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ドイツ軍車輌の塗装規定(電撃戦期)

●私自身、きちんと考証するだけの材料もあまりないので、要するに「気になっていることメモ」として。

●第2次世界大戦のドイツ軍車輌(戦車含む)の塗装に関しては、

1.ワイマール共和国時代の3色迷彩
2.再軍備期のグレー2/3、ブラウン1/3の2色迷彩
3.大戦初期のグレー単色
4.1943年以降のダークイエロー基本色、グリーン、ブラウンの迷彩色

というのが大まかな流れで(戦地の応急塗装やアフリカ迷彩を除く)、特に大戦初期は一律にグレー単色というのが従来説だったと思うのだが、どうも最近、ポーランド戦、フランス戦ではグレーとブラウンの2色迷彩がそれなりに混じっているのではないか説が出てきているようだ。

「ようだ」というのは、明確にそれを解説している資料があるのかどうか、浅学にして私は知らないからだが、少なくとも最近のドラゴンは、キットの塗装指定にその説を採用しているらしい(I号sIG33自走砲など)。

●実際の塗装規定の流れをおさらいすると、1937年6月に「塗色はデュンケルグラウおよびデュンケルブラウン」という通達が出て、翌1938年11月に「デュンケルグラウが全面の2/3、デュンケルブラウンが1/3」と、塗り方の追加規定が通達されている。

その後、デュンケルグラウが統一色とされ、ブラウンが廃止されるのが1940年7月末で(以上、出典はグランドパワー97/2、ドイツ軍用車輌の塗装とマーキング[1])、この通達通り塗装が切り替わっているとするなら、ポーランド戦、フランス戦時は2色迷彩が標準であったことになる。

●もちろん現実には、この時期の写真を見てもほとんどはグレー単色のようで、これまでも、先の40年7月の通達は現状後追いのもので、開戦時には既にグレー単色に切り替わっていたというのが定説だった(グランパ97/2にも、「デュンケルブラウンの廃止は1939年の可能性もあり」と、さらりと書いてある)。

●ところがどうやら2色迷彩もこの時期生き残っている「どんでん返し」があるらしいというのが現在の状況。

実際、先述のように写真資料ではほぼグレー単色だと思われるものの、この2色はトーンがそれほど違わないので、「グレー単色だろうと思える写真が多数だけれど、これは2色迷彩だと言われれば、違うとも言い切れない写真もある」のも確か。これまでは「全部グレー単色」という思い込みで見ていたので、多少の斑があっても「土ぼこり?」と判断していたのが、実は迷彩色だったということがあり得ないとも言えない。

例えばグランドパワー2000/6、ドイツ8輪重装甲車[1]のp7、ポーランド戦時のSSの232だが、改めて見直すと、迷彩されているように見えなくもない。もっとも、同p36の263のように、「これはどう見ても2色迷彩」と言えるほど明快で、しかも時期が開戦後とはっきり判断できる写真を(今のところ私は)見たことがなく、私自身、現時点では「どうなんだろ」レベル。

今しがた上げたグランパ2000/6、p36のSd.Kfz.263も、キャプションはなんだか微妙な書き方をしているが、何のマーキングも見られないところからすると戦前の写真の可能性が高い。要するに、ポーランド戦時の真っ白十字や、その後の中抜きバルケンクロイツが描かれている上で、車体の迷彩がはっきり判る写真があれば言うことはない。

●というわけなので、そのあたり、写真資料も上げてきっちり解説している資料がある、という方はご教示を。

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資料・考証」カテゴリの記事

コメント

グレー&ブラウンの2色迷彩が、いつ頃まで残っていたかという問題とは別に、戦前も3色迷彩があったのか?という疑問を持っています。

と言うのは、戦前と思われるヘンシェル33トラックの写真で、明らかに3色迷彩が施されているものがあります。キャプションには「典型的な戦前の迷彩」なんて記されていて、???です。


