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エアフィックス 1:72 FOKKER E.II & B.E.2c

F1014587 ●airfix新作の古典機2機の簡単なレビュー。ちなみに右写真では全く同一サイズの箱に見えるが、縦横のサイズは同じでも厚みが違い、フォッカーE.IIは薄いキャラメル箱、B.E.2cはもっと厚みがあって通常の内箱・外箱があるタイプ。

【FOKKER E.II EINDECKER】

▼フォッカーのアインデッカー(単葉機)といえばまっさきにイメージされるのはE.IIIだと思う。レベルの72やオーロラの48(正確に48だったっけ?)などをはじめ、過去キット化されたのもE.IIIが多かったが、実際、E.IIIはフォッカー・アインデッカーの主量産型で、E.IとE.IIの合計の倍以上作られているので、当然と言えば当然だろうと思う(ただし最近では、Wingnut Wingsから、E.I初期型、E.II/E.III初期型、E.III後期型、E.IVと、1:32でほぼ全バリエーションが出ている)。

今回のエアフィックスのキットは(なぜか)E.II。もっとも、E.IIとE.IIIの違いというのが、私にはどうもよくわからない。昔の鶴書房の「ポケットエンサイクロペディア/第1次大戦戦闘機」(ケネス・マンソン著の訳本)によれば「最も多い型は、翼幅が最初のE.1よりも大きくなったE.3」と書かれている。一方でwikipediaの「フォッカー・アインデッカー」の項には「E.I、E.IIよりわずかに翼弦の狭い、1.80 mの主翼を使用していた」とある。……逆じゃん!

そういえばwindosock datafileがあったかもしれん、と本棚を漁ったら、「#15 FOKKER E.III」が出てきた(残念だが、E.I/IIの巻は持っていないようだ)。これには、E.IIIはE.IIと「ほとんど同じ(almost identical)」とある。主要な違いは燃料タンクの増積と増設(メインタンクを大きくしたほか、重力式のサブタンクを追加)による航続距離増加で、その他、生産過程での若干の改良による外観変化があった由。

なお、エアフィックスのキットは、箱には「FOKKER E.II EINDECKER」としか書かれていないが、同社HPでは「後期型(FOKKER EII (late))」と書かれている。

Wingnut Wingsの解説やキット写真、実機写真などを見た範囲で違いを述べると、

  • 操縦席直後の上面のキャップは増設燃料タンクに対応したものかと思う。となると、キャップがあるのはE.IIIの特徴ということになるが、E.IIでも付いているものがある。E.IIもE.III仕様のアップデートが行われたらしいので、キャップ付きは「II改~III」ということになりそう。ちなみに(単なる窪みのモールドだが)このキャップはエアフィックスのキットにもある。
  • E.IIIは、初期の生産機を除いて右翼付け根にコンパスが付いている。
  • カウリング直後の胴体フェアリングが四角く大型なのはE.III初期までの特徴で、E.III標準型は左右ほぼ同形になる。

……ええと。要するにE.II後期(もしくは改修型)とE.IIIは、胴体側面のシリアルでしか区別できないってことでいいんしょうか。

F1012977 ▼パーツ全体は、おおよそ右のような感じ。枝は2枚。ウィンドシールドの透明部品は入っていないが、もともと複雑な形状ではないので、下手に厚いインジェクションパーツが入っているより、自作の方がいいものができるかも。

昔のレベル72のE.IIIは、確か胴体が左右分割、主翼は胴体下部とともに左右一体だったように記憶しているが、このエアフィックスの新作では、胴体は左右+水平尾翼と一体の下面。主翼は左右それぞれが別パーツ。

(追記。レベルのE.IIIは、胴体がП字断面で、そこにコクピットより後ろの底板をはめ込む形式でした。はほ/~氏からのコメントで思い出しました。過去、2機も作ってなんで忘れるかなあ)

主翼は、流石新キットの薄さ。ただし、主翼下面は伝統的な古典機キットお約束の表現で、凹面にもかかわらず、リブ部分が浮き上がり、中間が窪んだ形状になっている。ここは逆に、リブ部分が若干窪んだ表現にするか、むしろまったく平板にしてくれたほうがよかったかも。

F1012975 F1012971 ▼胴体内側は布張り部分のフレーム表現はなし(もともと特に何かあるわけでもないが)。コクピット内部は操縦桿、前部燃料タンクの後端など、とりあえずのパーツは揃っている。操縦桿のグリップリングの中が抜けていないこと、操縦席にシートベルトがないこと(これはエアフィックスの場合、常に操縦手フィギュアが入っているためかと思う)が若干不満。

胴体下面は縫い目表現が細かく入っている。左右エッジ近くにパーツの接合ラインが来るので、綺麗に処理する必要がある。

F1012973 ▼金属パネルの機首上面は左のような感じ。ちなみに、機首上面は胴体側面に対して微妙にオーバーハングしていて、そのため、側面の金属パネル部分は上端近くで微妙に外側に反っている(というのをこのキットを買ってから実機写真を見ていて初めて気付いた)。

