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銀の亡霊(4.5)+エアフィックス72ハリケーン

F1014131●ロールス・ロイス「シルバー・ゴースト」装甲車(RODEN, 1:35"British Armoured Car (Pattern 1914)")の半端な経過報告。

これは手を付けようかスルーしようかしばらく悩んでいたことなのだが、結局タイヤに手を付け始めてしまった。

寝惚けた写真で申し訳ないが、向かって右がキットのまま。左が削り直した方。なんだか「マンガかよ……」みたいな簡単なパターンだが、1914年仕様で最も一般的なのがこのタイプ。

1914年仕様でも、「アラビアのロレンス」(T. E. Lawrence)の下で使われていたものはもっと細かいパターンのタイヤを履いていたりする。「ロレンス仕様」は、砂漠での走破性を上げるために前輪にもダブルタイヤを履かせていたりして面白いのだが(その分、ステアリングが大変だったらしい)、それはまた別の話。

工作としては、キットパーツのパターンを元に一つおきにナイフでアタリを入れてからノコ目を刻み、その後でサンドペーパーで元のパターンをすっかり削り落とす。すべて手作業のプリミティブな工程。電動工具などあると楽そうだが、少なくとも現時点で手元にないので仕方がない。

今は前輪用(シングル)2つ、後輪用(ダブル)1つ終わって、後輪用1つが工作途中。前輪用1つ、後輪用1つが手付かず(スペアタイヤを含むので、前輪用、後輪用がそれぞれ3つずつある)。

特に後輪用はすでにダブルに組んでしまった後なので、ノコ目を入れるにも、その後サンペ掛けするにも非常に面倒。はうあー。だるー。

●20日火曜日。神保町の事務所で夕刻から会議。行き掛けに秋葉原で模型屋にいく。入ってきているかな、と思ったairfixのロンドンバス(戦場仕様)も、IBGのシュコダ100mm vz 14/19榴弾砲もなかったが、airfixの飛行機キットがまとまって入荷していた。

F1014132 えー。ここんとこ陸モノばっかりいじっておりますが、一応、ワタクシ、空モノモデラーの端っこの方にも名を連ねているつもりでおりまして、って、誰に言い訳しとんねん。とにかく、VOLKSでハリケーンMk.I(HAWKER HURRICANE Mk.I, Kit No.A02067)を購入。675円+税。

エアフィックスの72飛行機シリーズは、このところ精力的にリニューアルが進んでいる。以前、グロースター・グラディエーターのリニューアル版について紹介したことがあるが、このハリケーンのMk.Iも、MADE IN INDIAのリニューアル版。

エアフィックスのハリケーンMk.Iがリニューアルされていて、しかもそれが72以上では簡易インジェクションでしか手に入らなかったファブリック・ウィングの初期型だという話は、確か、今年の正月に石黒氏と城ヶ島に遊びに行った時に聞いたのだと思う。以来、模型屋で気にしていたのだけれど見たことがなかった。代理店がたまたまその気を出して大量仕入れしたのか?

F1014170というわけで簡単なキットレビュー。というよりも(検索すればもっと詳しいレビューがごろごろありそうなので)適当に目に止まった特徴の列記を。

(なお、最初にアップしたパーツ写真はあまりにあまりな状態だったので入れ替えた。入れ替えてもそんなかよ、とは言いっこなしで。若干記述も追加した。)

▼主翼が布張りの、Mk.Iでも初期のタイプを表現。小国空軍でもユーゴ、ベルギーあたりがこのファブリック・ウィング型を使っている。ファブリック・ウィングのMk.Iは、しばらく前にswordの簡易インジェクションがでて、それだけでも大したモンだ、と思っていたのに。

パーツは(当然そうでなくては困るわけだが)布張り、特有のパネルライン、標準より寄り目の着陸灯など、綺麗に表現している。

Hurr01 ▼胴体の布張り表現も美しい。ハセガワ72のキットが、「このハリケーンはユンカース社製か? 胴体、トタン張りなのか?」みたいな表現だったのに比べると、格段に優れている。右写真、上がエアフィックス、下がハセガワ。

通常の左右2分割だと、胴体下面のモールドが怪しげになりがちだが、このキットでは、フィレットの有無で胴体後半下面が選択式の別パーツなので、その点でも安心。

Hurr02スタイル的には、エアフィックスの旧Mk.Iもハセガワも機首が細く「マーリン(エンジン)入ってないよ……」と言われ続けてきたのに比べ、かなり改善されている。

左写真がエアフィックスとハセガワ(機首別部品)の平面形の見た目の比較。機首のオデコ左右には、マーリンのシリンダヘッド最前方をクリアするためのバルジがあるが、ハセガワのMk.Iではだいぶこれが寄っていて、左右バルジの端から端までの幅が約8.5mmだったのに対し、このキットでは10mm弱ある。

F1014139▼水平尾翼は、昇降舵のバランスホーン部分(って呼んでいいのか?)が、水平安定板と不連続で薄く、段差があるのが表現されている。

これはレジンのアフターパーツなどを除き、特に72クラスではほとんどのインジェクション・キットでは表現されてこなかった特徴。エアの48や24では表現されてるんだったかな?

