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しっぷーどとー?

●本当に嵐が来てしまった。4月3日。

なるべく外出しないように、出ている人も早く帰宅するように、なんていう滅多にない天気予報。それでも仕事のアポイントを取ってしまっている以上仕方がないので出掛ける準備をしていると、昼過ぎ、一緒に行く予定のYさんから「M社長から、『すごい天気になりそうですが、今日来ますか? 私は会社にいるだけなんで構いませんが』って電話が来たんですが、どうしましょう」と問い合わせが来る。

すでに出掛けるつもりになっていたのと、もう1人同行予定のKさんに連絡が取れていないというので、そのまま行くことにする。

武蔵溝ノ口駅に着いた3時前後にはすでに雨。KSP(かながわサイエンスパーク)にたどり着くと、溝の口駅に折り返すバス乗り場は長蛇の列。時間調整のために入った喫茶店で

「今日、KSPで何かイベントでもあったんですか」

と訊ねると、

「嵐が来るんで、みんな早退して帰るんですよ」

と呆れた声で言われる。うわ、やっぱり今日は出て来るんじゃなかった、と今更のように思い直したが後の祭り。

Yさん、Kさんと落ち合ってM社長に会いに行く。ビルの中に居ながら、ゴウゴウと唸る風、バラバラと壁を叩く雨音が響く中で、数時間の会談。

早めに切り上げるつもりが結局たっぷり20時まで掛かり、終わって出てきたら、相変わらず風は強かったものの、雨はすっかり上がって星が出ていた。バスも電車も動いており、実家泊。

●横須賀線は雨が降れば止まり、風が吹けば止まり、雪が降れば止まり、とにかく悪天候にはてんで弱いというのが私のイメージである(おそらく沿線住民の多くがそう感じているのではと思う)。一方、同じく三浦半島を走る京浜急行は頑強で、横須賀線が止まったり遅れたりの度に振替輸送でお世話になることが多い。

が、4日になって聞くところによると、今回は横須賀線が問題なく動いていた一方で京浜急行が止まり、横須賀線が京浜急行の振替輸送を行った由。「犬が人間に噛み付いてもニュースにならないが、人間が犬に噛み付いたらニュースになる」というのを思い浮かべた。

●4日。どんな理由があるのか知らないが「あんぱんの日」。

……山岡鉄舟が明治天皇に木村屋のあんぱんを献上した日、だそうだ。今調べた。

実家から真っ直ぐ家に帰るつもりでいたが、県立金沢文庫でやっている企画展「鎌倉めぐり」が今度の日曜までだったことを思い出し、ついでなので寄り道をする。いやいやいや。仕事しろよ、滞ってるんだからよー(自分ツッコミ)。

なんだかちょっとお気楽な感じの企画名だが、江戸時代に入って以降、武家政権の原点の地として、また江戸に近い観光地として注目されるようになっていった鎌倉の、初期の見聞記や、主に鎌倉の版元が発行するようになったガイドブック「鎌倉名所記」、ガイドマップ「鎌倉絵図」の時代ごとのさまざまな版などを中心とした展示。

ほとんど、古い和本と、細部がわずかずつ異なるだけの基本は単色の絵地図が並ぶ、地味といえば地味な、マニアックなといえばマニアックな企画展だった。

●県立金沢文庫に隣接する称名寺。

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境内の桜も、門前の桜並木もまだ咲き始め。あるいは、昨日の暴風雨で多少吹き飛ばされた分もあるかもしれない。もっとも、能天気に満開の染井吉野というのは実はそれほど好みではなく、ぼちぼち咲き始めくらいのほうが風情がある。

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●小倉美恵子著「オオカミの護符」(新潮社)読了。

実家から帰り、田園都市線に乗って数駅目に鷺沼という駅があり、駅前の旧鷺沼プール脇に「土橋(つちはし)小学校」という小学校が車内から見える。一帯の地名が土橋というのだと、それでなんとなく知っていたような次第なのだが、これはその土橋にまつわる、というか、土橋を出発点とするドキュメンタリー。

実際には本よりも映画が先にある話。著者は昭和30年代後半の生まれだが、元々土橋の農家の生まれで、今でこそ近辺は東京近郊の住宅地として住宅やマンションで埋まっているが、田園都市線開通までは(我が実家近辺もそうだったのだが)まったくの里山地域で、およそ50世帯の農家があるだけだったという。

そうした農家の軒先や倉、あるいは畑の立て札などに貼られた、しかもそれが新来の住民には知られていなくても、実は今でも続いている、オオカミが描かれた護符のルーツを探っていくというのが大まかな筋。

土橋だけでなく、馬絹、神木など、我が実家近辺の地名が出てきて、しかし、私の知らなかった、私の育った周辺のもう一つ内側の姿が書かれていて興味深い。

改めて思い出したのだが、私が小学生くらいの頃だろうか、我が家も一時、大山講に参加していたことがあった気がする。あれは、新住民ながら、地元の旧来の人達との付き合いで入ったものだったのではないだろうか。

●入江亜季「群青学舎」第4巻と「コダマの谷」(ともにエンターブレイン)を買って読む。

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コメント

 ほーほー、「オオカミの護符」はかなり興味深いですねい。ググっても好意的な感想書いてる人が多いし。地元の話だし、狼信仰ちうことでワタシがかつて毎年行っていた三峯神社にもたどり着くし、文庫にならないかな。

投稿: KWAT | 2012年4月 5日 (木) 09時29分

>くわっちん

なかなか面白かったですよ。本の中でも、まさにその三峯神社にもたどり着いています。

投稿: かば◎ | 2012年4月 6日 (金) 19時44分

大山と言えば、赤坂にも大山街道の起点(の一つ)があって、碑が立ってます。昔は随分栄えたみたいですね。

投稿: TFマンリーコ | 2012年4月 8日 (日) 10時04分

>TFマンリーコさん

今の国道246(青山通り)が昔の大山街道で、二子の渡しや、宿場町としての溝の口などがその途中ですから、少なくとも江戸時代には結構栄えた道だったようです。

私の実家のある梶ヶ谷近辺だと、現在の246の脇を旧大山街道がクネクネと、くっついたりはなれたりしています。

投稿: かば◎ | 2012年4月 8日 (日) 11時03分

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