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2016年8月

スベリヒユ

●今年の5月に歌手のヤドランカ(Jadranka Stojaković)が亡くなっていた、というのを今頃知った。65歳没、ここ数年闘病生活を送っていたらしい。

別に熱烈なファンというわけではないけれど、特に「丘につづく道(Na drumovima Srema)」が好き(バージョン違いがあるが、アルバム「サラエボのバラード」に入っているほう)で、一頃そのアルバムをよく聴いていた。

●台風は次から次にやってくるし、台風の合間は暑いし。

●仕事で統計資料漁り。

地方自治体の財政に関して調べていて、自治体の財政力を示す財政力指数に関し、全国の市町村をランク付けしてみたら、第8位に、福島第一原発の所在地で、もはやほとんど「バーチャル自治体」と化している福島県大熊町がランクインしていた。ほとんどブラックジョーク。

工業統計で市町村の工業品出荷額等を調べていたら、我が逗子市は、神奈川県の33市町村のうち、下から3番目だった。いやまあ、工場とかないんだから当たり前だけど。

●FBの知人から、「スベリヒユを食べたらとても美味かった」と教わって、ちょっと試してみた。

もっとも、「スベリヒユなんて本当にそのへんのどこにでも生えている雑草」であるにも関わらず、いざそれを目当てにしてみると、なかなか見つからないのはフキノトウ(フキ)などと同じ。

日当たりのいい、丈の高い草などがない空き地とか道端に生えているものなので、山道などにではなく、まさに街の中に生えている雑草のため、我が家近辺よりも、逗子の街中に行ってようやくあちこちに生えているのを見つけた。

もっとも、交通量の多い道端に生えているものは採る気になれないし(人通りならぬ「犬通り」が気になる)、なかなか都合のいい場所には生えていない。本当は畑の脇とかに生えているのがいいんだよな~。

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左はまさに道端のコンクリートの隙間に生えていたもの。さすがにパス。右は横須賀線の線路わき。もさもさ生えていて、フェンスに仕切られて犬に小便を掛けられている危険性もなさそうだが、ついでにこちらも手が出せない。

F1010861 そんななかでようやく、お味見程度に2本ほど手に入れる。最初ということで、素材の味が消えないように、さっと茹でて簡単に辛子醤油で和えてみる。

わずかに酸味のある、ちょっと独特の味だが、変な癖はなく食べやすい。歯ごたえも固すぎず柔らかすぎず、なかなかよい。たまたま来ていた義妹も試食して絶賛。また今度取ってこよう。次はオリーブオイルで炒めてみるかな?

ちなみにその辺の花壇などによく植えられている近似種、ハナスベリヒユ(ポーチュラカ)もまったく同じように食べられるそうだ。

F1010877 ●スベリヒユを探していたのは駅前に買い物に行ったついで。某所でつばさ模型の話が出たので久しぶりに覗いてみようと思って足を延ばしたが(今月は木土日の営業と聞いていたのだが)開いていなかった。

子供がプラモデルを作らなくなって、ガンプラやミニ四駆のブームも去って、一方でスケールモデルは海外メーカーが躍進してやたらに品目が多くなり、アフターパーツも膨大になって小さな模型店では扱い切れず……というわけで、「街の模型屋さん」という商売はまったく成り立ちづらくなってきている。よほどピンポイントな特色でもあれば別なのだろうけれど。

それを寂しいと思いつつ、私自身について考えても、結局、キットにしろ、素材にしろ、結局秋葉原や横浜で買っているし、また、そこまで行かないと買えない(あるいは通販か)。

F1010865 ●ELPといえば、一般的にはエマーソン・レイク&パーマーだろうが(そうか?)、逗子市民的に言えば「エブリデイ・ロー・プライス」のOKストア。お菓子だの酒だのを買って帰る。

以前は逗子銀座商店街に「キングストア」というスーパーがあったのだが潰れてしまい、逗子駅前のスーパーといえば、ちょっとお高いスズキヤとOKの2択。

標語の通りOKストアは安く、スーパーでの買い物はもっぱらここだが、知り合いのインド人のお爺さんにさえ、「安イデスケドモ~、生鮮食品ハ~、チョットダメデス」と評されてしまうような部分もあり。

●逗子市役所裏のサルビア・グアラニチカに来ていたトラマルハナバチ。

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クラスナエ・ソルモヴォ工場(6)

セータ☆さんはT-34-100を作っているし(しかも2台目)、邦人さんは42年型の比較的初期のタイプを作っているし、なんというか、「T-34の夏!」という感じ。私の製作記を参考にしてくれているという、RyampoさんのSTZ1942もだいぶ進んでいて、塗装は追い抜かれてしまうかも。

●スターリングラード・トラクター工場製車輌のついでに製作している、クラスナエ・ソルモヴォ工場製ピロシキ砲塔タイプ初期型(cyber-hobby #6452, T-34/76 No.112 Factory "Krasnoe Sormovo" Early Production)の製作記。

前回に続いて車体前部。

F1010841b ●シャーシ接合部の工作。今回は両側ともフロントフェンダーが失われた状態にするつもりなので、両側に前面板との組接ぎ部を追加(黄色の矢印で示した部分)。

また、オレンジ色の矢印で示した部分の側面板上端も、隙間が見えないようにわずかに上方に延長した。

前回作成した前面装甲板にある程度のディテール工作も追加して、車体前面に接着。車体上下も貼り合わせた。

車体機銃バルジは、この仕様の車輌の場合、前面の抑え金部分は馬蹄形でよいようなので基本はキットのパーツのまま。若干尖頭ボルトが飛び出し過ぎのような気もするが放置。表面に鋳造表現のみ加えた。

F1010838 操縦手ハッチ上隅のピルツェン状の突起は、キットにパーツが含まれていないのでランナーから自作。もっとも、STZ1942の場合もパーツの形状があまりよくないので自作したが。

余談。一応これはペリスコープ用の穴ということのようだが、実際に使うことはあるのかなあ……。もちろん、ハッチに付いている前方用ペリスコープで見えない左右を見たい場合もあるとは思うが、戦闘中はわざわざ専用の機器をセットする手間をかける余裕はなさそうだし、戦闘中でないならハッチを開けて見ればいいような気がする。もっともだからこそ一部の仕様にしか付いてないのかもしれないけれど。

この後、前端のR部分を接着。前回書いたように、キットのパーツ(P27)はそのままでは太いので、一回り細く削り込んだ。

F1010833 ●第27工場で装着されたという、甲冑魚じみた増加装甲の製作と取り付けを開始。

0.5mmプラバンを使用。前面装甲板を取り付ける前に、形状を合わせて切り出し、それをバラバラにして作成したのだが、細かなディテールに合わせた凹凸をきちんと合わせるのが難しく、つい削り過ぎたり、分割線を間違えたりして、結局、半分以上は1ピースずつ現物合わせで作り直す羽目になった。面倒くさ!

