スターリングラード・トラクター工場(12)
●週末模型親父さんのところのAFV模型のネットコンペ、「SUMICON 2016」の参加作、cyber-hobbyの「T-34/76 STZ Mod.1942」の製作記。
しばらくぶり、といっても、こんなに模型の製作記を連続投稿しているのは当ブログ開始以来初めてのことで、それを考えれば、前回からそれほど間は開いていない。
●誘導輪。
スターリングラード・トラクター工場製車輌が装着している誘導輪は、穴の形が独特で、小さな丸穴と大き目の涙滴状(もしくは卵形)の穴とが交互になっている。キットは新パーツで、この独特の誘導輪を表現している。
ただし、穴の形はいいものの、間のリブ形状はあまりよくない。実際には、長いほうのリブは外側に向けて斜めに高くなっており、また、中心部はハブキャップの邪魔にならないよう、その少し外側で削り込まれている。短いほうのリブはキットよりもやや長く、形は単純な三角形。右の断面図は「だいたいこんな感じ」と描いてみたものなので、寸法的には正しくない。赤がキットのリブ形状。
ソ連戦車のことなので、形状にいくつかバリエーションがあることは考えられるが、少なくとも標準的には以上のような形状ではないかと思う。私はハブキャップの工作を終えた後で気付いたので、これは直さなかった。
ハブキャップは5本ボルト型だが、標準型誘導輪に使われているものよりもフランジが狭く、ボルトで止める部分だけが外側に膨らんだ形状となっている。キットも専用のハブキャップのパーツを用意してあるのだが、フランジが狭いというだけで、ボルト部分は外周に細い線状のモールドがあるだけ。ボルト頭もあるのかないのかよく判らないという感じのもの。
そこで外周の線状のモールドは削り取り、プラ丸棒を半円断面に削って5カ所に接着。表裏面で平らに削った後、ボルト頭を他から持ってきて接着した。ボルト頭がやや大きめで土台が外側に出っ張っているのがよく見えない状態なのは減点要素。
●履帯。
スターリングラード・トラクター工場製のT-34は、1941年型の途中(?)から、標準のものとはまったく異なるパターンの新型550mm履帯を使用している。形状としては、後に最も一般的に使われるようになる新型500mm履帯にフランジを継ぎ足したような形状。というよりも、このタイプの履帯が後々の新型500mm履帯の原型になったと考えるべきかと思う。
▼昔から「スターリングラード・トラクター工場製車輌を作りたい」と考える場合、おそらく最もネックになっていたのがこの履帯だったのではと思うが、キットには表面パターンの彫刻もシャープなマジックトラックのパーツが付属している。
ただし、センターガイドのあるリンク、ないリンクともに、裏面には(薄くはあるが)押し出しピン跡が2カ所ある。センターガイドのないほうのリンクはまっ平らなのでそのままヤスればOKだが、センターガイドのあるほうはちょっと厄介。単純にセンターガイドが邪魔というだけではなく、四隅に小さな突起状のモールドがあるため。
T-34の合理性(というか、部品節約法)の一例として有名な履帯連結ピンの打ち戻し機構は500mm履帯と合わせて登場したもので、新旧の550mm履帯は、頭のない連結ピンを打ち込んだ後、履板の両端に抜け止めピンを挿すようになっていて、突起のモールドは抜け止めピンを表している。
というわけで、これを削ってしまうわけにはいかないので(いったん削って再生という手もないではないが面倒くさい)、ペーパーの隅で押し出しピン周辺だけをちまちまと削る。平滑性を重視するなら一度ピン跡に溶きパテなど塗るべきだろうが、実物でもここはすり減る部分なのだし、そもそも面倒なので(←こちらが主)そのまま削った。右写真が(わかりにくいが)処理後のもの。なお、左写真でセンターガイド中央にある小穴はマジトラ成型時の射出口の跡(たぶん)。なお、(面倒だしほとんど見えないので)足回りに巻く下側に必要な分しかピン跡の処理は行わなかった。横着するところはしないと完成しないし。
▼とりあえず連結の最小単位となる2リンクを繋いでみたところ。BT~T-34の場合、履帯を伸ばすにも縮めるにもこの2枚1組なので、連結履帯を使って組み立てる場合、長さの調節が割と難しい。
この写真では判りにくいが、T-34の履帯はほとんどのタイプで一応前後方向の別がある。このタイプの場合は、(両リンク共に)連結部に隣接したリブが高くなっている部分の横幅に差がある。
左図で、黄色く塗った部分が他より高くなっているリブ。これを、前進時の回転方向で青矢印の向きに繋げていくのが標準のようだ。たまに違っている例もあるようだが、ある程度は統一されているので、一応、マニュアルなどに「正しい装着方向」が指示されているのかもしれない。
それなりに精度の高いマジックトラックだが、T-34の場合、例えばドイツIII/IV号履帯のように連結部にリブがかぶっていたりしないので繋ぐ際にガイドになるものがなく、「平らに繋ぐ」こと自体、かなり気を遣う(実際、よく見るとやはり連結部に若干の凸凹が生じてしまった)。
本当なら、一周の上側は転輪に沿って微妙な波打ちを表現したいところなのだが、下手をすると連結部がガタガタになりそうだったので、「割と張りが強い状態」ということで無理はしないことにした。
前述のように長さ調整にはちょっと苦労しそうな気がしていたのだが、そちらは割とすんなりいったので一安心。なお、現時点では一周全部をひと繋ぎにしているわけではなく、5分割されているものを仮組みしているので、この写真では一部連結部が不自然になっている。
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