« スターリングラード・トラクター工場(19) | トップページ | スターリングラード・トラクター工場(20) »

スターリングラード・トラクター工場(19.5)

前回書いた、スターリン・グラード・トラクター工場製T-34に主に用いられているタイプの牽引フックのツメについての若干の考察。

Wm01 このツメは、台座先端に軸を溶接し可動式となっているが、もちろんそのままでは(少なくとも車体前部のツメは)内側に倒れたままになってしまう。ツメを閉位置に保持するためのバネがあると考えるのが妥当だが、「Wydawnictwo Militaria、#265、T-34 Vol.II」には右のように図示されている(Wydawnictwo Militariaより引用、マル印は筆者)。

丸で囲んだ部分のコの字型の線材がバネではないかと思われ、また実際にこれが写っている実車写真も見たことがある気がする(うろ覚え)。前回示したメディンの実車写真でも、ツメの車体側先端に、この線材が入るらしい穴の痕跡のようなものが見える。

しかし。本当にこの図に示したような形が正規の状態なのだろうか。ツメにテンションを掛けるにしては、この位置はちょっと変な気もする(もちろん、線材がうまい具合に車体側に固定されていればバネとして機能するとは思うが)。

それよりも、この線材はこの図と逆に、ツメの下側(台座側)に畳まれているものなのではないだろうか。それなら、ツメの軸周りの凸部に引っかかって、ツメを閉位置に保持する形になりそうだし、車体側に固定する必要もない。車体後部のフックの場合、逆に爪が勝手に外側に開いてしまわないかという気もするが、それはこの線材が台座のV字に引っかかってくれれば問題がない。

この線材が図のように台座と反対側に出てしまっているのは、ツメが内側に倒れ過ぎた時にツメの下部から“すっぽ抜け”てしまった結果なのでは、などとも思う。

もちろん上記はこの線材が本当にバネだとしてという仮定の話で、これはバネじゃなくて何かを繋ぐためのリングだよ?ということもあるかもしれない。

……なんだかほとんど証拠も何もない、仮定に次ぐ仮定の妄想話ですが。

「いやいや、バッチリの細部クローズアップ写真があって、それで仕組みも一目瞭然よ?」という例をご存知の方はぜひご一報を。そういえば、後期のフックのツメの場合、バネってどうなってるんだっけ。

------------

上を書いてしばらくして、後期のフックのツメについて調べていたら、以下のような写真に行き当たった。

183工場製のT-34-85のフックのツメ写真

これを見ると、向かって右側に、おそらくフックを起立位置に保持している線バネの尻尾らしきものが見えていて、それとは別に、上で話題にしているのとほぼ同形状のコの字の線材が付いている。それぞれが別のものなのは、線の太さが明らかに違うことで判る。

ということは、上で話題にしているコの字も、ツメを支えるスプリングとは別の用途のものである可能性が高そうだ。あれこれの妄想、まるで空振り!?

|

« スターリングラード・トラクター工場(19) | トップページ | スターリングラード・トラクター工場(20) »

T-34」カテゴリの記事

製作記・レビュー」カテゴリの記事

資料・考証」カテゴリの記事

コメント

興味をもったのでフックのある車両の写真を見てみましたが、
なんか、我々の常識と違って開いてるのがデフォルトのような気がしてきました・・・
http://svsm.org/albums/T-34-76_little/IMGP2703.jpg
http://data4.primeportal.net/tanks/carrey/t-34/images/t-34_090_of_102.jpg
http://data.primeportal.net/tanks/adam_vukich/t-34-85/T-34-85_03.jpg
バネの効かせ方としては左右違う穴に差し込むタイプでしょうか・・・

投稿: みやまえ | 2016年8月 1日 (月) 21時43分

解決しているようですが、三角爪の左右の軸にバネが巻いてあり(後期のものよりかなり細い)、バネによってウンジャマカの図面のような位置を保持するようになっています。
コの字金具は爪を開状態にする際(特にワイヤーを外す際)に手でつかんで開く為のハンドルだと思われます。

投稿: セータ☆ | 2016年8月 2日 (火) 00時53分

>みやまえさん

生きている車輌ではツメが立っている写真が結構あるので(寝ている写真もあるのですが)、やはり何らかのバネ機構はあるのだと思います。
結構、へたったり切れたりしやすいんじゃないでしょうか。

>セータ☆さん

ありがとうございます!
なるほど、そうなっていたか!と、諸々納得がいきました。
しかしそうなるとやはりコの字金具も欲しくなりますね。
うへー。細かい。

投稿: かば◎ | 2016年8月 2日 (火) 10時11分

やはりバネなんですね。
ロシア語読めないので確かなことは言えませんがその形のフックのオリジナルらしき図面が Wydawnictwo Militaria 328 - T-34 vol.VI P28 に載ってました。
http://i.imgur.com/9E6PMsR.jpg

フィンランドのT34、PS231-1号車のは改造されてるけど部品形状がよくわかります。
http://www.andreaslarka.net/ps231001/2008_23100115.jpg

コの字金具がなかったら、フックのバネを手で押し下げたところで引っ掛けてあったタグロープがバチンと跳ねて指を紛失。。なんて事故が頻発しそうですね。

投稿: hn | 2016年8月 2日 (火) 19時05分

かば◎ さん 他 コの字金具情報投稿者さん

素晴らしい情報提供力です。
たかだか牽引フックの留め金ですがディテールの構造や機能の意味を知るとぐっと愛着が増すものです。戦車模型を作っていて味わえる喜びのひとつかと思います。
興味こそ理解の源泉ですね。
みなさんのディテール探索力に乾杯します♫


投稿: hiranuma | 2016年8月 2日 (火) 20時46分

なるほど、取っ手だったわけですね。勉強になりました!
すばらしいです!

投稿: みやまえ | 2016年8月 2日 (火) 21時23分

>hnさん、hiranumaさん、みやまえさん

ありがとうございます。
考証(というか妄想)は盛大に空振りましたが、最終的に一つカシコクなりました(笑)。
本日更新しましたが、ここまでネタとして引っ張った(というか、楽しませてもらった)ならやっぱり付けとかなきゃダメだろうと思い直し、コの字金具を追加工作しました。

hnさん、Wydawnictwo MilitariaのT-34って、もう第6巻まで出てたんですね!
あれは内容が濃いのでチェックしておかないとダメですね。本文が読めないのが非常に惜しい資料シリーズです。

投稿: かば◎ | 2016年8月 2日 (火) 23時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1208697/66792172

この記事へのトラックバック一覧です: スターリングラード・トラクター工場(19.5):

« スターリングラード・トラクター工場(19) | トップページ | スターリングラード・トラクター工場(20) »