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БА-10

F1031419 ●29日。先日来「梅はまだか、ふきのとうはまだか」などと繰り返ししているというのに、今頃になって(このあたりでは)今年一番の雪。寒い。

●「シアター!」以前から上橋菜穂子「獣の奏者」を読んでおり、最終巻の頭まで進んでいるのだけれど、そこに塩野七生の「十字軍物語 3」が届いたので、急遽浮気(すべて図書館から借り出し)。

現在、ほぼ3分の1あたりで、おそらく対決の顔ぶれとしては十字軍史上最もハデな、リチャードI世対サラディンの第三次十字軍が終わったところ。

リチャード獅子心王というと、なんだか連鎖反応のように、ケイト・ブッシュの「Oh England, My Lionheart」が頭の中に流れてくる。ロンドンブリッジ、ケンジントン公園のピーター・パン、シェイクスピアにテムズ川、スピットファイアまで登場して、名所名物観光みたいな歌だが、郷愁にあふれているのがよい。それにしても「Lionheart」の頃のケイト・ブッシュはちょうど20歳になったくらいで、その歌に当たり前のように「スピットファイア」という単語が出てくるところが、イギリスはすげえな、と思ったものだ。

こんな話をするとすぐに「だから日本の戦後教育は」なんて言い出す人もいそうだが、たぶんそういうことではなくて、やはり「国を救った戦闘機」という存在の大きさなのだと思う。まあ、単にイギリス人の骨董品好きもあるのかもしれないけれど。

……そういやあ、まだ一度もスピットファイアというものを作ったことがないな(全然十字軍と関係ない話になってしまった)。

●机の上には先日以来のルノーFT(2両分)の一部パーツが散乱している状態だが、寒いので模型製作は休止中。その合間に、イースタン・エクスプレス/ズベズダのBA-10装甲車の製作計画を夢想してみる。

これもまた、ごっそり省略されている車体のリベット打ちその他が面倒で作り掛けで放り出してあるもの。

キットは旧toko(現RODEN)の佳作、GAZ-AAAのシャーシのパーツをそのまま流用、EASTERN EXPRESSが装甲ボディパーツを付け加えている。その新規パーツのほうの出来が大して良くない、というだけでなく、toko/RODENと同じウクライナの後発メーカーminiartが格段に出来のいいGAZ-AAトラックシリーズを出している今、同社がBA-3~BA-10装甲車シリーズもそう遠くない将来、そのレベルで出してくるだろうことは容易に想像できる。立場的に非常に微妙なところにあるキットなのだ。

そんなわけで、「そのうちもっといいキットが出るだろうけれど、もう作り始めちゃったんで捨てるのは惜しいし」アイテムの成仏計画である。とにかく、フツーにBA-10を綺麗に作るならminiartを待ったほうが賢明な気がするので、逆に、「変な塗装にしたり、切り刻んだりしても惜しくない」対象をあげてみる。

いや、まあ、結局構想だけでどれも作らないということもあり得るわけですが。

【1】BA-10 ROA所属車

一応、ストレートのBA-10で、しかし所属がロシア自由軍。もともとこれにしようと作り始めたBA-10で、一番手間が掛からないのも確か。いくつかの資料に、ドアに聖アンドレイ十字のROAのワッペンが描かれた塗装図が出ていて、なんとなくそれにしようと思っていたのだが、どうも最近、本当にそんなマーキングがあったのか怪しい気がしてきた。

このページにある写真は、プラハ蜂起時に市民軍側についたROAのBA-10装甲車で、どれも不鮮明な写真だが、2枚目の先頭車両が、「ドアにワッペン」の塗装図の元ネタになっているような気がする。ただし、資料によっては単に「数字の3」としているものもあり、そう言われてみれば、ワッペンより3のほうがありそうな感じ。その他の車輌にはマーキングらしきものは見当たらない。

そんなわけで、少々作る気しぼみ中。

悪名高きRONA所属車は鮮明な写真が1枚あるが、どうもこれも状態がよく判らない車輌で、あまり食指が動かない。

【2】BA-10Nクレーン車(フィンランド陸軍)

フィンランド軍が鹵獲使用していたBA-10装甲車の1両(Ps27-11)を、退役後に改修、装甲ボディを操縦席以降全部取り払って、後部にクレーンを取り付けたもの。

詳細はかさぱのす氏による取材ページを参照のこと。

いかにもとってつけたような(って、本当にとってつけたんだろうけれど)クレーンだが、現役時代の写真でクレーンの横に1700kgと書かれたものがあるので、吊り荷1.7tまでOKらしい。……ホントカヨー。

もっとも改装が戦後のものなので私の趣味範囲から若干外れるし、そもそもこれは、かさぱのす氏自身がそのうち作るはずだ。うん。きっとそうだ。

【3】NSKK所属BA-10改造車

フィンランド軍やらルーマニア軍やらハンガリー軍とかならまだしも、ドイツ軍による鹵獲車輌というのは個人的には好みではないが(変な基準)、これは思わず笑ってしまう魔改造ぶりがなかなか。