というわけで、現時点ではまだ上半分の増加装甲しか取り付けていない。右下のピースも仮置きしてあるだけ、左下のパーツ(下に置いてあるもの)はまだ外形も途中。

前面装甲下隅に大穴が開いているのは、この部分の誘導輪位置調整ボルトを、元の前面装甲板パーツから周囲ごと切り出して増加装甲の裏に貼ろうと考えたため。

しかし、(なかなかはっきりとした写真がないが)クラスナエ・ソルモヴォ工場製最初期型も、後の同工場生産型同様、「デベソ型」の位置調整ボルトを使っているのではないかと思い直し、T-34-85のパーツに入っている同ボルトの部品を流用することにした。大穴がまったくの無駄に!(右下パーツは増加装甲裏にプラバンを貼って塞いである)

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なべおてれ

F1010756 ●JR逗子駅にある(とてもざっくりとした)道案内掲示(右写真)。

●13日土曜日、墓掃除に行く。

東京・横浜近辺では一般に「お盆」は新暦7月15日(もしくはその直近週末)であるらしい。当初は母からそのあたりに墓掃除に来いと言われていたのだが、ちょうどバタバタしていて、「それなら8月にしなさい」と言われて月遅れに。ちなみに父母の郷里である奄美あたりではちゃんと旧暦の7月15日にやるそうな。今年の場合だと、8月17日が旧暦7月15日にあたる。

「そのうちどれかでやればいい」と、母も結構適当な構え。

川崎の実家の墓は津田山の上の市営霊園の端にあって、東高根森林公園を抜けて歩く。東高根森林公園は、多摩丘陵端の一角、多摩川沿いの尾根の南斜面(多摩川から見て反対側)を区切って自然公園としているもので、川崎市内唯一の県立公園である由。基本的には山の斜面とその間を抜けていく散策路、そして多少の広場。弥生時代の集落跡の遺跡などもある。

F1010768 森林公園の入り口近くでルリタテハを見た。翅を広げたところは右のちょっとピンボケを1枚撮ったところで飛び去ってしまったのが残念。実のところ、取り立てて珍しい蝶というわけではなく、逗子近辺でも目撃できるはずだが、こういう青色の入った綺麗な昆虫は見るとちょっと嬉しい。

この日はカンカン照りというわけではなかったのが救いだが、それでも蒸し暑く、汗だくになってお墓の草むしり。せっかく生えていたスミレだけは残しておくことにする。

●実家に戻って昼食。母が作った「なべおてれ」を食す。あー、しまった、写真撮ってないや。

「なべおてれ」は父母の郷里(奄美大島)の料理で、要するに焼うどんなのだが、具には田舎の塩豚が入っていたりする。wikipediaの「油そうめん」の項についでのようになべおてれの解説が紛れ込んでいるが、それによれば、いりこだしで味付けするらしい。我が家のなべおてれがいりこだし味なのかどうかは聞いていない。

我が家(実家)では昔から割とよく食べていたので、それなりに奄美では一般的な料理なのかと思っていたのだが、実はもっと範囲が狭く、奄美大島でもごく一部、今では奄美市の一部になった笠利町の佐仁近辺でしか「なべおてれ」の名前は通用しないらしい。

それもそのはずで、「なべおてれ」という名前自体、母方の祖父が発祥であるらしい。祖父がそれほど料理をする人だという印象は私にはないが(そもそも一緒に暮らしたこともないが)、焼うどんは祖父の得意料理であったとか。そんな祖父が昔、やはりいつものように焼うどんを作っていて、脇にいる人に「おう、なべおてれ!」と叫んだのがいつのまにか料理名になったそうな(と、少なくとも叔父からは聞いている。ホントかな……)。

「なべおてれ」は「鍋を取れ」、もしくは「鍋を降ろせ(wikipediaでは『鍋降てれ』と字を振っている)」の意。

F1010828 ●17日。以前から(娘が)予約を取っていて、鴨川シーワールドへ、ちびを連れて出掛ける。右写真は、途中休憩の「海ほたる」に飾ってあるアクアライントンネル部を掘削したシールド・マシンのカッターヘッドを使ったモニュメント。以前、重工業メーカーにシールド・マシンの話を聞きに行ったことがあるので、ちょっと親近感がある。

予報では台風直撃の日で、前日には「行くのやめた方がいいんじゃない?」などと言っていたのだが、台風が移動を早めて夜のうちに通過してしまい、当日は晴れ。むしろ外出予定を控えた人が多かったらしく、横浜からのツアーバス往復の道路状況も一度も混雑無し。現地の鴨川シーワールドも、(それなりに人がいたものの)夏休み中の普段の日に比べればだいぶ空いていたらしい。

鴨川シーワールドは鴨川の町はずれの海岸線沿いにある水族館/テーマパーク。シャチのショーが有名(らしい)。そのシャチのショーは混んでいたのでちらりと見ただけ。他、イルカのショーを見たりアザラシのショーを見たりシロイルカ(ベルーガ)のショーを見たり。

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クラスナエ・ソルモヴォ工場(5)

●スターリングラード・トラクター工場製車輌の工作が一段落したので、弾みで手を付けたクラスナエ・ソルモヴォ工場製車輌(cyber-hobby #6452, T-34/76 No.112 Factory "Krasnoe Sormovo" Early Production)を多少工作。

STZのほうは、なにしろキット(cyber-hobby #6388)それ自体がとんでもないトラップの塊だったが、クラスナエ・ソルモヴォのほうはキットとしてはそれなりにマトモ。

ただし、細かく見ていくと多少気になるところもあり、また、増加装甲付きに改修したいということもあって、ちまちまといじっている。

●車体前面の工作。

キットに含まれる車体前面装甲板は、どうやら42/43年型用に起こされたパーツを元にしているらしく、かなり分厚い。また、以前に書いたように、操縦手用ハッチの位置が外側にずれている。

F1010749 F1010753 これはあまり好ましくないので、結局、スターリングラード・トラクター工場製車輌の時と同じように、前面装甲板を1mmプラバンで作り直した。

普通なら、ハッチヒンジ部分のみを削り取って新造の前面装甲に貼り付けるところだが、最終的に表面はほとんど増加装甲で隠れてしまうので、ヒンジ周辺ごと元パーツを切り抜いて接ぎ合わせた(もっともどっちが楽かは微妙なところ)。ちなみに、STZのほうは最初からヒンジ部分が別パーツだったので楽ができた。車体機銃用のバルジは未接着で仮置きしてあるだけ。

