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2015年2月

ぼいて75mm(6)

●75mm対戦車砲PaK97/38製作記の続き。最終ターンの防盾工作。

本来ならこういう“薄物”はエッチングに交換が望ましいのだが、

  • 市販のエッチングパーツは防盾の他に、(すでに工作が終わってしまった部分の)いろいろ余計なパーツがテンコ盛りでコストパフォーマンスが悪い。
  • そもそも防盾の他にエッチングパーでなければならない必然性のある部分が少ない(気がする)。
  • この砲にそこまで投資する気が起きない。
  • ウェブ上でパッと見た限りでは、いくつか出ているパーツも、防盾形状がなんだか怪しい気がする(きちんと確認したわけではなく、「あのブドウは酸っぱいに違いない」的)。

等々の理由により、防盾もキットパーツをベースに工作を進めることにする。最初のパーツ比較で検証したように、上部メイン防盾はドラゴンのもののほうが形状がよさそうなのでそちらを利用。下部防順はイタレリを使用した。

F1017806 ●下部防盾は一重で平板なので、単純に薄くする。イタレリの濃いプラ色のパーツが透けるまでヤスる。

素直に押し出しピン跡がある側を削り込んだのだが、なんと下側は押し出しピン跡がある方が表側だった。なぜだ!

右写真、下側はヤスった側がこちらを向いていて、モールドは向こう側のにあるものの影。表側のディテールは最後に再生した。なお、シャベルのブレードの受けは、キットのモールドの位置にあるものと、もっと端に寄っていて、ヒンジ下に付いているものとの2種があるようだ。

F1017890b●上部防盾は、外側はドラゴンのパーツを元に薄々に削ったうえに形状修正した。

右上が元パーツだが、これは50mm対戦車砲PaK38のパーツをそのまま流用しているため、砲身が通る中央スリットの形状が違い、頂部の補強板も、PaK97/38はリベットが上下2列のところ、PaK38と同じ3列で幅があり過ぎる。スリットは削り込み、補強板はイタレリのモールドを切り取って貼り付けた。

また、照準窓は位置、形状共にちょっとおかしい(平行四辺形になっていない)ので、やや外側に移動する感じで埋めたり削ったり。

さて、防盾工作手前で足踏みしていた最大の理由が、この二重のメイン防盾の内側をどうするかということ。表側を薄くした結果、元の内側パーツはサイズが合わず、自作が必要なのだが、それが面倒臭い、というよりも、うまい工作法がイメージできなかったため。

F1017895b 結局は、力技というか、中央部・曲面部・さらに外側の翼部と5パーツに分け、外側防盾の裏にスペーサーとして0.3mm板を噛ませた上に、順に貼り付けていった。中央部と曲面部は0.3mmプラバン、両翼部はドラゴンの内側防盾パーツのものを切り離して薄く削り直して使用。全体として、元パーツの2枚重ねのおよそ半分の厚みになっている。

なお、裏側のナット列は(両翼部はそのまま使っているので当然だが)すべてドラゴンのもの。ただしこれはだいぶオーバースケールなうえ、本来はキャッスルナットが使用されているようだ。

F1017891付属品の収納箱等々は、形状がよりよい(ように思われる)イタレリのものを使用。また、ここで白状しておくと、イタレリ、ドラゴンとも、砲身の通る中央スリット形状は表側・内側とも同一で、私も無批判にそうしてしまったのだが、実際には2枚の防盾に挟まれた小防盾と揺架を繋ぐリンク機構をクリアするため、内側は上端が四角く、照準器収納箱?が乗っているアングル材の直下まで開いている。砲架への取り付けが終わってからディテールが判る写真を見つけたので、後の祭り。

●こうして工作の終わった防盾を砲架に取り付けることになるのだが、この期に及んで、照準窓と照準器架の高さがうまく合わないことが判明。再度写真とにらめっこした結果、照準器架の基部のレベルが違いそうだということが判り、またまた照準器架パーツを切り刻んで微調整することに。

さらには、上部メイン防盾と下部防盾の位置関係もどうもうまくないことが判り、下部防盾の上部左右を削り込んだり、上部メイン防盾の下端を少々切り詰めたり。

改めてチェックすると、どうもドラゴンの上部メイン防盾は上下に間延びしすぎているらしい(とはいえ、イタレリでは寸詰まり過ぎのようだ)。発覚が遅かったので根本的な修正はできず、適当なところでお茶を濁すことにする。