F1014155 ▼機内は、コクピットも脚収納部もかなり細かく再現されている。swordの簡易インジェクションに入っているレジンの脚収納部を見たときに「72でコレは結構贅沢だなあ」と思ったのだが、それ以上。

コクピット内部も、側壁は胴体側面に一体モールドされて「それなり?」という感じだが、前後から伸びるフレームに支えられたシート、イギリス機らしく床板がなくてフットステップだけある表現など、キャノピー閉めたら全然見えんダロ、くらいに出来ている。

シートベルトの表現は無し。これは伝統的に、パイロットのフィギュアが付いているためかと思う。

F1014160 ▼その他小物。ペラはワッツ2翅とデ・ハビランド3翅が入っている(キットの説明書ではワッツ2翅を使うように指定されていて、3翅は不要部品扱い)。ワッツ2翅は、スピンナーの、ペラの後ろにあたる部分が別部品になっているのが有難い。木製2翅ペラの機体で、ここが一体で、くぼんじゃってるキットって多いんだよな……。

コクピット背面も、キット指定のマーキングでは防弾鋼板無しパーツを使うよう指定されているが、第二次大戦勃発後に導入された防弾鋼板付きパーツも用意されている。排気管も2種。左が主な選択部品の枝で、ペラ、胴体下面およびそれに対応したラダー、コクピット後面など。左枝右上が初期型排気管で、標準型は共通パーツの枝に入っている。

F1014159 ところでキットの車輪はハブが4つ孔タイプなのだが、Mk.I初期型は5つ孔が使われているような……少なくとも写真で確認する限り、(私が作りたい)ユーゴ軍機、ベルギー軍機はどれも5つ孔の車輪を使っているようだ。(ちなみに金属翼のMk.Iを使っているルーマニアやフィンランドでも5つ孔のようだ。うぎゃー)。

一応、これに関してはレジンパーツも出ているようなのだが、せっかくこんなに安価に買えるキットに、高いアフターパーツを張り込むのはちょっとなあ……。

▼デカールは、1938年7月の英空軍、No.111スコードロンのL1584と、1940年5月のベルギー空軍、22番機。

ちなみにエアフィックスの72では、キットNo.AX01010でもハリケーンMk.Iが出ているのだが、これはハナンツでパーツ写真を見る限り、標準仕様とかではなく、ファブリック・ウィングの基本、同一キット。ただしワッツ2翅、ヒレなし胴体下面などの枝は入っていない。デカールは英空軍2種。

なお、一応カタログ落ちにはなっているようだが、しばらく前まで赤箱でリニューアル前のMk.Iのキットも出ていたようなので、間違えないように充分注意すべし。

▼参考になるサイトをいくつか。

PRIME PORTALのwalkaround。今回検索してみて初めて知ったのだが、ファブリック・ウィングの初期型Mk.Iって現存してるのね……。その初期型のwalkaround。とはいえ、あまり細部写真はない。

ハセガワ72、ハリケーンIIcの製作記。家主さんのお名前が不明の模型サイト。ハセガワのキット、しかも形式違いではあるけれど、機首形状その他、細部の検証話が非常にタメになる。

深大寺模型濫造工廠「世界のホーカー・ハリケーン」 。J1N1-Saさんによる世界各国のハリケーン作り倒しコンテンツ。上記airfix最新キット発売前の各キット評価あり。各国軍のハリケーンの作例だけでなく、それぞれの特徴も解説してあって役立つ。最近ご無沙汰してます。ってこんなとこで書いてどうすんだ。

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コメント

ん~、静岡みたいな場所で見る分にはハセガワのも有りだと思うけどどうかねぇ?

投稿: はほ/~ | 2014年5月24日 (土) 09時02分

>はほちん

確かに72クラスではこれくらい大げさにやっていないと見栄えがしない、的な意見もあるかと思います。まあ、それはそれでアリなのかなという気もしないのではないのですが、パネルラインを横切ってこの波模様があったりすると(写真に撮った方と反対側)、さすがにトホホ感は否めません。

値段的にもエアがだいぶ安いので、これでMk.Iの標準型も出してくれたりするといいなと思うのですが、パーツ的にも(箱にearlyとか書いてないところからも)、可能性は薄いかも。

投稿: かば◎ | 2014年5月24日 (土) 14時23分

あ、こちらこそご無沙汰しております。というかご無沙汰以前に此方では初めましてじゃないかとか、そもそもリアルでお会いしたことがないんじゃないかという話も。

AirfixのハリケーンはHannantsで大分前に取り寄せて組んでるんですが、意外に合いが悪かったり、主翼の後縁が恐ろしく分厚かったりで作ってみると思いのほか大変かも。でも確かにモールドといい、外形といい、これまでのものとは一線を画す良作だと思います。同じクオリティで後期型も出して欲しいんですけどねぇ。

投稿: J1N1-Sa from 深大寺 | 2014年5月26日 (月) 00時38分

おっと! お久しぶりです。
おいでいただき有難うございます>J1N1-Sa

なるほど、合いはイマイチですか。もっともswordのMk.I初期型を作る事に比べれば……

肝心要の主翼と胴体は、接合が微妙なラインですが、「部品設計上そもそも合わない」ということではない様子。
もっとも、胴体幅を主翼にピタリと合わせるには、胴体下に何か挟んでベストの幅をキープする工夫が要りそうですね。

しかし「出来がよくて安い」有難いキットであるのか確かですね。あー。こりゃブレニムも買い直したくなってきちゃったなあ。

>>そもそもリアルでお会いしたことがない

確かにそうなんですが、でも、必ずどこかですれ違ってますよね(笑)。

投稿: かば◎ | 2014年5月26日 (月) 21時25分

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 履歴書 | 2014年8月26日 (火) 12時30分

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