右写真は、新造の前面装甲に、元の装甲板パーツ(の残骸)を重ね合わせてみたもの。操縦手ハッチ位置が内側に移動しているのが判ると思う。

F1010748 側面装甲板と前面装甲板は組接ぎになっていて、キットは前面装甲板側のパーツへのモールドだけでこれを表現しているが、折角なので実際に組接ぎすることにして、車体側面装甲板前端上部を延長した。

スターリングラード・トラクター工場製の1941年戦時簡易型(1942年生産型)の場合も同様に組接ぎになっているが、クラスナエ・ソルモヴォの場合は組接ぎのバランスが半々に近いのに対して、スターリングラード・トラクター工場製の場合は上側〈側面板側)が短く、下側(前面板側)が長い。

●もともとの車体前面板パーツが分厚いのに合わせて、車体前端の半円断面パーツも、1941年型キットおよびSTZ1941、STZ1942に含まれているものよりだいぶ径が大きく、幅がある。前面板を作り替えたので、こちらも削るなり作り替えるなりする必要がある。

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スターリングラード・トラクター工場(21)

週末模型親父さんのAFV模型のネットコンペ、「SUMICON 2016」参加作、cyber-hobbyの「T-34/76 STZ Mod.1942」の製作記。

●右フェンダー上の装備品その他の工作。

▼ジャッキは、キットの指定では背中合わせ(というか、お尻合わせ?)で2基を載せるようになっており、フェンダー上にもジャッキホルダーの座金のモールドがある。

しかし、実車写真をあれこれ見ると、ハリコフ機関車工場製の1940年型~1941年型では確かに2連で装備している例はあるものの、STZ製では1基までしか載せている例は確認できなかったので、1基だけ載せることにした(工作が面倒だったので1基だけにした、わけではな……くもない)。

また、ある程度オリジナルの状態を留めていると考えられる現存車輌でも、キットのモールドのような座金は確認できなかったので、今さらながら追加工作でモールドを削り落とした。

もちろん、正規では2連で載せるようになっているものの、単にホルダーごと取れてしまっただけということも考えられるのだが、一方では、工場を出たてと思われる写真でも、1基も載せていない写真もある。

F1016071 F1016075 ジャッキのパーツはホルダーと一体モールドなのだが、別途、ホルダーはエッチングパーツが用意されていて、モールドを削り取ってエッチングパーツを使うよう指定されている。

ただし、このエッチングパーツは、特に締め具部分がどう曲げていいのかよく判らない構造になっているうえ、形状も上手く再現していない感じだったので、パーツの一部のみを切り取って利用し、作り直した。形状、構造がよく判る鮮明なクローズアップ写真はあまりないが、とりあえずこの写真(メディンの現存車輌)を主に参考にした。また、ジャッキも少し手を入れた。両方ともはっきり細部形状を把握しているわけではなく、「なんとなくこんな感じ?」という適当工作の域を出ていない。

以前に工作したグローサーをフェンダー上に装着。

正規にはベルトでくくり付けるようになっていて、キットにはその結束用ベルトもエッチングパーツで用意されている。とはいえ、実車ではベルトが失われたのか最初からなかったのか、針金等でくくり付けてある例が数多く見られるので、そのようにした。先日買ってきたリード線の中身の細線で表現。エッチングパーツのベルトの場合、それらしく上手く取り付けるのが難しそうだ、と思ったというのもある。

F1016061 この写真では装着部の前に4つ、中に5つ。使い残しが出たので、さらに数枚追加で作成して、このあと、後ろの装着部にも5枚載せた(下写真参照)。

実は、ちょっと変化を付けるために、1カ所は予備履帯を載せようかと思ったのだが(実車でもよく見かける)、本来、フェンダー上にぴったりはまるはずの履板が、プラの厚み+U字金具のためにうまく収まらないので諦めた。

なお、Wydawnictwo Militariaによれば、旧型のグローサーに追加で穴を開けて後期550mm履帯の初期タイプ(ややこしい)に適合するようにしたものもあったらしい。これを1枚混ぜて載せようかともちょっと思ったのだが、Wydawnictwo Militariaに実物写真が単体では出ているものの、実際に車輌に載せている写真は(しっかり確認し直していないが)見たことがないので、やはりヤメにした。

▼ワイヤーロープは、キットには妙に多種の端部パーツが入っている。

F1016076 F1016078 F1016079 F1016081

キットの指定は写真1枚目の、旧型起動輪・誘導輪や箱型増加燃料タンクと同一枝のもの(F5)なのだが、これはおそらくハリコフ機関車工場製車輌の初期型車体で一般的なタイプ。3枚目(R8)、4枚目(R11)のものは、スターリングラード・トラクター工場製仕様の初期型砲塔の枝に入っているもの。Wydawnictwo Militariaでは、3枚目の形状のものを「Stalingrad-type」と紹介しているが、当時の実車写真で確認する限りでは、STZ製の後期の生産車では、4枚目の写真のタイプに似たものが使われている場合が多いようだ。ソ連戦車用のケーブルのアフターパーツを各種発売しているEUREKA XXLでも、これと似たタイプをSTZ用として出している。

そもそもSTZ用パーツの枝に、わざわざ新規に含めているからには、ドラゴンもこれをSTZ用と想定してパーツ化したのではないかと思うのだが、なぜかキットでは不要パーツ扱い(STZ 1941年型キットではこれを使うよう指示されているらしい)。

F1016107b もっとも、ワイヤーロープは、端部を右写真の黄色の矢印位置にあるU字金具にベルトで止めるようになっているのだが、このパーツを使った場合、キットに付属のワイヤーでは長さが足りない。初期型用のF5パーツは長さがあるので十分届く。まさかワイヤーが短かったのでF5を使うことにしたのでは……(ただし、しっかり検証していないが、R11も届くようだ)。STZ1941年型キットではワイヤーの長さはどうなっているのだろう。

なお、ワイヤーは2本載せるのが正規のようだが、上の端部パーツは、F5以外は1本分(2つ)のパーツしかない。

●前照灯の工作。

F1015936 F1016058 すでに基部はキットのエッチングパーツを取り付けてあったが、いざ前照灯を付けようと思ってよく見ると、取付部のベロが長すぎる。仕方がないので引っこ抜いてベロ部を切除してしまい、残った根元部分に改めて穴を開け、折り曲げて植え直した。

