雑誌+キットの謎(タウロ FIAT3000)
●当「かばぶ」にも時々コメントを頂いているme20さんは、今回のSUMICON2015に、Tauro ModelのFIAT3000 mod.21でエントリー。
車体を箱組みするや、いきなり表面モールドを全部落とし、潔くただの箱にしてしまうという、小心な私なら二の足を踏んでしまうスタートで、それはそれで目が離せないのだが、一方で、ご自身のブログの最新記事で、このキットの出自について触れている。
もともとこのキットは、タウロから普通にプラモデルとして発売されるよりも前に、何やら雑誌の付録として企画されたものであるらしい、というのは、私も確か発売直後に聞いた気がする。そのまま今に至るまで、「まあ、そういうキットなんだな」程度の認識で来たのだが、それについて、me20さんはもうちょっと、「ではその雑誌ってどんなんだったの?」という部分に踏みこんでいる。
というわけで気になって、ちょっと検索してみた。
その結果、冊子と一緒の状態の写真をネット上に発見。その冊子のタイトルが、「STORIA DEI MEZZI CORAZZATI」であることも判った。
「STORIA DEI MEZZI CORAZZATI」でさらに検索すると、このタイトルでイタリア語版wikipediaに立項されていることも判明。ただし、google翻訳に掛けても、何が書いてあるのやらどうもよく判らない。もっとも、タイトルは「装甲車輌の歴史」という意味であること、断片的に単語を拾うとそれがミリタリー関係(装甲車輌)の百科事典のようなシリーズであることがわかる。
とはいえ、「各ボリュームは240ページ」などとあって、プラモデルとセットになった小冊子のイメージではない。あれれれ?
●そんなわけで、「百科事典のオマケ的に出されていたもの?」「それとも同名で無関係?」などとちょっと混乱したものの、その後、画像検索してみて、wikipediaで述べられていると思しき分厚い百科事典的書籍と、キットとセットになった小冊子が共通の装丁デザインであることが判明。少なくとも、共通のコンセプトのもとで商品化されたものであることは確認できた。
あれこれ見回っているうち、「STORIA DEI MEZZI CORAZZATI」小冊子+キットに関して取り上げている日本語のブログもあった(『立入禁止!プラモデル35分』~バック・トゥ・ザ・パスト・オブ・イタレリ(イタレリ物語)Storia dei Mezzi Corazzatiの段)。……スゴイ!
●というわけで、疑問のほとんどが解決し、まずはメデタシ、ということになったのだが……。
実を言うと、「STORIA DEI MEZZI CORAZZATI」で画像検索をした際に、どうもこの装丁の感じは見覚えがあるような……と引っ掛かっていたのだが、改めて、その出版社名を確認してみて、既視感の正体が判明。
これ、ウチにある飛行機の事典本の出版社じゃん!
というわけで、右がその本。縦が30cm弱、横が25cm程度、厚みは3.5cmほど。ページ数は240p(あっ、「STORIA DEI MEZZI CORAZZATI」の説明と一緒だ!)。大きくて分厚くて重くて、人を殴って昏倒させることが可能なレベル。
書名は、「航空機の歴史--1919年~1939年(要するに戦間期)の軍用機概説」というような意味。そもそもこの本はどういう経緯で手に入れたんだっけなあ……。
内容は、カーチス飛行艇に始まり、ユンカースJu87まで、20機種をそれぞれ8ページで解説(ただし、同系列の数機種が1つとして扱われている場合もある)。うち2ページが見開きでカラー5面図、さらに2ページがカラー塗装バリエーション図。何しろ本文はイタリア語のみだし、カラーバリエーション図は片側だけなので模型製作上の資料としては使いづらいが、結構マイナーな機種や、マイナーな使用国の塗装例も取り上げられていて、見ていて楽しい。以下、いくつかのページを。
me20さん曰く、「冊子+キット」のバリエーションには飛行機キットもあったらしいとのことなのだが、それは、もしかしたら、「STORIA DEI MEZZI CORAZZATI」同様に、この「STORIA DELL'AVIAZIONE」のシリーズとして出されていたのかもしれない。……と思ったら、本当にそれらしきセットの写真が検索でヒットした。
ちなみに出版社のフラテッリ・ファブリ・エディトーリに関しては英語版wikipediaにページがあり、それによれば、イタリアの出版社として最初にマルチメディア展開を行い、1960年代に本とレコードをセットにして売り出したそうだ。
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コメント
もしHJ1980年5月号をお持ちでしたら71ページを見て下さい。「マカロニ版ルノーFT こんな珍品キット知ってるかい」というタイトルの記事があり、キットと本の内容が写真入りで紹介されてますよ。
投稿: | 2015年6月 2日 (火) 02時28分
↑
名前を入れ忘れました(苦笑)。
投稿: 司龍 | 2015年6月 2日 (火) 02時29分
おお。さすが司龍さん。ありがとうございます。
ホビージャパン誌で紹介されたことは、リンクした「立入禁止!プラモデル35分」さんのところで触れられていて、
なるほど、一応あれが「雑誌のオマケ」であったという我々のコンセンサスの出所はそこなんだな、と思っていたのですが、
きっちり本の内容まで紹介されている記事だったんですね。
昔からあまり模型誌はマジメに買っていないもので……。
投稿: かば◎ | 2015年6月 2日 (火) 08時46分
結構面白い存在なので何方か掘り下げてくれないかな、と思っていました。他人任せですみませんです。ありがとうございました。
この件を最初に教えてくれた人に伝えたら、「次(オークションで)見たら買う」と言ってました…。
また、司龍さんも情報ありがとうございます。
私の周りのモデラーが皆知っている理由が解りました(元の記事の事は忘れてますが)。
HJ1980年5月号を検索したら第一次大戦の特集ですね。表紙に見覚えがあります。
私はこの頃から90年まで模型を離れていて内容は読んでいませんので、模型サークルの人に頼んで見せて貰います。
投稿: me20 | 2015年6月 2日 (火) 11時55分