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スロヴァク・プラガ

●偉っそうにポルスキ・フィアット製作記を立ち上げておいて、いきなり浮気な話で何なのだが、先日来ぼちぼちと組み立てていたトライスターのPz.Kpfw.38(t) E/F型の組立が、履帯を除いてほぼ終了した。

といっても、ほぼ説明書通りにパーツを組み上げただけで、組立に関してはあーだこーだ言う部分は多くはない。

●作り上げる対象として想定しているのはスロバキア軍所属のLT-38(スロバキア軍での呼称)。

もっとも、38(t)のキットでは、同じトライスターのB型、G型、ドラゴンのG型にそれぞれスロバキア軍所属車輌のデカールが付属しており、わざわざそれが入っていないE/F型で作るのはちと酔狂かも。ただし、基本はデカールの有無だけで、特別にスロバキア軍向けのパーツが何か入っているわけではない、と思う。

●スロバキアは、開戦前に最初のLT-38を10輌入手(V3000~V3009)したのを皮切りに、最終的に延べ74輌のLT-38を使用している。調達が五月雨式だったり、調達した品が中古だったりしたせいもあって形式はA型からG型、S型までぐちゃぐちゃで、その点、保有した車輌のほとんどがG型のハンガリーなどとは少し趣が違う。

最初の5輌はチェコスロバキア軍迷彩が施されていたが、その後調達したものはオリーブドラブ単色になり、チェコ迷彩の車輌も塗り直されている。

ただ、私が作ろうとしている車輌の写真(1944年秋のスロバキア民衆蜂起時のもの)を見ると、どうも車体色が明るく見える。スロバキア軍が43年8月以降入手した37輌(V3063~V3082、V3099~V3110、V3129~V3133)は、すでにBMMでの生産が終了していたため、ドイツ軍のデポから中古品を回してもらったものなので、これらはスロバキア軍用オリーブドラブではなく、ドイツ軍のダークイエローだったのではないかと想像される。

もっとも写真では、国籍マーク中央の青と車体色とのコントラストがほとんどなく、単に「暗い色の車体が明るく写っているだけ」の可能性もある。悩ましい。

F1031940●スロバキア軍車輌にするためのほぼ唯一の特別な工作が、右フェンダー後部に載せた、ランドセル型の妙な箱だかタンクだかダクトだか、とにかく謎の物体。rを出すために妙に凝った工作をしてしまった。

F1031939 とにかく全体形は「こんな感じ」というのは判るのだが、クローズアップ写真は見当たらないので、細部ディテールが判らない。もしかしたら表側に何か付いているのかもしれないが、あるように見える写真も、ないように見える写真もある。

最初はフェンダー上にイモ付けで接着してしまうつもりでいたが、後々細部の情報が手に入った時に修正できるよう、フェンダーに穴を開けてプラ棒を付け、そのプラ棒に接着することにした。これで後々、もぎ取ることになってもフェンダーにも箱にも損傷が生じない。もっとも、追加情報が出たとしても、「まあ、作った時には判らなかったからこうなんだよ」と放置してしまう可能性のほうが大きそうだけれど。

●それにしてもこの「ランドセル箱」の正体は何なのだろう。

  • ドイツを含め、他国の38(t)に装備されている例は(少なくとも私の手元の資料では)見られないようだ。また、戦後のチェコスロバキア軍車輌にもない。
  • スロバキア軍所属車輌でも、大戦中盤までの写真では見られない。が、スロバキア民衆蜂起あたりでの写真では、おそらくLT-38の全車が装備している。
  • 同じくスロバキア軍のLT-40やLT-35でこれを装備している例はないようだ。
  • しかし一方で、スロバキア軍に供与されたものとされるマーダーIIIHの写真で、戦闘室内にこれが置かれており、スロバキア軍の38(t)系列では不可欠の特有の装備であったらしいことが想像できる。

●(追記)なんと、この“ランドセル箱”について、MBIの“PRAGA LT vz.38 / Pz.Kpfw.38(t)”にちゃんと載っているのを見つけた。東大モトクロス部。

っていうか、今回の製作にあたって常に横に置いてあった資料なのに、なぜ見落とすか! ちゃんと読め!

もっとも載っているといっても、各型説明の間にさらりと図が混ざっているだけ(p25)。ちなみに用途はブロートーチ収納箱だそうだ。というわけなので、よく探せばドイツ軍車輌でもこれを積んでいるものがありそうだ。

F1031935

●その他は別に特殊な工作はなし。前回書いたように、ノテク・ライトの位置はG型と同様(基部パーツはE/F型キットにも入っている)。

他国供与の38(t)の(おそらく)標準的仕様として、車体前面機銃は装備されておらず、指揮戦車同様に塞がれている。これはたまたま、(おぼろげな記憶では)水道橋時代のオリオンで手に入れたバラ売りのG型用指揮戦車パーツ枝があったので、その純正パーツを使用。もっともプラバンを丸く切り抜いてリベットを移植してもそれほど大きな手間ではないはず。