右が修正前、左が修正後。修正前の状態だと、もともと曲げ部分に筋彫りが入っているために強度的にも心もとなかったのが、修正後はその点でも安心できる状態になった。

F1016102 前照灯本体はキットパーツの基部を小工作。接続の軸は強度を持たせるために0.5mmの真鍮線を使用。電線引き込み部との間を伸ばしランナーで繋いだ。

●以上で、ひとまずは工作完了(排気管の長さ詰め作業など一部やり残しもあるが)。

並行製作のクラスナエ・ソルモヴォ工場製車輌などいじりつつ、しばらくはこの状態で眺めてみて、気になるポイントがあれば追加工作を施すつもり。

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夏の神田橋界隈

●10日水曜日。

神保町の事務所から「暑気払いに行こう」というお誘いがあり、仕事を放り出して飲みに行く。秋葉原を経由し、再びme20さんの作品を眺めたり、細かい買い物をしたり。

神保町の事務所で飲み会をする時には九段下の「おかってや」に行くことが多いのだが、今回は神田錦町の「かもん」。夕方、まだまだむわっと暑い中、錦町河岸まで歩く。C社長以下7人であーじゃこーじゃどうでもいい話をしながら飲む。

F1016082 ●秋葉原での買い物その一。模型製作のための弾薬補給。固まって廃棄する羽目になった瞬間接着剤を買う。これで勝つる!(のか?)

以前は、スコッチ(3M)の、浸透性が低めで紙や木材も接着できる瞬間接着剤がお気に入りで何度か続けて使っていたことがあるが、最近店頭で見かけなくなってしまった。webで同社の製品リストを見るとまだ製造しているらしいのだが、模型屋ルートにはあまり卸していないのかな?

セメダインの瞬着は容器の使い心地が割と気に入っている。この「3000 多用途」はここのところ2、3度続けて使っているもの。他の瞬着に比べると(別に低白化タイプと銘打っていないにもかかわらず)白化しにくい感じがする。

F1016085 ●秋葉原での(しなくてもいい)買物。おおおお。海洋堂の仏像ガシャポンが! これはやらねばなるまい!

ということで、「日本の至宝 仏像 立体図録 II」を2回。十一面観音像と伐折羅大将像。伐折羅大将はお馴染みの新薬師寺のもので、かなり正確で出来の良いミニチュア。十一面観音像はよく判らないが、奈良国立博物館蔵のものか?

なお、この手のガシャポン・フィギュアの場合、細い・薄いパーツはぐにゃぐにゃ変形しがちだが、伐折羅大将の剣は結構しっかりしている。中に何か硬い素材を仕込んでいるのかもしれない。

●秋葉原での買い物第3弾。「ダンジョン飯」の3巻が出ていたので買う。

●昨日の外出時、ジーンズがどうもずり下がり加減。

このところ部屋着にしている短パンの太もも部分がちょっときつめに感じる時があって、ヤバイ、また太ってきたか、などと思っていたが、それは気のせいで、むしろ痩せてきたのか?

……と思いつつ、時折ズボンをたくし上げていたのだが、小川町あたりを歩いている時、ようやくベルトをしてきていないことに気付いた。アホか!

●飲み会後、同方面の数人で、神田錦町から東京駅まで歩き、さらにC社長と東海道線で大船まで。結局横須賀線は終電だったが、若干遅れていて、大船駅で20分近く待たされた。ふと横を見たらこんなものが。鉄趣味の素養は低いので、別段、これを見てそれほどじわじわ来たりはしませんが。

パッと見、「別に今の駅名表示でもそんなに変わらないんじゃない?」などと思ったのだが、改めて現行のもの(右端)を見たらだいぶ違った。

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●知人がfacebookでシェアしていたtogetterネタ。

日本のアニメを観ている海外(英語圏)の人が、「アニメの中でよく『Grand sponsor Tokyo day OH Christmas』って言ってるけど何のこと?」というようなコメントをしていたそうな。

正解は、「ご覧のスポンサーの提供でお送りします」。じわじわおかしい。

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ハーブショップ

F1016055 ●ちび助のハーブショップのミニチュアキット、完成。

基本、私が手伝ったのは建物のドンガラで、小物類はちび助本人と、我が家の女性陣が(えーなにこれ難しいわかんないよー等々ブツブツ言いつつ)頑張った(らしい)。

実際、私が見ても、このキットの説明書には「いやいやいや、これはいったいどうしろと!?」という箇所があった。このシリーズを作り慣れている人から見れば、「ああ、そういうことね」で済むのかもしれないけれど(ドラゴンの組説?)。

なお、これまであまり意識していなかったが、秋葉原のイエローサブマリンにはこのメーカーのキットが結構たくさん揃っていた。ちびに教えたら「買いに行く!」と騒ぎ出すかしれん。

●うっかり机の上に瞬間接着剤を一晩出しっぱなしにしておいたところ、今日使おうと思ったら中まですっかり固まってしまっていた。

普段は小さなジップ付きビニール袋に入れて引き出しにしまっているのだが、もともと中身が少なくなっていたので、湿気に簡単にやられてしまったのかも。うむむむむ。

●ミンミンゼミ(ミーンミンミン……)とクマゼミ(ショワショワショワ……)は、人の耳で聞く分にはまるっきり違う声だが、実は両者の声はほとんど要素が同じで、ミンミンゼミの声を早回し(という言い方は今でも通じるのか?)にするとクマゼミの声に、クマゼミの声をゆっくり再生するとミンミンゼミの声になるのだそうだ(wikipediaより)。

要するに一青窈と平井堅の関係ですな(『トリビアの泉』ネタ。ご存じない方はぜひyoutubeで検索してご一聴を。感動します)。

そんな関係のため、声が混ざって聞こえるとお互いに都合が悪いらしく、ミンミンゼミとクマゼミは時期的、あるいは場所的に棲み分けをしているのが普通で、たまたま同所的・同時期的に重なっている場合には、朝にクマゼミ、その後にミンミンゼミというふうに時間をずらして鳴くのだそうだ。

そんなわけで、最近クマゼミが進出してきた逗子ではどうなのか、注意して聴いてみた。

結果。クマゼミが午前中早めに鳴くのは昨年以前から気付いていたが、逗子のミンミンゼミはその時間帯も遠慮なく鳴いていることが判明。まだ新参者のクマゼミの数が少ないので「知ったこっちゃねえや」状態なのかも。今後クマゼミの数が増えたらタイムシェアするようになるのだろうか?