投稿: TFマンリーコ | 2012年7月 2日 (月) 16時48分

>TFマンリーコさま

再軍備後、2色迷彩が導入される前は、ワイマール共和国軍の3色迷彩がそのまま使われているので、生産開始時期が1937年より前に遡れる車輌だと、3色迷彩は割と普通に見られるのでは、という気がします。

クルップ・プロッツェあたりでも、3色の写真はそこそこ見るような……。

少しだけ、ネットで例を検索してみました。

http://militarymodels.co.nz/2011/09/12/painting-your-german-wwii-tanks-a-very-basic-guide/3tone1938/

http://www.panzerphotos.com/pictures/00268.jpg

http://www.kfzderwehrmacht.de/Homepage_english/Motor_Vehicles/Germany/Adler/Adler_10N_Kubelwagen/adler_10n_kubelwagen.html

http://www.kfzderwehrmacht.de/Homepage_english/Motor_Vehicles/Germany/Krupp/Krupp_Protze/Kfz__70/kfz__70.html

http://www.bpmodels.net/Model/2tone4.jpg

投稿: かば◎ | 2012年7月 2日 (月) 17時47分

サイバーの白箱ノイバウは3色迷彩の色指定があったはずですね。
話がそれますが、個人的には空軍の初期グレーがどこまで適応されてたのか、海軍のグレーは陸軍と違うのか、なんてことが気になります。

ところでもっと話がそれますが、ボスからT26A出るみたい。

投稿: hide | 2012年7月 2日 (月) 18時39分

>hideさん

すでにどこで読んだのか記憶が定かではないのですが、ドイツ陸軍が車輌の塗装にグレーという、他にあまり例のない基本色を選んだのは、海軍用(Uボート用?)のグレーの大量のストックがあったからだ、と聞いた覚えがあります。

空軍の初期グレーというのは、全面02の前の明るいグレー、ということでしょうか。

>>ボスからT26A出るみたい

ぶばばばばばばば。た、大量のmirage/RPMの在庫をどうしたら……。

投稿: かば◎ | 2012年7月 2日 (月) 18時50分

>海軍用グレーのストックがあったから

へ~、それは初めて知りました。じゃあWMナンバーのトラックなんかは同じ7021なのですかね。
空軍のは多分それで7016です。これがHGの装甲車等にも適用されてたのかがちょっと気になります。

ちなみにウチのビカE系は、こんな事もあろうかとミラの7TP、フェアリーのT26C、RPM系はビッケルスとOT26の四つしか有りませんやw

投稿: hide | 2012年7月 2日 (月) 19時04分

>hideさん

まあ、「あのグレーは元々海軍用だ」というのは今となっては出所も判らない話なので、「はあ、そんな説もあるんだ」程度で(笑)。

「海軍車輌は海軍グレーで、空軍車輌は空軍グレーで」説はまたそれはそれで非常に興味深いのですが、基本、車輌は工場でグレーまたはゲルプに塗られてしまっているわけで、よほど塗り直す必然的理由があるとか、迷彩色として使うとかでないと、海軍色・空軍色は使わないんじゃないでしょうか。

とはいっても、空軍部隊の基地で連絡用とか乗員の私用に使われたキューベルワーゲンなどは、塗料の入手のしやすさから言っても、たとえベースはダークイエローでも、迷彩色はRLM系を当たり前に塗っていそうですね。モノクロ写真では(いや、カラー写真でも)判別しようがない気がしますけれど。

投稿: かば◎ | 2012年7月 2日 (月) 19時57分

>再軍備後、2色迷彩が導入される前は、ワイマール共和国軍の3色迷彩がそのまま使われている

なるほど、私、大戦前のことは一緒くたに思っていたのですが、2色迷彩の導入って、案外遅いんですね。戦前の三色迷彩というのも、おもしろそうですね。

投稿: TFマンリーコ | 2012年7月 2日 (月) 21時54分

>TFマンリーコさん

何か私、一緒くたに書いちゃってますけれど、3色迷彩にも境目くっきりと、吹き付けでボカシ入りのがあって(上のコメントに付けたURLでも2種が入り混じっているはずですが)、後者のほうが新しいんだったかな?