●そんなこんなで、なんとか防盾を砲架に取り付け、ひと通りの工作が終わった状態を以下に。……拉縄(りゅうじょう)を付け忘れているが、これはそのうち追加の予定。

なお、下部防盾の上下に付いている謎の筒状突起の用途は不明。コントレールのプラパイプの内径をさらって薄くしたものをつぶし、長円形断面にして使用。上側の径の大きいほうは、両側面に丸穴が開いている。

フィンランドで展示されている個体にはどれも付いているようで、もしかしたらフィンランドで追加したものかもしれない(戦後の追加だったりしなければいいけれど……)。

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週末模型親父さんのところの「イタレリ作せり」コン・エントリー作としてはマウルティア完成を第一にしたいこと、これについては工作の様子をもうちょっと愛でていたいこともあって、この段階でひとまず休止。いずれ気が向いたときにフィンランドの3色迷彩で仕上げるつもり。

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その後のらばさん(4)

週末模型親父さんのところの「イタレリ作せり」コン参加作、イタレリ製のオペル・マウルティア(略称「イタらば」)製作記の続き。

75mmPaK97/38に浮気してしまったためにすっかりご無沙汰してしまったものの、エントリー作としてはこちらがメインではあるし、75mmPaK97/38は防盾が面倒で足踏み状態なので、とりあえずこちらを優先的に仕上げようと作業を復活させたもの。

●シャーシ、荷台は前回までで終了していて、残りの作業はキャビン・ボンネット周りのこまごま。ノテクライトは前々回に作業しているので、次は前照灯。

まず1点。前照灯もノテクライト同様、キットの取り付け指示位置は高すぎる。特に前照灯は車輌の「顔付き」が変わってしまうので、イタレリのブリッツ/マウルティアの「直したいポイント」の一つといえる。

2点目。その前照灯のパーツ自体、イタレリのものはなんだか甘食(最近見ませんね)のような形をしており、あまり似ていない感じがする。

形状に関しては、当初はイタレリのものにプラバン等を貼り増して削ろうかなどとも考えたのだが、いかにも面倒で、「まあ、そのまま使っちゃうか」と日和りかけたところで、タミヤのSd.Kfz.251のジャンクパーツのライトを発見。これを流用することにする。

ただし、タミヤの251のパーツは盛り上がったレンズ部分も一体のものなので、ゴリゴリくりぬいて、カバーパーツを作ってはめ込んだ。このカバー部分の切り出しにスーパーパンチコンパスを使ったのだが、「うわっ、なんだこりゃあ」な使い勝手だったのはここここで書いた通り。

F1017812F1017816前照灯の基部はある程度細かく作ろうと思うとプラ材では強度が不足するので、金属の板材(エッチングの切れ端)を使用した。

最初は基部丸ごと作ろうと思ったが、オムスビ形の固定部からステイのベロが出ている形状をうまく加工できなかったので、ベロと固定部を別々に作成。ベロのみ金属として、フェンダーに一文字の穴を開けて差し込んで接着。固定部はプラで追加した。

左写真で、基部の上側に四角く記入してあるのが、キットの前照灯取り付け指示位置。また、基部の上に小さく穴が開いているのは、ライトコードの引き込み部。

加工した前照灯を取り付けた状態が右。

F1017845F1017846●工具は、右フェンダーにオノとツルハシ、左フェンダーにシャベルが付く。

戦車と違って丸っこいフェンダー上に工具を載せるために妙に凝った架台が付いているのだが、特にツルハシの頭を受ける架台はカクカク折れたところに穴が開いていて、ピック(尖ったほう)側を差し込むようになっている。

最初、ツルハシは架台だけ作るつもりで作業していたのだが、途中で、トライスターの38(t)のツルハシが余っていたのではないかと思い出し、見つけて試しに差し込んでみたらちょうどはまったので、そのまま利用することにした。

シャベルとオノはタミヤの別売パーツ「IV号戦車車外装備品セット」から。オノは戦車に搭載するものよりずっと小さいので、4方向(柄の両側、オノ頭の両側)で切り詰めた。

シャベルとツルハシの架台は例によってエッチングパーツの切れ端を加工。クランプはコントレールの1.2mm径?のプラパイプの内径をドリルでさらって広げたものを元に、伸ばしランナーやらプラペーパーやらでごにょごにょして、なんとなくそれらしい感じに誤魔化し加工。

