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ウルスス

F1010952 ●昨日、「飛行機のバキュームフォーム・キットを作りたいと思ったものの、メゲてしまって、取り組むのはまた次の機会に……」というグダグダな話をしたが、諦め悪く、今度はこんなものを引っ張り出してきた。

先日やはりme20さんとの間で話題に上った、ポーランドのS model製1:35、ウルススA型トラックのTK運搬型(Ursus A truck TKS Tank Transporter)。「仕事が立て込んでるという話はどうしたんだ!」というツッコミは無しの方向で……。

箱の左下にあるように、陸物キットとしては珍しいバキュームフォーム+レジンの混合キット(基本パーツがバキュームで、車輪その他バキュームに適さないものはレ ジン)。

ursus02 同社製初期の、やはり同様の構成のポルスキ・フィアット508シリーズは、挑戦しては挫折を繰り返しているのだが、ウルスス・トラックのほうは、昔、カーゴ・トラック型を完成させたので、とりあえずそこそこマトモに形になるのは立証済み。ちなみに、昔の「河馬之巣」のコンテンツをひっく り返してみたら、カーゴ・トラック型は2001年の合同展に出品していた。大昔ぢゃのう。

なお、S modelというメーカー自体は、検索するとサイトがヒットするので、今でも存続しているらしい。ただし、その後のキットは完全なレジン製に移行、さらにこのウルスス・トラック含め、初期のバキュームフォームの車輌シリーズも全レジンキットでリニューアルされているようだ。また、ARMO-JadarからもウルススA型のレジンキットは数種出ている。

●実車とメーカーについて少し。

ウルススはロシア帝国支配時代のワルシャワで1893年に設立された機械メーカーで、その後トラックの生産を開始する。しかし戦間期、世界恐慌のあおりを食らって経営不振に陥り、1930年には国有化され、国営技術工廠(PZInż=Państwowe Zakłady Inżynieryjne)の一部門となった。

wikipedia(英語版およびポーランド語版)によれば、ウルススA型トラックは、基本、イタリア製のSPA 25Cトラックのライセンス生産型。ポーランド型はオリジナルのSPA 25に若干の改設計が施されており、ペイロードも2tから2.5tに増やされているという。もっとも、同じwikipediaの解説でも、もともとのSPA 25トラックのペイロードを1.5tと書いてある部分もあって、若干あやふや。ただし、このキットのタイプで載せているTK豆戦車の重量が2.5t前後あるから、最終的にペイロードが2.5tクラスになっているのは確かなようだ。1928年から1931年までに各型合わせ884輌(民間用が509輌、軍用が375輌)生産されたらしい。

というわけで、1939年戦役当時は、ポーランド軍の軍用トラックとしてはいささか旧式で、主力は後継のポルスキ・フィアット621に代わっている。

ウルススの工場は戦後復活し、戦前型ランツ・ブルドッグのコピーを皮切りにトラクターの生産を開始。現在でもトラクターのメーカーとして活動している。会社のサイトはこちら。ちなみにウルスス(Ursus)という名はラテン語でクマの意味で、クマ属の学名でもある(me20さんのところのコメント欄で「ポーランド語でクマ」と書いてしまった。間違いでした、どうもすみません>me20さん)。

ちなみにポーランド語のクマはmiś(ミシュ)。双発爆撃機PZL P-37ウォシュの発展形の名前がミシュだった気がする。「飛行機の名前にクマはないだろう!」と思わないでもないが、他も「ウォシュ=ヘラジカ」とか「カラシュ=フナ」とか「スム=ナマズ」とかなので、要するにポーランド人の感性では違和感はないのだろう、で済ますしかない。

ウルススのロゴマークは、戦前のものは下の説明図にある、歯車の中に「U、R、S」を組み合わせたものだが、現在のものはてっぺんにクマの頭が付いている。

F1010950 ●これまでも時々引っ張り出してはいじっていたので、バキュームの部品はだいたい切り出してあり、半ば組み立ててある。というわけで、箱の中身はご覧のようにジャンクヤード状態。

基本、全体が曲面で出来ていて、表面も平滑度が高い飛行機に比べて、平面の組み合わせが多く形状も入り組んでいる陸物キットには、あまりバキュームフォームという手法は適さない。しかしこのキットの場合、キャビンは素直に各面貼り合わせの箱組だし、車輪やサスなどはレジン。フェンダーなどはバキュームの薄さがかえってメリットになる部分なので、(ソフトスキンだからという部分は大きいが)割と適材適所のキットといえる。

Img_20160905_0003 Img_20160905_0002 レジンパーツは基本、大きな湯口はない“もなか”タイプ。大きな欠けや気泡は入っておらず、あまり変形はないという点ではマトモだが、タイヤのトレッドパターンなどはいまいち。

説明書は、右のようにざっくりしたものだが、15~20年前のガレージキットとしてはむしろ親切な方かもしれない。

F1010955 F1010953 ●一応、シャーシの基本形はもう組んである。恐ろしいことにシャーシのメインフレームはバキュームフォームでフニャフニャなのだが、きちんとハシゴに組んで、さらに荷台で補強すると形が決まる。

