スターリングラード・トラクター工場(21)
●週末模型親父さんのAFV模型のネットコンペ、「SUMICON 2016」参加作、cyber-hobbyの「T-34/76 STZ Mod.1942」の製作記。
●右フェンダー上の装備品その他の工作。
▼ジャッキは、キットの指定では背中合わせ(というか、お尻合わせ?)で2基を載せるようになっており、フェンダー上にもジャッキホルダーの座金のモールドがある。
しかし、実車写真をあれこれ見ると、ハリコフ機関車工場製の1940年型~1941年型では確かに2連で装備している例はあるものの、STZ製では1基までしか載せている例は確認できなかったので、1基だけ載せることにした(工作が面倒だったので1基だけにした、わけではな……くもない)。
また、ある程度オリジナルの状態を留めていると考えられる現存車輌でも、キットのモールドのような座金は確認できなかったので、今さらながら追加工作でモールドを削り落とした。
もちろん、正規では2連で載せるようになっているものの、単にホルダーごと取れてしまっただけということも考えられるのだが、一方では、工場を出たてと思われる写真でも、1基も載せていない写真もある。
ジャッキのパーツはホルダーと一体モールドなのだが、別途、ホルダーはエッチングパーツが用意されていて、モールドを削り取ってエッチングパーツを使うよう指定されている。
ただし、このエッチングパーツは、特に締め具部分がどう曲げていいのかよく判らない構造になっているうえ、形状も上手く再現していない感じだったので、パーツの一部のみを切り取って利用し、作り直した。形状、構造がよく判る鮮明なクローズアップ写真はあまりないが、とりあえずこの写真(メディンの現存車輌)を主に参考にした。また、ジャッキも少し手を入れた。両方ともはっきり細部形状を把握しているわけではなく、「なんとなくこんな感じ?」という適当工作の域を出ていない。
▼以前に工作したグローサーをフェンダー上に装着。
正規にはベルトでくくり付けるようになっていて、キットにはその結束用ベルトもエッチングパーツで用意されている。とはいえ、実車ではベルトが失われたのか最初からなかったのか、針金等でくくり付けてある例が数多く見られるので、そのようにした。先日買ってきたリード線の中身の細線で表現。エッチングパーツのベルトの場合、それらしく上手く取り付けるのが難しそうだ、と思ったというのもある。
この写真では装着部の前に4つ、中に5つ。使い残しが出たので、さらに数枚追加で作成して、このあと、後ろの装着部にも5枚載せた(下写真参照)。
実は、ちょっと変化を付けるために、1カ所は予備履帯を載せようかと思ったのだが(実車でもよく見かける)、本来、フェンダー上にぴったりはまるはずの履板が、プラの厚み+U字金具のためにうまく収まらないので諦めた。
なお、Wydawnictwo Militariaによれば、旧型のグローサーに追加で穴を開けて後期550mm履帯の初期タイプ(ややこしい)に適合するようにしたものもあったらしい。これを1枚混ぜて載せようかともちょっと思ったのだが、Wydawnictwo Militariaに実物写真が単体では出ているものの、実際に車輌に載せている写真は(しっかり確認し直していないが)見たことがないので、やはりヤメにした。
▼ワイヤーロープは、キットには妙に多種の端部パーツが入っている。
キットの指定は写真1枚目の、旧型起動輪・誘導輪や箱型増加燃料タンクと同一枝のもの(F5)なのだが、これはおそらくハリコフ機関車工場製車輌の初期型車体で一般的なタイプ。3枚目(R8)、4枚目(R11)のものは、スターリングラード・トラクター工場製仕様の初期型砲塔の枝に入っているもの。Wydawnictwo Militariaでは、3枚目の形状のものを「Stalingrad-type」と紹介しているが、当時の実車写真で確認する限りでは、STZ製の後期の生産車では、4枚目の写真のタイプに似たものが使われている場合が多いようだ。ソ連戦車用のケーブルのアフターパーツを各種発売しているEUREKA XXLでも、これと似たタイプをSTZ用として出している。
