扇ガ谷
●GW後半、ちょうど大潮で正午あたりに大きく引いているというので、4日、小坪の磯に行ってみる。考えてみれば、すっかり潮が引いた磯に出掛けるのは下手をすれば10年ぶりかもしれない(それなりに近所に住んでいるくせに!)。
しかし、マツバガイでも採ろうと思っていたのに、久しぶりの磯はホンダワラに覆われてすっかり様変わりしていてがっかり。この季節にはうじゃうじゃいたアメフラシも、普通にいたウミウシも一匹も見かけなかった。
ちなみに、マツバガイのような岩礁貼り付き系の生き物は岩礁表面の海藻の芽などをこそげて食うので、マツバガイがしっかりしていればホンダワラだらけにならなかったはず。かといって、マツバガイなど食うのはよほどの物好きだけなので乱獲されたとは思えず、なぜこう変わったのか気になる。
●予定を変更しそのまま鎌倉歩きに出掛ける。攻略目標は、行きそびれていたそれなりの名刹がいくつかあった扇ヶ谷(おおぎがやつ)。
人間の目というのは便利に出来ていて、余計な情報は意識から飛ばしてくれるので生で見る分には綺麗。しかし、写真に切り取ろうとすると、藤棚のようにお膳立てされていない野生の藤は、遠目では緑にぼやっと紫が混じっているだけになってしまう。
いやまあ、撮る人が撮れば綺麗になるんだろうけれど。
●扇ヶ谷に限らないが、逗子・鎌倉の谷戸の奥は古いやぐらがそのまま物置や車庫で使われていたり、あるいは崖を貫通して普通に人が行き来する路地になっていたりする。
なかには、ちょっと奥の深そうなやぐらだと思って覗き込んでみると、貫通しているうえに穴の中に門扉があって、要するに民家の入口だったりもする。まるで秘密基地。
なかなか風情があってよい。もっとも落石注意だったりもするので少々物騒ではある。
●同じく扇ヶ谷で。こんなところで石敢當(沖縄によくある魔除け)に出会うとは思わなかった。
もっとも我が家をはじめ、最近は関東近辺の住宅地でもシーサーを置いている家は多いのだから、石敢當の一つや二つあって不思議はないかも。
●行きそびれていた寺1つ目。寿福寺(金剛寿福禅寺)。開基は北条政子で、現在は小ぢんまりとしているが、その昔は大寺院であったらしい。裏手の源氏山に向けて少し上がったあたりに墓地があり、一番奥には北条政子、源実朝の墓と伝えられるやぐら内の石塔がある。
それ以外にも著名人の墓がいくつかあり、また墓地を取り巻く崖のやぐらは現在も墓として使われていたり、寺は臨済宗だがキリスト教徒の墓もあったりなどしてなかなか興味深い。
●行きそびれていた寺2つ目、英勝寺。大田道潅邸跡に建てられた寺で、鎌倉唯一の尼寺でもある由。
「縁切寺」で名高い北鎌倉の東慶寺は明治期に男僧の寺になっているそうですよ、さだまさしい人。
幕末までは代々水戸徳川家の姫君が住職となった格式の高い寺で、源氏山も(丸ごとそうだったのかどうかはよくわからないが)この寺の寺域であったらしい。白藤ほかがちょうど見頃。
こちらも小ぢんまりしているが、仏殿の軒下の蟇股(かえるまた)が十二支の装飾になっていたり、保護のためプレハブ(?)のドンガラに覆われてしまって見づらいが、極彩色の、開基英勝院尼の祀堂があったり(建てたのは水戸黄門様だそうだ)、なかなかディテールに見応えのある寺。
なお同寺の山門は関東大震災で倒壊した後に売り払われて、長らく鎌倉市内の別の場所に建っていたらしいのだが、この度買い戻されて、元の場所に復興。すでにほぼ完成し、今月半ばにお披露目があるとのこと。屋根は新しい銅板で葺き直されているが、門の部材そのものは元のままであるらしい。
●行きそびれていた寺3つ目、4つ目は、横須賀線の線路を越えて反対側の浄光明寺と薬王寺。何しろ出掛けるときにはちょっと磯まで採集に、くらいのつもりだったので、英勝寺の拝観料300円を払ったら財布が空になってしまい、浄光明寺のご本尊は見そびれた(こちらは拝観料200円)。
●寿福寺まで戻り、墓地脇の、これまた秘密基地の入口じみた登り口をくぐって、源氏山に登る。
源氏山をほぼ横断するように、反対側の梶原方面に降り、大仏坂の裏手の常盤に出る。
鎌倉には4つ、八雲神社があるというのだが、大町の八雲神社、北鎌倉の八雲神社に続いて、そのうち3つ目の常盤八雲神社に詣でる。
そのまま市役所方面か、大仏方面に歩いてもよかったが、たまたま近くに立っていた地図で、極楽寺方面に抜けるトンネルがあることが判ったので、さらに大回り。すっかり日が暮れてから鎌倉駅前に辿り着く。
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コメント
昨夜のくもじいは見たかい?「空から鎌倉の寺を数えてみよう」とかやってたぞ。
投稿: KWAT | 2011年5月 7日 (土) 00時31分
関東管領扇ガ谷貞正!
(字、あってるのか?)
ああ、なんかいいなぁ。湘南新宿ラインで乗り換え無しに行けたころに、そのうち鎌倉観光に行こうなどと思っていたのは遠い昔。たまんが横浜に居る間に横浜観光もしておくべきだった、ってのは後の祭りか。
投稿: はほ/~ | 2011年5月 7日 (土) 17時41分
野生のフジは
実が冬にはぜてバチン!カラカラとかにぎやかですね。
今年初めて知りました。
あの花がどうやってあのサヤになるのか・・・
投稿: みやまえ | 2011年5月 7日 (土) 21時18分
>くわっちん
TVを観る習慣をすっかりなくしてしまったので、その番組の存在自体知りませんでした。ただ、鎌倉は谷戸が入り組んでいるので、鳥瞰で眺めるのは位置把握にだいぶ役立つだろうことは判ります。
(散歩でも、事前のGoogleMapがだいぶ助けになってます)
ちなみに、訪ね歩いた鎌倉の神社仏閣はおよそ70ヶ所位になりました。
>はほちん
タコから遊びに来いよぅ。しかし、子供が小さかった時代はよかったけれど、今は我が家に客を泊めるスペースがないのがツライ。
ちなみに人名で書くときは扇谷上杉家でケもガも書かないようですぜ。貞正→定正? 関東管領って書いてるってことは八犬伝?
>みやまえさん
近所に結構あるものの、身近に生えているわけではないので、サヤがはぜるというのは初めて知りました。パチンと行きますか。それはいつか見てみたい(聞いてみたい)ものですなあ。
投稿: かば◎ | 2011年5月 7日 (土) 21時53分