●ここまで書いたところでエラーが発生して、書いたものがすべて消失してしまい、書き直す羽目になった。マメな保存をサボった時に限ってエラーが起きるのはお約束。ふんがー。

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T-34こぼれ話(2)

●ドラゴン/サイバーからは、何種類かのドイツ軍鹵獲仕様のT-34が出ている。

ドイツ軍はかなり多数のT-34を鹵獲使用していて、もちろん、単純にバルケンクロイツを書き加えただけのものも多く、ドラゴン/サイバーの通常仕様のキットでもそれらのデカールが含まれていたりする。

一方で、III/IV号のキューポラを増設してみたり、ゲペックカステンを取り付けたりという独自改装を施しているものもあって、わざわざドイツ軍鹵獲仕様として出しているキットは、そういった仕様を再現している。

●そんななかで一番最初に出たのが(そしてベース車両としても一番旧タイプなのが)キット番号6185、「T-34/76 German Army」で、旧型車体ハッチ/溶接砲塔の1941年型にIII/IV号用のコマンダーズキューポラを増設したもの。車体周囲にもいろいろ工具箱やら工具やらを追加している。キット内容に関してはこちら(PMMSのレビュー)を参照のこと。

さて、キットではもともとの砲塔ハッチにそのまま穴を開けてキューポラを装着した状態になっている。もちろん、実際にそういう例がなかったとは言い切れないが、車外装備品から見て、ドラゴンがモデルにしたと考えられる仕様は、実際にはそうなっていない。

お馴染みのBeutepanzerの写真の話なのでご存知の方も多いかもしれないが、同一位置に装備品を装着した車両が出ている(このページでは、2.Kompanie/Panzer-Abteilung z.b.V.66所属車としている)。興味深いのは上から5番目の写真で、これを見ると、キューポラの隣にハッチがあって、開いたハッチに腰かけて砲塔内部に足を突っ込んでいる。

さらに、おそらく同じ修理廠で改造されたと思われる、ほぼ同一仕様の車輌が、「Germans repair  plant modified」と題されたページにも出ている。良い写真が載っているのは、その2ページ目3ページ目

2ページ目のクローズアップ写真を見ると、もともとのハッチは取り払い、新たに鋼板を溶接して塞ぎ、その上にキューポラを装着。さらに右側は砲塔縁にヒンジを持つハッチとしている。キューポラはぎりぎり左に寄せているのだが、それでも新設のハッチはやけに狭く、体を横向きにしないとくぐれそうにない。

他写真を見て判るように、砲塔側面にはハッチ受けが新設されていて、ハッチは水平か、それよりやや高めで止まるようになっている。残念ながら、ここに出ている写真ではヒンジ形状は判らない。

3ページ目2枚目の写真を見ると、同様の改装を施された車輌にも多少のバリエーションがあることがわかる。キットは標準的な1941年型車体に溶接砲塔だが、ここに写っている実車の3輌は、

  • 一番手前:1941年戦時簡易型の比較的初期の車体(もしかしたら車体ハッチも旧型の基部を残している仕様)に溶接砲塔。
  • 二番目:1941年型に溶接砲塔でキットの仕様に近いが、装着されたキューポラが旧型(Kommandantenkuppel 021 B 9261)。直線的な前部フェンダー。
  • 一番奥:1941年型で鋳造砲塔。直線的な前部フェンダー。

基本、ドイツ軍鹵獲仕様にはあまり惹かれないのだが、これはちょっと面白い。いやまあ、面白いと言っているだけで作らないだろうけど。

ちなみに、III/IV号キューポラ付きT-34に関しては、興味深いことに、ソ連軍が使用中の写真もある(CONCORD、“SOVIET TANKS IN COMBAT 1941-1945”、p50上段)。1944年夏、レニングラード戦線(フィンランドから奪取した街で、とあるのでカレリア戦線と言うべき?)での写真。溶接砲塔搭載の1941年型で、旧型キューポラを装着。ソ連軍が同様の改装をした車輌である可能性もなくはないが、ドイツ軍から再鹵獲して使っているという可能性の方がもっと高そうな気がする。

●上記、「Germans repair plant modified」の4ページ目もなかなか興味深い内容で、こちらには、II号戦車F型のキューポラを装着したT-34の写真が出ている。全部がそうなのかは判らないが、こちらはもともとのハッチをそのまま活かしていて、しかも開閉機構も残している。

3枚目の写真がちょっと謎で、両開きハッチが付いている。III/IV号キューポラから、上部のハッチ部分だけ持ってきたのだろうか。

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T-34こぼれ話

●この連日の模型/T-34話! まるでモデラーのようではないか! ってモデラーだけど。

●スターリングラード・トラクター工場製T-34の製作記で、流用してきたハリコフ機関車工場製1941年型キットの車体上部、エンジン上面のハッチ開口部とハッチ部品とがうまく合わない話をした(当該記事はこちら)。

これに関し、実のところは(ろくでもない新規の車体上部を起こしているSTZ1942以外)ドラゴンのT-34-76シリーズは基本、どれも共通と思っていたのだが、その後、基本同じと思っていた別の車体上部をいじっていたら、キットのハッチ・パーツがそのまま使えてビックリ。なんじゃそりゃー!

F1016054 ▼まず、これが現在製作中のSTZ1942のエンジンルームハッチ。といっても、STZ1942のキットの車体上部ではなく、たぶんYSのパーツばら売りコーナーあたりで買ってきた標準タイプの車体上部を流用している。キットのハッチパーツはヒンジのある辺がうまく入らないだけでなく、四隅のrがまるで合わないので、プラバンで新造した。

なお、STZ1942のキット(cyber-hobby #6388)の車体上部もほぼ同じようにハッチパーツが合わない。

F1016052 ▼クラスナエ・ソルモヴォ工場製・1941年戦時簡易型初期型(cyber-hobby、#6452)の車体上部。基本、上で使った車体上部とまったく同じパーツだと思っていたのだが、キットのエンジンルームハッチのパーツを若干削り合わせることで使用できた。削り合わせは、開口部に対してハッチパーツがわずかに長めだったため、ヒンジと反対の辺を少し削り、rを調整した。

こうして写真で見ると、上の写真のものと比べて、四隅のrが明らかに緩やかになっているのが判る。

F1016049 ▼そしてもうひとつ。ハリコフ機関車工場製1941年型・鋳造砲塔搭載タイプ(DRAGON #6418)の車体上部。これもクラスナエ・ソルモヴォ初期型同様、多少のすり合わせでキットのハッチパーツが使えた。開口部の形状としては上のクラスナエ・ソルモヴォと同じと思われるが、この車体上部はグリル前方に筋彫が加わっていて、これまた別のパーツであることが判る。

ちなみに、私のストックにある「OT-34/76 Mod.1943 (No.112 Factory)」(DRAGON #6614)に入っている車体上部も、これと同一であるように見える。

▼「なんじゃこりゃ」と思ってドラゴンのT-34-76では初期に出た溶接砲塔搭載の「T-34/76 Mod.1941」(#6205)を引っ張り出してきて見てみたら、こちらは最初の例と同じようにエンジンルームハッチがフィットせず、キットのハッチパーツの四隅をプラ材で延長する補修をしてあった。

というわけで、私がSTZに流用したのは、この最初の41年型キットのものなのかと思ったのだが、よく見ると、この#6205の車体上部は、戦闘室天井前方のサブ燃料タンクのフタパーツが車体に一体でモールドされていた。STZに流用した車体上部(および上で紹介したその他キットの車体上部)ではここが別パーツになっているので、明らかに別。

……私がSTZに流用した車体上部は、いったい何のキットのものなんだー!?