戦闘室左側面は、本来ツルハシとシャベルが付くが、どういうわけか1944年のスロバキア軍車輌では止め具ごとない。

車体後面も、G型同様に各部にカバーが付けられた状態。なお、スロバキア軍車輌は発煙筒ボックスは装備していない。当初何も考えずに付けてしまったパーツをもぎ取ったので、ちょっと跡が汚い。

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コメント

38tのキットというと、長年イタしかなくて、マケットが出たときにはかなり嬉しかったのですが、ここ数年、トライスター、ドラ、トラペ、さらにはイタのリメイク版と立て続けに出て、まさに百花繚乱の趣であります。トライスターのキットは、往年のイタラエレイを思わせる味わいがあって、個人的には一番好きです。

車体銃を塞ぐ円板、案外希少です。なぜかドラのG型には入っていないんですが、「G型はやっぱり、ここが塞いでないと…」という勝手な思い入れがあって、トライスターのG型から引っ張ってきました♪(←そのくらい自作しろよ…(笑))。

38tも一応「各型作り倒し」を目指しているんですが、EとFとか、B、C、Dとか、どこが違うのかよくわからんのが多いですね(笑)。ドラのSが出たら買うかな…。

投稿: TFマンリーコ | 2012年5月28日 (月) 00時43分

私もトライスターのキットは好きです。といっても、新キット群の中ではトライスターしか作っていないんですが。

いずれそのうちG型も作りたいなあとは思っていて、当初計画では、E/F型をトライで作ったので、G型は比較のためにもドラゴンかな、などと思っていたのですが、最近はトライスターがいいような気になってきました。車体機銃用フタもあるし(笑)。

それにしても、ストック棚を漁ると、マケットのキットもどこかにあるのですが、旧イタレリに、むかーしのドラゴンの足回り別売セット(グリレのもの)、カステンの起動輪・誘導輪セット……いやあ、ほんとにこれらはいったどうしましょう。

ドラゴンのS型には驚きました。
これまでS型の作例なんて見たことがない気がします。
……って、そもそも「おお、S型だ」と驚くほどの特徴もないんで、見逃している可能性はありますが。
しかし今後は当たり前にポツポツS型の作例が出てくることになっちゃうわけですね(笑)。

これで、戦車型のちょっと変わったタイプとなると、Strv m/41しかなくなっちゃいましたね。……スウェーデン人以外、あまり作りそうにないなあ。

投稿: かば◎ | 2012年5月28日 (月) 18時24分

さすがに今から旧イタとかマケットを作る気にはならないですねえ…。私もマケットは(完成させたC型指揮戦車以外に)G型のストックが残っているはずですが。

トラペのキットは、案外侮れないですよ。プロポーションはトライスターとちょっと区別がつかないくらい似てます。部分分割式の履帯は、ちょっと扱いにくいですけどね。

S型の「正体」がわかってきたのは、そんなに昔じゃないですよね。それまではD型だと言われていたようです。じゃあ、D型って、C型とどう違うのよ?と言われると、よくわからんです…。

投稿: TFマンリーコ | 2012年5月28日 (月) 20時06分

>Strv m/41しか

いつも不遇なA型が残ってたのでは(多分)。

でCとDとかEとFとかは、ロットの違いだけで外見上の識別は不可能だったと思います(と書きつつ後でトラクツ確認してみよう)。

投稿: hide | 2012年5月28日 (月) 20時29分

あ、CとDじゃなくてBとCですね。

投稿: hide | 2012年5月28日 (月) 20時34分

確認してみるものです。トラクツNo18によれば、
B→Cは車体下部正面装甲が15㎜増えて、第一転輪の前にダンパーが追加・・・戦場写真で確認は不可能です(笑。
C→Dはターレットリングのガードが付いて(途中で)アンテナ基部がドイツ式に変わるので、こっちの方はある程度は外見で識別できそうです。
E→Fはマフラーが持ち上がってエンジンデッキハッチのリベットが減ってる点などが相違点のようですね。
そして、ざっと見る限りブロートーチ収納箱の件はドイツ軍仕様車については記述が無いようです。

ちなみに私にとって38は今やトライスター一択ですが、件のS型のキットはドラム缶トレーラーが面白そうなので買ってみてもよい気がします。

投稿: hide | 2012年5月29日 (火) 17時36分

>TFマンリーコさん

トラペのキットは、TFマンリーコさんのブログでも拝見してちょっと気になっています。とはいっても、小国陸軍ファンとしては、E/F型はもう用事なさそうだなあ……。

>hideさん

ありゃりゃ。私は、A/B型、C/D型、E/F型と、2つ区切りで区別が付かないんだと思ってましたよ。

もちろん、手すりみたいなアンテナが付いていればA型なのでしょうが、あれは外されてしまった例も多いようですし。実際、スロバキア軍のLT-38の最初の5輌はチェコ迷彩なのでA型相当なのだと思いますが、これもバトルアンテナは付いていませんし……。

で、Cからは装甲が厚くなっているので、細かい話ですがギアハウジングとの間の止め具が変わって……装甲板のエッジが丸いのと立っているのとは、C/Dの識別点にはならないんでしたっけ?
Cの途中から排気管が高くなったとグランパにありますが、これは単に後の改修?

