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ほらほらこれが僕の骨

●事務所での雑談で何かのはずみで奄美大島の言葉の話になる。

奄美の言葉(島言葉、琉球語の奄美方言)に関しては、web上に「奄美方言音声データベース」なんてものもある。

辞書的体裁をとっているが、「とりあえずは集められるものを集めてみました」ふうのもの(それでも結構な単語数にはなる)。そもそも集められた言葉が、かなり地域差が激しいはずの奄美大島のどこの言葉なのかの説明が(少なくともざっと探しただけでは)見当たらないのが疑問だが、いくつかの言葉には例文も載っていて、しかもその一部には、島のばーちゃんの音読による音声ファイルが付属しているのが凝っている。

いやしかし、何はともあれすごいのが、その例文の中身。例えば動物の項から2つ。

マヤ(名詞) ネコ

まやぬしみば、しじゃんまやば、かごにししゅむんなんいりてぃ、くぃんよだなん、さぐるたんちば。まやーかしすぃらんば、ばけるんかなんちゅと。

(ネコが死んだら、死んだネコを籠みたいになっているものに入れて木の枝に下げるんだって。ネコはそうしないと化けるというよ)

イン(名詞) イヌ

はーいんな、かさぬくすりちゅと。はーいんかむぅば、どぅーぬ、ぬくたまるんばん、しらんぬたれるんちゅかな。

(赤イヌは瘡の薬というよ。赤イヌを食べれば体が温まるけれど、シラミがわくそうだけどね)

いやいやいやいやいや。そんな例文、絶対に使う機会ないだろ!

まあ、昔の文化風俗と絡めて保存したいからだというのは判らないでもないけれど。ちなみに例文は同サイトのテキスト通りではなく音声ファイルのほうに合わせ、訳のほうももう少し口語風に手直しした。

●ちなみに豚は「っウヮー」。上記もそうだが、ほぼ琉球語と同じ。

現在の話し言葉の中にもこの辺の単語は残って使われていることが多く、よく田舎から送られてくる豚リブ(豚骨)は、私の実家や親戚一同の間では「うゎーぷね(ぶたほね)」と呼ばれる。もっとも私は島口環境のなかで育ってきたわけではないので聞きかじりで覚えている程度であり、その昔、「わんぷね」と言って、島育ちの従妹に大笑いされた(たぶん「僕の骨」という意味になる)。

●昨日だか一昨日だか、ネット上で見たニュースに、「ピータンが世界一グロテスクな食物に選ばれた」というのがあった。そういえば以前、ディスカバリーチャンネルで「人が美味しそうと感じる匂いは国や地域でこうも違う」例として、ヨーロッパのどこぞのチーズとピータンが比較対比されていたなあ、と思い出してみたり。

とはいっても、ピータンのグロテスク度が世界一というのもどうにも釈然としない(例えば納豆はもっと匂いはきついし糸引いてるし、卵系ならホビロンもあるし)。そもそも前記のニュース自体、CNNが選んだ、と中国だか台湾だかの新聞が報じたという「又聞き状態」で、CNN発のオリジナルが見当たらない。どうにも怪しい。ネット上で騒ぐためのガセネタ投入の疑い濃厚の気がするのだが如何。

(7月9日追記。CNNのサイト、CNNGoに問題の記事があることが判明。別にランキングの記事ではないし、レポーターの主観で書いただけなのにブツブツブツ、みたいな反論交じりの謝罪もその後掲載。それにしても、その後の経過も含めネット上には「~と中国で報じられている」ばかりなのがやはり変)

●「インシテミル」読了。それなりに面白かったのだが、どうも最後まで、「この人物がこんな行動に出たのはなぜか」というのが判らない部分がいくつかあり、それはあえてそういうふうにぼかして書かれているのか、それとも私が注意力散漫な読者でそういう行動に出る必然を読み落としているのかが、これまたよく判らない。従って若干“胃もたれ”風な読後感。

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かば◎の迂闊な日々」カテゴリの記事

コメント

わんぷね。なんか、そういうタイトルの小説が書けそうですね。この間見た、トッド・フィリップスという監督の米国製コメディ映画「DUEDATE」では、父親の火葬した遺骨を、コーヒーの缶に入れて大陸横断してました。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1745619471&owner_id=5764694

グロテスクとは違うが、山下洋輔がドイツ人ジャーマネにごちそうになったドイツ製チーズ(う◎この匂い)の返礼として、来日時にくさやの干物を食べさせたそう。

投稿: がらんどう | 2011年7月 5日 (火) 20時41分

地元の言葉を「島口」と言うのですか。
ふむふむ・・・はっ!
つんきちったら、また1つ賢くなっちゃったじゃねぃのw

もしかしたら、ガーだったら「アヒル口」?
もしかしたら、つんきちだったら・・・いやん、言えねーやwwww

と、妄想はこのぐらいにして。
ピータンは美味いです。アレをグロと言うんだったら、ホビロンはスーパーグロです。
食べる前は、もんじゃ焼きをグロの極致と思うてましたw

投稿: つんきち | 2011年7月 6日 (水) 00時52分

>がらんどうさん

まあ、お骨の入れ物といえば、本邦ではサクマドロップスの缶というのもありますが。

ところでウチ(実家)に下宿していたドイツ人も、イカの塩辛は食わなかったなあ、確か。いや、納豆もくさやも食わないとは思いますが。

しかし一方で、彼が持ち込んだ「これこそが本当のザワークラウトなんだよ」は、匂いといいすっぱさといい、ちょっとそれまで知っていたものとは別格でした。

>つんきちさん

沖縄の言葉を「ウチナーグチ」というのと同様、奄美大島では奄美の言葉を「シマグチ」と言います。

私自身は島の生まれでも育ちでもなく、父母も割と若いうちに島を出てしまったので、年配の親戚が話す言葉を聞いて、中でも聞きなれた単語や文章がボンヤリ判る程度なんですが。

なお、私もピータンは好きです。ピータンだけそのまま何個もむしゃむしゃ食うことはありませんが、中華サラダとかに入っているととっても得をした気分になります。

投稿: かば◎ | 2011年7月 7日 (木) 17時51分

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