つまり、ドラゴンのT-34-76シリーズの車体上部は、仕様的に(寸法的にも)特殊なSTZ1942のものを除いても、少なくとも4種類もあることになる。

もっとも、ドラゴンは発売後もどんどんパーツ改修を行うメーカーなので、上に書いたキットの別によって違う車体上部が入っているということではなく、同一キットでも生産ロットによって違っている可能性がある。

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さもほどなや・うすたのふか

F1016017

●昨日購入した、miniartの新製品、#35181「SU-122 EARLY PRODUCTION」(SU-122初期型)の(割と偏った)レビュー。

まだパーツひとつ切り出しておらず、合いだの全体形だのはまったく未チェック。そういうのはもうちょっと真面目な新製品レビューとかを見て下さい。

というわけで、あくまでも箱を開けて、ガサガサとパーツ枝を取り出してみて目に留まったところ、気になったところなどを脈絡なく。

なお、大昔に作ったタミヤのSU-122はこんな感じ(T-34 maniacs内の製作記事)。

●箱の大きさはドラゴンのT-34シリーズとほぼ同じ。パッと見、だいぶ箱に厚みがあるように感じたのだが、比べてみたら差がなかった。箱を開けると、このメーカー独特の匂いがする。こ、これがウクライナの匂いか……(違)。

パーツ全部が一つのビニール袋の中に押し込められてまとまっているが、袋を開けてバラけさせると結構な量で、ドラゴンのように不要パーツてんこ盛りでないにも関わらず、かなり箱がいっぱいいっぱいになる。例えば転輪など、同形状のパーツが多数ある場合、小分けにして金型を小さくし、同一枝を多数セットするというのがこのメーカーの方針らしい。……2分割履帯方式?

これより前に出たフルインテリアの「SU-122 INITIAL PRODUCTION」から車内再現パーツを取り除いただけではなく、再初期型と初期型の違いにより、外形パーツにもいくつか差がある。こちらも、パーツ枝の一部を差し替えるというよくある方式ではなく、差異のある部分は最初から小さな別枝に分けてある。

「SU-122 INITIAL PRODUCTION」に関しては、セータ☆氏のGIZMOLOGIC CAFÉに簡単なインプレがある。以下、セータ☆氏の指摘の再確認も含めて。

▼まずは車内~車体の基本形周り。

ドラゴンのT-34シリーズと違って、シャーシも底板・側板別パーツの箱組み。車内オミット版とはいえ、砲尾はそのまま入っているし、砲手用?の丸椅子も取り付けるよう指示されている。その前方の操縦手席がないのにこれだけ付けてどうするんだ……と思わなくもないけれど。なお、外見上は内側防盾も再現されているものの、カバー部と一体なので砲は左右動できない。

F1015995 もともとフルインテリア版が前提のキットなので。、コイルスプリングのカバーなども、ドラゴンに比べると凝った出来。ドラゴンではパーツの共通化で、本来(戦車型の)砲塔リングを避けるために角度が立っている第3転輪用スプリングカバーも他と同一形状だったが(そのために車体上面の点検パネルと位置がずれている)、このキットでは形を違えてある。

写真下側の大きな枝の中央2つが第3転輪用。上の小さい枝に入っているのが第2、4、5転輪用。大きい枝右端は第1転輪用。大きい枝左端は……不要パーツ?

なお、ドラゴンのパーツの角度が違うといっても、サスアームの作動範囲が違うわけではないのでシャーシの穴の形状は一緒だし、転輪に隠れてしまうスプリングの角度がやや違う?程度のものなので、内部を作り込もうと考えない限りはあまり大きな問題ではない。

000521o F1015984 シャーシ前面装甲板は、SUシリーズの場合、戦車型にはない点検パネルがある。

キットでも当然それが再現されているのだが、これは小さすぎではないかと思う。右写真はドラゴンのSUで、本来はこれくらいの感じのはず。

F1016004 シャーシ後面装甲板は、ギアハウジング真下の油抜き?の穴もちゃんとモールドされている。内側のグリース注入用?のボルト頭も別部品でちゃんと用意されている。さすがにこのへんは、ドラゴンのキットより1世代新しい、という感じがする。

戦闘室天井板は、先行のキット「INITIAL PRODUCTION」と今回の「EARLY PRODUCTION」との大きな相違点で、別枝の別パーツとなっている。パッと見の大きな違いは間接照準用のキューポラにある観測窓のフラップが「INITIAL PRODUCTION」では前方と側方の3カ所、「EARLY PRODUCTION」では後面にもあって4カ所。キューポラそれ自体の基本形も僅かに違うようだ。

F1016010 F1016011 パーツの「ツクリ」としては基本同じで、天井裏面に結構ごちゃっとモールドがあるのだが、有り難いことに表面にヒケなどは生じていない。いや、こんな細かい裏面のモールド通りに表にヒケが出ていたら、ちょっと頭かきむしりレベルのショックですが。

▼エンジンルーム周りのディテール。エンジンルーム上面も、カバー下や、そこに付く空気流量調節フラップなどももきちんと再現されている。

F1016007 F1015982 F1016008 ところが、せっかくその部分が再現されているにもかかわらず、グリルはだいぶダルい出来で、特に側面グリルは開口もしていない。これは、もともとブロック状で表面しか再現してないドラゴンのパーツの方がまだマシに見える。

なお、この部分はドラゴンと比べ上下幅もだいぶ狭いので、ドラゴンのパーツ、もしくはドラゴン用に設計されたアフターパーツを使う場合には調整の必要がある。ちなみにこのグリルに関しては、STZ1942の工作記事で「実車同様にエッチングパーツと真鍮線で組み上げるアフターパーツも出ている」と書いたが、流行りの3Dプリンタによるパーツでも同様のものがあり、セータ☆氏が紹介している。いいなーコレ。

