スターリングラード・トラクター工場(3)
●週末模型親父さんのところのAFV模型のネットコンペ、SUMICON 2016の参加作、cyber-hobbyの「T-34/76 STZ Mod.1942」の製作記。
本来5月1日からなのに、一度決めたお題を変更したため、結果的に20日以上遅れてのスタートになってしまった。
さて、キットの悲劇的合いの悪さについてあれこれ書いたものの、車体を入れ替えると決めてしまえば、それに関してはほぼ解決済み、ということになる。あとはおおよそ、考証に基づきちまちまと手を入れるだけで、要するに普通のキットを組むのと特別変わりはない。……といいなあ(弱気)。
●なんとなく砲塔から製作スタート。
数あるT-34バリエーションの中でも最も直線的で鋭角的なのがSTZ1942の溶接砲塔であり、この仕様の第一の魅力だと思う。というわけで、「一番格好いいとこから始めちゃえ」というのが理由の一つ。
もう一つは、ブロックとして一番独立性が高く、とりあえず大きさ的に車体と釣り合うかどうか、回転時にどこかに干渉したりしないかどうかさえ気を付ければ、あとは他との辻褄をあまり考えずに作業できるため。
まずは前回書いた天井板の(組接ぎ部における)厚み問題解消のため、砲塔側の凹部に0.5mm板の切れ端を貼って浅くする。砲塔前面の合いは悪くはないが隙間もなくピッタリというわけでもないので、必要な個所にプラペーパーを挟んだりする。装甲板の断面や溶接跡は後から再生したり追加したりすることにして、とりあえず表面をやすってしまう。
当初はこの程度で済むと思っていたのだが、溶接部の参考にしようと実物写真をじっくり見てみると、どうも若干様子が違う(ちなみに、STZ1942の「まさにそのもの」という仕様の実車は残っていないようだが、このタイプの溶接砲塔は意外に数多く残っている。)
「あれ?」と思ったのは、このタイプの砲塔の最大の特徴である「エラの削ぎ落とし部分」の形状(前回アゴと書きましたがエラですな)。LEGION-AFVのT-34-76コーナーに、このタイプの砲塔数個分のWALKAROUND写真があるが、例えばこの写真やこの写真などと見比べると、明らかにキットは「エラ削ぎ落とし面」と防盾脇の弾片ガードまでの幅がありすぎる。
また、「エラ削ぎ落とし面」は実際には下辺で砲塔頸部に接しているのだが、ここもキットでは若干の間隔がある。
側面装甲板との接合部分の表現もいまいち気に入らないので、思い切って面をゴリゴリ削る。削って済めばいいなあ、と思ったのだが、底が抜けたのでプラバンで再生した。その段階の写真が右。並べてあるのはキットママの状態で、以前に切り刻んで車体をオシャカにした1つ目のキットのもの。面のコントラストが弱くて見づらく申し訳ないが、エラ削ぎ落とし面が拡大しているのを判っていただければ。
削ぎ落とし面後端の位置、砲塔頸部との関係など、もうちょっとこう……うーん、もうちょっと何というか……などなど若干の不満は残っているが、やりすぎて収拾がつかなくなると困るので、適当なところでやめる(面倒くさくなったんだろう、という批判はあえて受けよう!)。
なお、作業の過程でもうひとつ気付いたのだが、どうもキットは砲塔側面板の傾斜が若干きついのではないかという感じもする。
また、こんなふうに左右の削ぎ落とした面を作り直すのであれば、エラの削れていないほうの砲塔をベースに改造してもよかったかもしれない。
砲塔前面、防盾左右に付く弾片ガードのリブは、上端がパーツの抜き方向に対しオーバーハングになるため、上半分を別パーツにしている(H4、H5)。しかし、これが新規パーツのSTZ1942の「エラ削ぎ落とし砲塔」前面パーツにある、下半分のモールドと幅が合わない。つくづく以前のキットとの整合性が取れてないキットである(大量に以前のキットのパーツを流用しているのに)。
単に接合部の隙間を埋めるだけならキットのパーツを使うのだが、幅まで合わせるとなると面倒なので、プラバンをドーナツ状に切って、全体を新造した(結果から言えば、そこそこ厚みのあるプラバンを綺麗にくり抜くのも結構面倒だったが。半ば作業してから、「あ、薄いプラバンを切って重ねればよかったんだ」と気付いた。迂闊)。
結果が右写真。装甲板の溶接ラインの工作はまだ途中。
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