元の武装を取り払い、II号戦車の武装をおそらく砲塔前端ごと切り取って来て取り付けている。NSKK所属なのだからおそらく訓練用車輌だと思うが、そのくせこの凝りようは一体何なんだろう。

作るといっても肝心の砲塔前部の継ぎ目が写っていないので、適当に継ぎ合わせるしかなさそうだが(出典の「ふろんとばや」にはもっと写真があったりするのだろうか)、それはそれとして、II号のアタマ(だけ)をどこから持ってくるかもちと悩むところ。タミヤのII号のキットは砲塔関係のパーツが3つの枝に分かれているし、しかしアランやICMというのもなあ……。

【4】4輪BA-10

BA-10はもともと後輪2軸のGAZ-AAAシャーシを強化して使っている6輪装甲車なのだが、実はその4輪版がある。このページの説明によれば、要するにレニングラード包囲戦のさなか、シャーシが足りなかったのでGAZ-AAとZIS-5に余っていた装甲ボディを被せてほんの数輌だけ作りました、ということだそうな。

写真はGAZ-AAベースのもので、すでにレニングラードの包囲も解けた戦争終盤、交通整理に駆り出されているといった体のもの。ラジエータ前面シャッターハッチ、操縦手前面バイザーが欠落しているのは、もしかしたら包囲下での急造品ゆえに最初からなかった可能性もありそう。下の塗装図や図面ではそれらしく描いているが、実際には元のトラックのフェンダーでは装甲ボディと干渉するので取り払い、鉄板でいい加減に作りましたという感じの前部フェンダーもショボさ満点。

もしこれを作るとなると、BA-10に加えてtokoのGAZ-AA、不良在庫が一挙に2つも消化できるが(どれを作るにしろ消費するつもりのARMOのGAZ用タイヤも加えれば3つ)、一方で、使い道のない(すでに短縮してしまった)BA-10用GAZ-AAAシャーシと、GAZトラックのキャビンと荷台一揃いの盛大なジャンクパーツが出てしまう。

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コメント

>まだ一度もスピットファイアというものを作ったことがない

 なんと、ワタシですら作ったことがあるというのに! 戦後のベルギー空軍ですが(笑)。

投稿: KWAT | 2012年3月 1日 (木) 15時15分

私は飛行機モデルの経験がほとんどないので、スピットファイアはおろか、メッサーシュミットもフォッケウルフも作ったことがありません。I-16とかYAkなんちゃらとかでしたら、作ったことがありますが…。

toko(EEC、ズベズダ)のGAZシリーズはAA、AAA、MMと一通り作ったので、「不良在庫」はありません(笑)。
ただ、塗料が剥がれ落ちたタイヤは、さすがに悲惨なので、ミニアートのホイールセットで「改修」してやろうかな…なんて考えてます。
(ミニアートで作り直すほどの思い入れはなし。)
AAA用を2セット買えば、上記3台分がカバーできると計算したりして。

ところで、まったく基本的な質問で恐縮ですが、BA10の砲塔って、BT戦車のものと同じですか!?

投稿: TFマンリーコ | 2012年3月 1日 (木) 19時50分

>くわっちん

>>戦後のベルギー空軍ですが

なかなか作ろうという機会がないのはまさにそこで、ハリケーンはあっちこっちに里子に出されていますが、虎の子のスピットは大戦中の供与先がほとんどないんですよね。せいぜいトルコと、ユーゴ・パルチザン空軍くらい?

というわけで、一応「大戦中縛り」のある私にはちょっと縁遠いわけです。フロッグ/NOVOのMk.XIVは持ってた気がしますが、今さら作らないだろうなあ。

>TFマンリーコさん

BA-10の砲塔はBA-10専用のものです。BTやT-26用の傾斜砲塔と比べると、後部にバスルがなく、砲耳のバルジを除く基本形状が円錐台形なのが特徴です。

T-26/33年型、BT-5~BT-7/35年型、BA-3~BA-6は基本、同じ設計の砲塔を使っているのですが(基本、というのは、実はおそらく砲塔組立工場の差で、それぞれ若干細部が違っていたりするからですが)、そのあとの「傾斜砲塔の時代」になると、3者それぞれてんでんばらばらな設計になってしまうところが面白いです。

共通化してみたものの、実際にはあまり相互に砲塔の融通とかしなくて、「意味ねーな」みたいなことになったのかもしれません。

投稿: かば◎ | 2012年3月 1日 (木) 20時38分

変態BA、探してみたらこんなのもありました。ノテックぽいものが付いてる辺り、こいつもボイテ魔改造みたいですが、お前はBAなのかGAZなのか、という。
http://s006.radikal.ru/i214/1107/ec/f4f975387cdb.jpg
アレですね、251のバリエーションかと思ったら、実は3tハーフの装甲バージョンです、みたいなものかも。

