First to Fight 1:72 PRAGA RV 6輪トラック
●25日の東京AFVの会の折に仕入れた戦利品。サニーで買ったFTF(First to Fight)1:72のPRAGA RV 6輪トラックのイン・ボックス・レビュー。
「Wrzesień 1939(1939年9月)」というシリーズ名の通り、1939年9月のポーランド戦役に登場した独ポ両軍の車輌・砲・フィギュアに特化しており、インジェクション・キットではこのシリーズでしか出ていない!という珍しいアイテムがいくつか入っているのも魅力。このプラガRVも、インジェクションでは現在唯一。将来的にも当分は出そうにない気がする。
ちなみに私がFTFのキットを買うのは数個目で、最初に買ったC2P牽引車の製作記はこちら。wz.34装甲車2種のレビューはこちら。
●このキットが出るまで、そもそもきちんと意識したことさえない車輌なのだが、幸いなことに英語版wikipediaに簡単ながら解説が出ていた(英語版以外は、チェコ語版、スロバキア語版、ドイツ語版。12月27日現在)。
それによれば、1935年から39年にかけ、チェコ・プラガ社で生産された軍用オフロード・トラックで、チェコスロバキア軍で物資・人員輸送、救護、砲牽引に用いられ、後にはドイツ軍、ルーマニア軍でも使用。また、 イラン、ポーランド、スウェーデン、スイス、トルコに輸出されたとある。ページ右の要目欄によれば、生産台数5500輌。
また、プラガ社自体の歴史的製品のページでも解説されている。
第二次大戦中のスロバキア軍の資料本、“GERMANY'S FIRST ALLY - ARMED FORCES OF THE SLOVAK STATE 1939-1945”でも使用装備のリストページに出ていて、ここでは生産数は「3000両以上」になっている(いずれにしても結構な数だ)。ここでは、チェコ解体後、1939年の開戦直前に、ドイツ経由でポーランドに300輌が輸出されたことになっている。ちなみにRVは「Rychlý Vojenský=Fast Military(高速・軍用?)」の頭文字である由。
このシリーズ共通の体裁として、おおよそA4版の表紙含め12ページの資料ブックレットが付属していて(割と窮屈に折りたたまれて箱の中に入っている)、それにはこの車輌の概略と、ポーランド軍における活躍のエピソードなども書かれている……ような雰囲気なのだが、全編ポーランド語のみなので、何が書かれているやらちんぷんかんぷん。このシリーズのブックレットを英訳して公開してくれるサイトとかないものだろうか。
表紙と、中途の2見開きを見本で下に。ちょうど真ん中の見開きでは、塗装解説を兼ねて4面図が出ているのもシリーズ共通フォーマット。
●このキットは製品番号34番(PL1939-034)だが、実はFTFでは、これ以前にも製品番号30番でプラガRVを出している。どうやら、30番は幌をかぶせた状態、この34番は幌無しの代わりに荷台にベンチが付くという仕様であるらしい。それほどのパーツ数でも無し、コンパチにしてくれてもいいような気も……。
というわけでパーツ枝写真を以下に。
メインのパーツの枝が2枚(といっても、実際には大きな1枚のパーツを、箱に入るように真ん中から2分割しているだけ)と、上記の荷台のベンチ+幌骨パーツの小枝が1枚の、計3枚。デカール等は付属していない。
荷台床パーツの上にぽっかりとパーツを切り欠いてあるのが、30番のキットで幌パーツが入っていた場所のようだ。
●主要パーツのクローズアップ。キャビンは、ボンネットから前面のラジエーターグリルまで、スライド型を使って一発成型。ボンネット上の蝶番も、前面ラジエーターグリルもかなり繊細な表現。一発成型ながら、ちゃんとインパネに計器のモールドもある(正確かどうかは判らないが)。ただし、ボンネット周りに比べてキャビンそのものは若干大味。ドアの後ろの筋彫りもなかったりする。
フロントウィンドウは右左でわずかに大きさが違う表現になっている。ここは実車では開口部の大きさそのものはたぶん同じなのだが、左ウィンドウは嵌め殺し、右ウィンドウははね上げられるようになっているために枠が二重になっているためややガラス面が狭い、というのを表しているようだ。……何か余計なことをしているような気も(笑)。
荷台側板は幌をかぶせた仕様と共通パーツで、そのため、幌骨の下半部がそのままモールドされている。このキットの使用では、幌骨はキャビン後半に束ねて装着するようになっているため、その通りに作るのなら、このモールドは削り落とす必要がある。
ちなみに荷台に装着するベンチは、ボックスアートにもあるように、横方向に4列置くように指示されているのだが、実際には、戦時中に荷台に兵士が乗り込んだ状態の写真を見ると、どうもそんな向きには置かれていない可能性があるらしい。例えばこのページに検証が載っている。
