむ、というのも十分ありだと思うが、やはり私自身のスタンスとしては、それなりに手を加えられる部分があるなら加えたい。というわけで、現時点でちょっと気になる/気付いたポイントを以下に。

なお、私自身はバレンタインに関しては「う~ん、タミヤから出るなら作るか~」くらいの入れ込み度。タイプの変遷・細部の特徴に関してもほぼ付け焼刃の知識なので、以下も、そんな「割といい加減な知識ベース」であり、思い込みで適当なことを書いてしまっている可能性もあるかもしれない。ご了承いただきたい。

また、前述のようにAFVクラブ、Miniartのキットは持っていないので比較もできない。どなたか詳細レポートしてくれないかしらん。

砲塔

20170409_010919 ▼パーツの抜きの関係で、前面下の「ベロ」部分のボルト頭(4つ)が省略されている。

右写真では、トライスターのIV号戦車で大量に余るサスペンション基部パーツのボルトを削ぎ取って移植した(割と使い勝手のいいサイズのボルト頭なので、結構重宝している)。

それにしても、このバレンタイン初期型砲塔もそうだが、どうしてイギリス軍AFVというのは、こんなふうに砲耳を奥まった位置に持ってきているものが多いのだろう。バレンタインもMk.IIIでは砲塔容積を稼ぐために砲耳位置を前進させているが、初期の巡航戦車や軽戦車Mk.VI、ダイムラー装甲車、コメットなども奥まった感じだから、何かそうしたい理由が(しかも、たぶん「えー。内部容積を狭めてまで、そこにそんなにこだわる必要ないじゃん」と思うような“イギリスらしい”理由が)あったのではないかと思う。

20170411_021022 ▼主砲の照準口と思われるものは防盾左側にあるが、防盾カバー部の右側に、もう一つ穴がある。クルセーダーMk.I/IIの砲塔も形状は違うが同様の配置で、車長用の前方視察装置か何かではないかと思う。(追記。ラヴァさんよりコメントを頂きました。この穴は擲弾(発煙弾)発射機だそうです。情報ありがとうございます。)

この部分、キットのパーツでは防盾カバー外側と同心円(同心円筒)状に窪んでモールドされているのだが、実際には、窪んだ内側の円筒面の中心は砲耳中心よりもちょっと前寄りになっていて、内側円筒面は下部よりも上部でより深くなっている(キットでは同じ深さ)。

そこで、窪みを彫り直し、さらに、この部分の軸線に対応するボルト(キットでは省略されている)を側面に追加した。ちなみにこの尖頭ボルトは六角ではなく四角なので、手近に流用できるものがなく、プラ材から削り出した(おかげでいびつ)。

掘り直した結果、長円の穴の底も深さが不均等になってしまったので穴を貫通させ、ほぼ同じ深さになるように裏側から削り込んだ。内側の工作は未完。

なお、この防盾カバー部分(パーツD19)に関しては、砲塔上面部分は実車と分割線が異なっている(本来一体であるところに分割線が来る)ので注意。天井板(パーツD23)側の前端左右にモールドされているパイプ断面のようなものはボルト穴。最初は、タミヤが取材した車輌で欠損していたのをそのまま再現してしまったのかと思ったが、戦時中の実車写真でもボルトがないように見えるものもあるので、何か外付け装備用のボルト穴なのかも。

20170411_005900 ▼砲塔後部の通風孔部分は、本来一体の鋳造部品であるところがいくつかのパーツに分割されているので、丁寧に接合線を消す必要がある。また、通風孔のヒサシ下は、実車ではちょっとエグレたような形状になっているようだったので、そのように加工した。小さなボルト頭はいったん削り落とし、後で再生した。なお、この鋳造の通風孔張り出しの上面左右にも(砲耳カバーパーツ同様に)本来はボルト穴があるようだ(本体側のふくらみは表現されている)。砲耳カバー部分同様、ボルトが植わっているのがデフォなのかどうかはよく判らない。

