
●昨日購入した、miniartの新製品、#35181「SU-122 EARLY PRODUCTION」(SU-122初期型)の(割と偏った)レビュー。
まだパーツひとつ切り出しておらず、合いだの全体形だのはまったく未チェック。そういうのはもうちょっと真面目な新製品レビューとかを見て下さい。
というわけで、あくまでも箱を開けて、ガサガサとパーツ枝を取り出してみて目に留まったところ、気になったところなどを脈絡なく。
なお、大昔に作ったタミヤのSU-122はこんな感じ(T-34 maniacs内の製作記事)。
●箱の大きさはドラゴンのT-34シリーズとほぼ同じ。パッと見、だいぶ箱に厚みがあるように感じたのだが、比べてみたら差がなかった。箱を開けると、このメーカー独特の匂いがする。こ、これがウクライナの匂いか……(違)。
パーツ全部が一つのビニール袋の中に押し込められてまとまっているが、袋を開けてバラけさせると結構な量で、ドラゴンのように不要パーツてんこ盛りでないにも関わらず、かなり箱がいっぱいいっぱいになる。例えば転輪など、同形状のパーツが多数ある場合、小分けにして金型を小さくし、同一枝を多数セットするというのがこのメーカーの方針らしい。……2分割履帯方式?
これより前に出たフルインテリアの「SU-122 INITIAL PRODUCTION」から車内再現パーツを取り除いただけではなく、再初期型と初期型の違いにより、外形パーツにもいくつか差がある。こちらも、パーツ枝の一部を差し替えるというよくある方式ではなく、差異のある部分は最初から小さな別枝に分けてある。
「SU-122 INITIAL PRODUCTION」に関しては、セータ☆氏のGIZMOLOGIC CAFÉに簡単なインプレがある。以下、セータ☆氏の指摘の再確認も含めて。
▼まずは車内~車体の基本形周り。
ドラゴンのT-34シリーズと違って、シャーシも底板・側板別パーツの箱組み。車内オミット版とはいえ、砲尾はそのまま入っているし、砲手用?の丸椅子も取り付けるよう指示されている。その前方の操縦手席がないのにこれだけ付けてどうするんだ……と思わなくもないけれど。なお、外見上は内側防盾も再現されているものの、カバー部と一体なので砲は左右動できない。
もともとフルインテリア版が前提のキットなので。、コイルスプリングのカバーなども、ドラゴンに比べると凝った出来。ドラゴンではパーツの共通化で、本来(戦車型の)砲塔リングを避けるために角度が立っている第3転輪用スプリングカバーも他と同一形状だったが(そのために車体上面の点検パネルと位置がずれている)、このキットでは形を違えてある。
写真下側の大きな枝の中央2つが第3転輪用。上の小さい枝に入っているのが第2、4、5転輪用。大きい枝右端は第1転輪用。大きい枝左端は……不要パーツ?
なお、ドラゴンのパーツの角度が違うといっても、サスアームの作動範囲が違うわけではないのでシャーシの穴の形状は一緒だし、転輪に隠れてしまうスプリングの角度がやや違う?程度のものなので、内部を作り込もうと考えない限りはあまり大きな問題ではない。
シャーシ前面装甲板は、SUシリーズの場合、戦車型にはない点検パネルがある。
キットでも当然それが再現されているのだが、これは小さすぎではないかと思う。右写真はドラゴンのSUで、本来はこれくらいの感じのはず。
シャーシ後面装甲板は、ギアハウジング真下の油抜き?の穴もちゃんとモールドされている。内側のグリース注入用?のボルト頭も別部品でちゃんと用意されている。さすがにこのへんは、ドラゴンのキットより1世代新しい、という感じがする。
戦闘室天井板は、先行のキット「INITIAL PRODUCTION」と今回の「EARLY PRODUCTION」との大きな相違点で、別枝の別パーツとなっている。パッと見の大きな違いは間接照準用のキューポラにある観測窓のフラップが「INITIAL PRODUCTION」では前方と側方の3カ所、「EARLY PRODUCTION」では後面にもあって4カ所。キューポラそれ自体の基本形も僅かに違うようだ。
パーツの「ツクリ」としては基本同じで、天井裏面に結構ごちゃっとモールドがあるのだが、有り難いことに表面にヒケなどは生じていない。いや、こんな細かい裏面のモールド通りに表にヒケが出ていたら、ちょっと頭かきむしりレベルのショックですが。
▼エンジンルーム周りのディテール。エンジンルーム上面も、カバー下や、そこに付く空気流量調節フラップなどももきちんと再現されている。
ところが、せっかくその部分が再現されているにもかかわらず、グリルはだいぶダルい出来で、特に側面グリルは開口もしていない。これは、もともとブロック状で表面しか再現してないドラゴンのパーツの方がまだマシに見える。
