ガルパン
●戦車模型趣味以外の方もいらっしゃるので一応説明しておかないといけないと思うのだが、要するに、「ガールズ&パンツァー」(略称ガルパン)という、高校生の女の子が“武道として”戦車に乗り込んで、競技として戦車戦を繰り広げるという、ツッコミどころ満載のアニメがあるのだ。パンツァー(Panzer)はドイツ語で戦車(もともとは装甲)のこと。
そんなこんなで、戦車模型マニアだけでなく、普段その手のものは作らない人にまで、そのアニメに登場する戦車(“試合”に出てくる戦車)の模型が俄かミニブームのようになっており、タイアップ版の模型まで出るような具合。
もっとも本家のアニメは制作が放映に間に合わず、既放映分のツギハギを2回も挟んでお茶を濁し、結局、話は終わらないまま最終回を迎えてしまった。どうも春頃、結末を特番形式か何かでやるらしい。……もう、これ以上はないようなグダグダぶり。
以上概略説明終わり。
この際、オープニングテーマで「空に~災い~」と歌っているのに合わせて(※空耳です)、最後にいきなり試合会場上空をIl-2シュトルモビクの編隊が乱舞し、全ての戦車を撃破炎上させて終わりという「ちゃぶ台ひっくり返し系結末」になっていたりするとスゴイ(ないない)。
●2回前の記事へのhideさんのコメントによれば、プラッツ/サイバーホビー(ドラゴン)のIV号D型および38(t)を購入したら、劇中ではB/C型という設定の38(t)が、キットはE/F型だった由。
ドラゴンではB/C型は出ていないので仕方がないと言えないこともないが、この機会に改修パーツを用意して、ドラゴンにとっては穴の初期型を出してもよかったんじゃないか、と思ったりもする。もっとも、前々回書いたように、ガルパンの38(t)は「公称B/C型」ではあるものの、どの型とも言えない車体形状を持っている(基本形が実車にはない形状であり、劇中のIV号D型のように、D型車体に後期のパーツがいくつか付いているといったケースとは異なる)。
●模型誌で特集も組まれているので、模型的アプローチの仕方についてはそちらにも書かれているだろうと思うが、基本は、次のようないくつかの方法があると思う。
(1).「**戦車**型」という話の設定と、アニメに登場する戦車として発売されているキットを頼りに、基本的にそのまま作る(もっとも上記のようにその2者間に多少の齟齬がある場合もあるが)。
(2).アニメに描かれた絵から、「ガルパン仕様」を読み取って、実車仕様と異なるそれを模型に反映させる。凝り性な考証派モデラー向け、とはいえそもそもが現実とは関係のないアニメの中の話でもあり、場面ごとに描かれている絵に変化があったりもするので、この作業自体洒落のようなもの。ちなみに青木氏のガルパン・ソ連戦車の考証は、先日よりまた少し進化した模様。
それに加えて、
(3).劇中で主人公チームの乗る戦車は試合ごとに改造して、少しずつ後期の強力な型に進化しているが、この場合、どういうわけか基本車体形状まで後期の型に変わって描かれている。言ってみれば、「改造」というより魔法的「変身」に近いのだが、その描き方は制作上の都合と割り切って、例えばIV号戦車なら、「あくまでD型からの改造車輌」であることにこだわる、というのも面白い気がする。
主人公の乗るIV号D型は、主砲を75mm/L43に換装した途端、砲塔も車体基本形状もG型仕様になってしまうが、戦闘室前面が一段になるのはいいとして、元のD型にあった段差を埋めた「自動車部の苦労の痕跡」を加えてみる、など。砲塔上面のベンチレーションハッチを埋めた跡があるとか、砲塔後部を継ぎ足しているとか。……なんだかすごくツギハギな、凄惨なものになりそう。
模型誌の特集等は見ていないのだが、すでにやっている人はいませんかね(←自分では面倒なのでイヤ)。
●前段の(3)に関連して。
主人公チームの38(t)戦車は、その後「ヘッツァー改造キット」なるものを仕入れて付加し、ヘッツァー仕様に変わる。ヘッツァーは38(t)を元に開発された駆逐戦車だが、多少の戦車ファンなら知っているように、ほとんど別設計で、流用できるコンポーネントはほぼ皆無のはず。
しかしそのへんに実はこだわりがあって、「改造キット」はあくまで「改造キット」であり、一見ヘッツァーに見えるが、足回りは転輪が小さい38(t)のまま、中身の駆動系も38(t)のままなんていう設定になっているとちょっと萌えてしまう……けれど、さすがにないだろうなあ。
●アニメの設定について少々。
アニメとはいえ古い戦車が走り回るのが見られるだけで面白いや、的なところはあるのだが、本来、走行性能に差がある戦車同士でチェイスが成り立つなど、実車そのままとは異なる部分も多い。
“競技”としてのレギュレーションは「1945年8月15日までに設計が完了し試作されていた車輌と、それらに搭載される予定だった部材を使用した車輌」ということだそうだが、上記を考えると、エンジンやサスは実車より性能差は少なそう。
攻守の性能、信頼性等についても、実車の特徴に基づく“味付け”程度の差異は設けているようだが、実車通りというわけではなさそう。それらを考え合わせると、競技用車輌は実車ではなく、過去の設計に基づいて、競技が成り立つべく設定された規定の性能幅の範囲内で製作されたレプリカと考えたほうがよさそうだ。また、そう仮定すると、考証の甘いプラモデルのように「実車にはない基本形状や構造」が所々に出てくるのもすっきり説明がつく。
どうも細かい設定だの考証だのについては、監督だかスタッフだかがツイッターで頻繁につぶやいているそうな。私はチェックしていないので、もし「そんなことはすでに話に出ていたよ」ということであれば失礼。
ガルパン話は以上で終了。
●ネットで模型関係のサイトを見て歩いていて、たまたま行き当たったサイト(ブログ)を一つ。
サイト名称通り、Char B1bisをスクラッチビルドしているのだが……これが、記事を遡ってもスケールを明記してある部分を探し出せないのではっきり判らないものの、おそらく1/10くらいの大スケールだと思う。タミヤのキットとの大きさ比較がこちら。
外形はもとより、中身の再現度も恐ろしい。10月1日付記事に出ている変速機のチェーンベルトにはたまげた。
●サイトといえば、“アハパン”の尾藤満氏がブログをお持ちなのを、割と最近知った。
AM誌に連載されていたI号バリエーション製作の続きを、ページ数などにはこだわらず連載されているので見逃せない。
それにしても、私自身、割とディテールはこだわって工作するものの、ここまできっちりした考証と反映、工作は無理だなあ……。
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