シャベルとツルハシの柄側の逆V字の架台はほぼ同じ形をしているようなのだが、位置は対称ではない様子。そもそもこのあたり、架台の形状も含めて戦時中の実車写真ではよくわからないので、ドラゴンのキットの素組み見本写真などを参考に工作した。

F1017872●車幅表示棒とドアミラーは柄の部分を0.35mmの真鍮線で置き換え。車幅表示棒の付け根と先端のマル、ドアミラーのミラー本体はイタレリのパーツから加工。

ドアミラー本体は透明部品の枝に入っているのだが、裏面は接着用ガイドのモールドなどがあって凸凹しているので、「裏を銀色に塗ってミラーに見せる」というような技法は使えず、なんで透明部品なのかいまいち意味不明。

●一応、塗装前の工作はこれで終了(のはず)。

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永遠の0

●前回の書き込みをした11日は建国記念日だったのだが、仕事がずれ込んでいたこともあって、夜になってようやく祝祭日であることを知った。

いつ出来たか判らない国のいたかどうか判らない初代王様の即位日なんて理由で休んでるんじゃない! みんな働け!(←自分が仕事をしていたので八つ当たり)

ちなみに我が家の五歳児は、保育園で「にほんのいちばんさいしょのてんのーのたんじょうび」と教わったと主張しているが、本当にそう教わったのか、本人が間違って覚えているのかは不明。しかし少なくとも、伝説の料理人・陳建国氏が日本に麻婆豆腐を伝えた日、という私の主張よりは近い。

●12日木曜日。仕事で都心の東に行ったり西に行ったり。

午前中は新大橋で、複数の企業と自治体による、歴史的建造物の3Dモデルデータ構築の事業結果の説明会。午後は東中野でとある新しい仕事の打ち合わせ。以前、麻布十番に勤めていた頃、その近所にあった知り合いのプロダクションなのだが、その後代々木に引越し、さらに数年して東中野に引っ越した由。じわじわ西へ?

●その合間に秋葉原に寄り道する。イエローサブマリンにて、新しいアーマーモデリング誌が出ており、SUMICONの記事を立ち読み(←買えよ)。

また、アカデミーの新製品、112工場(クラスナエ・ソルモヴォ工場)製T-34-85のパーツが飾ってあった。気付いた点、気になった点などランダムに。

・初期型、後期型の砲塔は、砲塔上面のディテールを選ぶようになっているのかと思いきや、砲塔上部が丸ごと別パーツで2つ入っていた。

・エンジンルーム後半の通風孔カバー部分が、かなり前後方向で幅が足りない印象。アカデミーというだけで、どうせコピーキットだろうと安易に判断する人もいるが、実際には、最近のキットはきっちり自社設計している。……が、そのぶん、ちょっと前に出たヘッツァーもそうなのだが、どうも細部の寸法バランスがおかしい。T-34-85は、少なくとも183工場製は実物がソウルにもあるのだから、おおよそのバランスくらい採寸すりゃいいのになあ。

・砲塔、操縦手ハッチなど、鋳造部分のテクスチャ表現はだいぶ荒々しい感じ。

・車体下部は箱組み。

・転輪は以前ネットで見たサンプルでスパイダーウェブを履いていて若干不安があったが、ちゃんとディスクタイプになっていた(112工場製は後々交換されたりしていない限り、基本、ディスク型しか使われていない)。

・角型フェンダーのヒンジが以前見たテストショットでは1カ所しかなかった(本来、112工場製は2カ所)問題に関しては、確認し忘れた。

●その日夕刻、川崎の実家に寄り、夕飯を食って、田舎から送ってきたという「たんかん」を貰って帰る。親戚から送ってきた「たんかん」は純粋自宅消費用だそうで見た目は悪いが味はそこそこ。

●百田尚樹「永遠の0」読了。

作者のメディアでの俺様な発言振りを見るにつけ、知り合いにはなりたくないタイプだなと思っていたが、作品と人間性は一致しないことがままあるし、話題になった作品でもあるし、ネタ的にも、一度は読んでおこうと思っていたもの。

もっとも、昨年の正月に飛行機モデラー仲間の石黒氏から、「戦時中のエピソードは基本、他から持ってきている感じ。それ以外のところになると突然薄っぺらくなる」といった感想を聞いていたので、図書館で借りるか、bookoffで安く買えるかしたら読もうと考えて、1年以上経ってしまった(さすがヒット作だけあって図書館は予約満杯、bookoffでは500円台とか、古本だと考えちゃうな的値段だったので)。

