隼号、発進(2)
●週末模型親父さんの「SUMICON2014」にエントリーしている、ARMO JADAR-MODELのSokół(ソクウ)1000オートバイ+サイドカーの製作記。
もっとも、ここ一週間ちょっと、仕事がぐじゃぐじゃになっていたので、現時点ではまだ「ちょっと楽そうなところに手を付けてみた」レベル。
●まずはおっかなびっくり、エンジンの組み立てから。
まずはクランクケースに、Vツインのシリンダ部品を立ち上げ、さらにシリンダヘッド部を重ねてエンジンの主要部になるわけだが、このシリンダヘッド部に取り付けのガイドに類するものがなく、そのくせ、シリンダヘッドの間に挟まれてエアインテイクが接続されるので、位置や向きがきちんと決まっている必要がある。うわっ。いきなり面倒臭ぇ。
仕方がないので、とりあえずドリルで穴を開け、ダボを自作する。これでは向きまでは決まらないが、ちょっとは取り付けが楽になる。それでもエアインテイクのパイプは、パーツそれ自体の寸法足らずでうまく繋がらず、ヘッド相互を繋ぐT字部分はプラ棒で補った。
そんなこんなで、レジンパーツを付け終ったエンジンブロックはこんな感じ。この段階で、パーツ数12個。高さ約14mm。
●ここまでで気付かされたのは、これだけ細かいパーツが多数ありながら、組立全体をたった6工程で説明している組立説明図が、どうもなんだかアヤシイ、という点。
一つの図にたくさんの部品の取り付けを詰め込んだ結果、見えない側に付ける部品は曖昧な矢印で示されているだけで正確な接着場所が不明だったり、そもそも図に描かれた部品の形状が似ていなかったりする(前回述べたように部品の対象図表などはないので、基本、説明書に描かれた形状で部品を探し当てねばならないので、これは結構キツイ)。
それを補うのが大量の素組写真と完成写真、実車写真なのだが、これが、かなり隔靴掻痒な感じ。素組写真のうちブロックごとのものはオートバイ本体、フロントフォーク、サイドカーを写した数枚だけで、残りは全部組立完了状態の全体をさまざまな角度で撮っている。基本、同じ倍率の写真ばかりで、クローズアップはない。組立工程に従って、部分ごとにクローズアップの写真を撮っておいてくれれば説明書で判らない部分を補えるのだが、これでは細部はあまりわからない。
また、実車写真は(おそらく展示品の手前に張られたロープの関係で)角度が限られ、似たような写真ばかりたくさんあるうえ、部品の欠損や、キットとの仕様の差などもあって微妙なところ。
せっかくこれだけ実車写真があれば、資料収集なんてしなくてもいいかも、などと思ったのに、結局またネットで別の車体の写真を探していたりする。なんだかなあ。
とはいえ、せっかく探したので、主なところをご紹介。
▼OldtimerbazaR:ポーランドの中古バイクサイト。数台のソクウ1000の多数の写真が出ている。さまざまな角度から引き、寄りで撮ってあり、非常に役立つ。
- 1937年製・マルーンの単体。youtubeの動画も掲載。
- 1936年製・マルーンのサイドカー付きと、1938年製・黒の単体
- Tapacz城自動車博物館所蔵車。パステルグリーンのサイドカー付き。
▼Yesterdays:オランダの中古バイクサイト。軍用塗装のソクウ1000(単体)の全体写真左右と細部写真数枚。
●もっとも、エンジンの工作はこれだけでは終わらず、さらにちまちまとエッチングパーツが付いたりする。そのエッチングパーツはといえば……。
こんなのを付けろ、という指示が。怖れをなして今なお手付かず。
ちなみにレジンパーツのほうにもケシ粒のようなパーツがあり(などと書くと何を大げさな、と言われそうだが、少なくともゴマ粒よりは小さい。前々回のコメント欄で話題に出てきたセサミハイチのゾンビでも手に負えるかどうか怪しい)、説明書を見ても、今のところどこに使うパーツなのかもわからない。
