逗子の丸ポスト
●最近ほとんど歩いていないうえ、梅雨入りのお陰でますます運動不足になりそう。というわけで、仕事の谷間と梅雨の晴れ間が重なっているのをいいことに散歩に出掛ける。
いつもなら当然山歩きが主体になるところだが、ふと気が向いて、逗子の丸ポストを訪ね歩いてみることにする。
●お隣の鎌倉は現在でも30もの丸ポストが現役で、これはおそらく自治体単位では小平市と並ぶ日本トップタイなのだが、それに比べて逗子市は寂しいもので、丸ポストは4基しかない。
ポストマップで確認すると、どれも我が家からは市の反対方向で結構遠く、そのためこれまで行ったことがなかった(1基か2基は前を通ったことくらいはあるかもしれないが、その頃はまだ丸ポストにそこまで入れあげていなかった)。
多少は幸いなことに、4基のうち3基は、ほぼ同一方向にある。そんなわけで、逗子の丸ポストの3/4を以下に。
▼逗子~東逗子間、水道路沿い。桜山1丁目2-21、寿し魚友横。こういうちょっと古めのお店の脇というのは、丸ポストが最も落ち着いて見えるポイントだと思う。
▼東逗子駅先、県道24号線沿い。沼間3丁目2-1、長谷川たばこ店前。忍法木の葉隠れポスト。しばらく前までは横に自販機が並んでいたらしい。脇道を挟んで隣の一段高くなったところは、古木の下の庚申塔。
▼横横道路逗子インター近く、県道から北にちょっと入った住宅地。沼間4丁目5-24。隠れんぼポスト。
残る一基はちょっとルート的には外れていて、京急神武寺駅からちょっと上ったあたりの住宅地の中にある。
●上の3つのポストは、ほぼ、逗子駅~沼間の水道路沿いにある。水道路(すいどうみち)は、かつて海軍が軍港・横須賀の水需要のため、はるばる中津川から引いてきた軍港水道半原系(その後横須賀市に移管)の上に作られた道路で、鎌倉、逗子を横断して横須賀に続いている。
今までも逗子駅近辺から鎌倉側に関しては、当ブログでも何度も取り上げているのだが、沼間まで辿ったことはないので、ちょうどいい機会なので、旧沼間ポンプ場までの道筋上の海軍標石を拾える限り拾ってみた。
▼逗子駅ロータリー~下田橋
逗子駅に近い、比較的短い区間。ここは駅に近いのでこれまでにもよく行って見たことがあり、当ブログで最初に海軍標石と水道路の話題を出した時にも紹介済み。
1枚目は駅前ロータリーから水道路に入って10メートルほど?の左側にあるもので、状態も非常によく、とりあえず「海軍標石ってこんなモノ」というのを見たい人にお勧め(そんな人がいるかどうかは別として)。
3、4枚目は辻に向かい合って残っているもので、以前書いたように、角にもう一つあったのだが、家を新築する際に撤去されて(削り取られて?)しまった。
下田橋下脇には青いカバーの掛かった水道管が走っているが、1本しか見当たらない。鎌倉材木座の「水道路」交差点よりこちら側は水道路のもとになった半原系と、その後で作られた有馬系が並行しているはずだが、半原系は2007年に取水停止、2015年には廃止になっている(横須賀市上下水道局)。1本しかないとなると、これは有馬系? それとも橋桁に隠れてもう一本ある?
▼下田橋~蓮沼橋
くねくね曲がる田越川は下田橋で水道路の北側に行き、蓮沼橋でまた南側になる(その後もまた交差するのだが)。水道路は、田越川と県道24号の間を、おおよそ逆への字に走る。海軍標石もぽつぽつあるが、それよりも、戦後になって立てられた「横須賀市水道局」標石がやたらにあり、場所によっては数メートル間隔で3つ4つ並んでいたり、道を挟んで向かい合っていたりする。
以上は「逆への字」のおおよそ頂点くらいまで。1枚目は右側が水道路で、かなりの長距離をまっすぐに進む水道路の特徴が出ている。左側に顔を出しているのが、2枚目写真と同じ標石。
この区間の海軍標石は、頭の上に横須賀市水道局ほかの、金属の「境界」標識を埋め込まれる改造が施されているものがちらほらみられる(2,3,4枚目。5枚目写真は4枚目写真の標石のアタマ)。
逆への字後半。距離はそこそこあるが、前半に比べ海軍標石はあまり見当たらない。1枚目はサイズから考えて「たぶん海軍標石じゃないかなあ」的なもの。2,3枚目は同じ標石で、頭に2つもタグが植えられている。
最後の写真は東逗子駅近く、ヨークマート脇の蓮沼橋を渡る水道管。太いほうが有馬系、細いほうが半原系ではないかと想像。向こう側に裏側だけ見える看板は、実際には両側に掛かっている横須賀市水道局の注意書き。
▼蓮沼橋~沼間ポンプ場跡
東逗子駅前後からしばらくは海軍標石は見当たらない……と思ったのだが、ここを見ると、駅前に一つある。なくなってしまったのかもしれないが、私が単に見落とした可能性もある。
