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2013年6月

大砲2題

●久しぶりの更新なので、これまた久しぶりに、多少なりともモデラーらしい話を、というわけで、最近いじったり買ったりした大砲キット2種に関して。

あ。アカデミーのプラハのヘッツァーの話もしようと思っていたんだった。まあ、それに関してはまた追い追い。ヲイヲイ。

●発売されたのは少々前になるが、一つ目は、ウクライナのUM(UM Military Technics)製、76.2mm M1902野砲。実物は帝政ロシア時代、サンクト・ペテルブルクのプチロフ工廠で開発されたもので、日露戦争でも使われたほか、数次の改良を経て、第二次大戦でも使用されている。

また、第一次大戦、ロシア革命戦争などを通じて大量に周辺国に流出しており、戦間期から第二次大戦にかけ、フィンランド、ポーランド、ルーマニアなどで使用されたほか、ドイツ軍でも鹵獲使用されている。

UMはこれを4バージョン出していて、一応キット名称に忠実に書くと、

"Russian Trekhdyujmovka" Model 1902 (#623)
 防盾無しの最初期型。防盾の代わりに、輸送時用に砲兵が座る椅子が砲身左右にある。

3" Field Gun Model 1902 (#624)
 1906年以降の、防盾付き仕様。

76.2mm Gun Model 1902/1930 (#625)
 戦間期の改修型で、砲身を30口径から40口径に延長。

3" Field (ex Russian) Gun Model 1902(late) (#627)
 周辺国仕様(ポーランド仕様、フィンランド仕様、ドイツ仕様)

F1033383当然私が買ったのは4番目。もっとも、中身のプラパーツ(1枚)は共通で、エッチングパーツとデカールでそれぞれちょっとした差異を出している。エッチングパーツは防盾その他(1作目は椅子)。ちなみに4番目だけ製品番号が1個飛んでいるのはなぜだか不明。もう一種類、何か出す気だったのかなあ……。

もっとも、本国ソ連での戦間期の改良型M02/30は、本来砲架がまったくリニューアルされているのだが、キットの砲架は共通。新砲架に30口径の旧砲身を積んだタイプはあるようなのだが、キットのようにその逆の仕様があったかどうかは不明。

F1033376プラパーツはご覧のようになかなか大らかな出来で、一時代前のタミヤの37mm対戦車砲や75mm対戦車砲などに比べても少々落ちる。だが、砲自体が、例えば第二次大戦中の対空機関砲などに比べると、それほど精緻な機構が詰まった感じではないので比較的救われている。少なくとも、(ほぼ同時代・同クラスの砲のキットの)TOM/RPMのCanon de 75 modèle 1897に比べればだいぶマシ。砲本体はともかく、華奢さが問われる防盾がエッチングなのもアドバンテージと言えそう。

F1033380右のエッチングは周辺国仕様キット(#627)のものだが、防盾を中心とするメインのエッチングは標準仕様(#624)と同一で、ちょっと見えにくいが、その裏側に#627専用の、防盾裏側に付く収納箱の小エッチングが入っている。

以下、気になる点をいくつか。

実物の砲では、排莢時に熱い薬莢が脚に当たってあちこち跳ねないようにするためなのか、単脚の中央に溝が掘ってある(M02/30の新型砲架は元から大穴が開いているので関係ない)。

F1034034これが、キットでは浅く平らに窪んでいるだけなのだが、実際には半円断面にもっと深く窪んでいる。平面形も、キットでは単純な細長い楕円形だが、実際には後ろに行くほど深く広くなっているはず。説明書に削り込むよう指示があるので、本来、窪みがもっと深いことはメーカーも把握しているにもかかわらず、パーツがそういう形状になっていないのはどうにも謎。あるいは金型を作ってしまってから気付いたのだろうか。

また、砲手・装填手用の椅子は、組立説明図では砲架の左右に対称に付けるようになっているが、実際は、塗装図にあるように、左右で取り付け位置が前後にずれている。ただし、塗装図に描かれた位置は、左右ともリベット1つもしくは2つぶん後ろにずれている可能性がある。なお、支持架に対するサドルの取り付け方も左右で異なり、サドルの下の縦の主軸の位置が、右シートではサドルの前側、左シートでは後ろ側にある。