キットもこのオーバーハングは表現しているのだが、パーツの接合ラインはエッジではなく、側面上端近くの反りが始まるあたりにあるので、ここもまた接合ラインを綺麗に埋める必要がある。

写真の右肩に中途半端に写っているのは機首右側フェアリング。左側と形状が違うのはこのキットで初めて気付いて、「あれ? レベルのE.IIIは左右同形状だったような……」と思ったのだが、前述のように、左右で形状が違うのはE.III初期型までの特徴だった。

F1012969 F1012972 ▼エンジンはプッシュロッドも一体のころんと1パーツだが、72キットならこの程度で十分ではないかと個人的には思う。一方、カウリングと、それに続くフェアリングの縁はパーツの厚みがそのままで、この繊細なキットにしては、なんだかぶっきらぼうな処置だなあと思う。

F1012970 ▼プロペラは2種入っているが、使用するよう説明図で指示されているのはB7(写真右下)のみ。

ちなみに、airfixではフォッカーE.IIとB.E.2cをセットにし、さらに塗料も同梱した「Fokker E.II/BE2C Dogfight Doubles Gift Set」というのも出していて、同セットでは塗装例とデカールが異なるのだが、そこでも使用するプロペラはたぶん同じ。そこから考えると、この後、デカール替えで「FOKKER E.III (early)」とかを出すのではないかと思う。

F1012967 ▼デカールは1種のみで、1915年10月フランス、E.II 69/15、FFA 53所属のKurt von Crailsheim乗機。

全体がクリアドープリネン仕上げで、機首のみが、この系列の機体独特の、変てこちんなウネウネした磨き跡?のある金属板。胴体に斜めの黒・黄・黒・白の帯。塗装としてあまり面白みがある感じではないが、フォッカー・アインデッカーならこんなものだろう、という感じ。

車輪のゴム部の塗装指定が艶消しのライトグレーなのが新しいキットだなあ、という印象。カーボンブラックで補強された「黒いゴム」が登場するのは1910年頃らしいが、第一次大戦時にはまだそれほど普及はしていなかったようで、当時の実機写真を見ても「タイヤが白いなあ」というものが多い。余談だが、ロールス・ロイス装甲車のゴムタイヤも、1914年型だと白っぽいものが多い。

▼ところで、このレビューを書くためにパーツをよく見ていたら、シュパンダウ機銃のパーツが欠損していることに気付いた。買って袋を開けてすぐに撮影したはずの上の写真でも見当たらないので、もしかしたら最初から取れてしまっていたのかも……(パーツ全体写真、左上のエンジン隔壁隣)。さすがに買ってすぐならまだしも、今から請求するのもなんだし、どこからか72のシュパンダウを調達して来ないといけない。やれやれ。

【ROYAL AIRCRAFT B.E.2c】

▼いわゆる「フォッカーの懲罰」の代表的「やられ役」だったイギリス製単発複座の複葉機。それをフォッカーとペアで製品化するというのは、イギリスのメーカーとしてどうなんだろう。いや、むしろ「多少フォッカーが暴れまわったところで、ワシらは負けんのや」といいたいのかもしれないけれど。

名称のB.E.は「ブレリオ・エクスペリメンタル」の略で、トラクター式(牽引式)飛行機に使われた略号。ちなみにプッシャー式はF.E.(ファルマン・エクスペリメンタル)。

この手の「竹やり排気管の複葉複座機」といえば、過去、同じエアフィックスのR.E.8しかない時代が長かったが、ようやく、まともなインジェクションでこういう地味な機体が出たのは嬉しい(ちなみに、現在はRODENからこれと同じB.E.2cのキットがあるほか、大物キットではWingnut WingsからR.E.8が出ているらしい)。っていうか、こんなん出して大丈夫なのかエアフィックス。

実機を調べようと、手持ちのwindsock datafileを漁ってみたが、改良型のB.E.2eしか出てこなかった。windsock datafileを真面目に買っていたのは初期の頃だけなので、巻数から考えると、B.E.2cは持っていないかもしれない(B.E.2eは#14、B.E.2cは#42)。

▼部品構成はこんな感じ。

F1012963 F1012964 F1012966

これに加えて、風防の小さな透明パーツの枝がある。デカールも2つの塗装例に対応していて、箱の厚みだけでなく、中身もフォッカーよりちょっと贅沢な感じ。

F1012961 ▼さすがに新キットだけあり、主翼も薄く成型され上品な印象。もっとも、翼裏側の布張り表現が変なのはフォッカーE.IIと同じ(このキットだけでなく大抵のキットがそうだが)。

エルロンが、上下左右すべて、自重でわずかに垂れた表現になっているのは珍しい(私はこのキット以外には知らないが、もしかしたら、最近のWW1機キットのなかには例があるのかもしれない)。「細かいとこまでこだわってるぜ」的な感じで印象は悪くない。