F1015978 エンジンルーム後部のメッシュ付きカバーに関しては、全体プラパーツと、エッチングのメッシュを取り付けるためのくり抜きパーツの選択式。ドラゴンのパーツと比べると、やや前後長が長め。後ろのカーブが急なので、ますます前後に間延びして見える気がする。上に乗っているのはドラゴンの1941年型用のカバー。

エンジンルーム後面パネルは、「INITIAL PRODUCTION」と「EARLY PRODUCTION」とでは別枝。「EARLY PRODUCTION」にはブロートーチ収納用(だっけな?)の箱パーツが付いていて、後面パネルにその箱を取り付ける突起がある。実物の突起は細いパイプ状のはずなので、箱を取り付けない場合は作り替えたほうがよいと思う。

排気管カバーは鋳造でボルト周りに逃げ溝があるタイプ(下の起動輪の枝写真参照)。こういうところが、マニアをニヤリとさせる部分というか何というか。

F1015987▼装備品関係。

車体後部の筒形増加燃料タンクに関しては、初期型のSU特有のタンクホルダーがそれなりの再現度でパーツ化されている。もちろん、そうなっていてアタリマエではあるのだが、以前にドラゴンのSU-85Mを作った時に結構面倒な思いをしたので、じわじわ嬉しい。

ただし、燃料タンクそのものは単純な筒形。SU用(というよりも、このタンクホルダー用?)の燃料タンクは、固定ベルト位置の内側に、ズレ防止のためと思われるタガ状の凸部があるのが標準的な形状であるように思う。

F1015986ほか、フェンダー上や車体側部に付く装備品は、大小の工具箱、グローサー、シャックル、のこぎり、クリーニングロッドなど。実物通りあっさりしたもの。

大小の工具箱は、フェンダーへの取り付けベロも一体にモールドされている。ベロそれ自体、プラパーツとしてはかなり薄く仕上がっていて、それはいいのだが、大小の工具箱のベロが同形状なのは疑問。ここは戦車型と同様に、大の方は取っ手を板状のフックにひっかけ、そのフックをボルト止めする形状のはず。したがって、車体側(フェンダー側)の受け金具も配置が違ってくる。戦車型の場合は(適当な工作だが)こんな感じ

F1015992 グローサーのパーツは、ドラゴンのT-34-85やSUに付属のものに比べると、まったく別物と思えるほどに幅が狭い(写真、パーツ枝の真ん中あたりで2連になっているもの)。こんなタイプがあったのかなあ……?

▼足回り。

後期標準タイプの起動輪と誘導輪。転輪は後期型のディッシュタイプで、ゴムリムには刻み目と穴付き。

F1015990 起動輪を、ドラゴンの同形式のパーツと一緒に撮ってみたのが右写真。右側がminiart、左側がドラゴン。基本、大きな差はないが、miniartのもののほうがごく僅かに径が大きいかも。

ローラー固定軸の表現は、miniartのものは、内側(車体側)が円錐形のボルト頭(?)、外側がキャッスルナット。ドラゴンのパーツは両側がキャッスルナット。どうせ見えないからいい、と言えなくもないが、実際はminiartのように両側で異なっているものではないかと思う。なお、タミヤの起動輪(わずかに初期のタイプ)は、円錐形のアタマを表側に持ってきてあったような気がする。

F1015999 F1016002 F1015997 転輪も、ドラゴンの同形式のものとパッと見に大きな差はない。左側の写真、左の大きな枝がドラゴン、右の小さな枝2つがminiart。ゴムリムの刻み目と穴の表現も、ほぼ同じような感じ。

ただし、細かく見ていくと、miniartの転輪は、リム部内側に溶接表現が加えられている。また、破壊された状態にして脇に転がしでもしない限り見えないだろうが、転輪の内外の間、内側部にも間隔が設けてあるなど、後発ならではの「ちょっとした違い」を加えてある。

F1016014 驚いたのが履帯。先行の「INITIAL PRODUCTION」では、センターホーンのないほうの履板をSU系によく見られる、リブの数が少ないタイプにしてあって、「miniart、やるなあ……」と思っていたのだが、この「EARLY PRODUCTION」では、さらに一ひねりして、2分割タイプをセットしてきた。

写真上側のホーンのあるほうのパーツ枝は共通。履板表側に開口している、中空のホーン穴がかなり深く彫られている。下の一列になっているのが、今回新規の2分割履帯。個人的には「INITIAL PRODUCTION」に入っていた方のタイプがちょっと欲しかったのだが(2分割タイプはANVIL製のものをSU-85Mで使い、さらにもう1セット持っているので)、もちろんこれはこれで悪くない。なお、この履帯はピン止め式ではなくパチハメ式になっているのだが、履板のピンモールドを折らずにきちんと可動式に繋ぐことができるのかは未検証。ちょっと不安。誰か繋げてみてください。

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夏の秋葉原

●暑いなり~。

●資料を取りに神保町の事務所に行く。しばらくぶりに東京駅を通ったら、エキナカのショッピングモール、「GRANSTA(グランスタ)」が横須賀線/総武線快速ホームへのエスカレーター左右にまで拡大していた。さらに東西線方面への地下通路入口に回転寿司までオープンしていた。

関係ないけどグランスタと九段下ってちょっと似てるよね……(似てない? どうも済みません)。

●帰りに秋葉原に寄る。主目的はラジオ会館のイエローサブマリンのショーケースに先週から展示されている、me20さんのルノーUE豆戦車型(中華民国陸軍)と、フィアット3000の鑑賞。

いやもうなんと言うか。ルノーUEもフィアット3000もキットは持っているし、前者に関してはほぼ組み終わってもいるので、me20さんの製作記/報告写真も大きさは重々承知の上で見ていたはずなのに、改めて実物をみると、その微小な工作と塗装の「キッチリ感」が衝撃的。

ルノーUEと同じく、週末模型親父さんのところの「軽戦車コン」で作っていたビッカース水陸両用戦車の塗装をme20さんに褒められて、あまり自信のない塗装もちょっとはマシになってきたのか?と思ったのだけれど、いやいや、まったくレベルが違いました。はうあー。

というわけで、しばらくはYSに展示されているとのことなので、東京近郊にお住いの「ちょっとマイナーなAFVが好き系」な方は見に行って吉なり。

F1016017 ●miniartのSU-122、極初期型(あるいは先行量産型?)のフルインテリア・キットが出たばかりと思っていたのだが、もうインテリア抜きの初期型と、フルインテリアのSU-85 1942年中期生産型が発売になっていた。

