材木座近辺のトンネル
●とにかくクソ暑い連休。19日月曜日午後、仕事は全然進んでいないが、篭りきりで鬱屈してきたので、一念発起して久々の散歩。そりゃ、これだけ暑けりゃ一念発起も必要になるって。
かみさんからの、この暑い中、なんて酔狂な、という当然至極な白い目に送られながら家を出て、とりあえず小坪漁港/マリーナ方面に向かう。
●姥子台入口にあるトマソン。いやはや、どうにも懐かしい単語ですな。
分類としては典型的な無用階段。
●マリーナまでは出ず、手前で折れて、姥子台に上る。
本日の散歩のとりあえずの目標に据えていたのが、逗子・小坪と鎌倉・材木座を隔てる飯島崎近辺のトンネル巡り。
最初は小坪・姥子台(うばこだい)上-材木座間の「小坪隧道」。
どういうわけか逗子には同じ「小坪隧道」の名を持つトンネルが2本あり、もう一つは、逗子の久木地区と、小坪地区の北端をかすめて鎌倉大町の名越とを結ぶ6本のトンネル群の中の一本で、有名な「小坪のお化けトンネル」はそちら。「小坪トンネル」と言うとそちらを想像する人が多そうで、こちらは恐らく「姥子台のトンネル」と言ったほうが通りがいい。
上2枚が小坪側、下2枚が材木座側。かなり急勾配で、おそらく大正あたりに掘られたトンネルで、急勾配なうえ、車道としてはだいぶ狭く、現在、車輌は材木座側からの一方通行。下の写真にあるように。この狭いトンネルをバスも通る。写真に撮るとそれなりに余裕があるように見えてしまうが、実際にバスに乗っていると、針に糸を通すような神業に感じる。
●おそらく昭和の半ばまでは、小坪の海側から材木座に抜ける道は、この姥子台の山越えと、あとは人が歩いて通れるだけの岬の突端を回る道があったかどうか、くらいなのだが、現在では、このトンネルと並行して、国道134号(旧・湘南道路)が、掘割とトンネルで姥子台を貫いている。
そのトンネルが下の二様で、姥子台側の口(左)と、材木座側の口(右)。名称は「飯島トンネル」。元が有料道路なので歩道がなく、徒歩では近寄りづらい。
●これよりさらに外側、岬の海っぺたも逗子マリーナと材木座海岸を繋いで「小坪海岸トンネル」が通っている。材木座側の入口。
●とまあ、後二者の新しいトンネルは特に面白味もないが、姥子台の小坪隧道をくぐらず、小坪側入口の脇からずんずん山に登っていくと、山肌にくっついた民家の脇を縫って、その先に秘密基地の入口めいたトンネルがある。
とりあえず、人が中ですれ違うくらいは大丈夫、という小さな歩行者用トンネルだが、入口には一丁前に「住吉隧道」という扁額まで掛かっている。
だいたい、トンネルというのは山を登らなくて済むよう作るものだが、そもそも登り口の姥子台のトンネルがすでにだいぶ高所で、そのさらに上にあるこの「住吉隧道」は、もう尾根のすぐ手前。こちらもトンネル内は傾斜があり、歩道なので緩い階段になっている。
トンネルの方向としては、「小坪隧道」とはほぼ直角で、こちらのトンネルを抜けて降りると逗子マリーナの外れあたり。抜けた先を横に折れると鎌倉期~戦国期にあったらしい砦、住吉城址があり(もっとも何か遺構があるわけではなく、神社があるだけ)、その脇には、現在通行止めの、かがんで入るくらいの素掘りのトンネルがある。以前一度探検に行っているのだが、今回はそちらに折れる道を見逃してしまい、行かず仕舞い。
●横穴ばかりではなく、多少は色気のある写真を一葉。
少し歩いただけで汗だくになる暑さだが、それでも季節は秋になったんだな、という証拠物件。早々と熟して落ちた柿。上の「住吉隧道」の少し手前で見かけたもの。
●オマケ。小坪隧道の材木座側入口の手前を左に折れると、山の中腹に鎌倉市立第一中がある。手前に山肌を削り取って半トンネルがある。名前があるのかどうか、調べるのを忘れた。
●今回のトンネルは以上でお終い。市立第一中学は光明時の裏山にあたり、中学の前は「かながわの景勝50選」に選ばれているらしく、その石碑も立っているのだが、雑木と藪で景勝もへったくれもない。確かに、視界が開けていれば眼下に光明時の伽藍があり、その向こうに由比ガ浜、稲村ガ崎に江ノ島、伊豆箱根の山々、そして富士山と、近景遠景が重なっていて、よいはず。
光明寺の山門はおそらく鎌倉で一番立派。10月のお十夜の際には門上に上ることもできるそうだ。……というのを、このあいだ出た吉田秋生の「海街Diary」で読んで知った。の、のぼりてぇ。
材木座の通りにある、知る人ぞ知る文房具・おもちゃ屋、アメリカヤは今日もばーちゃんが1人で店番をしている。
こういう古い文房具屋・雑貨屋は何か変なお宝がありそうで(いやまあ、大抵はそんなものはないんだけれども)、一度入ってみたいのだけれど、店が小さすぎて、入ったら最後、何も買わずに出るのは申し訳ない気がして未だ入ったことがない。んー。今度花火のばら売りで線香花火でも買うかな。
それにしても「アメリカヤ」なんて、いったい戦時中はどんな名前で営業してたんだ、と思ってから、いやいや、流石に古めかしくても戦後の開業なんだろうと思い直したのだが……後から調べてみたら、鎌倉市HPの「鎌倉お店紹介」にまさにこのアメリカヤが出ていて、なんと大正末年の開業だそうだ。驚愕。
●小町通りで小町団子を買い食いして帰る。以前にも書いたと思うが、ここのみたらしは、甘すぎないタレと焦げの香ばしさが絶妙。1本150円はちと贅沢な気がするけれど。
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コメント
神奈川は通り過ぎるだけであまり詳しくはないのですが、以前東京~静岡間をドライブした際に、「善波トンネル」ってところを通った覚えがあります。
まー、えらく怖くて、「神奈川め、やたらめったらトンネル掘りやがって」と理不尽な怒りを覚えました。
ええ。善波トンネルの手前っかわのとある所に寄る用事があったので(謎の用事)、どうやら有名らしい心霊スポットを通ったのでございますwww
投稿: つんきち | 2011年9月21日 (水) 23時51分
>つん姐さん
「善波トンネル」ってとこには詳しくないですが、246(にーよんろく)のトンネルなんですね。
しかし、心霊スポットといえば、今回の材木座近辺のトンネルよりも北にある、(しかもより我が家に近い)名越-小坪トンネル群ざんす。
以前、テレビでたまたま見た「本当に怖い日本の心霊スポット」で、なんとあの華厳の滝に次いで全国5位にエントリーしてました。何年か前の夏には、終電あたりで帰って、夜中にとぼとぼ家まで歩いて帰る途中、す~っと横に白い車が寄ってきて……
「すみませーん、オバケが出るっていうトンネルはどこですかー」
と若者に訊ねられたこともあります。……バカヤローいきなりヤンキーが夜中に横付けすんなよーお前らのほうがこえーよー。と思いましたが親切に教えてあげました。
投稿: かば◎ | 2011年9月22日 (木) 13時11分