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BT-42の重箱の隅(4)

F1030455 ●起動輪基部のギアハウジング部は、ちょっとだけ手を入れてこんなふうになった。地味なディテールアップだなあ。……まだ工作は片側だけ、しかもパーツは接着せずに置いてあるだけ。

小さなリベットは、モデルカステンのJS用可動履帯(2分割混ぜタイプ)、SK-14に入っている、予備履帯用留め金具裏の接着用ポッチ。内側のリベット列の位置は割りといい加減。

内側の穴の中のボルト頭も、前記JS用予備履帯用留め金具のもの。穴が深かったので、0.3mmプラバンの切れ端でゲタを履かせて付けた。

この留め金具パーツ、履帯留めピン枝のすべてに入っており、1セットあると大量に余るのでなかなか重宝する。

というわけで重箱の隅考証の続き。

・前回、登録番号が「R-」の場合はクリーニングロッド搭載位置が前、「Ps.」である場合は後ろである可能性について書いたが、どうもそうではないような例に気付いた。

「グランドパワー」2010年8月号にも出ているが、何だかどでかい建物内にBT-42がズラリと並び、奥にBA-20が一両控えている写真がある。GP誌のキャプションでは一番手前の車輌の登録番号がPs.511-19と読める、と書いてあって、印刷の際にボケたせいか最近とみに落ちた視力のせいか、私には19かどうかはっきりは読み取れないのだけれど、砲塔前部には段がついているようだし、車体前端には件のヒレが付いているので、おそらく19号車で間違いないのだろう。

そんな具合なので、その向こうに並ぶ車輌の番号は読み取れないのだが、少なくとも2両め、3両めあたりまでは、前端に書かれた白い文字列の横幅から、数字三桁だけの「R-」番号体系でなく、「Ps.」番号であることだけは判る。

しかし、その2両めの車輌は「前ロッド」らしい。いきなり仮説に穴がー。

なお、この写真に並ぶBT-42はグリーン単色のように見えるが、番号が「Ps.」になっている以上、すでに3色迷彩に塗り替えられているはずである。

Rear022Rear021・車体後面には、ワイヤー取り回し用と思われる金具(フック)が付けられている。

これにはどうやら、左右2箇所だけの場合と、中央寄りにも2箇所の計4箇所付いている場合の、2種があるようだ。

側面板に付けられた左右2箇所のフックは下向き、中央寄り2箇所は斜め上向き(少なくとも19号車(Ps.)では)。ワイヤーの取り回し方法は推定。

ヴィープリ戦時の写真だと、有名な19号車(Ps.)は4つタイプ、12号車(R)も、ほぼ真横からなので中央寄りフックの位置が正確には判らないが、4つ付いているらしいことは判る。

シッペル中尉の17号車(R)は後ろからの写真はあるのだがカムフラージュの木の枝が垂れ下がっていてよく判らない。

一方、単色塗装時代の8号車(R)は左右2箇所しかないことが確認でき、現存のパロラの8号車もそうなっている。途中で真ん中の金具が一度付けられて失われた可能性もないではないが、一応、装甲板に溶接痕のようなものは見えない。

・ハカリスティについて。

継続戦争が始まって間もなく、国籍マークのハカリスティのサイズ、形状が統一された。通達では、全体が325mm角、腕は55mm幅、白シャドウは10mm幅であるらしい。

が、たった18両のBT-42の中でも不統一があり、比較的生産直後のものと思われる5号車(R)の写真では、サイズも大きく腕も長いハカリスティが書かれている。グリーン単色時代の全車がそうだったわけではなく、8号車(R)などは規定サイズが描かれていたようだが、6号車(R)は大型のもの。

一方ヴィープリ戦では、17号車(R)、19号車(Ps.)は規定サイズのようだが、12号車(R)はよく見ると腕は短いがハカリスティのサイズそのものは大きい。ピストルポートと上の視察孔との関係からすると、どうも前記のグリーン塗装時代の5号車、6号車に描かれているものから、腕を縮めただけの大きさであるように思える。

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コメント

>>ちょっとだけ手を入れてこんなふうに
→R-35改を見せてもらった時も言ったかも知れませんが…お好きですなーっ、こういうチマチマ工作が!!(←「微細で緻密な工作」と言え、って??(^^))

 ところで「重箱の隅(←ベンキョーになる)」について、我々が気にするところの「同時期でも塗装やマーキングがバラバラ」「追加/改造部分の有無もバラバラ」など個体差の問題はやはり、「当のフィンランド軍がまったくそんなコト気にしてなかった」ということが、一番の問題ですな!(「日本軍車両や飛行機(の難しい考証課題である)個体差」とは根本的な部分で、その意味や必然性がまったく違うように思う!)。
 車両番号が不明(見えへん!)写真の方が多いぐらいなので、(ワタシんちでも書きましたが)「写真の車両を再現する際」は「番号を書かずに(見せずに)作ってしまう」のがイチバンなんではないかと思ったりしてます(BT-42に限りませんが)。
 ブロンコからビショップが発売になったのを見たら、BT-42よりもはるかに「シュッとしてる(ように見えてしまう)」ことが感慨深い(!)。

投稿: かさぱのす/かさぴー | 2011年8月 5日 (金) 19時32分

>>こういうチマチマ工作が!!(←「微細で緻密な工作」と言え、って??(^^))

いやー。AM誌で高石さんが九七式とかヤクトティーガーでやっていた工作を見ると、あれこそが「微細で緻密な工作」で、私のは「ナンチャッテ・チマチマ工作」なんだと思い知ります(笑)。

しかしまあ、なんだかんだ言っても、元がよく出来た模型なので、結局ディテール的にはこの程度しかいじるところがないって感じですよね。

個人的には、せっかく別部品になっているし、砲塔上の台形ハッチを開状態にしたい気もしてるんですが、その下が窪んでるだけ、というのがどうも気になります。どうも構造がよくわからん場所です。そもそもあの用途って何なんでしょう。単なる視察口?

>>ビショップが……BT-42よりもはるかに「シュッとしてる」

あっちのほうが、土台の車輌がしっかりしてますからねえ。
まあ、しっかりしてるといっても、「設計がいい」とかじゃなくて、単に「頑丈そう」ってだけですけども。

考えてみると、BT-42って「ミニ・クリム」とか言われてますが、要するに「砲塔が回るビショップ」ですよね(笑)。

しかしまあビショップも、せっかくBT-42なんかより何段も上等な大砲積んでいながら、「仰角が足りん」ってアンタ……。

なんだか自走砲化の意味が、「足りなくなった射程距離の分、走って肉薄して走って逃げるため」にしかなってないんじゃないか、と思えるのが激しくトホホです。まあ、そこが魅力ですが。

投稿: かば◎ | 2011年8月 6日 (土) 13時11分

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