また、砲架の左側面には標桿とクリーニングロッドが付くが(右にも?)、キットでは省略されている。

F1034039●もうひとつ。ファインモールドの四一式山砲(山砲兵仕様)について。

こちらはまだパーツを洗っただけで、まるで組んでいないが、UMのM02野砲をいじった目でこういう確かなメーカーの新キットを見ると、もうそれだけでじんわり感動してしまう。

もっとも、元が小さく華奢な砲なので当然なのだが、箱の大きさと比べ中はがらんとしたもの。ランナーは4枚だがうち2枚はフィギュアと装備品。砲は、同時発売の連隊砲仕様と共通の砲の基本パーツの小さめのランナーと、さらに小さな山砲兵仕様用ランナー(防盾ほか)。

なお、防盾は薄めに仕上がっているとはいえ、やはりプラパーツでは厚い。そのうちエッチングパーツでも出るかなあ……。

ところで私にしては珍しいネタを仕入れているのは、実はこの山砲、中国軍でも多用されているため。

「抗戰時期陸軍武器装備 野戰砲兵篇」によれば、中国ではこの砲は非常に好まれ、そのため国内数箇所の工場でコピー生産も行われた。

漢陽兵工廠(現・湖北省武漢市):民国10年(1921年)に開発もしくは生産開始され、「漢十年式75山砲」と呼ばれる。

太原兵工廠(現・山西省太原市):民国13年(1924年)に開発もしくは生産開始され、「晉造一三式」と呼ばれる。

瀋陽兵工廠(現・遼寧省瀋陽市):民国14年(1925年)に開発もしくは生産開始され、「遼一四式」と呼ばれる。

これは生産拠点を複数設けて大量生産を行ったというよりも、当時の状況で言えば、太原兵工廠は閻錫山、瀋陽兵工廠は奉天軍閥の影響下にあり、要するに、中央と有力軍閥がそれぞれ勝手に生産したということらしい。というわけで、(呼び分けるのも面倒臭いので)四一式山砲は中央軍で使われただけでなく、晋綏軍(山西省、綏遠省を地盤とした閻錫山率いる軍)、東北軍では野戦砲兵の主力として使われた。

実戦では、1933年の熱河戦はじめ、日中本格開戦後の太原会戦(日本側呼称は太原作戦)などでも大量に使用された。この間、中央軍では、装備の統一も意図して、ボフォース75mmM1930山砲を標準装備と定めて導入を進めていたが、まだ一部の部隊では四一式山砲を使用していたらしい。

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黒森

●今日の無駄知識(最近こんなんばっかし)。

クロモリ、というのはクロム・モリブデン鋼の略称だが、いかにも日本製略称な印象にも関わらず(いや、少なくとも私はそう思っていた)、英語でも“chromoly”と言うのだそうだ。

……ヱー。

ちなみにガルパンの“ラスボス”であるところの黒森峰(今調べたら「~高校」ではなく「~女学園」だそうだ)の名前はクロモリと掛けた名前だと思っていたのだけれど、考えてみると戦車の装甲板はもうちょっと微妙にいろいろ入った合金鋼で、クロモリ鋼とは呼ばないんじゃないか、という気もする。よー知らんけど。

というわけで、黒森峰は、単にシュヴァルツヴァルト(黒森。ドイツ南西部の森林地帯)が由来なのかも

F1033334●最近の散歩途中の写真を見返していたら、こんなものが出てきた。

わざわざ五七五にする意味がどこに!?

むしろ、旧指定日と新指定日が並列で詠み込まれているために、いざ思い出そうとすると

「『アルミ缶、土曜日でなく 金曜に』だったっけ?」

なんて言い出すヤツがいそうだ。いや、必ずいる! オレがそうだ! この地区の住民じゃないけど!

●とにかく泥沼化著しかった仕事が一段落し、久しぶりに切羽詰ってやることがない数日を過す。

……いや、そんな時こそ模型を作れよ! 塗れよ! 今さらZOO KEEPERなんてやってないで!