しかし結局、本はそのどちらでもなく、義妹が持っていることが判って借りた。直後、bookoffで250円まで下がっているのを発見したが、もう買わん。

一応、感想。

凡そのところは石黒氏から聞いていた通りで、芝居の書割のように薄っぺらい情景描写と人物描写。戦時中のエピソードだけいきなり血が通う感じだが、実際のところ、「あ、これは読んだ覚えがある」という部分が随所にあり、基本、他の回顧録・空戦記のほぼ切り貼りではないかと思う。もちろん、文章として書き換えてあれば盗作とは言えないだろうが、中身的にそのままというのは、「作家=話を“作る”人」としてどうなのよ、と感じなくはない。

某新聞を名指しで罵っているに等しい、というよりも、そのためにこそ出してきました的な新聞記者・高山の描写のステロタイプぶりは失笑を禁じえないレベル。また最終章で、それまでの謎に答が出される部分、2段目(ヤクザの部分)は話が出来過ぎというか作り過ぎというか、「ここ、要らないんじゃね?」という感じ。エピローグも、いかにもお涙頂戴のダメ押し的。

全体のストーリーとしては、実は事前の予想よりずっと面白かったのだが、これは小説というよりドラマや漫画の「原作」であって、ここからもう一段の加工があって初めて作品と言えるんじゃないか、とも感じた。

実は義妹は百田作品を何冊も持っているのだが、義妹の評価ポイントは「とにかくすらすらとすぐ読めちゃうから」である由。実際、その評価は的確で、この「永遠の0」以前に、図書館から借りた1冊と、義妹からの1冊を読んだのだが、最初の感想は「ショートショートのような文章だな」というものだった。(文章の豊かな表現という意味での)レトリックを廃して、ただ一気にストーリーだけを追うといった感じ。この「永遠の0」は前述のように他からの切り貼り部分が多く、その分が「読み応え」にもなるが、前の2冊はそれこそ、普通の本の半分とか1/3とかの労力で読めてしまった。

ただし、それは文章が下手だということではなくて(いや、もしかしたら下手なのかもしれないけれど)、要するに文章力とか表現力といったものは一切信じていない(あるいは余計なものを入れず的確に筋を追うことこそ文章力だと思っている)人なのだと思う、というのがここまで3冊読んでの公約数的感想。もともと放送作家だというのも関係しているのかも。

実はあと2冊借りてしまっているので、それは読むかもしれないけれど、正直「もういいや」感たっぷり。

●ocnから「ホームページのサービスを終了します」という通知が来て、「えっ、『かばぶ』はどこかに引っ越さなきゃいけないのか?」と思ったのだが、改めて考えてみたら、ここはniftyだった。

もちろん無関係というわけではなくて、元の個人HP、「河馬之巣」が今はocnに置いてある。どうするかなあ。

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続・スーパーパンチコンパス検証

●前回の「スーパーパンチコンパス、使えねえ!」の件の続き。

意外に反響が大きかった(だってお初の方に書き込んでもらえたし!)のだが、「ウチのはそんなにガタついてないよ?」と言われてちょっとビックリ。やはりウチのスーパーパンチコンパスは不良品?

というわけで、検証写真を撮ってみた。

まずはガタツキによる刃先位置のズレ。

F1017834 F1017837

固定ネジをガッチリ締めて(少々の力では回らないくらいガッチリ)、その状態で、割と簡単にここまでブレる。

これの主因はそもそもスライド部に隙間ができていること。

F1017843 F1017842

片方が微妙にピンボケで申し訳ないが、要するに、スライド部に遊びがあるために、閉めネジを支点としてシーソーしてしまうわけである。締めネジの根元の白いワッシャーを外すとガッチリ固定できるのか? いやでも、プラッツのプロモⅤでもワッシャーははまったままだし。

というわけで、とりあえずの策として、前回使用時にはこの隙間に0.3mmプラバンを挟んだのだが、より本格的に、スライド部側壁に帯状プラバンを接着してしまう予定。

F1017831 ●我が家の5歳児は最近、粘土細工に異様にご執心。しかも、ダイソーの樹脂粘土一択。その5歳児の近作の「妖精さん」? 身長は7、8cmといったところ。妙に凝っている。

