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砂漠の十字軍

●12月1日スタートで、週末模型親父さんのところで、「冬のテーマ別SUMICON」というか、その手のコンペ開催中。今回は「DESRET COMPETITION」と題して砂漠がテーマ。

10月末締め切りの「SUMICON 2016」のT-34は結局間に合わせることができなかったし、そのT-34を一応は年末の東京AFVの会までには仕上げたいと思っているし、そもそも砂漠戦というテーマで、作りたいキットがパッと出て来ないし(一応、北アフリカ向きのイタリア物ストック等々がないわけではないが)――。

ということで、今回は不参加だなあ、と思っていたのだが、たまたまストック棚の浅いところから、作りかけの古いエアフィックスの(公称)1:76クルセーダーが出てきたので、性懲りもなくこれで参加してみることにした。

Cimg1837m ●Airfix 1:76、キット名称は「CRUSADER TANK Mk II or Mk.III」で、一時期日本国内で出ていたツクダホビー版。wikipediaのエアフィックスの項によれば、ツクダホビー版は1988年の発売であるそうな。もちろん中身はもっと古く、scalematesによれば1971年の発売らしい。かろうじて60年代までは遡らないが、それでも45年も前のキットということになる。

先に「(公称)1:76」と書いたが、実のところ、車体長は実車寸法の1:76に比べると1cm近く長い(逆算すると1:68くらいになる)。ハセガワの1:72に比べてもだいぶ大きい。もっとも全幅はほぼ1:76なので、要するに、かなり細長いクルセーダーということになる。

実をいうと、「76なら、マッチボックスのダイヤモンドT戦車輸送車に乗せられないかな」と試してみたことがあるのだが、トレーラーをはみ出し気味になってしまった。残念。

なお、最近出ている版では箱に「1:72」と書かれて売られているのだが、これは「76より大きかったから72にしちゃえ」ということではなく、単に、76スケールが廃れてミニスケールの主流が72になったため、過去出していた76を(スケール的に正しく1:76であるものも)すべて72と詐称して売っているだけの話。あまり褒められたことではない。

さて、そんなふうにスケール的に半端なうえに縦横比がおかしく、さらにディテールに関してもかなりあちこちおかしいのだが……ざっと全体を組んでみると、実に格好良くクルセーダーらしい。

同じミニスケールのクルセーダーとして、ハセガワ72のMk.IIIがあるが、それが妙に不格好なのと好対照(ものすごく昔に作ったのだが、あまり知識のないその時でさえ、「なんか変だなコレ」と思った)。スケールモデル的にあっちこっちおかしいのは似たようなものなのに、なんでこんなに最終的な見栄えが違うのかが不思議。センスの差?

Cimg1917m ●さてこのキット、車体も砲塔も、基本形はまるっきり素組ですでに組んであった。今回のデザートコンは「組み立て途中の参加もOK」ではあるが、もともとパーツ数もそれほどない、古いミニスケールキットをそのまま完成させても面白みがないので、改めて多少手を入れてみることにする。

なお、キットは上に書いた名称の通りMk.IIとMk.IIIのコンパチで砲塔が2種類入っているのだが、リベット取りか何かに使ってしまったのか、Mk.IIIの砲塔は行方不明になっており、Mk.IIとして作ることにする(もともとそのつもりだったのでいいのだが)。

TFマンリーコさんに教えて貰った技だが、プラ用接着剤で付けてあるパーツは、エナメルシンナーを浸透させると比較的綺麗に分解できるとのことだったので、まずは左右のスカートを分解した(このキットは、クリスティー型サスペンションを表現するため車体下部側板が2重構造で別部品になっていて、足回りは別途組んで、スカートの下から差し込める)。

Cimg1918m スカートを外したのは、ハセガワ72クルセーダーの履帯に交換したいと思ったため。ハセガワの履帯の方がキットの履帯より若干幅広なので、スカートの内側を削って薄くする必要がある。

キットの履帯はやけに柔らかくフニャフニャになっていて使いづらく、昔の私も交換しようと思ったらしく、箱の中にハセガワの履帯が入っていた。右写真上がキットの履帯、下がハセガワの履帯。

もっとも、表面のディテールそれ自体はハセガワよりキットの履帯のほうがいい感じなので、お湯に入れるなどでフニャフニャが解決できるなら使いたいような気がする。ただし、フニャフニャ状態以外にもいくつかの問題がある。

 ・柔らかすぎるため、起動輪に掛かる部分の真ん中が著しく凹んでしまう。→起動輪の間に詰め物をするなどの対処が必要。

 ・裏面センターガイドが大きく偏っている。→なんとか誤魔化せる範囲内?