足回り

20170409_015628 ▼キットの転輪のゴム縁部分は、他の戦車と同様の角ばった形状をしている(いわば長方形断面)。しかし、実際のバレンタインの転輪のゴム縁は、側面が丸く膨らんだ(いわば角丸長方形断面)独特の形状をしている。

このゴム縁形状は、履帯のガイドホーン内側がゆるやかに曲線で立ち上がっていることにも対応しているのではないかと思う。キットの転輪は上記のように単純な角ばったゴム縁を持つため、ガイドホーンとの間隔も開き気味になる。これは単純に「ゴム縁の角をやすって丸くする」では対応できない問題で(ゴム縁全体の幅が足りないので)、修正するとなるとかなり面倒くさそう(というか、いい対処法が思い付かない)。個人的にはだいぶ残念。

20170409_015444 ▼履帯は、実際にはガイドホーン外側の窪みと対応して表から裏に貫通する穴が開いているのだが、キットでは埋まった状態になっている。これは先に発売されたSU-76Mも同様だったので、最近のタミヤ・スタンダードの処理なのだろうか? II号戦車では開いていたので、やってできない処理じゃないと思うんだがなあ……。箱を開けてチェックして、「ああ、ついでにAFVクラブかブロンコの別売履帯があったら一緒に買ってくればよかったな……」と思った(ピッチは合うのか、またAFVクラブとブロンコのどちらの出来が良いかなど未チェック)。

20170409_015656 ▼ごっついサスペンション基部は、パーツの抜き方向の都合で、フランジの横方向のボルトは省略されている。ちなみに、V字のフランジの内側がボルト頭、外側がナットのようだ。

そもそも奥まっていてそれほど目立つ部分でもないと思うので、追加するかどうかはお好み次第という感じではないかと思う。裏側とか内側とかにもボルトがたくさん植わっているようなのだが、さすがにそこまでは知らん。

20170409_015959 ▼誘導輪基部は、車体から突き出た部分が、キットのようにつんつるてんのものと、リブ付きのものとがあるようで、特定車輌を作る時には注意が必要ではと思う。Mk.Iとされる現存車輌ではリブがなく、Mk.VやMk。IXではリブ付きなので、前者が初期仕様のようだ。誘導輪の変更とリンクしてたりしないといいなあ……。

またリブ付き、リブ無しに関わらず、グリース注入口なのか、本来はボルト頭付きの突起が数カ所にある。

写真の起動輪基部上部の四角く欠けた部分には、誘導輪位置調整装置のロックレバーのパーツ(D7、D8)が付くが、本来は、そのレバー中途から垂直に伸びたロッドが、フェンダーの穴を通して上に突き出ている(キットは、フェンダーの穴が浅いくぼみで表現されているのみ)。

また、誘導輪基部(D13、D14)には、本来、回転用のバー(工具箱上に装着されるパーツC21)を差し込む長四角の穴が2箇所にあるが、キットのパーツは抜きの都合で穴が埋まっている。

●資料など。

▼現存車輌のwalkaround(主なもの)。

REGION AFV

形式的にキットと合致するのは上2つ。ソミュール、クビンカともに誘導輪基部にリブあり。クビンカの車輌は、車体前面・操縦席前面に、増加装甲を貼り増し、砲塔リングガードもある。

SVSM Gallery

Mk.VIはカナダ生産型で、基本はMk.IVと同仕様。外形的特徴に関しては、この写真で見る限り、転輪は初期型、砲塔左に小ハッチはなく、Mk.II/IVというよりむしろMk.I仕様に近い。このMk,VIの写真集はDishModelsにもUPされている。

DishModels

カナダ製車輌。レンドリースでソ連に渡り、ウクライナで発掘されたもの(Dishmodels表紙からの検索で探し出せなかったが、セータ☆さんのところからリンクが張ってあったので再び行き着けた。セータ☆さんどうもありがとー)。Mk.VIよりさらにカナダ独自の仕様が加わったもの。