●そんな隙を狙われたかのように、PCがウイルスにやられる。

「System Care Antivirus」というもの。名称はウイルスというよりむしろセキュリティソフト風だが、実際、その症状は

  • いきなりセキュリティソフト風の警告窓が開き
  • このPCは悪質なウイルスに感染したと通告、そのウイルスのリストがずらずらと出てくる。
  • ウイルス駆除のための必要な措置を取るよう迫る。具体的にはそのSystem Care Antivirusというセキュリティソフト(の振りをしたウイルス)に対し金を払うよう迫る。
  • それ以外、ブラウザを含む他のアプリケーションの操作を阻害する。

というもの。タチ悪し。新種のウイルスで、セキュリティソフトも未対応のものが多いらしい。後で調べてみたが、どうも我が家の場合は、javaが最新版になっていなかったところを衝かれてしまったらしい。

仕事の山は越えたとはいえ、そのシッポというか、急ぎの問い合わせなどが降って来ている最中のことで、大いに焦る。

義妹宅に行ってPCを借り、対処法を調べてなんとか駆除。

F1033388●6月14日金曜日。仕事で両国。

出がけに逗子駅でsuicaにチャージしようとしたら、カードが券売機の中で引っ掛かって出て来ない。駅員のおねーさんの手によって救出されたものの、端が曲がってしまっており、緑の窓口で新しいカードに交換されることになる。

旧バージョンの前向きペンギンとついにお別れ(現行バージョンはペンギンがこちらを向いている)。

仕事後、久しぶりに秋葉原の模型屋に立ち寄り、「模型屋の空気」を吸い込む。ついでに川崎の実家に寄って一泊。

F1033387●自宅近くの道端で、アオスジアゲハの幼虫(おそらく終齢)を発見。しかも、30センチほどしかない苗木に2匹もいる。

人の家の入口近くに生えている苗なので、発見されたら駆除されてしまうかも。羽化まで無事でいるよう祈る。ところでアオスジアゲハの植樹としてはクスノキが一般的だが(他にも数種ある)、この苗は葉脈がちょっとクスノキっぽくないような……。

ちなみにアゲハの仲間の幼虫は敵をひるませるために異臭を放つ肉角というものを出すのはよく知られているが、普通のアゲハやクロアゲハの肉角のにおいは(植樹が柑橘類なので)やはり柑橘系なのだそうな。もちろん、柑橘系を元にしているとしても、実際にはさわやかな匂いではなく、とても臭いけれど。

しかしその伝で言うと、柑橘系でなくクスノキの仲間を食っているアオスジアゲハの肉角のにおいはショウノウっぽいんだろうか。

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アベノミックスピラフ

●mixiの知人の書き込みで、日付が変わる約1時間前になって、ようやくD-Dayであることを思い出す。

もちろん、だからどうということは特にない。D-Dayネタになりうる模型も特に持ってないしなあ(たぶん)。

●今日の無駄知識。

つい昨日まで、身近でよく見るツヤツヤした(時々シッポがブルーメタリックな)トカゲは「カナヘビ」なのかと思っていたのだけれど、実際にはカナヘビ(ニホンカナヘビ)は背中が下ろし金みたいに細かくガサガサで、ツヤツヤのほうはニホントカゲ(ヒガシニホントカゲ)だそうだ。

●今日の無駄知識2。

ちょっと仕事関連の調べもので用事があったのだが、阿倍比羅夫(あべのひらふ)について調べる。中大兄皇子の時代、蝦夷攻略に功のあったおっさんで、その後、白村江の戦いで主力軍(派遣軍第2派)を率いて渡海し大敗している。

ところが安曇比羅夫(あずみのひらふ)という、妙によく似た名前の人がいて、これは阿倍比羅夫の別称なのかと思っていたら別人だった。これまた白村江の戦いに出ていて、派遣軍第1派を率いていたらしかったりするのでややこしい(白村江の戦いで戦死したらしい)。

ちなみに時代はだいぶ下って、平安時代に東北で勢力を広げた「俘囚の長」安倍氏と阿倍比羅夫は(蝦夷つながりで)何か関係がありそうな気配がするが、実際には「関係ない説」が濃厚。

F1033333●「あずきバー」の呪法結界に囚われる(4日火曜日午後、名越のローソンにて)。

やはり今日も固かった……(ニヤリ)。

F1033365●上は本屋に行く途中の買い食い。

帰りにヤマグワの実をつまみ食い。今回はしっかり熟しているのを食した。甘し。

●八木教広「クレイモア」24巻を買って読む。しばらくちょっと中だるみ感みたいなものを覚えていたのだけれど、また何か緊迫してきた感じ。以前に買ってあったSAOの10巻と11巻を読む。