 ・長さが一周に足りない。→スカートに隠れるので無問題。

Cimg1932_2 ●車体に関する問題あれこれ。

車体長が公称スケールにくらべやけに長いのは前述の通りだが、これは、エンジンルームを中心に間延びしていることに加えて、車体自体を越えてフェンダーが大きく後方に張り出しているせいもある。

なお、クルセーダーはクリスティー式サスのため車体側面が二重構造になっているが、このキットは、車体下部はしっかりその構造がパーツで表現されているにもかかわらず、上面レイアウトはまったくそれに対応しておらず、本来一直線であるはずの内壁に対応したラインが凸凹になってしまっている(写真の黄色のライン)。特にエンジンルーム部分はこのラインがだいぶ内側になっていて、そのためエンジンルームがますます細長くなってしまっている。もちろん、これを直すなどということになると車体のスクラッチに近くなってしまうので、今回は手を付けない(というか何度作ってもたぶん手を付けない)。

ちなみに、ハセガワ72キットも、なぜかこれと同じ凸凹ラインになっていて、検証なしにエアフィックスのディテールを真似した可能性もありそう(もちろん、同一のいい加減な図面をもとに設計した可能性もある)。

Cimg1938m とりあえず、せっかくスカートを外したので、フェンダー長過ぎ問題には若干の対処をする。

後部フェンダーが長い分、大きすぎるエアフィルター(接着済み)を剥がして、キットでは表現されていなかった段差も付けて、起動輪に干渉しない程度まで長さを詰めてフェンダーを作り替え。これで、全長は1:70程度まで縮まった。

その結果、この部分はサイドスカートもそのままでは使えなくなったので、上端は段差に合わせて削り直し、後端はパネルライン部分で切り詰めるなどして対処した。

●エンジンルーム前側には左右に通風孔カバーがあるが、実車より傾斜がきつく、エンジンルームの間延び感を助長しているので、これも接着済みパーツを剥がし、形状を修整するとともに角度や向きも調整して取り付け直した(下写真参照)。具体的には、

 ・裏側にプラバンを貼って削り、外側に向けての厚みを強調。

 ・中央のパネルの手すりを真鍮線に交換。

 ・上掲の上面写真にあるように、これまではカバー中央のパネルのヒンジが左右とも前に来るようになっていたのを、右は逆方向になるように変更した。キットのパーツも外側が厚くなるように設計されているのだが、なぜか説明書の取付指示は間違っていて、その間違いに従って付けてしまっていた。。

 ・以前よりも傾斜がやや緩やかになるように取り付け。

カバーそれ自体の縦横比もおかしいのだが、これはエンジンルーム全体形状ともかかわるので直さなかった。

20161211_224205 ●もぎ取ったエアフィルターを小さく作り直した。フィルターの箱の前後に付く吸気ダクトは、プラバンに穴を開けた治具(と呼ぶのもおこがましいような治具)でランナーの輪切りを作り、これをCの字型に加工した。

本来はもっと凝った形状で、下側とフィルター本体の箱側の2方向にダクトが伸びているのだが、その辺の再現は(面倒だったので)端折った。それでなくてもこんな小パーツを10個作るのはげっそりするし。

20161211_233139_burst01 箱状の本体に、これら吸気ダクトを取り付けたのが右写真の状態。エンジンルームに繋がるパイプは、キットのパーツを少し削っただけで利用した。

こうしてみるとCの字ダクトはもうちょっと小さくてもよかった気がする(作り直さないけれど)。

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