F1012956 ▼エンジン回りのディテールに関しては、さすがに大昔のR.E.8あたりとは比べ物にならないくらいよく出来ている。

ただし、エンジンは排気管と一体成型なのだが、排気管が斜めに突き出るようなパーツ配置になっているために、箱の中で変形していた(写真は指でぐいぐいと、多少直してある)。下手したら折れているところで、これはちょっと配慮していてほしかったところ。

機首は胴体と別パーツだが、胴体パーツ流用で別タイプのキットが出る、などということがあるのかどうかはよく判らない。

F1012962 F1012957 ▼翼間支柱は1本ずつバラバラのもののほか、外側支柱は気球攻撃用のロケット弾付きで2本一体になったものと選択式。

翼間支柱はまず上翼に角度を決めて接着するよう説明書に指示があり、角度決めのための治具パーツも付属している。

胴体支柱は角度決めなどが容易なようにロの字型になっていて、当然ながらパーティングラインは支柱の側面に来る。

F1012958 ▼片方の塗装例で後席前に付けることになるルイス機銃はこんな感じ。「まあ、72ならこんなもん?」くらいの、ちょっと大らかな出来。

なお、下翼端を地面に擦らないように付けられている下面の半ループのパーツはかなり太めで、金属線か伸ばしランナーなどで作り替えたほうがいいかもしれない。

F1012955 ▼デカールは2つの塗装例に対応。

1916年9月、RFC(英国航空隊)2693号機、No.39(HD)スコードロン所属、ウィリアム・L・ロビンソン乗機。基本、前面クリアドープ仕上げのもの。

もう一機は、1916年12月、RNAS(英海軍航空隊)所属の8407号機。こちらは上面がキットの指定だとマットオリーブドラブ。要するにPC10(酸化鉄とカーボンをニスで溶いたもの、であるらしい)仕上げということになるのではと思う。下面はクリアドープリネン。

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コメント

レベルの胴体は上側面が一体で、底をはめ込むんじゃなかったっけ?
主翼は操縦席辺りの胴体側面下面と一体で。

投稿: はほ/~ | 2016年5月10日 (火) 21時33分

>はほちん

ああっ。そうそう。そうでした。胴体、コの字断面(というかПの字断面)でしたね。

投稿: かば◎ | 2016年5月11日 (水) 00時10分

塗料の顔料についての情報って限られてて、もっと出てもいいと思うんですが、カドミウムやら鉛やら水銀が出てきちゃうのがまずいのでしょうか・・・

投稿: みやまえ | 2016年5月13日 (金) 20時50分

>みやまえさん

実機、実車に使われている素材というと、昔の一部の戦車の排気管周りに使われているアスベスト布がちょっと気になったりします。

それはそれとして、第一次大戦のイギリス機の「緑」に関してですが、上記の本の記述によれば、そもそも「緑色に塗る」という意図はまったくなく、単純に「カーボンをクリアで溶いて塗ったらたまたま緑がかって見えるようになった」というものらしいです。不思議。

投稿: かば◎ | 2016年5月16日 (月) 23時53分

興味深いことです!
クリアっていうのはオレンジがかってますから、黒と混ぜると緑方向へ行くんでしょうね。

投稿: みやまえ | 2016年5月19日 (木) 19時35分

>みやまえさん

何しろ古い古いケネス・マンソンのポケットエンサイクロペディアの記述なんで、今はもしかしたらひっくり返っているかもしれませんが、鶴書房の訳本の文章を引用すると、こんな感じです。

「これは西部戦線のほとんどのイギリス機の上部表面を、1916年以来、仕上げてきた基本色の例である。この色は、カーキグリーンまたはダークグリーンと通常いわれているが、後者の呼び方はまったくまちがいで、前者の呼び方もかなり不正確で、誤解を招くおそれがある。仕上げに使用された塗料は、兵器省の仕様P.C.10(防衛迷彩No.10)によって行われた。その実際の塗料は自然の鉄酸化物(黄土色)と油煙(あるいはカーボン黒)である。これらを、乾いた塗料の重量で計って、250の黄土色に対し油煙1の割合で混合する。これは見かけほど不均衡な調合ではない――というのは油煙の重量は非常に軽いが、鉄酸化物はかなり重量があるからである。これは混合されると黒褐色の色合となる。そのなかにグリーンがあらわれるのは、防水目的のために、この乾燥塗料がセルローズか、油ワニスか、他のかなりの量の液体媒体と混合されるからである。グリーン変化として知られる特殊な光学変化がおきるのは、このセルローズ等の混合物が特定の光のもとで、完成色をいくぶんグリーンに見せる傾向をもっているからである。

(セルロー「ズ」なのは原文ママ)

投稿: かば◎ | 2016年5月22日 (日) 00時56分

昔の本には素晴らしい情報が乗ってますね・・・特にイギリス人の書いたやつは・・・(アメリカかな?)

投稿: みやまえ | 2016年5月23日 (月) 20時42分

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