●1週間ほど前、気象庁が梅雨入り宣言を出した途端に真夏日が来たりして面目丸つぶれだったが、夜半になってとうとう降り出した。

●アカデミーの「プラハ蜂起軍仕様ヘッツァー」を仕事の合間に温めにチェック中。そのうち簡単なレビューをUP予定。

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あずきバー

●6月1日土曜日。先日の散歩の途中、名越の峠道でイワタバコの花を崖の上に四つんばいになって撮ったが、さすがに、今が盛りならもうちょっとまともに鑑賞すべきではないかと思い始め、午後も遅くなってから出掛ける。

F1033258北鎌倉の東慶寺の奥の崖には一面に生えているのは判っていたが、そこまで行くのもなあ、などとだらだらあちこち覗いて歩く。海蔵寺の崖にも少しあるらしいというので行ってみた時には、もう4時半を過ぎて閉まっていた。

結局、亀ヶ谷坂切通しを越えて(切通しの一番上の崖にも少し生えていたが)、長寿寺のちょっと手前の民家の石垣に咲いているのを見付けた。といっても、ちょっと高い場所だったので花の接写などはできず。最初から東慶寺に行けばよかったよ……。

F1033262F1033267●ホタルブクロもちょうど旬。普段なんとなく見ているだけだが、wikipediaによれば、関西には白が多く、関東には赤紫が多いそうだ。鎌倉は白と紫が混在している様子。

左は海蔵寺門前のホタルブクロで白(僅かに紫入り)。右は亀ヶ谷坂に向かう道沿いの、かなり紫が濃いタイプ。近くには白も咲いていた。

●散歩の途中、扇ヶ谷の酒屋で井村屋の「あずきバー」を買い食い。最初は歯が立たないくらいにカチンコチンで、しかも溶けるどころか唇が表面に貼りつく勢い。アイスバーは数あるけれど、逆襲してくるヤツはこれくらいではないだろうか。

それだけ手強いくせに、本体に粘りはないので、最後の一口近くになると、いきなり割れて棒から落ちてしまうのもお約束(もちろんある程度予期していたのでちゃんと受け止めた)。

久しぶりに食ったら無性に美味かった。毎日食いまくるというものでもなく、むしろ、昨夏など1本食ったかどうかも思い出せないけれど、もしもなくなったら絶対に寂しい。

F1033287●時々通る道沿いに、キイチゴ(おそらくモミジイチゴ)がたくさんなっていた。

ぜひとも味見をしたいところだが、崖の高いところに生えているので手が届かない。流石にどこかで高枝切りバサミを借りて担いで収穫しに行くのも怪し過ぎる。

というわけでイソップの狐状態。

●鎌倉の丸ポストの中でもおそらくお茶目さでは筆頭格。大町(名越)の長勝寺前の「ブロック塀に半分埋まっている丸ポスト」。正確には、もともとあったポストを避けるように切り欠いて塀を作ったらしい。

塀のおかげで塗り替えは基本、前面しか行っていないようで、そのためペンキの被膜が薄く、てっぺんのボルトも綺麗に六角に見えるし、本来の取集時刻掲示部のパネル抑えの帯金などもしっかり残っている。

それにしても、塀の高さはポストよりほんの少し高いだけで、これならこんな凝ったことはしないで、この部分で塀を一度途切れさせてもよかったんじゃ……。

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●ちょっと気になっている新製品情報いくつか。

TAKOMという新興メーカーが、新製品第一弾として今月末にも1:16のルノーFTを発売予定なのだが、早々と第二弾も発表されたようで(PMMS情報、本家サイトには今のところ記載なし)、それが1:35のobject 279だそうだ。変だ! 変なメーカーだ!

なおFTのほうは、一応発売予定のものは量産型(丸砲塔)のピュトー37mm搭載型、戦間期改修無しの基本型。

発表されているパーツ割(CG)を見ると、エンジンを含めて車内再現あり、砲塔パーツは丸ごと別枝なので順調に行けば八角砲塔の発売もあるかもしれない。武装関連、足回り(履帯除く)のパーツ枝図は発表されていない。そういえばどこからか新キットが出ないうちに、NKCの丸砲塔FTを成仏させてやらんとなあ……。

●AFVクラブから発表されているボフォース40mmのドイツ型というのが、ハンガリー型とどれくらい違うのかが気に掛かる。一応、ホイールの形状はハンガリー型やポーランド型と同じようで、このタイプが35でパーツ化されたのはおそらく初めて。

S-ModelのC2P+ボフォースのキットも、小パーツは気泡が多く、しかもホイールは6穴なので、ポーランド仕様で組むためにちょっと欲しいかも。

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