●そんなわけで、エンジンは一休みして、主要パーツのクリーニング(洗浄のほうではなく、ゲート処理やバリ取りなどのほう)を行う。一カ所の工作で息切れがしてきても、こうして他方面に転身して作業を続けていれば、いつか完成にたどり着けるのだ。ククク(←ばか)。もちろん、これはコンテスト参加作品なので「いつか完成」ではなく、「期日内に完成」でなければならないのは言うまでもない。
部品が綺麗になってくると、なんとなくモチベーションも上向いてくる……。
と言っているそばから、メインフレームを折り欠いてしまった。もともとこのパーツは、下辺一杯、左右連結で大きな注型ゲートがべったり付いており、しかも中央の左右連結部は一部レジンが詰まっていて、パーツの“あるべき姿”を想像して削り込まなければいけなかった。「木の中に仏様の姿を見て、それを取り出す」仏師の如し(大げさ)。
そんなこんなで、力を入れすぎたところで「パキッ」と行ってしまった。もっとも、これだけ細いパーツがたっぷりあるとどこかで一度くらいは折りそうだという覚悟はあったし、ここは上からのフレームと、エッチングのチェーンパーツでも支えられる部分なので、まだ被害は小さかったと言えるかも。
●部品の変形の修正。もっとも、ぱっと見た限り、気になったのは、
- メインフレーム左右のステップ支持架(4カ所のツメのうち1つが曲がっていた)
- サイドカーのメインフレーム(ごくわずかに弓なり)
- サイドカーのサススプリングの片方(一見大丈夫のように見えて、片方の取付架だけが向きが少しねじれていた。
――の3カ所。
いずれも大きな変形ではなかったので、コーヒーを入れるついでに、ピンセットでつまんでケトルの湯気にあてて修正した。写真は1番目のメインフレームで、問題のツメは右上。写真左がbefore、右がafter。
●そこで調子に乗って、サイドカーの組立。サイドのドアはきつく、なかなかピッタリはまらないので、開けた状態で接着しようかとも思ったが、なんとかすり合わせた。なお、ドア側のヒンジが一部欠損していたので、プラ材で補修した。
舟にスプリングとフレームを取り付ける。左右のメインスプリングは前はダイレクトに、後ろはリンクを介しているが、これがちょっと悩ましいことに、組立説明図ではリンクの下軸を車体に接着するように指示しているにも関わらず、組立写真では上軸を車体側に付けている。
ちなみに、実車写真を漁ると、後部の接続がリンクを介している場合には、上軸が車体側、下軸がスプリングが一般的のようだ。
しかし! ここで改めてパーツをよく見ると、パーツはスプリングが上軸に繋がっているような表現になっている。そんなわけで、多少頭を傾げつつも、車体には下軸を接着した。まあ、機能的には上下が入れ替わっていてもバネの左右端距離変化には対応できそうなので、「まあ、こういうのもあったんだろう」と思うことにする。
とにかくこのキットのなかでも舟の成型は美しく、気泡も変形もなく、見ているとちょっと嬉しくなってくる(実は先端に比較的大きな「隠れ気泡」があるが、表面に影響がないのでそのまま)。
それにしても、例えばBMW R75あたりと比べ、腰高な印象のサイドカーである。やたらスプリングが大きく、乗り心地はずいぶんフワフワしているのではないかと想像。英語版のwikibediaにも、“soft sidecar mounting”とある。
ちなみに、ここまで組んでしまってから、サイドの車輪をまたぐフレームはこの段階で付けるべきではなかったことに気づく。このフレームに、フェンダーやタイヤまで一式付けてからサイドカーに取り付けないと、タイヤやフェンダーのの角度等がずれる可能性があるうえ、サイドカー側の車軸(留めピン)も通しづらい。
それもこれも、説明書に順番も関係なく一気にサイドカーの組立が1工程で描かれているのがいかんのじゃ!と文句を言いたいところだが、ここはそれより、しっかり手順を頭に描いていなかった私が悪い。そんなわけで、継ぎ目で切断し、金属線を通す穴を開けて、接着部分を作り直した。二度手間……。
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