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クブシュ!

●昨日の記事へのコメントで、セータ☆さんから驚くべき情報が。

なんと、MIRAGE HOBBYから、ポーランド国内軍/ワルシャワ蜂起の即製装甲車、クブシュ(Kubuś)のキットが、1:35インジェクションで出るのだそうだ。個人的には、タミヤのマークIV発売のニュースが一気に霞んでしまう級(「クブシュってどんなもの?」という方はこちらをどうぞ)。

なにしろMIRAGE HOBBYの動向は、なぜかPMMSでは一切扱っていないし、ミラージュ本体のHPも更新が滞っていて、掲載されているPDFのカタログは2012年版という具合。細々とハルバーシュタットやPZLカラシュのバリエーションキットは出ているようなので、一応活動はしているようだけれど、みたいな状態なので、このニュースは驚き。

それにしても、ポーランド人の誇りというか、意地というか、あるいは意固地というか、恐るべし。こんなものまでインジェクションキットにしてしまうとは。

ちなみにセータ☆さんのニュースはARMORAMAのもの。もう箱絵も出来ているということは、発売は間近なのだろうか。しかし相変わらず、ミラージュのAFVキットは箱絵がショボイなあ……。

●仕事が滞ってヤバイ状況に陥りつつある折なのだが、ついついクブシュに現実逃避してしまう気持ちを落ち着けるためにも、ガス抜き的に若干のおさらいを。

クブシュは1944年の夏、ワルシャワ市内で民生用トラック(シボレー157説とシボレー155説があるようだ)のシャーシにありあわせの材料で装甲を施したたった1輌の車輌なのだが、幸運にもその実物が現在も残っており、ワルシャワのポーランド軍事博物館(ポーランド陸軍博物館と訳されることもあり。Muzeum Wojska Polskiego w Warszawie)に展示されている。

さらには、自走可能なレプリカも製作され、こちらはワルシャワ蜂起博物館(Muzeum Powstania Warszawskiego)が所蔵、記念パレードなどで走らせているようだ。

ここまで聞くと、いやあ、こんなポンコツのくせに(失礼)愛されてますなあ、という話なのだけれど、モデラー的に悩ましいのは、このレプリカの出来が非常によく、写真によっては「これはどっち?」という場合が多々あり、模型製作上の参考にする時に混乱する、ということである。しかもそれぞれを所蔵する博物館の略号(頭文字)も、前者がMWP、後者がMPWと似通っているので、写真のファイル名やキャプションに添えてあっても、これまたややこしい。

●ポーランド軍事博物館所蔵の実車のwalkaround写真に関しては、以下の2ヶ所が豊富。

(1).Kubuś - Powstańczy Samochód Pancerny - MWP / Czholg.Blox.Pl

(2).‘Kubuś’ Armoured Car / Modelling Market in Poland

後者に関してはどうも元のページはなくなってしまい、リンク先はウェブ上のアーカイブのようだ。用のある方は、早めに写真の保存等しておいたほうが良いかも。

●その他の写真を見る場合の、実車か、レプリカかの判別に関するメモ。

・現存実車は濃淡2色のグレーによる迷彩、レプリカはグレー地に茶色の迷彩。ただし色は時期により塗り直されて違っている可能性もあるので注意(実際、MWPの実車は最近塗り替えられたようで、少し以前の写真と迷彩パターンが異なっている)。肝心のワルシャワ蜂起の時の実車の塗装がどうだったのかは不明。当時の写真から2色迷彩らしいことは判るが、色調の記録まで残っているのかどうか。Antoni Ekner著の薄い一冊本、“Samochód pancerny "Kubuś" 1944”には、塗装の考察も書かれているらしい。もっとも、掲載されたカラー図では、どうもグレー地に茶色の迷彩になっているようなのだが、ワルシャワ蜂起当時の写真では、暗色のベースに明色で迷彩を施しているようにも見える。

・レプリカは車体左側面下部に、クブシュのレプリカである旨の真鍮の銘板(ポーランド語・英語併記)が取り付けられている。

・車体前面下端のスカート部分は、レプリカは左右の板が真ん中で綺麗に継ぎ合わされているが、実車は中央にアングル材のようなものが縦に入り、さらに上部にエンジン始動クランクを差し込むためと思われる穴がある。レプリカにはこの穴もない。

・全体にレプリカのほうが仕上げが綺麗。実車は溶接ラインも雑、装甲板の切断面も全体的に汚い。

・車体前面、ラジエーター前のルーバーも、レプリカは寸法が綺麗に整っているが、実車は左右のラインもルーバーそれぞれの角度もガタガタ。ラジエーター用ルーバー最上部のラインが、レプリカは装甲板の継ぎ目と一致。実車は左右で継ぎ目よりも下にある。ルーバーの数自体も異なり、実車は9段、レプリカは10段。

・助手席前の銃眼は、実車は一度開けた穴を溶接でふさぎ、もう一度位置をずらして開け直した跡がある。

・実車の各部銃眼は単に穴が開いているだけだが、レプリカでは全てフタが付いている。

・操縦手席前のバイザーフラップ上に、レプリカは雨避けの庇。

・実車は各部に銃弾の痕が残るが(特に車体右側、前向きの面)、レプリカの表面は綺麗。

・自走している写真はレプリカと考えがちだが、どうやら実車も自走可能状態までレストアされているらしい。たとえばachtungpanzerのページ一番下の写真は、キャプションにはレプリカとあるが、各部の特徴から実車と思われる。……気合いの入ったマニアがレプリカをさらに実車そっくりにディテールアップしていたりすると困るなあ(別のサイトに別角度の写真があるが、それによれば写真は2005年の独立記念日パレードのもので、クブシュはMWPのものと書かれている。MWP所蔵のものは前述の通り実車)。

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コメント

資料写真サイトに足回りの寝て撮った写真があるのがポーランド人やチェコ人は素敵です(ロシャ人もかな?)。
ミラージュは1/400の船モデラーの最後の砦だったのですが・・・フラワー級コルベットは1/400で予告してたのを1/350に変えてしまったようで残念です。

投稿: みやまえ | 2014年4月19日 (土) 21時40分

>みやまえさん

いや、実はこの装甲車、後面にハッチを作るつもりが作れなくて、乗降口が床に開いた穴なんです。イベント等で、横から床下にもぐって乗員のコスプレさんがぞろぞろ乗ったり降りたりしている動画がyoutubeにありましたので、割と当たり前にのぞき込めるものなのではと。

ところで改めてyoutubeを見てみたんですが、どうやらワルシャワ大学の門襲撃作戦ショーとかに、実車がそのまま出演しているっぽい……他にレプリカもあるのに、ただ1台の実車にそんなことさせていていいのかポーランド人。

投稿: かば◎ | 2014年4月19日 (土) 22時19分

(オマケ)

youtubeにある実車の動画

http://www.youtube.com/watch?v=kX7YabdmMps
http://www.youtube.com/watch?v=VfOvLIK8mqc(ワルシャワ大学襲撃作戦ショー)

レプリカの動画

http://www.youtube.com/watch?v=baTuc5-IMaY

レプリカの開いてるエンジンルーム上面とか、ほとんどブリキ板じゃないの?くらいの薄さに見えますね。

投稿: かば◎ | 2014年4月19日 (土) 22時28分

動画、堪能いたしました。
乗り降りだけで疲労困憊っすね・・・
兵隊さんがコップぶら下げてるのがなんともいい感じです!
ショーは気合はいってますね!

投稿: みやまえ | 2014年4月22日 (火) 22時03分

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