車輪パーツはこのような感じ。タイヤ側面がぺったんこなのはイマイチ感はあるものの、ミニスケールのタイヤ・パーツとしてはまずまずだろうか。
トレッドパターンは、もうちょっと独特なパターンのものを履いている例が多いような感じだが、そこまで要求するのはちと贅沢かも。
●戦利品その2。1-colour氏から、T-34用のレジン製のアフターパーツを2種貰った。
Tiger Model Designs製、「TANK MAKER」というレーベルの製品で、左側は、「第174工場製車輌の車体後面パネルのヒンジと車体前部・誘導輪位置調整装置のボルト(フタ)」、右側は車体後面パネル中央のミッション点検ハッチ(183工場製車輌用)・ドラゴン用」。
後者に関しては、ドラゴンの初期のT-34-85では同パーツの最上部ボルト頭が忘れられていたので、その代替パーツということらしい。これに関してはその後改善された……と思っていたのだが、つい今、T-34-76のキットを見たら、やはりボルト頭がなかった。というわけで、今でも使い道はあるかもしれない(もっともこのパーツの裏側にはべったり湯口があり、キットのパーツにボルト頭をひとつ足した方が簡単かもしれない)。
前者は、T-34の生産工場の中でもだいぶマイナーな174工場製車輌への改造パーツ、ということになるのだが、そんな微妙なパーツであるにもかかわらず、なぜか10輌分前後のヒンジが入っている。どんなT-34マニアだって、174工場の生産ラインのジオラマでも作ろうと思わない限り、一生の間にそんなに174工場製T-34を作ったりしないよ……。
写真の状態は、半分近くを青木氏に分けた後。青木氏が言うには、「パネル下部の2カ所のヒンジだけでなく、ミッション点検用の丸ハッチのヒンジも同形状」とのことなので、1輌あたり3つのヒンジを使うことになるが、それでも4輌分以上ある。はっきり言ってメーカーの真意を質したいレベル。せっかくもらったので、いつか174工場製T-34を1輌くらいは作ろう……(いつか)。ちなみにパーツの形状自体は、青木氏曰く微妙だそうだ。
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コメント
FTFはC4Pハーフトラックも発売予定だそうですね。
(全く知らない車輛なので検索してしまった)
投稿: めがーぬ | 2016年12月28日 (水) 12時49分
プラガRVは、一応名前で、「チェコ製のなんだか有象無象なトラックの一種だなあ」くらいはわかるものの、私もFTFのキットが出て初めて「え?こんなのポーランド軍で使ってるの?」という感じでした。
C4Pはポルスキ・フィアット621ベースのハーフトラックの砲牽引車ですね。
牽引車ではなく、通常の荷台のついたwz.34ハーフトラックの1:35レジンキット(S model製)を持っています。……同社のバキュームのウルススA型よりも難物感が濃厚です(泣)。
投稿: かば◎ | 2016年12月28日 (水) 13時17分
かば◎さん
>……ような雰囲気なのだが、全編ポーランド語のみなので、何が書かれているやらちんぷんかんぷん。このシリーズのブックレットを英訳して公開してくれるサイトとかないものだろうか。
まったく同感です。
私も西山洋書で「POJAZDY WOJSKA POLSKIEGO 1939」なる洋書が型崩れ品で売っていたので購入したのですが、
これにも「プラガRV」も載っています。全編ポーランド語ですが。。。
スキャナーの読み取り機能とポーランド語→日本語翻訳なるものがあれば便利ですね。。。
また、私のHPの「ドイツの軍用車両研究」の「 第二次大戦のドイツの軍用自動車分類」の「小型トラック 6輪」に、
プラガRVRの記述があります。これは無線車タイプなのですが、トラックタイプとシャシーが共通なので、シャシーサイズの
参考になるかもしれません。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
投稿: シェル | 2017年1月 1日 (日) 10時04分
>シェルさん
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
「POJAZDY WOJSKA POLSKIEGO 1939」って、ハードカバーで表紙がwz.34ハーフトラック、主要車種は怪しげなカラー4面図が載っている本かと思います(WKŁ刊)。
私も持っています(むふふふ)。
プラガRVは側面図の1枚もなく写真1枚、全体で1ページと1/3くらいですから、やはりポーランド軍車両としてもだいぶマイナーですね。
投稿: かば◎ | 2017年1月 2日 (月) 19時17分