むしろ、柔らかくても弾性があり、ほとんど変形を気にしなくていいぶん、レジンよりも適していると言えるかもしれない。

キャビンは前述のように箱組。説明書にも描かれているように、もともとキットは内外2枚合わせで組むようになっているのだが、そうすると壁がかなり厚くなってしまうため、内側パーツはあっさり一式省略した。じつは内側パーツを省略してもなお、シート土台パーツ(レジン)は幅が収まらず、シートともどもプラバンで自作した。

これまでも時々思い出したようにちまちま工作していたのだが、今回はボンネット周りを工作。側面のルーバーは不揃いなのだが、面倒くさいので放置の方針。とりあえず、キャビン側とラジエーターとのフィッティングを調整中。

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コメント

おおおお、もうかなり出来上っている!!
私は20年くらい前にフレームを組んで止まっているので、これは見たかった光景ですよ。いいなぁ。
正面のラジエターのレジンパーツ、私のは型ズレが酷いのですが、かば◎さんのキットは画像で見た感じは問題なさそうですね(若しくは、きちんと処理済みでしょうか)。

投稿: me20 | 2016年9月 9日 (金) 10時41分

S model は、セクストンのレジンキットで知ってましたが
ポーランドのメーカーだったんですね。

ウルススは、FTF 1/72で出ると嬉しいのですが。

投稿: めがーぬ | 2016年9月 9日 (金) 12時27分

>me20さん

かなりゆるゆるな工作なのでなんとか形になっています。
「これはもう、こういうキットなんだからおとなしくそのまま作ろう」が基本方針です。
実物を見せたら、「ここなんで埋めてないの!?」「ここなんで合ってないの!?」等々、me20さんは頭をかきむしるかもしれません(笑)。

ちなみにラジエーター部品、型ズレはありましたが、削ることで対処できるレベルでした。
その際、ラジエーター側面下部にある、たぶんフレームに載せる意図の三角形のでっぱりは削り落としました。
この三角のでっぱり、ボンネットパーツと合わせると判りますが、フレームの位置と全然合いません。
それだけでなく、限られた実車写真からは、「もしかしたらそんなでっぱり無いんじゃね?」という疑いが。

なお、このラジエーター自体、どうも実車と縦横比が違うんじゃないかという気もするんですが、当然ながらいじりません。

投稿: かば◎ | 2016年9月 9日 (金) 13時07分

>めがーぬさん

今、S modelというと、中国製の72シリーズってイメージですよね。

なお、我が家にはS modelのレジンキット、ボフォース対戦車砲+リンバー、馬匹牽引セットなんてものもあります。
いつか完成させたいんですが、普段フィギュアを作らない私にとっては、馬と御者の兵隊さんがちょっとネックです。

FTFは、後継のポルスキ・フィアット621はすでに出てますね。TK豆戦車トランスポーター型もそのうち出るのでは、と期待しています。
いつのまにかプラガRVなんてものまで出てて驚きましたよ……。これ、ドイツ軍車輌扱いなのかな。

投稿: かば◎ | 2016年9月 9日 (金) 13時25分

「カラシュ=フナ」だったんですかー。
エレール 1/72の「P.Z.L P23A/B KARAS」は高校生の頃に買ってまだ積んでありますが、KARASは当然ながら「カラス(烏)」だと思ってましたよ。飛ぶし。黒っぽいし。というか調べるのが面倒だったので「オレ的にはカラス(烏)でいいや」ってことにしてました。
よもやフナだったとは…。

フナというと小さくて弱っちい印象ですが、wikipediaを読むと、ヨーロッパブナ(クラシアン カープ)は全長40〜50cmになるものも居るそうで、成る程そう聞くとまたイメージが変わりますね。暮らし安心♪クラシアンというか。

投稿: セータ☆ | 2016年9月 9日 (金) 20時35分

ウルススというと、シェンキビッチのクオ・ワディスに出てくるポーランドあたりからローマへ連れて来られたお姫様を守る大男を思い出すのですが、シェンキビッチもトラックメーカーから連想して登場人物の名前とか付けたのだったら楽しいですね。

投稿: みやまえ | 2016年9月 9日 (金) 21時47分

>セータ☆さん

そう聞くと、ポーランドでは、フナって意外に精悍だったり獰猛だったりするイメージなのかなあ、という気もしますね。
ナマズも「池の猛獣」みたいな扱いなのかも。

あるいは「アルバトロス」なんかも、鳥の姿のイメージはよくても、流石に日本で「アホウドリ」とは命名できないですよね。

投稿: かば◎ | 2016年9月 9日 (金) 22時51分

>みやまえさん

残念ながら「クォ・ヴァディス」読んでないんですよ。
今度読んでみようかな。

ちょっとググってみましたが、「クォ・ヴァディス」が執筆されたのは1985年だそうなので、「ウルスス」社は設立されたばかり。トラックはまだ作っていない可能性が高そうです。
とはいえ、ワルシャワで設立されたばかりのベンチャー企業(というより町工場)、たまたま作者が通りかかって名前が引っかかってた、なんてことがあるかもしれないと思うと、確かにちょっとワクワクします。

投稿: かば◎ | 2016年9月 9日 (金) 22時57分

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