Spanish Panzer I (2)
●SUMICON参加ネタ、スペイン内乱時のI号戦車A型改の製作記の続き。
とはいっても、まだまだ全然スペインに向けて船出していない感じ。
なお、前回書き忘れたが、本棚を漁って、アーマーモデリング誌の、尾藤満氏による「ACHTUNG PANZER! Modellieren」の連載を数冊発見することができた。見つけたのは、
- 2008年3月号 連載第1回「I号戦車A型(クルップトラクター)(第1生産シリーズ)」
- 2008年4月号 連載第2回「I号戦車A型(第2生産シリーズ)」
- 2008年6月号 連載第4回「I号戦車A型(第3生産シリーズと改修型)」
- 2008年9月号 連載第7回「操縦訓練車(後編)」
ヌケがあるのは惜しいが(もしかしたらもう数冊持っている可能性はある)、とりあえず、A型製作のツボは押さえられる。その後のキット改修による新パーツ登場等々の変化もあるので、尾藤満氏のpanzer memorandumのI号戦車B型製作記と合わせ読むとなおよい。
パンツァー・トラクツでのディテール解説や、グランドパワー、legion-afv.narod.ruのwalkaroundなどが車体製作のメイン資料だが、それらで見逃していたディテールについて、尾藤氏の工作で気付かされることも多い。
もちろん、「気になりポイント」には個人差もあるし、投入するパーツにも違いがあるので、尾藤氏の工作のなかで気に入ったところを取り入れたりアレンジしたり、場合によっては余計なところに手を付けたりというのが、今回の基本製作姿勢。
●車体前部の床板左右の延長に関しては、前面板、バルジ部の辻褄合わせ工作を行い、溶接痕も追加。具体的には、床板の延長でバルジ下部に段差が出来てしまったのを解消するため、バルジ下半分に0.3mmプラバンを貼り増して削った。溶接跡は戦闘室回り同様に伸ばしランナー。
ひっくり返して見るほどの丁寧な工作は行っておらず、ではなんのためにわざわざ切り貼りしたんだよ!感たっぷり。
●転輪比較。各社とも、A型の中途から用いられた強化リブ付き転輪を表現している。原型となったヴィッカースの転輪に比べて、ずいぶん凝った作り。
上左:イタレリ 上右:ドラゴン旧版
下左:トライスター新版 下右:トライスター旧版
右下(トライスター旧版)が、製作中のキットのもの。なお、トライスター新版には、この転輪も不要パーツとして一揃い入っている。
トライスター新版の転輪は、ホイールリム外側リングを別パーツにしていて、内側溝部がきっちり再現できるようになっており、再限度は一段上。なお、一体成型のその他3つと、このトライスター新版とでは、リング部分表の表現も異なっているが、これは実車にも見られるバリエーション。生産時期によるのかどうかは未検証だが、とりあえず、のっぺりタイプのほうが一般的なようだ。
またここには出していないが、ドラゴンの新パーツも似た構成で、リム外側をエッチングパーツで用意してある。ただし、
- すでにパーツが切り離された状態で袋入りになっているのは親切なものの、
- 販売の過程で、微妙に変形しているパーツもある。
- 微妙にドーナツの幅が不安定(つまり、内周と外周で中心がわずかにずれているものがある)。
- あまり接着剤がはみ出して欲しくない部位なのに異種素材なので接着が面倒。
という弱点があり、個人的にはトライスター新版のほうが好ましい感じ。
トライスター旧版は、単に溝が表現されていないだけでなく、スポークと強化リブが形作る三角穴の角が丸過ぎる感じなのが、実車と異なる。もっとも私自身は、こうして並べてみて、初めて「あ、何か違う」と気付いた。ヌルし。
意外に頑張っているのがイタレリで、穴形状はトライスター旧版よりずっとよく、メリハリもある。また、イタレリの転輪パーツに、ちゃんと表裏の別があるという点にも、今回初めて気付いた。
I号戦車の転輪のスポーク根元には、6本のうち2本に、表側にのみ、グリース注入部?と思しき突起がある。惜しいことにイタレリでは1カ所だけになっているものの、この突起が再現されている。エライ。
そんなわけで、今回は「転輪はいっそイタレリに交換してしまおうか?」とも思ったのだが、先述の「突起が一個しかない」ことに加え、厚み不足!という問題があり、付属の履帯との相性も考え、結局は旧版転輪をそのまま使うことにした。
ショックアブソーバーは、トライスターのキットのものは、A型第4シリーズからB型にかけて用いられた後期型を再現している。今回は一般的な第2シリーズ後期~第3シリーズくらいをイメージして作っているので、前期型に変えたい。
ここで好都合なことに、ドラゴンのB型シリーズの新しいもの(たぶん47mm自走砲以降)には、A型用パーツがたんまり入っており、初期型ショックアブソーバーが余る。新シリーズはどのキットもそうなのか判らないが、少なくとも私の持っているsIG33自走砲では、この初期型ショックアブソーバーが2輌分も余った。有り難い。
写真は上がトライスターのもの(旧版・新版とも同一)、下がドラゴンA型用。上部の横方向のシリンダー下のボルト?が、後期型は大きなものが1つ、前期型はやや小さめで2つ付く。ここはアームごと、ドラゴンのパーツを微調整して使うつもり。
●サスペンション用コイルスプリングは、写真の左端がキット(トライスター)のもの。中2つはドラゴンのA型用、右端は旧B型用。
ドラゴンはB型シリーズの新キットでは、中2つのパーツを使うよう指示しているのだが、尾藤氏が指摘しているように、これはA型第3シリーズまでの線が細いスプリング。
というわけで、ドラゴンのB型シリーズには右端の旧パーツを使うと、A型用パーツがこれまた都合よく余る……のだが、ちょっとオマヌケなことに、ドラゴンのこのパーツは右左で巻きが逆の「専用パーツ」になっている。わざわざ左右でバネを作り替えたりするかヨー!