ちなみにその粘土は、割と滑らかな質感で、乾燥すると固まる(なんで知っているかというと、先日のお守の際に、少し細工を付き合わされたからだ)。何か模型関係に使えるかも、と思うが、少し弾力があって形を付けてもわずかに戻る感じがあるので、複製の材料としては使いづらいかもしれない。

100円といってもひとつの量が少ないので、価格はちょっと高めかも。

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CODE VS 4.0

●7日土曜日、六本木ニコファーレへ、プログラマー日本一決定戦「CODE VS 4.0」決勝戦を観戦に行く(一応、仕事がらみ)。

前回までは「プログラマー学生日本一決定戦」だったのだが、今回から“学生”の縛りが消えて、年齢・国籍・学歴不問に。もともと、リクルート主催ということもあって、有望な学生を集めてツバを付けちゃいましょう的ニュアンスが、若干薄まった感じ。

詳細は公式サイトに詳しいが、要は、課題としてあるゲームが提示され、それをよりよくクリアするためのプログラム(AI)を組んで戦わせるというもの。予選はコンピュータ相手のスコア勝負、決勝戦は、参加者(のAI)同士の対戦。もちろんその場でAIを書き上げるわけではなく、参加者は、予選を戦わせた自分のAIに、若干の対人用(というより、プレーヤーメイドのプログラム用)のカスタマイズを施して提出。当日は、決勝参加者含め、人間は全員、ただただ、あらかじめ組んであるプログラム同士が戦うのを見ているだけ。

そんなの面白いの?――と言われそうだが、これがかなり興奮するし、会場も盛り上がる。ゲームのマップはその都度ある程度ランダムに生成されるので、プレイヤーのAIの出方もそれで若干変わる。そして、相手の出方の変化で、さらに動きが読めなくなる。というわけで、「あらかじめ組んだプログラム」でも、勝負の帰趨はフタを開けてみるまで判らないということになる。なんとなく、闘鶏や闘蟋蟀というのはこんな感じなんじゃないか、という気がする(ギャンブルではないけれど)。

ちなみに課題のゲームは、戦力や拠点を(資源を頼りに)生産しつつ、相手の城を攻め落とす戦略ゲーム。これまでにも何度か観戦しているが、以前の落ちゲー(○よ○よ風)や爆弾ゲー(○ンバーマン風)と比べると、少々勝負の経過が読み取りにくい感じ。しかし、試合が進むとなんとなく見方も判ってくる。

決勝出場者は、予選のスコア上位の8人。総当りリーグ戦の後、その勝率に従ってトーナメントで前述のように年齢制限が消えたため、今回は、過去、学生時代に決勝で戦ってきた猛者が社会人になって戻ってきたり。

しかし試合の結果は……そんな猛者たちを退けて、なんと中学生参加者が優勝というどんでん返し。会場、唖然・騒然。

その後、協賛企業のプログラマー(こちらも過去の決勝進出者がちらほら)によるエキジビジョンマッチがあり、ここでは、課題ゲームそのものを制作したチームラボが圧勝。ゲーム自体を知り尽くしている上に、予選の経験もフィードバックしているので当然とも思えるが、もう何というか、大戦末期、ベルリンになだれ込むソ連軍もかくやの戦いぶり。

ところが、その後、エキジビジョンマッチの最終戦として行われた、チームラボ対優勝者の中学生君の試合。6戦先取で、先にリーチを掛けたのは大方の予想通りチームラボ、この時点での勝敗はチームラボ5勝に中学生君3勝(それでも、いわば巨象にアリが一矢報いた的に会場が沸いたのだが)。そのまま「ちっ。やっぱり大人はきたねーよ」的展開で終わるのかと思いきや、まさかの中学生君3連勝で軌跡の大逆転。会場大興奮。ニコニコのコメントが表示される会場の壁は、バックが見えないほど真っ白に。

(2/17追記。実況レポート記事

●CODE VSの開始は午後2時。若干早めに着いたので、久しぶりにラーメン屋「光麺」で昼食。新メニューであるらしい、麻辣豚骨麺を食す。花椒が痺れるほど辛く、なかなか美味。

CODE VSが終わって表に出るともう午後8時で、雨が降っていた。

F1017821●逗子駅前のスズキヤで、またミレービスケット・キャラメル味(気に入った)と、再入荷していたメキストを購入。今週のおやつ。といいつつ、ミレーのほうはもう食べてしまった。