投稿: hide | 2012年3月 1日 (木) 21時10分

なるほど、馬蹄型砲塔は共用でも、傾斜砲塔は専用なんですね…。

>スピットは大戦中の供与先がほとんどない

そうなんですか。私の持ってる唯一のスピットのキットは、ソビエト空軍のMKⅨC(ICM)なんですけど…(笑)。これ、「モスクワ防空戦」と題したキットで、スピットのほか、MIG3、YAK7の3機セットです。素敵でしょ♪

投稿: TFマンリーコ | 2012年3月 3日 (土) 13時02分

あー、確かにソ連は供与されて持っています。レンドリースのソ連機といえば第一にエアラコブラなんですが、その発展型キングコブラにP-40にサンダーボルトにマスタングに……イギリスはハリケーンが代表格ですが、スピットも行っていて、(見間違えじゃなければ)フィンランド空軍のパイロットに「スピットと空戦したぞ」と言っていたのがいたような。そのへん、「なんでもありで、ただ赤い星が描いてあるだけ」というのが、いまひとつ萌えないのです(エアラコブラはたまにド派手なのがあってよいですが)。

フィン空もねえ。落ちたハリケーン回収もいいけれど、ここは頑張って、スピットとかマスタングを鹵獲してほしかったですねえ。そうしたら萌え萌えだったのに(←無茶)。

投稿: かば◎ | 2012年3月 3日 (土) 15時26分

>hideさん

どうも済みません!
今日になって、hideさんのコメントがスパムに分類されて非公開になっていることに気付きました。それもたまたまスパム庫を覗いてみたからで、もっと長期間気付かないままだった可能性も……。

いや、でもhideさんもイケナイと思うんです。
いきなりコメントを「変態」で書き始めるし、怪しい海外のURLが入ってるし、niftyのスパム認定ロボが喜んでピックアップしそうな要素が2つも!(大笑い)

当然、このresも引っ掛かるはずですが、私は管理者なので、引っ掛かってもすぐ公開状態に変更できます。

ご紹介のBA-10トラック、エンジンルームだけでなく、きっちりフェンダー周りも、キャビン下の装甲もBA-10のままなので、やはりBA-10ベースなのでしょう。それにしても凝った改造ですが、荷台が両輪に挟まれた部分にしかないので、よく考えると、ものすごく積載量少ないですよね(笑)。

実はこの車輌、例の「II号戦車のアタマ付き」と同じ、「Beutepanzer」のページでも同じ写真の別焼きが紹介されています。

http://beute.narod.ru/Beutepanzer/su/ba/ba-10/ba10-based.htm

(このページ一番下)

しかし問題は、このページの上で紹介されているほうの車輌で、ページタイトルはあっさり「BA-10 based improvisations」になってますが、おいおいおいおい、後輪1軸しかないじゃないかよー。

簡単に考えると、上でも紹介した「GAZ-AA改造の即席BA-10」ベースの改造車、ということになりそうですが、上のGAZ-AA改造車と違って、前輪にはブレーキドラムもあるし、フェンダーや予備タイヤなどもしっかり付いているし、実はこの車輌、こういう仕様で最初からソ連で作られたものなんじゃないか、という気がします。

キューポラはT-18から?と思ったのですが、T-18はキノコの柄の部分が円筒形なようなので、ルスキー・レノから?

投稿: かば◎ | 2012年3月 4日 (日) 16時28分

あいやー、スミマセン(;^-^)ゝ、書き込んだ時に何やらメッセージが出たんで、URLそのまま入れたせいだろうとは思ったんですが、受信されてるのかされてないのかも微妙な気がしたんで取り敢えずそのまま様子見てました。あー、でもそれ以外のキーワードは全く気が回ってなかったというか、そうかスパム認定ロボなんて居ったんや~。
以後気を付けます(笑。


ボイテHPは最近の更新をチェックしてなかったのですが、載ってたんですねぇ。謎装甲バンはミリタリアのBA本(256)にも一応載ってますが、BAの皮を被ったGAZ-AAで41年冬のレニングラード、としか書いてません。キューポラがルスキーレノだったら、わざわざそんなレアアイテムを独軍が部品取りに使ったというのも考えにくい話ですよね。

投稿: hide | 2012年3月 5日 (月) 18時18分

>hideさん

あっ。この車輌もレニングラード戦線なんですか。ドイツがよそで捕獲してレニングラードに持ってきた、ということもありえるのかもしれませんが、まあ、たぶんこの辺で鹵獲したんだろうなあ。そうなるとやはり急造車輌なのかなあ。

そもそも私、GAZ-AA、GAZ-AAAの何年型だと前輪ブレーキドラムがあったりなかったりするのかもよく把握していなかったりします。基本、戦前の古い型はなくて、そのうち付くようになって、けれど戦時簡易型だとまた省略、みたいな流れなんでしたっけ?

それにしてもこの車輌、そもそもどんな用途のものなのか自体、よくわからん存在ですよね。指揮管制? いや、それにしちゃ無線機積んでなさそうだし。

投稿: かば◎ | 2012年3月 7日 (水) 13時11分

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