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スターリングラード・トラクター工場(19)

週末模型親父さんのところのAFV模型のネットコンペ、「SUMICON 2016」の参加作、cyber-hobbyの「T-34/76 STZ Mod.1942」の進捗報告。

いつのまにやら工作もほとんど最終コーナー、あちこちやり残してあったところを一つ一つ埋めている感じ。

●牽引フックと、その外れ止めのツメの工作。

後期の一般的な牽引フックの場合、外れ止めのツメはフックとは別に車体側に基部のベロを介して取り付けられているが、スターリン・グラード・トラクター工場製によく見られる、牽引フックの台座がV字型になっているタイプは、ちょっと様子が違う。

STZの1941年型では、簡略化された固定式のツメの例があり、CONCORDの「SOVIET TANKS IN COMBAT 1941-1945」18ページ上写真で確認できる。キットにもこの固定ツメがエッチングパーツで含まれているが、エラの削れた溶接砲塔を搭載した後期生産型では、この仕様は見られないようだ。一時的に用いられた仕様か、あるいは破損したツメの代わりに現地改修で取り付けられたものかも。

より一般的なSTZのツメ形状についてハラT青木伸也氏に訊ねたところ、お馴染みLEGION AFVの写真のなかから2例を紹介してもらった。多謝。

(1).ロシア、カルーガ州メディンでモニュメントとして展示されている1941年型。ハリコフ工場の1941年型としては比較的後期のものか、あるいはスターリン・グラード・トラクター工場製の最初期でまだ緩衝ゴム内蔵転輪等が導入される前のもの。LEGION AFVのキャプションでは、後者の説を採っている。

(2).モスクワ、ポクロンナヤ・ガラのクラスナエ・ソルモヴォ工場製1941年戦時簡易型。STZ製の牽引フックとは若干形状が違うが、ツメは似た装着法。

また、青木氏から「Wydawnictwo MilitariaのSTZ製T-34だけの巻に該当部分のアップの写真が出ていたかも」という話を聞いていたのだが、たまたま某所でその巻(Wydawnictwo Militaria、#265、T-34 Vol.II)を見ることができた。残念ながらアップ写真は載っていなかったが、フック部分の図解があって参考になった。

というわけで、一応の考証結果。

F1015943ツメは平たくつぶれた三角形のような形状で、中心近くに軸穴がある(軸穴左右は円筒形に出っ張り)。軸は台座のV字開口部先端に溶接されている。なんだか頼りない構造で、実際、当時の写真でもツメが取れてしまっている例が結構あるようだ。

実際にどうツメを作るか数度の試行錯誤の後、本体は0.5mmプラバンで工作。軸は0.4mmドリルで穴を開け、伸ばしランナーを通す。軸付け根の円筒形は、コントレールの細いプラ棒に、やはり0.4mmで穴を開けてドーナツ状にスライスしたもの。小さすぎてワジワジする。

●前後して、フェンダーの工作。

前部フェンダーは右側だけ装着、左は外れた状態にするのは割と初めの頃から決めていたことで。実際に右側フェンダーも接着済みだが、内側の固定ベロを工作。右側ベロはプラペーパー。リベットは未使用のフェンダーパーツから。左側はフェンダー無しでベロだけになるので、強度を考えてアルミ板(空き缶の切れ端)で。

実際には内側だけでなく上端にもフェンダー取付金具があるのだが、右フェンダーのリベット位置と対称形にしづらい(ドラゴンのパーツのリベット位置にズレがある?)等々の問題があり、金具ごと取れてしまった設定にした。

後部フェンダーは両側とも、未使用のSTZ1942の車体上部から切り取って来て、若干形状を手直しして接着。フェンダー上に装備されるジャッキブロック?も取り付けた。

内側金具は0.3mmプラバンと伸ばしランナーのリベット。

前述の牽引フックと合わせ、工作結果は以下。

F1015940 F1015939 F1015934 F1015931

なお、このタイプの牽引フックの台座は、リベットで止めた上に、さらに溶接されている。

また、ツメの根元にはツメを閉位置に保持するためのスプリングがあるはずだが、細かすぎて上手く作れる自信がないので、今のところスルー。気が向いたら追加するかもしれない。

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コメント

かば◎ さん

牽引フックの外れ止めの工作、素晴らしい。
周辺の造形とともにT34のディテールがクローズアップされますね。
まさかスプリングを入れて可動にするなんて考えませんよね!
やめましょう狂気の世界ですから。
(私の場合:見えるところで意味のある工作は見える以上作るのが原則です)

投稿: hiranuma | 2016年7月31日 (日) 23時44分

>hiranumaさん

もう接着しちゃいましたよ(笑)。

このツメのスプリング、といっても単にコの字の線材なのですが、
資料「Wydawnictwo Militaria」の図面には描かれていて、
実車写真でも確認できる例があったと思うんですが、
私は、「本当に最初からその位置だったのか? 実はツメの下側に付いているべきものが、抜けて上側に回っちゃったのではないか?(言葉で説明しても判りにくいですが)」という疑いも持っています。
それも、現時点で工作していない理由の一つです。

投稿: かば◎ | 2016年8月 1日 (月) 11時28分

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