●9日月曜日。ちらほら雪も降る寒さだというのに、ふと見ると、隣家の窓の外に蛾がとまっている。

F1017824こんな季節に活動している酔狂な蛾といえば、まず間違いなくフユシャクで、実際、見た目の感じも「あ、フユシャク」という感じなのだが、どうもweb上で見ても、まさにコレ!というのを特定できない(見た先は、たとえば「フユシャク」やお馴染みの「みんなで作る日本産蛾類図鑑」、あるいはその中の特別ページ「日本産フユシャク類WEB図鑑」)。

フユシャクとひとくくりにされる、冬季に成虫になるシャクガは日本に35種しかいない。フユシャクは「冬に成虫が発生し、メスは翅が退化していて飛べない」という共通の特徴があるものの、分類上はフユシャク亜科、ナミシャク亜科、エダシャク亜科の3亜科にまたがっている。フユシャク亜科以外の2亜科には、冬に発生するわけではなく、メスもちゃんと飛べる普通のシャクガも多数いる。うち、写真のヤツは翅を重ねてとまるフユシャク亜科ではなく、ナミシャク亜科かエダシャク亜科に属するものだろうくらいは判るが、その先がモヤモヤ。

結局、模様と形に結構幅があるらしい、ナミスジフユナミシャクではと推測したところで降参。ちなみにナミスジフユナミシャクのメスは、先日一度紹介している。

F1017822●「イタレリ作せり」コンも今月末締め切りで切羽詰ってきて、らばさん(マウルティア)の工作を再開したのだが、その際、0.3mmプラバンから小さい円形のパーツを切り出すのに、先頃購入した新兵器、梅本デザイン/プラッツの「スーパーパンチコンパス」を使用。

これまでのサークルカッターでは無理だった、極小(1.5mm~)の円も切り出せるということで大いに期待して買ったのだが……結果から言うと、まるで期待外れ。もっと言うと、これはもしかしたら不良品なのではないかレベル(実際にたまたま不良品に当たった可能性もないわけではないと思うが)。

まず、半径がまったく安定しないので、真円を切り出すことができない。そもそも0.3mmとはいえプラバンを切り出すような道具じゃない、もっと薄い紙を切るものなんだと言われればそうなのかもしれないが(私自身は主に薄いプラバンを切ることを想定して買ったのだが)、試しに紙を切ってみてもやはりダメだった。

よくよく確認すると、スライド部にガタがあり、固定ネジを締めてもほんの少しの力でここが動いてしまう。ダメじゃん!

スライド部上側にプラバンを挟み込んでガタつきを減らし、なんとか使ってみたが、刃の固定部も若干安定を欠く感じで、やはり期待したほど綺麗には切れなかった。原理的に無理があるというよりは、製品としての精度に問題があるように見える。

その後、youtubeにupされているレビューを見たが、そこでも「あれ? 綺麗に切れないよ?」状態。結局、これはこういう製品なのか? そもそも1000円そこそこの品にそこまで期待しちゃいけないのか? しかし少なくとも、台紙の謳い文句、「スパッと! 直径1.5mmの円が切れます!!」はだいぶ無理があると思う。

いやいや、そもそも使い方が違ってるよ、こういうコツがあるんだよ的な情報をお持ちの方はぜひ。

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がらくた

●用事があって川崎の実家に行き一泊。帰りに山田穣「がらくたストリート」(3)と「昔話のできるまで」、芦奈野ひとし「コトノバドライブ」(1)、睦月のぞみ「白銀妃」(1)を買う。

……マンガばっかし。

セータ☆さんから聞いていたように、「がらくたストリート」(3)にObiekt 220が出てきた。これってWorld of Tanks? 「昔話のできるまで」にはティーガー(1輌)とT-34(わらわら)が出てきた。そもそも表紙にティーガーが描いてあるのに後から気付いた。巨乳眼鏡のおねーちゃんに気を取られていた。

なお、「昔話のできるまで」正誤表がある著者HPはこちら

芦奈野ひとしの新刊「コトノバドライブ」も、セータ☆さんに聞いて初めて出ているのを知ったもの。「ヨコハマ買い出し」のなかの、「今とはちょっと違ってしまった世界」と「メカ」路線をメインに延長させたのが「カブのイサキ」だとすると、「日常のちょっと隣にある“すこしふしぎ”」路線を継いでいるのが「コトノバドライブ」、という捉え方でいいッスかね。