なお、この部分はドラゴンと比べ上下幅もだいぶ狭いので、ドラゴンのパーツ、もしくはドラゴン用に設計されたアフターパーツを使う場合には調整の必要がある。ちなみにこのグリルに関しては、STZ1942の工作記事で「実車同様にエッチングパーツと真鍮線で組み上げるアフターパーツも出ている」と書いたが、流行りの3Dプリンタによるパーツでも同様のものがあり、セータ☆氏が紹介している。いいなーコレ。
エンジンルーム後部のメッシュ付きカバーに関しては、全体プラパーツと、エッチングのメッシュを取り付けるためのくり抜きパーツの選択式。ドラゴンのパーツと比べると、やや前後長が長め。後ろのカーブが急なので、ますます前後に間延びして見える気がする。上に乗っているのはドラゴンの1941年型用のカバー。
エンジンルーム後面パネルは、「INITIAL PRODUCTION」と「EARLY PRODUCTION」とでは別枝。「EARLY PRODUCTION」にはブロートーチ収納用(だっけな?)の箱パーツが付いていて、後面パネルにその箱を取り付ける突起がある。実物の突起は細いパイプ状のはずなので、箱を取り付けない場合は作り替えたほうがよいと思う。
排気管カバーは鋳造でボルト周りに逃げ溝があるタイプ(下の起動輪の枝写真参照)。こういうところが、マニアをニヤリとさせる部分というか何というか。
▼装備品関係。
車体後部の筒形増加燃料タンクに関しては、初期型のSU特有のタンクホルダーがそれなりの再現度でパーツ化されている。もちろん、そうなっていてアタリマエではあるのだが、以前にドラゴンのSU-85Mを作った時に結構面倒な思いをしたので、じわじわ嬉しい。
ただし、燃料タンクそのものは単純な筒形。SU用(というよりも、このタンクホルダー用?)の燃料タンクは、固定ベルト位置の内側に、ズレ防止のためと思われるタガ状の凸部があるのが標準的な形状であるように思う。
ほか、フェンダー上や車体側部に付く装備品は、大小の工具箱、グローサー、シャックル、のこぎり、クリーニングロッドなど。実物通りあっさりしたもの。
大小の工具箱は、フェンダーへの取り付けベロも一体にモールドされている。ベロそれ自体、プラパーツとしてはかなり薄く仕上がっていて、それはいいのだが、大小の工具箱のベロが同形状なのは疑問。ここは戦車型と同様に、大の方は取っ手を板状のフックにひっかけ、そのフックをボルト止めする形状のはず。したがって、車体側(フェンダー側)の受け金具も配置が違ってくる。戦車型の場合は(適当な工作だが)こんな感じ。
グローサーのパーツは、ドラゴンのT-34-85やSUに付属のものに比べると、まったく別物と思えるほどに幅が狭い(写真、パーツ枝の真ん中あたりで2連になっているもの)。こんなタイプがあったのかなあ……?
▼足回り。
後期標準タイプの起動輪と誘導輪。転輪は後期型のディッシュタイプで、ゴムリムには刻み目と穴付き。
起動輪を、ドラゴンの同形式のパーツと一緒に撮ってみたのが右写真。右側がminiart、左側がドラゴン。基本、大きな差はないが、miniartのもののほうがごく僅かに径が大きいかも。
ローラー固定軸の表現は、miniartのものは、内側(車体側)が円錐形のボルト頭(?)、外側がキャッスルナット。ドラゴンのパーツは両側がキャッスルナット。どうせ見えないからいい、と言えなくもないが、実際はminiartのように両側で異なっているものではないかと思う。なお、タミヤの起動輪(わずかに初期のタイプ)は、円錐形のアタマを表側に持ってきてあったような気がする。
転輪も、ドラゴンの同形式のものとパッと見に大きな差はない。左側の写真、左の大きな枝がドラゴン、右の小さな枝2つがminiart。ゴムリムの刻み目と穴の表現も、ほぼ同じような感じ。
ただし、細かく見ていくと、miniartの転輪は、リム部内側に溶接表現が加えられている。また、破壊された状態にして脇に転がしでもしない限り見えないだろうが、転輪の内外の間、内側部にも間隔が設けてあるなど、後発ならではの「ちょっとした違い」を加えてある。
驚いたのが履帯。先行の「INITIAL PRODUCTION」では、センターホーンのないほうの履板をSU系によく見られる、リブの数が少ないタイプにしてあって、「miniart、やるなあ……」と思っていたのだが、この「EARLY PRODUCTION」では、さらに一ひねりして、2分割タイプをセットしてきた。
写真上側のホーンのあるほうのパーツ枝は共通。履板表側に開口している、中空のホーン穴がかなり深く彫られている。下の一列になっているのが、今回新規の2分割履帯。個人的には「INITIAL PRODUCTION」に入っていた方のタイプがちょっと欲しかったのだが(2分割タイプはANVIL製のものをSU-85Mで使い、さらにもう1セット持っているので)、もちろんこれはこれで悪くない。なお、この履帯はピン止め式ではなくパチハメ式になっているのだが、履板のピンモールドを折らずにきちんと可動式に繋ぐことができるのかは未検証。ちょっと不安。誰か繋げてみてください。
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