アーム&ショックアブソーバー同様、実はこのバネも2輌分入っているので。巻きの正しいほうだけ使って1輌作れるが、上端の基部も含め、ちょっとサイズが大振りな感じなのも気になる。そもそもあまり見えないところでもあるので、キットパーツをそのまま使うほうに傾き中。
ちなみに、ドラゴンのB型用旧パーツは、よ~く見ると、バネがコイルではなく単なる蛇腹になっているという、より一層トホホなパーツになっている。
(追記。ドラゴンの上記A型用も、改めてよく見ると、「右左で巻きが逆」なだけではなく、モールドがコイル状ではなくて、裏側では逆斜めになって、要するに「斜めの蛇腹」にしかなっていない。なんて無神経なパーツ設計!)
●転輪用ボギーは、ディテールに若干の省略もあり、マスタークラブのキャッスルナット(0.7mm頭)で追加工作。上が未改修のキットパーツ、下が追加工作済み。
具体的には、スプリング根元の省略されているナットを追加、さらに中途の束ね金具のナット部分も曖昧なモールド表現なので作り直した。
ただし、マスタークラブのリベット/ボルト/ナットセットは、望む位置に穴を開け、脚を挿し込み位置決め後、裏から接着固定するのが通常の工程で、それが利点でもある(位置決めが容易で表側を接着剤で汚さない)のだが、この部分には見えなくなる裏側がない!!
板ばねの根元側は深く穴を開けて挿し込み、接着は瞬着だとやり直しが利かないので、差し込む前に穴にサーフェサーを塗って接着剤代わりに。
束ね金具部分はもっと厄介で、穴を貫通させることができない。me20さんのところでのリベット談義でも話に出たのだけれど、頭部分だけ切り取って瞬着で着けるのは難易度が高過ぎる。とりあえず、浅く穴を開けて、脚を短く切り詰めて位置決めをしてみようと思ったのだが、やはり扱いづらく、いじくり回しているうちに弾き飛ばして紛失してしまい断念。結局、
- 細切りのプラバンに、キャッスルナットを2本通して瞬着で固定。
- 脚部分を切り飛ばし、ヤスって、裏側を平滑に。
- キットパーツは台座部分のモールドも削り落として、(2)を接着し、台座形状を削って調整。
……というような面倒な工程を踏むことになった(ちなみに尾藤氏は、束ね金具の脚も含めて作り直している)。
現時点で、1つだけ作業終了。これをあと7箇所もやるのかと思うとちょっとげんなりする。
●上部転輪は出っ張るべきところが凹んでいたりして、あまり形状がよろしくないので追加工作した。
これは新版でも同じパーツが入っているのかと思ったら、金型改修されていた。私の追加工作も割と適当だが、改修パーツの方もなんだか実車の雰囲気と違う。
出っ張り部分は、百均で買ったポンチの2mm径で0.3mmプラバンを抜いたもの。ちょっと径が大きかった。考えてみれば、最近は綺麗に丸く切り抜いたプラ板パーツなども売っているので、そちらを使えばよかったかも。
真ん中は、ジャンクパーツのドラゴンT-34の排気管カバーのボルトに、またしても48マーダーIIIの平頭リベットを重ねたもの。
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コメント
マスタークラブのリベットはかば◎さんも仰っていた通り、軸が若干テーパードしていますので、短く切断すると、とたんに差込みにくくなりますよね。
軸を完全に切り取る場合は、
・白キャップのタミヤ接着剤で位置決めする→乾燥後、瞬間接着剤半滴で固定、で何とか出来そうですが、先ず、
・軸を切り取る→生活感溢れる空間に飛んでいく、のをクリアするのが条件ですよね。あと、軸を切った跡の処理→生活感(以下略)とか。頭で考えるよりも、いろいろ面倒そうです。
そもそも肉眼では消しゴムのカスにしか見えないのに、軸を切ったらますます見えないじゃん、という問題も個人的にあります(笑)。
投稿: me20 | 2015年6月 1日 (月) 10時08分