ところで、たまプラーザの有隣堂にも、横浜西口の有隣堂にも「がたくたストリート」がなく、というよりも幻冬社BIRZコミックス自体、書棚に見当たらず。有隣堂、幻冬社とケンカでもしてるんですか?(まあ、幻冬社自体、出版社としてちょっとどうなのか、と思うところがないわけではないが)

なお、「がらくたストリート」(3)は結局、西口のヨドバシのホビーフロア・コミックコーナーで買った。

●昨年秋に長野の伊那谷に行った際、地場の菓子メーカー製のビスケット「メキスト」を買って食べて気に入ったのだが(過去記事参照)、わざわざ長野まで行かなくても、逗子駅前のスーパー「スズキヤ」で「メキスト」を扱っていることが判明。

ところが、久しぶりに食おうかと買いに行ったらたまたま売り切れていた(棚にはメキストの札がそのまま掛かっていたので、単に一時的品切れの模様)。

代わりに、「ミレービスケット」のキャラメル味という新製品が出ていたので買って食う。なかなかウマイ。

ミレービスケットについても以前ちょっと書いているが、名古屋周辺と高知でだけポピュラーな、油で揚げた小型ビスケット(もっとも、この辺のスーパーやお菓子屋でも割合よく見かける)。名古屋と高知でだけポピュラーなのは、もともと愛知県と高知県は地続きだったのが地殻変動によって2つに分かれて今の位置に収まったため(なわけがない)。

ちなみに、キャラメル味のミレーは高知版(豆の野村、こと野村煎豆加工店製)の新味なので、名古屋の人にはピンと来ないはず。

●マリ・キュリー(キュリー夫人)について調べる必要があり、かみさんに、鎌倉図書館でまとめてキュリー夫人関係の書籍を借りてきてもらう。

  • 「キュリー夫人伝」 エーヴ・キュリー著 河野万里子訳 白水社:娘による伝記。
  • 「キュリー夫人」 松岡洋子著 旺文社文庫
  • 「キュリー夫人の理科教室」 吉祥瑞枝監修 岡田勲・渡辺正共訳 丸善株式会社:キュリー夫人が運営していた私塾の講義録
  • 「キュリー夫人の末裔 ポーランドの女たち」 つかだみちこ著 筑摩書房:キュリー夫人と関係なさそうな気がする……。

しばらくキュリー夫人漬けだな……(キュウリの漬物方面のダジャレに走りそうなところを堪える)。

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ぼいて75mm(5)

●いつのまにやら、製作記も本命だったはずのマウルティアを追い抜いてしまった。

というわけで、イタレリベースで進めている75mm対戦車砲PaK97/38の下部砲架・脚部の工作あれこれ。

脚は初回に比較写真を載せたが、イタレリとドラゴンとで一見大差ないように見えるものの、細部ディテールの位置に細かいズレがある。イタレリのほうが実物に近い感じなのでそちらを使用したが、内側に結構大胆に押し出しピンの痕があり、その修正の手間が掛かる。

F1017715●駐鋤周辺。ほぼ左右対称に作られている脚だが、実際には、牽引具が付く左脚は駐鋤付け根が補強されていて、一段太くなっている。プラペーパーを巻いて表現した。

また、脚の内側にモールドされている連結具は、それぞれ脚から直角に出ていて、そのまま閉じると「へ」の字に角度が付いてしまう。基部も脚にガッチリとブロック状にくっついてモールドされているので、一度エッチングソーで切り離し、基部を工作し直した。ここも、右と左とで形状に差があり、左のほうが丈夫に出来ている。

F1017757 駐鋤は、左側は牽引具が付くのであれこれディテールが加わっている。牽引具はイタレリのパーツを使ったが、形がイマイチで、そのまま付けると変に斜め上に角度が付く。多少いじって少なくとも角度は修正したが、形状まではきちんと直せなかった。

牽引具を駐鋤に止めているキャッスルナットは(ここだけ解像度が高いのもちょっと変だが)マスタークラブの0.7mm。先日、I号戦車の起動輪用に買ったもの。まあ、I号戦車を、今後、山ほど作ったりはしないだろうし。実際には上辺にもボルト/ナットがあるのだが、牽引具の形状を直しきれなかった影響もあって、付ける余地がなかった。