中国陸軍は戦前、ドイツから兵器を輸入してますが、時期的には(ドイツ塗装のままなら)3色迷彩のはずです。

たとえばこのyoutubeの動画の4分55秒あたりと、6分45秒あたりから出てくるヘンシェル33(のディーゼル型の重砲牽引型)は綺麗に3色迷彩が施されていて(6:45のほうが3色であるのがはっきり判ります)、ドイツ迷彩のままだった可能性があります。

http://www.youtube.com/watch?v=O_TDxmZuJ-o

そのくせ、I号戦車A型も、またこれ以外のヘンシェル33やleFH18なども、残された写真では単色のように見えるのが、ちょっと解せないところですが……。

投稿: かば◎ | 2012年7月 2日 (月) 22時51分

日本で古い機器に必ず使われているライトグレイグリーンは戦後に横流しされた飛行機用だったりして・・・とか妄想したりします。

投稿: みやまえ | 2012年7月 4日 (水) 23時25分

>みやまえさん

工作機器のボディとかに多いですね<ライトグレイグリーン

飛行機用ってことは、機内色ってことですか? 陸軍用?

投稿: かば◎ | 2012年7月 5日 (木) 04時09分

どうなんでしょうね。妄想の話ですが、カーボン使って出すグレイより顔料が安いからあの色なんじゃないかなと思ってたりします。イギリスやイタリアのコックピットのグレイグリーンも、ちょっと乱暴ですがRLM02にも近いので、目に優しくて顔料が安いからあの色なんじゃないかと思うのです。
そう思うと日本木の空冷エンジンのクランクケースとか中島の機内色とかみんなあの色で補正されて困ってしまいます。

投稿: みやまえ | 2012年7月 5日 (木) 21時50分

ちょい前の話題ですが、仕事の合間に大戦中のカラー写真を眺めていて気がつきました。
この写真
http://www.gstatic.com/hostedimg/1c0a97be6c4dd463_large
ワルシャワでのポーランド戦勝記念のパレードの写真とされていて、多分ご覧になったこともあると思いますが、どうも二色迷彩臭いですよ。特に一番手前の車両は木の陰ではないですし。連番で撮られたⅠ号やⅡ号の写真は汚れとも迷彩ともつかぬ感じですが、この写真はアタリでしょう。という事は、少なくともポーランド戦時に、一部の車両は二色迷彩のまま実戦に参加していた、でOKでしょうか。

因みに半年遡った総統50歳誕生日パレードの時は、明らかに大抵の車両が二色迷彩みたいですね。

投稿: hide | 2012年8月19日 (日) 17時36分

>hideさん

ほほう、こんな写真が……いやいや、ちょっと見覚えがあるぞ、と思ったら、案の定、HDDのフォルダの中に保存してありました(笑)。

確かに左端の一両はよく見ると2色迷彩のような。しかし塗り分けが大胆すぎるような気も……。

同じ場所で撮られたI号、II号、IV号などなど、結構一連のカラー写真が多くありますが、「どうも2色迷彩っぽいな」と言えるのはこれ1枚のようですね。

初期のルフトヴァッフェの70/71迷彩が、暗色で差が小さく、特に曇天下で撮った白黒写真は上面単色に見えるために、古い資料では上面をグリーン一色にした機体が多く見られるのですが、AFVも同様の状況だったのか、はたまた、2色迷彩は「たまたま塗り直されなかった例外」なのか、どうもいまひとつすっきりしません。

投稿: かば◎ | 2012年8月20日 (月) 18時15分

パターンはお誕生日パレードの写真でもそんな感じなので、まぁそんなもんなのでしょう。装甲車両に観られないのは、国籍標識を描くときに、ついでに塗り直したのかもしれませんね。

投稿: hide | 2012年8月20日 (月) 21時47分

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