そもそもSTZ用パーツの枝に、わざわざ新規に含めているからには、ドラゴンもこれをSTZ用と想定してパーツ化したのではないかと思うのだが、なぜかキットでは不要パーツ扱い(STZ 1941年型キットではこれを使うよう指示されているらしい)。
もっとも、ワイヤーロープは、端部を右写真の黄色の矢印位置にあるU字金具にベルトで止めるようになっているのだが、このパーツを使った場合、キットに付属のワイヤーでは長さが足りない。初期型用のF5パーツは長さがあるので十分届く。まさかワイヤーが短かったのでF5を使うことにしたのでは……(ただし、しっかり検証していないが、R11も届くようだ)。STZ1941年型キットではワイヤーの長さはどうなっているのだろう。
なお、ワイヤーは2本載せるのが正規のようだが、上の端部パーツは、F5以外は1本分(2つ)のパーツしかない。
●前照灯の工作。
すでに基部はキットのエッチングパーツを取り付けてあったが、いざ前照灯を付けようと思ってよく見ると、取付部のベロが長すぎる。仕方がないので引っこ抜いてベロ部を切除してしまい、残った根元部分に改めて穴を開け、折り曲げて植え直した。
右が修正前、左が修正後。修正前の状態だと、もともと曲げ部分に筋彫りが入っているために強度的にも心もとなかったのが、修正後はその点でも安心できる状態になった。
前照灯本体はキットパーツの基部を小工作。接続の軸は強度を持たせるために0.5mmの真鍮線を使用。電線引き込み部との間を伸ばしランナーで繋いだ。
●以上で、ひとまずは工作完了(排気管の長さ詰め作業など一部やり残しもあるが)。
並行製作のクラスナエ・ソルモヴォ工場製車輌などいじりつつ、しばらくはこの状態で眺めてみて、気になるポイントがあれば追加工作を施すつもり。
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コメント
かば◎ さん
T34 スターリングラード・トラクター工場版 の組立・工作 お疲れ様です。
精密なディティール工作はいずれ製作するつもりのときにの参考にさせていただきます。
前照灯の基部のこだわりはさすがです。
私だったらこれをプラ板かランナーで作ろうと考えどうしようか悩んでいたかもしれません。
まだ別バージョンがあるのですね、引き続き製作記が楽しみです。
投稿: | 2016年8月12日 (金) 19時14分
ソ連軍のジャッキはイタリアのっぽいのですね。
円形のジャッキって意外と資料ないので興味深いです。
投稿: | 2016年8月12日 (金) 23時17分
ジャッキの件の投稿はわたしです・・・申し訳ないです
投稿: みやまえ | 2016年8月12日 (金) 23時28分
かば◎ さん
また、やっちゃいました!
名無しで失礼。
前照灯の基部についてのコメントは私です。
投稿: hiranuma | 2016年8月13日 (土) 00時25分
>hiranumaさん、みやまえさん
コメントありがとうございます。
名前の件はお気になさらず。
白状すると、私もこのコメント欄でよくやります。
自分が管理人なので、あとで管理人権限で再編集して名前を入れられるだけで(笑)。
前照灯基部は、キットにエッチングパーツが入っているのでそれを使ったのですが、どうもこのキットのエッチングパーツは形状的にアテにならないのが多いようです。
しかし、仮にエッチングパーツが入っていなくても、実物が薄い板状のものなので、金属板を使ったと思います。
ジャッキは、BTも似たような形なので、「もしかしたらタミヤのBTのジャッキを流用したほうがいいんじゃないか?」なんて思ったのですが、微妙に別形態っぽいです。
まあ、戦車自体の重さがだいぶ違うので、考えてみれば違っていてあたりまえですね(^^;
投稿: かば◎ | 2016年8月14日 (日) 20時57分