« 冬の虫 | トップページ | ぼいて75mm(4) »

ぼいて75mm(3)

●仕事が煮詰まっていてヤヴァイ状況なりけり。

●そんななか(だからこそ)、PaK97/38に時折逃避中。なお、週末模型親父さんのところの「イタレリ作せり」コンへのエントリーは、マウルティアが本命、こっちはオマケなのに、マウルティアは工具ホルダーを作るのが面倒で放置中。いかんね。

F1017727 ●砲尾は、(砲腔から偏心して尾栓が付いているので)下側に向けて太くなっている。キットも一応はそうなっているのだが、特徴的な段差が表現されておらず、また、右下方向に偏って下ぶくれになっているのも無視されているので、プラバンを貼り増して削った。

上部に付くブロック状のディテールは、キットのモールドは前過ぎたので削り落として新造。

尾栓は、なぜかドラゴンのパーツが、イタレリの砲尾の穴にあつらえたようにピッタリはまる。純正のイタレリのパーツは径が足りずガタガタ。開閉回転用のレバーやハンマーなど、付随したモールドも(少なくともこの部分だけは)ドラゴンのもののほうが出来がよい。イタレリのものは貧弱すぎる。

F1017722 揺架にもあれこれ追加工作をして、砲身を載せてみたのが右の状態。

オリジナルのM1897野砲の拉縄(りゅうじょう)、と言っていいのかどうか、とにかくハンマーを引っ張る紐も残っているのだが、PaK97/38では、左側のハンドルから撃発装置に繋がるコードと、その先の“引き金”が追加されている。コードはまだ付けていないが、揺架後部左に小さく開いているのが、そのコードが通る穴。

F1017716F1017719●上部砲架・左側面は、仰俯ハンドルからの縦軸・ウォームギアのカバーがカマボコ型に一体モールドされていたので、一旦削り落として、ランナーやプラバンで作り直し。

右側面は、砲耳軸から繋がるシリンダー(ダンパー?)が、イタレリ、ドラゴンともにY字フォークまで含めて一体成型で実感に乏しかったので、これも作り直し。フォーク部はドラゴンのパーツから切り取って大幅に削り直し、シリンダー下のシャフト/蛇腹はイタレリのパーツから持ってきた。

●揺架後部下には仰俯用の弧状のギアが付いていて、イタレリのキットでも揺架に一体にモールドされているのだが、位置も後ろ過ぎ、どこにも繋がっていないのが丸見えになってしまう(ドラゴンも基本的には同様)。

F1017730というわけで、まずは上部砲架側にギアの接続部を工作。ドラゴンのキットには、この接続部の一部と思しき、何だか中途半端なパーツが1つあって、それを元に削ったり貼り増したり。

一方、揺架側のギアはイタレリもドラゴンもむき出しなのだが、実際にはホコリよけのカバーが掛かっているようなので、曲線のランナーにシワを彫り込んでカバーを製作中。伸縮が利かないので、揺架はそのまま上部砲架に接着し、長さを調整してギアの付け根とカバーを取り付ける予定。

前回の続き。

砲口直後の「謎突起」は一体何のためにあるのか、という話だが、その後、みやまえさんからのコメントで、

米軍によるM1897およびその米改良型のマニュアル

ウェブ上の記事、「フランスの“ななじゅうご”について語ろう」

を教えていただき、おおよそ疑問は解決した。何かに砲身を固定するとか、何かを固定するとかに使うイメージでいたのだが、あれは、砲身が後座した際にレールに収まるローラー(もしくはガイド)なのだそうだ。

F10177353703 なんでそんなところにローラーが?――と思わなくもないが、上記マニュアルの中の図解から考えるに、復座レールに通常接しているローラーは砲身側面のボルト位置、つまり右写真の①と②にあるらしい(写真上)。

発射時に、砲身が最大位置まで後座すると(写真下)、①の後部ローラーはレールからはみ出してしまうのだが、それに代わって③の先端部ローラー(部品はまだ付けていないが)がレールに収まって、②だけになってしまうことを防ぐ、という仕組みであるらしい。場合によってはレールにゴミとかホコリとか入りやすそうだし、頭がいいのか間が抜けているのか、どちらにも取れそうな機構。

ちなみにM3ハーフトラックの対戦車自走砲にも搭載されている米改良型では先端部ローラーがないが、代わって、砲身側のガイドレールが前方に延長されている。アメリカ型は、オリジナルに比べ砲身にやたらにタガがはまっているが、そのタガの部分の下にローラーがあるようだ。

|

« 冬の虫 | トップページ | ぼいて75mm(4) »

資料・考証」カテゴリの記事

製作記・レビュー」カテゴリの記事

大砲」カテゴリの記事

75mmM1897野砲」カテゴリの記事

コメント

キットの作りこみ、毎度凄い情熱です!
ドラゴンの尾栓がイタレリに合うとか、ドラゴンを発掘しなければ・・・
キットを使ったローラーの解説は判りやすくて素敵です!

投稿: みやまえ | 2015年1月18日 (日) 21時16分

>みやまえさん

ありがとうございます。

いやしかし、本当に、なんで単純にレールを延ばさなかったんですかね。

……と思ったんですが、オリジナルのM1897では砲尾よりもさらに前で揺架が途切れています。
おそらく、オリジナルは単脚式なので、仰角を稼ぐにはレールを後方には長く出来なかったのだと思います。

じゃあ前に伸ばせよ、って言いたくなりますが。

投稿: かば◎ | 2015年1月19日 (月) 12時17分

なるほど、単脚式だからっていう理由はありそうですね!
フランス人的にはピタゴラスイッチ的なローラーのスイッチが心意気だったのかもしれません・・・・
単脚式といえば件の動画だとふつーに砲口が地面についちゃったりしててワイルドさにびっくりしました。

ブロンコのロイドキャリアーが出たようです。高すぎ!・・・ガレージキットだと思えば・・・でもキツイっす。

投稿: みやまえ | 2015年1月19日 (月) 20時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ぼいて75mm(3):

« 冬の虫 | トップページ | ぼいて75mm(4) »