Primeportal

ダックスフォードのジオラマ仕立ての展示品の写真はあまり点数もなく、妙にスッキリとレストアされているが、とりあえず、誘導輪基部がつんつるてんタイプなのは判る。

Surviving Panzers website

▼大戦中の写真

鳥飼行博研究室

IWM由来の写真が多数。

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春の雑記

●(はっきり言ってどうでもいい)気になる事々。

▼アニメで最終回を迎えた「メイドラゴン」。トールの頭の角は2対生えているのか、それとも根元で枝分かれしているのか……。(追記:公式サイトのキャラクター紹介の横顔では明瞭にY字に描かれていた。アニメでも時々Y字になっている時があるようだ)

▼「あべのべあ」という、あべのハルカスの展望台のキャラ(あべのハルカス自体ではなく、その展望台限定のキャラというところがまた微妙)がいるそうで、つい「さべあのま」を連想してしまう。っていうか「さべあのま」自体知らない人が多そう。

▼windows10のオマケのソリテアを無料プレイしていると、強制的にいろいろ広告を視聴させられる(かなりウザイが、「広告を消したかったら課金してね」システムなので仕方がない)。そこに「Hidden City」というパズルクエスト?のゲーム広告がしばしば入る。当初英語だった解説ナレーションが最近日本語になったのだが、あれこれ解説した最後の締めの文句が、「影の街を悩ませる謎を解明!……それを達成した時、影の街の謎が明らかになるはずです」。って、当たり前ぢゃん!

▼youtubeを見ていたら、「これからお話しすることは秘匿性が高いので一度しかお話しできない……」という前振りの投資のCMが三度も出てきた。なぜそんな初っ端から怪しいCMを制作するのか、その意図をこそ知りたい。もしかしたら、「その時点で怪しいと思わないような人」を篩に掛けて探し出すためか?

▼しばらく前から、自宅周辺でも元気いっぱいにウグイスがさえずるようになった。聞いていると結構いろいろ鳴き方にバリエーションがある。先日、「きょっきょっきょっきょっきょっきょっ、ほけきょっ!」と、やたらスタッカートを利かせて鳴いている奴がいて、この鳴き方、どうも何か聞き覚えがある……と、しばらく考えていて、昔「空耳アワー」に出てきた「どっどっどっどっ、どう〇いちゃうわ!」と似ているんだと思い至った。しょうもな……。

●先月末に、千鳥ヶ淵で神保町N社の花見。この時点で、まだ花なんぞちらほらで、お堀端もシートを広げて場所取りをしている人はいるものの、実際に宴会をしているのは我々くらいのものだった。……が、所詮花見はそれなりに天気が良くて、飲み食いできればよいのだ。

逗子のアケビの芽、ノビルの塩漬けと醤油漬け、フキノトウ(春先に採って茹でて冷凍してあったもの)のオリーブオイル漬けを持って行ったが、割と好評で全部食べて貰えた。

●7日金曜日に仕事で霞が関。第3合同庁舎地下の売店は特定の銘柄の缶コーヒーが80円だった。帰りに久々に秋葉原に回り道。CAMsのビッカース6tなどはまだ出ていないようだが、たまたまタミヤのバレンタインが出たところで、ついふらふらと購入。

帰宅して部品チェックなどして、ああ、AFVクラブかブロンコの別売履帯も一緒に買ってくるんだったと思った。

●8日土曜日は灌仏会。極楽寺に忍性塔を見に行くとか(毎年この日にだけ公開)、甘茶を頂きに行くとかしようかとも思っていたのだが、あいにく天気が悪く外出せず。

9日~16日の鎌倉まつり期間中、晴れたら例によって浄光明寺に覚賢塔を見に行こう……(毎年この時期だけ公開)。去年見に行った写真はここ

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