しばらく行くと、水道路はまた田越川と交差し、すぐに県道24号と合流する。見当たらないと思っていた海軍標石だが、沼間会館前の、おそらく火の見櫓跡ではと思われるコンクリート製の台座の根元に1基、横倒しになって塗り込められていた。それからしばらく行くと、沼間コミュニティセンター(旧沼間公民館)に着く、センター下の細長い駐車場が、元のポンプ場跡地であるらしい。
2枚目は沼間ポンプ場跡地、逗子側(上流側)の入口。5,6枚目は横横インター側(下流側)。両方とも、古い門跡が残っている。場内(現在は駐車場)の県道側には、西洋の城の狭間(ツィンネ)のような凹凸の付いた古い壁がある。もともと半原系水道は水源地から逸見の浄水場まで自然流下で水を通していたのだが、昭和6年、能力向上のためにこのポンプ場が設けられたのだそうだ。
最後の3枚の海軍標石は、上記壁の外側にあったもの。1枚目は逗子側端、3枚目は横横インター側端。これは前出の研究サイトでも取り上げられていない。ポンプ場跡のこの壁と県道の間は民家が並んでいるので、この3つ以外にも、民家の庭にぽつぽつと並んでいそう。自分の家の庭先に海軍標石。いいなあ(いいか?)。
この沼間ポンプ場跡地から県道(と田越川)を渡ってしばらく行くと逗子・横須賀市境の水道隧道があり、そこまでにもいくつか標石があるそうだ(というのを帰ってから確認した)。せっかくここまで来たのだから、足を延ばせばよかった。
●散歩の行き帰りの雑多なあれこれ。
我が家の前のアカメガシワには、この時季、しょわしょわした花が咲いてマルハナバチもよく来るのだが(右)、そんな中に、小さな、やたら丸っこいハチのようなヤツがいた。花から花へ、結構忙しなく飛ぶので、ハチ?アブ?などと思っていたのだが、どうもよく見るとハナムグリらしい。後で調べて、「ヒメトラハナムグリ」という種類らしいと判明した(左)。愛用しているポケット図鑑「日本の昆虫1400」には「数は少ない」とある。
沼間、県道24号線沿いで見かけたスゴイもの。この写真はちょっとピンボケであるうえに角度もあまりよくない。むしろストリートビューで見たほうがいいかもしれない(もちろん、この先更新されたらどうなるかわからないが)。
とにかく、明らかに傾いていて、崩壊寸前の廃屋に見えるのだが、実は、まさに営業中の床屋なのだ(看板も出ていないのがますます不思議)。地元の人にとっては見慣れた風景なのかもしれないが、中で散髪中なのを見て驚いた。
五霊神社は沼間の鎮守で、市のほとんど反対側在住の私には馴染みがないものの、お祭りもそこそこ盛んらしい。境内は県道に面してちょっと高台にあり、こぢんまりしている割に鎮守の森が大木揃いで、特に拝殿に向かって右側の大銀杏は立派。鶴岡八幡宮の大銀杏亡き今、もしかしたら一円で一番立派なんじゃなかろうか。いや知らんけど。
説明板には、樹齢は800年、いや1000年にも達するかもしれない、などと書いてあって、ということは鎌倉時代か、下手をすると平安末期にまで遡ることになるのだが、実際には、日本へのイチョウの伝来は室町時代と考えるのが妥当であるらしい(ということは、どんな大樹でも樹齢はおよそ600年が最高ということになる)。これについては、この研究レポートがなかなか説得力もあって面白い。もちろん、鎌倉の三代将軍実朝が甥に暗殺された際、甥の公暁は例の大銀杏に隠れていたというのは後々の創作だというのが定説となっている。
沼間ポンプ場跡地あたりから上の3つめのポスト(沼間4丁目5-24)方面に行くには、県道の脇を入って横須賀線の線路をくぐる。……のだが、この横須賀線下の歩道が妙に素敵度が高い。写真ではあまり面白さが伝わらないかもしれないが、とりあえず写真と説明を以下に。
横須賀線は、ごくごく短いガーダー橋で一番上を通っている。この橋はもともとは田越川と交差するもので、鉄橋から川面まではそこそこ高さがある。その間に、後から歩道橋(これは両方の川岸と同レベル)をくぐらせてしまったのがこの状態。歩道とガーダー橋は、頭をぶつけるほどではないが、かなり接近している。狭いところ潜り抜けマニアとか、「すぐ頭の上を電車が走るところを実感したい」人にもお勧め。
逗子の中心、亀岡八幡(市役所隣)の脇の入口には、古い街灯柱が立っているのだが、そこに、その街灯柱の製作者であるらしい会社の鋳物のプレートが付いている――というのを先日facebookの逗子ニュースグループで教えて貰ったのを思い出して見に行った。電話番号に局番がなく、「蒲田」局で掛けるようになっているのが時代がかっている。またよく見ると単なる銘板ではなく、上にはヒンジが付いていて、実際には街灯柱点検用の小扉であるのが判る。入口の両側に立っているのだが、もう片方の電灯柱はこのパネルがなくなっていた(ちなみにこちら側は街灯本体も失われていて、柱のアタマにはガイシだけがぶら下がっている)。
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