E/Fの間に識別点があるというのは初めて知りました。エンジンデッキハッチのリベットというのは、サイドの丸くなっている部分のリベット列のことでしょうか。ここは、これまでの資料だとG型から少なくなっていると書かれているものが多かったと思うのですが、F型から?

うーん。やはりトラクツはいろいろ「ええっ、そうだったの?」が多くて、どんな車種のものも一度はきっちり読んでみたくなる資料ですね。

投稿: かば◎ | 2012年5月29日 (火) 19時57分

A→Bだとバトルアンテナ以外にいじましいような細かな違いが幾つか挙げられてます。例えば照準孔の雨どいだの、砲塔機銃のストッパーだの、砲塔のペリスコープにキャップが付くだの、キューポラの斜め後ろに手すりが付くだの・・・同書では車台正面40㎜は一応C型から、という事になっていて、D型はもう一点、戦闘室正面装甲のボルトの配置が一部変更とあるんですが、どうも湾曲部上側の一本が少しずれてるだけみたい(笑。E→Fのエンジンデッキハッチリベットってのは丸くなってるとこので合ってます。確かに正面装甲のリベットがE/F仕様でエンジンハッチにリベットの列が無い個体は確認できました。ただ、いずれの場合も過渡的な個体はあると思います。というか、正確には例えばマフラーが持ち上がったのはEの途中、エンジンデッキのリベットはFの途中、といった具合。

旧来の説がどんな事になってたか細かいことを忘れてたので古いグランパを引っ張り出してみましたが、確かに記述のあちこちが食い違っています。特に車体の前面と後面の変更点を連動して確認できる個体というか写真ってのはなかなか無いので、排気管などは裏がとり辛いですね。まぁトラクツは良かれ悪しかれ考証上の基準になっちゃってますから(一次資料に直接当たって書いてるアドバンテージは大きいですよね)、気になる号だけでも一読はお勧めいたしますですよ。

投稿: hide | 2012年5月30日 (水) 19時03分

“ランドセル箱”を積んでいるドイツ軍車輌ですが、
ロシアンPAKマーダー3に確認できます。
戦車マガジン11月号別冊のシュトルム&ドランク シリーズNo.6 対戦車自走砲に、2枚写真が出てます。
うち1枚は、タミヤのHeidel車です。

Heidel車を作りたくて、“ランドセル箱”が気になってました。
“ランドセル箱”を作ってるなんて、凄いです。

MBIの“PRAGA LT vz.38 / Pz.Kpfw.38(t)”には、
“ランドセル箱“の写真が何枚か出てるのでしょうか?
買っとけばよかったなー!?

投稿: まー坊 | 2014年3月16日 (日) 13時09分

コメントありがとうございます>まー坊さん

実はブロートーチ収納箱と判った“ランドセル箱”ですが、MBIの“PRAGA LT vz.38 / Pz.Kpfw.38(t)”には、残念ながら写真としては、はっきり写っているのは2枚程度です。

ちなみにページ数と“中身”を書いておくと、
51ページ下:放棄されたスロバキア陸軍のV-3080号車。斜め左後ろからの写真(したがって箱の下1/3程度は車体の陰)。
表3(裏表紙の裏)上:1945年5月(終戦直後?)、チェコ領内の街の広場に停まっているドイツ軍車輌。ダークイエロー地におそらくブラウンとグリーンの細かい斑点迷彩という珍しい出で立ち。ほぼ右真横からの写真で、これを見ると、“ランドセル箱”はフェンダー上から浮き上がっている。つまりフェンダー上に置かれているのでなく、車体側面に(何かの取付架を介して)付いているのではないかと思われる。

しかしいずれにせよ、どちらも箱それ自体のディテールがわかるほど近寄った写真ではありません。“ランドセル箱”の図も載っていますが、これも「外形はこんな感じ、位置はこのへん」というくらいのもので、要するに、“ランドセル箱”に関するMBIの本の価値は、まずは「正体不明だったランドセル箱の用途が書いてある」程度のものです。

……というところで、S&Dの「対戦車自走砲」を掘り出してきました。なるほど!これに写っているとは思いませんでした。今まで見落としていました。

特にp37の写真、“ランドセル箱”をこれだけ近くで鮮明に写したものは初めてです。……といってもこの向きじゃなあ(笑)。でも「Hidel」のおかげで、本物のランドセルで言えば「垂れ皮」にあたる部分の(側面に対する)オーバーハングが、下まで続いていないのが判りますね。私のやつ、ちょっと手を入れないと。

投稿: かば◎ | 2014年3月16日 (日) 21時27分

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