F1017783 工作終了状態(左脚)はこんな感じ。

連結具上に付くクランプのパーツ、および折り畳み式の取っ手はドラゴンのパーツ。両者とも、イタレリのパーツもそう大差はないのだが、ほんのちょっと、ドラゴンのものがいい感じだった。

前側にある台形の突起は、取っ手を畳んだ時に留め金が噛み合うところ。厚みから考えて金属板が似つかわしいところだが、綺麗に切り出すのが面倒だったのでプラバンで。

F1017775F1017781●脚中央部。それぞれ、左側から見た左脚と右脚。

外側には手すりが2ヶ所付くのだが、キットの指定(というか、取り付け穴)は、両方とも真横にある(イタレリもドラゴンも)。

しかし、キットではロッド(クリーニングロッド?)も真横に付くようになっていて、説明図ではさらりと図示してあるのだが、そのままではもろに干渉してしまうはず。

実際には、中央部の手すりは斜め上向きについており、ロッドは外側の若干下に付くのが正しい。また、キットではロッドが右に1本、左に2本付くようになっているが、これは50mmPaK38の場合で、PaK97/38では両側1本ずつが正しいようだ。また、ロッドの止め具の形状も、PaK38とPaK97/38とでは違いがあるようだ。PaK97/38では、後ろ側は単純なカップ状の受け、前側がクランプになっている。なお、キットは前側の留め具位置が若干後ろ過ぎているようだったので修正した。

作例では、手すりの位置を修正するとともに、パーツ自体、若干細めのドラゴンのものを使用。ロッドはコントレールの丸棒から。

F1017778脚上面には、人力移動用補助車輪のホルダーが付く。可倒式のツメ部分は、ドラゴンの脚のモールドを削り取って来て加工。倒れた状態にした。後ろ側の固定のツメには三角の補強板が付く。また、前後のツメの内側には、出っ張った押し出しピン跡のような丸い突起がある。これは車輪のゴム部分が当たるところで、この突起を付けることで、ホイールリムの立ち上がり部分が脚に直接当たって塗料が剥げたりしないようにしているらしい。

ツメの位置自体にちょっとズレがあるせいでもあるのだが、作例のこの丸突起の位置は正しくなく、実際には、前側の可倒式のツメにほとんど隠れてしまうくらい、もっとツメ寄りにある。

右側脚の内側には、トラベルクランプが付く。イタレリのパーツを使用。前面2ヶ所の白いツメが、揺架後端の穴にはまって固定するらしい。パーツでは単純なリベットのようなモールドだったので、プラ材で修正。また、後面に小さな十字ハンドル、上面に小リベットを追加。

F1017779 ●脚前端部と下部砲架。ロッドのクランプは、プラパイプとプラ材とプラペーパーで何となくそれらしくごにょごにょと。

下部砲架は、ウルサイことを言い出すとだいぶあちこち形状が違うのだが、上部砲架や防盾にそこそこ隠れるので、手を入れるのは最小限とした。サスの後端部分を削ってドラゴンのパーツに交換。また、射撃時にサスにロックをかけている状態にモールドされているロック機構に若干のディテールを彫り込んだり盛ったり。

さらに、脚は開状態で固定し、脚と、サスロック機構との間のチェーンを、縒って潰した銅線で追加した。ただし、実際の射撃時には、このチェーンのどちらかの端はこの場所ではなく、ロック機構をロックする穴に挿し替えている可能性がある。

●車輪は、ドイツの対戦車砲のソリッドゴムタイヤではお馴染み、2本の溝で分割されたトレッド・パターン。キットのパーツは中央が盛り上がったモールドでお茶を濁している。

帯状のプラバンを貼って表現するか、溝を彫り込むかしばし悩んだが、結局彫り込むことにして、写真のような簡易工具を作った。

F1017770 F1017773当初、彫る刃はハセガワ・トライツールのエッチングソーを使おうかと思ったが、ちょっと薄過ぎる感じだったので、ペンナイフの刃の背中側に変更。土台にニットー76のIII号戦車の車体を使っているのは特に意味はなく、平らで、車輪の軸部がクリアできる穴が開いていればOK。単にたまたま部品取りで余ったパーツがすぐそこにあったため。

あとは、プラ材で適当な間隔を開けて瞬着で刃をがっちり接着、車輪をセットしてグルグル回すと所定位置に溝が彫れる。

●脚周りはこれで終了。あとは難関の防盾。

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