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解剖学教室

●先週木曜日(1日)のことだったと思うが、地下鉄九段下の駅周辺で、やたら何人も、タミヤのTシャツを着た若い女の子に遭遇した。

モデラーズギャラリーは終わったばかりのはずだし、何か別のタミヤ関係のイベント? それにしたって、こんなにたくさんの女の子が好んでタミヤのTシャツを着るようなイベントがありえるのか?

……なんて疑問を抱えたままになっていたのだが、今日(6日)になって、朝食時にその話をしたら、娘と息子からハモって

「ゴールデンボンバー!」

と、答というかツッコミが入った。ああ、そういえば、タミヤのTシャツを着てるメンバーがいるんだった。

かみさんが「きっとタミヤのTシャツって売れ行き倍増だね」と言うのだが、倍増どころじゃないんじゃないかな……。もっとも、逆に年配のオタクは着づらくなった気がする。

●事務所への行き来の際にポスター、というか立て看を見て気になっていた企画展「武良茂(水木しげる)の人生」を「しょうけい館」(戦傷病者資料館)に見に行く。

「しょうけい館」は地下鉄九段下駅前、表通りからちょっと入ったところのビルの1,2階に小ぢんまりと開いている資料館で、戦争関係の書籍資料なども閲覧できて、実はなかなか利用価値が高い。

企画展のほうは、「しょうけい館」の1階の部屋の片隅に1コーナー展示してあるだけなのだが、水木しげるの真面目なスケッチが見られたりしてなかなか。

企画展とは関係ないが、ビデオインタビューの展示が以前に見たときと総入れ替えになっていたので2本ほど見る。

●とにかく暑いうえに、見計らったように自室のエアコンが壊れてしまい、いやもう、模型なんか作ってられませんて(ちなみにエアコンは、スイッチを入れると生暖かい風が吹き出てくる。たまらん)。

神保町の事務所に“涼みに行く”(仕事しろよ)場合はよいが、そうでないといたたまれなくなるので、本など持って外に逃げ出し、虫の写真を撮りながら鎌倉まで歩いて、ミスドでドーナツなど食いながら読書したりしている。……仕事しろよ(再)。

●というわけで最近の読書。「トマソン」を再読して面白かったので、「ちくま文庫」づいてしまい、bookoffで養老孟司「解剖学教室へようこそ」を読む。

その昔、とある出版社がらみの用事があり、まだ東大の解剖学教室に在籍していた養老先生を研究室に訪ねたことがある。机の上に無造作に、レジンの塊のような脳ミソが置いてあり、「模型ですか?」と訊ねたら、「本物です。樹脂で固めたものです」(要するにプラスティネーションというやつ)と事も無げに返答されてたまげた。

古い校舎の階段には昔の教授の胸像などが並んでいるのだが、それがまた、ノギスで頭蓋骨を測っているポーズだったり。

さらには医学部の標本室も見せていただいたのだが、入り口を入って振り返ると、壁には全身刺青の人の皮が大きな額にハリツケになっており、また、さまざまな器官やら組織やら(しかも病変したものなど)のホルマリン漬けがずらりと並んでいる。

ケースの中の全身骨格は、普通なら「骨格模型」と思うところだけれど、ここは当然、本物。骨格に添えられたラベルは、「日本人男性、**歳」とか書かれているのではと予想して見てみれば、「東京帝國大學醫學部 ****教授 ****年~****年在籍」なんてことが書いてある。なるほど、虎は死して皮を残すというけれど、教授は死して骨を残すんだなあ、などとバカなことを考えたのを覚えている。

「医学部にいればいずれ献体するのは普通ですから」と養老先生が仰るので、「すると先生もいずれ骨が飾られるのですね」と言ったら、「いやあ、それじゃあまり面白くないから、ボクは樹脂で固めてもらおうかなあ」と返された。

ちなみにこの標本室には、夏目漱石の脳ミソなんてものもあるそうなのだが、この時に見たのかどうか、覚えていない。

閑話休題。そんなこんなで、日常的にこういうものを扱っている人は感覚が違っているのだなあ、と思ったのだが、まさに、その「解剖学に携わるということ」から始めて、解剖学の歴史や中身を平易に解説しているのが先の本。

頻繁に、一行に句点が2つあったりするくらい、主語と述語だけ、場合によっては述語だけの簡潔な文章を重ね、学者らしいプラグマティックな語りなのだけれど、それがまた逆に、ほとんど韻文のように感じてしまうところもなかなか。

無理にこじつけることなく、解剖学~医学~生物学~科学の範囲を超えずに、その中に哲学が入ってきて、説教臭くなく、いろいろと視点の変換を助けてくれる。あとがきが禅の坊主だというのも、本のツクリとして妙にしっくりはまっている。

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かば◎の迂闊な日々」カテゴリの記事

コメント

直木賞を受賞した桜木紫乃が、記者会見でタミヤTシャツを来ていたそうな。
(ゴールデンボンバーのファンだとか)

まぁ、私はゴールデンボンバーと聞いても
「プロレスラーになった輪島の必殺技?」くらいの認識。

投稿: めがーぬ | 2013年8月 6日 (火) 23時05分

>めがーぬさん

ソフトバンクのCMで、さらに認知度は上がったんじゃないでしょうか。もっともアレではタミヤのTシャツは流石に着てないですね。

投稿: かば◎ | 2013年8月 7日 (水) 08時59分

直木賞を受賞した桜木紫乃、確かに記者会見でタミヤTシャツを着ていたのを見ました。「金爆ファンであることを示すTシャツ」と報じられており、タミヤのタの字も出てこなかった……。

記者は「ゴールデンボンバーのファンだそうですね」以上の質問ができずに、本人に「そこ、もっと突っ込んでください」とか言われており、文芸の記者はエンタメにはうといんだね、と思ったけれど、モデラー界にはさらにうといと思われる。

投稿: N | 2013年8月 7日 (水) 14時46分

>Nさん

「そこ、もっと突っ込んでください」

「そ、それでは……ええと、将来の夢はエア小説家ですか?」

(ゴーストライターを立てれば誰でもエア小説家になれるのか?)

投稿: かば◎ | 2013年8月 7日 (水) 22時25分

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