ビッカース水陸両用戦車、参戦(5)
●「軽戦車コンペ」(K-CON)参加作品、CAMsのビッカース水陸両用戦車(Vickers Carden-Loyd Amphibious Tank A4E12 Early Production)の製作記の続き。
(実物は)左右3カ所ずつの支持架を介して車体に取り付けるようになっていて、キットでは支持架はエッチングで表現されている。
それ自体は精度もよく、位置決め用ダボもあるので、それほどストレスなくぴったり決まるのだが、車体側、フロート側それぞれ2つずつのボルトを、極小のエッチングパーツで付けろという「いったいこれは何の修行?」みたいな組立指示がなされている。
さすがに手に負えない気がしたので、垂直面(車体側)は、例によってタミヤ48のマーダーIIIの床板から削いできた平頭リベットを接着。それでも数カ所は歪んでついてしまって、削ってやり直したので、数がピッタリしかないエッチングのリベットで成功できた気はしない(もちろんエッチングの場合は瞬着で汚れても、火であぶるなりすれば再利用可能だが)。
水平面(フロート裏側)に関してはどうせひっくり返さなければ見えないので放置の方針に傾き中。
●エンジンデッキ上の通風孔は、以前に書いた通り、ダクト部を薄く削った結果、付属のエッチングのフラップが使えなくなってしまった。
0.3mmプラバンで新調したが、クビンカの実車を見ると、可動のための軸部らしきものがあるようなので、伸ばしランナーで追加した。
写っているのでついでに説明すると、この戦車唯一の車外装備品である左フロート上の工具箱は、両脇にエッチングの取っ手+クランプが付く。T.Wongさんによれば、このフタは蝶番などはなく、クランプを外すとそのままフタが外れるようにできているそうだ。
砲塔の左後ろ側にある蛇口のようなものは、おそらく車内に入った水を汲み出すためのビルジポンプの排出口。
車体前端の波切板と車体の接続部は、細かい蝶番を表現するベースと、平頭リベット(ボルト)の表現された表側の帯金と、計4枚を貼り重ねる構成。ピッタリと付けるにはちょっと苦心する。
SUMICON掲示板でme20さんに「あちこちプラ材に置き換えたい衝動に」と言われたが、実際、平頭のボルト頭もちょっと薄い感じがするし(平頭なのは合っているが)、プラバン+マスタークラブなどで作り替えるのもありかも。
帯金の後ろ側の小さな四角はビッカース社の銘板(のはず)。フロート内側にこれまた極小のエッチングパーツが付く。
排気管の前には謎の金具が付く。説明書ではエッチングパーツP3を折り曲げて貼るよう指示されているだけだが、中心に三角の板(P4)を立てるもののようだ。
この際、そのままだとP3は直角に曲げる――つまり、接着位置の車体上面板に対し垂直に立ち上がることになるが、実際には、もう少し「地面から直角」に近い(完全にではない)ようだ。そのため、C4の短い辺を若干削り込んだ。
さて、そもそもこのパーツは何なんだろうと思ったのだが、開けた操縦手ハッチが排気管に激突しないようにするストッパーなのではないだろうか、というのが現時点での私の想像。
実はこのあたり、T.Wongさんにメールで問い合わせて答を頂いているのだが、私の拙い英語だと、どうもその内容がちゃんと掴めているのかどうか心もとない。T.Wongさん曰く、日本軍が鹵獲した204号車ではホーンが付いていて(現存写真で確認可能。ホーンはキットにも不要パーツ扱いで付いている。部品番号B18とB19)、上記パーツはホーンの台座にもなっているらしい。ただし、204号車では、その装着位置はもっと前にある。
●エンジンデッキ上には、燃料注入口と思われる、丸いパッチが2カ所にある(両方とも燃料注入口なのか、片方は潤滑油なのかは不明)。
この注入口は、周囲にゴムシーリングか何かがあって、フタをがっちり締め付けて防水する構造らしく、それぞれ周囲4カ所で蝶ネジで止めるようになっている。右が実車写真で、TRACK-LINKの掲示板で、T.Wongさんが説明に使っていた画像から切り出し引用させてもらった。もとは英軍もしくはビッカース社の記録写真ではないかと思う。
さて、この蝶ネジがまた、「ご無体な……」と言いたくなる大きさのエッチングパーツで付属している(右写真の左側)。どうすればうまく取り付けられるかも悩む。web上で海外のレビューや製作記事を見ても、この蝶ネジパーツをちゃんと付けている例を見たことがないので、皆諦めてしまっているのではないかと思う。
もうちょっと作業性のよいパーツはないものかと、ドラゴンのパンターに付属している蝶ネジパーツ(小)を出して来てみたが(写真右側のグレーのパーツ)、これはだいぶ大きさが違う。
ちょっと考えてみた末に、エッチングパーツのゲート部分を細く削って、ある程度の長さを「脚」としてパーツ側に残して切断。車体側は取り付け指示の凹部にドリルで穴を開けて、そこにパーツの脚を差し込んで位置決めをすることにした。
とりあえず一つだけ作業してみたが、もしピンセットで弾き飛ばしたらほぼ絶対に見つからない大きさだし(しかもピッタリの数しか入っていないし)、その一つだけでかなり(主に精神的に)消耗した。取り付けた結果が右写真だが、しかし、これを実車写真と見比べると、どうもフタに比べて蝶ネジが小さい感じがする。実車写真では、蝶ネジの高さとフタの高さがほぼ同じレベルだが、キットのパーツはだいぶ低め。
そんなわけで、一度は「面接落ち」したドラゴンのパンターの蝶ネジに再登場してもらった。
これはこれで、逆にちょっと大きめで、回転させると羽の部分がフタの凸部と干渉しそう。拡大すると羽の厚みもちょっと気になる。とはいえ、キットのエッチングパーツよりは上の実車写真に近い感じだし、何しろプラパーツなので作業性もよい(ただし、8つ取り付ける間に1つ紛失した)。
作業結果が右写真。……なにしろこれでも部品が微小すぎるので切り出し時にゲート処理がうまくできていないし、接着時に若干溶けるので、こうして拡大写真にするとあまり綺麗ではないですな。
ブロンコやカステンのインジェクション別売の蝶ネジパーツが使えるかどうかは、手元にパーツがないので未確認。誰かお持ちの方、大きさを教えてください。
●追記。
上記、「ブロンコやカステンの別売の蝶ネジパーツ」に関して、早速、SUMICON掲示板で、me20さん、OTOSHIさんから写真付きで情報を頂いた。持つべきものは模型友だー。
まずはブロンコのもの。連合軍用(左)とドイツ軍用(右)の2種類が出ている。
こちらがカステンのもの。
大きさとしてはどれも私が使ったドラゴンのパンター付属の小さいほうとほとんど変わりなく、一応、「若干大き目」くらいの感じで、キットパーツの代替品として使うことは可能ではないかと思う。
パッと見た感じでは、カステンのものが羽の下の切れ上がりの角度が大きいように見え、ビッカース水陸両用に使うにはキャップのでっぱりとの干渉が少なそうだが、一方で、ブロンコのものは脚が長くモールドされているので、作業性ではだいぶこちらに分がある。
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