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I号戦車の準備の続き(2)

SUMICONネタのI号戦車A型改、ブレダ20mm搭載型の仕様考証。

●前回補足。

(1).評判のよいガレージキット・メーカー、LEADWARRIORからも、このブレダ20mm搭載型のコンバージョンキット(トライスターまたはドラゴン用)が出ている(出ていた)。

ネット上で写真を見る限り、成型もシャープでそれらしい出来のキットだが、メーカーによる実車説明のページによると、「この車輌の写真はたった1枚が知られている」だそうだ。考証の材料的にはMBと同レベル……。

(2).「ブレダ20mm搭載のI号A型は4輌改装された」説だが、STEVEN J ZALOGA著、“SPANISH CIVIL WAR TANKS -- The Proving Ground for Blitzkrieg”(Osprey Publishing, NEW VANGUARD 170)にそう書いてあるのを見つけた。

もちろん、ザロガ先生が何に基づいてそう書いているのか、というのはあるけれど、それなりの資料に取り上げられている説であることは判った。

なお、同書によれば、改装は1937年夏、セビリャのFábrica de Armas(兵器工廠、とでも訳すべきか)で行われたとある。

●実車写真による仕様の検討。まずは砲塔周り。

・外形的には砲塔のみが改修されていて、車体に変化はないものと思われる。砲塔は基本形状を活かしたまま、天井部分をかさ上げして容積を拡大している。天井を新造している可能性もあるが、ハッチ等は同形なので、とりあえず、砲塔側面と天井板を切り離し、両方ともそのまま活用しているものと仮定する。

・砲塔前面はかさ上げ部も含めて同一平面なのか、かさ上げ部は角度が変わっているのか、今ひとつよく判らない。要検討。

砲塔天井前端に2カ所、ハッチ用ダンパー。例えばこの写真では単純な円柱形に見える。元のI号戦車の場合、図面等ではダンバーは円錐台形で描かれている場合が多いが、円筒形に見える写真もあるので、もともとバリエーションとして「どちらもあった」のかも。

・主武装はブレダM35 20mm機関砲を搭載。中途に、円形の板を丸めたような、小さな防盾を装着している。これはオリジナルにはないもののようなので、I号戦車に搭載した際にわざわざ追加されたらしい。砲身付け根上に小さな箱のようなものが載っているが、これはブレダM35 20mm機関砲に元から付いている。ただし、この箱状パーツが付いていないように見える写真もある。

●車体。

・エンジンデッキ部、通風孔に装甲カバー付きの改修型。とりあえず、確認できる写真では全車に付いている。通風孔カバーはA型生産終了後の追加改修なので、生産時の仕様とは無関係。

・戦闘室側面下部の増加装甲付きが確認できる写真はあるが、増加装甲なしと断言できる写真は見当たらない(標準の戦車型ではないものも確認できる)。ただし、先の写真の車輌は増加装甲なしのようにも見える。この車輌は別カットで、同じ右側面と、反対側の左側面の写真があるのだが、どちらもニヤけたおっさんが立ちふさがっていて増加装甲の有無を確認できない。おっさんそこをどけ! なお、とりあえずこの車輌はジャッキ側面にワイヤーカッターを装備している。

・初期生産型の特徴、ホーンにラッパ付きが確認できる写真もある。

・クラッチ/ブレーキ点検パネルの幅については、はっきり確認できる写真がない。

・写真で確認できる限り、全車、フェンダー前後のマッドフラップなし。

・前照灯にはカバーをかけていないことが多そう。

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コメント

資料写真見てると
おっさんそこをどけ!とかカメラマンなんでそこで切る?!とかもう何十回もぼやきますよね・・・
なやましいです。

投稿: みやまえ | 2015年5月11日 (月) 21時46分

>みやまえさん

実車写真でディテールを調べる人は、だいたい皆思い当たることがあるのではと思います。

数年前に作り掛けて塗装前で止まっているVanatorul de Care R-35(ルーマニア改装の45mm砲搭載ルノーR35)でも、数少ない鮮明な写真で、ソ連兵が防盾(←ここは一番の製作上のネック)の前で、思いっきり写真向けに「考える人」ふうのポーズを取っていて、激しく脱力します。

投稿: かば◎ | 2015年5月13日 (水) 10時42分

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