SU-122初期型を購入。インテリア無し、しかもドラゴンのように不要パーツてんこ盛りではないにもかかわらず、ドラゴンのT-34シリーズと同サイズの箱は結構ギッチリ。パッと見興味を覚えた・気になった・気に入ったアレコレに関してはまた改めて。

F1016037 ●me20さんの作品を見たショックのあまり小腹がすいたので(謎)、ドネルケバブを食べる。秋葉原のケバブは数系統の店があるが、今日はスターケバブ。初めて食べるチキン。猛烈に暑い日の都心の路上で辛口ソースで食べて唇がひりひり。

ピタパン入りのケバブサンドはどうしても上品に食べることが許されない凶悪な食べ物で、手も口の周りもベタベタになるが、コストパフォーマンスは比較的高く、お腹は一杯になる(ちなみにこのチキンは450円だった)。

F1016019 ●昔ながらの秋葉原の雰囲気を残す、中央・総武線高架下のパーツショップで、より線のリード線をひと巻き買う(100円)。現在製作中のT-34 STZ1942のグローサー結束に、中身の細線を使うため。

そもそもこの手のリード線はどこかにストックがあったはずだが、家探しする手間よりも100円で解決するほうを選んだ。……T-34、100輌分くらいあるなこりゃ。

F1016048 ●我が家のチビ(今年から小学一年生)は、ドールハウス系のミニチュア作りにかなり入れ込んでいる。鎌倉のミニチュア専門店に作品が展示されているくらいなので、すでにかなり病膏肓。

先日、チビは羽田でやっていたというミニチュア展に出掛けて行ったのだが、その際にハーブショップのミニチュアのキットを買って帰ってきた。全体形を板材で組んで、細かいガラス砂(?)をアクリル塗料と木工ボンドに混ぜてモルタル表現を付けるとか、いろいろ作業がややこしく、手伝いに駆り出され中。現在、ほぼ外形だけ出来上がりつつあり、こんな感じ。

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スターリングラード・トラクター工場(20)

週末模型親父さんのところのAFV模型のネットコンペ、「SUMICON 2016」の参加作、cyber-hobbyの「T-34/76 STZ Mod.1942」の進捗報告。今回は著しく小ネタ。

●牽引フックの外れ止めツメの「何だかバネっぽいもの」に関しては、前回の「不発妄想考証」で書いた通りで、Wydawnictwo Militariaの図面に描かれたコの字の線材は、どうやらバネではないらしいことが判明。

あれこれ写真を漁ってみると、どうもこのコの字金具は、錨型フック各形式の外れ止めツメには、ほぼ標準的に付いているらしい(そしてツメを支えるバネはもっと目立たずこっそり付いているらしい)ことも判った。

さらにセータ☆氏から、「コの字金具は爪を開状態にする際(特にワイヤーを外す際)に手でつかんで開く為のハンドル」ではないか、というコメントを頂いた。なるほど!

確かにそう言われれば、ワイヤー端のループを外す際、ツメを手で倒していると、手を挟んで思わぬケガなどしそうで、ツメを倒すハンドルの必要性は高い気がする。なんだかスッキリ。どうもありがとうございます。

●何やらここまでその存在をネタに云々していると、付けずに済ますのもコの字金具に申し訳ない気がして(?)、追加工作をすることにした。

材料は秋葉原の昔ながらの電気パーツ屋さんで買ったエナメル線(ツメの軸が約0.4mmなので、半分くらいで0.2mm径?)。4カ所取り付けるのに、半分近く跳ね飛ばしたり落としたりで紛失した。

F1015975 F1015976 F1015972

車体後面のものは、本来、真っ直ぐ下に垂れ下がっているべきなのかもしれないが、さすがにそれは接着するにも面倒だし、その後の強度も不安なのでベタ付けした。

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スターリングラード・トラクター工場(19.5)

前回書いた、スターリン・グラード・トラクター工場製T-34に主に用いられているタイプの牽引フックのツメについての若干の考察。

Wm01 このツメは、台座先端に軸を溶接し可動式となっているが、もちろんそのままでは(少なくとも車体前部のツメは)内側に倒れたままになってしまう。ツメを閉位置に保持するためのバネがあると考えるのが妥当だが、「Wydawnictwo Militaria、#265、T-34 Vol.II」には右のように図示されている(Wydawnictwo Militariaより引用、マル印は筆者)。

丸で囲んだ部分のコの字型の線材がバネではないかと思われ、また実際にこれが写っている実車写真も見たことがある気がする(うろ覚え)。前回示したメディンの実車写真でも、ツメの車体側先端に、この線材が入るらしい穴の痕跡のようなものが見える。

しかし。本当にこの図に示したような形が正規の状態なのだろうか。ツメにテンションを掛けるにしては、この位置はちょっと変な気もする(もちろん、線材がうまい具合に車体側に固定されていればバネとして機能するとは思うが)。

それよりも、この線材はこの図と逆に、ツメの下側(台座側)に畳まれているものなのではないだろうか。それなら、ツメの軸周りの凸部に引っかかって、ツメを閉位置に保持する形になりそうだし、車体側に固定する必要もない。車体後部のフックの場合、逆に爪が勝手に外側に開いてしまわないかという気もするが、それはこの線材が台座のV字に引っかかってくれれば問題がない。

この線材が図のように台座と反対側に出てしまっているのは、ツメが内側に倒れ過ぎた時にツメの下部から“すっぽ抜け”てしまった結果なのでは、などとも思う。

もちろん上記はこの線材が本当にバネだとしてという仮定の話で、これはバネじゃなくて何かを繋ぐためのリングだよ?ということもあるかもしれない。

……なんだかほとんど証拠も何もない、仮定に次ぐ仮定の妄想話ですが。

「いやいや、バッチリの細部クローズアップ写真があって、それで仕組みも一目瞭然よ?」という例をご存知の方はぜひご一報を。そういえば、後期のフックのツメの場合、バネってどうなってるんだっけ。

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上を書いてしばらくして、後期のフックのツメについて調べていたら、以下のような写真に行き当たった。

183工場製のT-34-85のフックのツメ写真

これを見ると、向かって右側に、おそらくフックを起立位置に保持している線バネの尻尾らしきものが見えていて、それとは別に、上で話題にしているのとほぼ同形状のコの字の線材が付いている。それぞれが別のものなのは、線の太さが明らかに違うことで判る。

ということは、上で話題にしているコの字も、ツメを支えるスプリングとは別の用途のものである可能性が高そうだ。あれこれの妄想、まるで空振り!?

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