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いっちにーハンガリア(クルップ・プロッツェ編)

たまにはミリタリー・モデラーらしく、二、三、ハンガリー軍陸物関連の話を。

第二次大戦中のハンガリー軍は、ヨーロッパの枢軸軍の中では中堅どころで、トルディー、トゥラーン、ズリーニィ、チャバなど独特の装備もあって、東欧諸国軍の中では(あくまでその中では、ということだが)モデラー的にもそこそこ人気がある方ではないかと思う。

もっともその「独特さ」のおかげで、さすがに他に使い回しの利かない「ハンガリー軍車輌」をピンにインジェクション・キットの商品として成り立つとは考えづらい(せっかくハンガリー軍デカール入りでも、BRONCOのCV35は仕様自体がハンガリー型に対応していないし)。

そんな、模型的にはちょっと魅力的でちょっと悩ましいハンガリー軍だが、ネット上をウロウロしていて面白い写真に行き会った(前置き長過ぎ)。

http://www.network54.com/Forum/330333/thread/1230466117/Hungarian+stuff,+IDs-

クルップ・プロッツェ

1枚目の写真は、一番手前のゾロトゥルン(Solothurn)20mm対戦車ライフルが主役なのかもしれないが、もちろん個人的にもっと惹かれるのは、向こう側のマクドナルド社用車みたいなフェンダーの6輪車で、これはいわゆる「クルップ・プロッツェ」の乗用車型であるらしい。

ハンガリーは通常の兵員輸送型と対戦車砲牽引型、それから大型乗用車型の3種のクルップ・プロッツェを使っていて、ハンガリー軍が使用中の対戦車砲牽引型はスコドロの“EASTERN FRONT”の写真にもある。乗用車型はハンガリー軍独特の仕様だと思われるのだが、これまで私は“A Magyar Királyi Honvédség Fegyverzete”にある側面写真1枚しか見たことがなく、不鮮明ながら後面の写ったこの写真はなかなか貴重。横に蝶番らしきものが見えるから、どうも後面は大型の観音開きドア(トランク)になっているらしい。

この写真では後輪フェンダーの張り出し具合も判る。この車輌、側面にはスペアタイヤの前後に2つ、後輪フェンダー中央上に3つめのドアがあり、要するに3列座席になっているらしいのだが、どの列も乗り込むのにタイヤやフェンダーが邪魔臭そうだ(特に3列目は潜るように乗らないといけない)。

ちなみに、ポーランド軍も(おそらくマチェク大佐の第10自動車化騎兵旅団の専用装備で)コマンドカー型のクルップ・プロッツェを使っている。こちらも後輪の「マクドナルド・フェンダー」は同じだが、ちょうどタミヤで出ているシュタイヤーのコマンドカーのように丸っこいお尻を持ち、座席側面には3列ともドアがなく、スペアタイヤにはフェンダー状カバーがあるなどの外見上の違いがある。改めて考えればジープもそうだが、荒っぽい運転もするだろう軍用車で、ドア無しって怖くないのか?

これもほとんど写真のない車輌だが、最近、missing-lynxのフォーラムに初見の写真が1枚上がっていた。

http://www.network54.com/Forum/47207/message/1292366390/Krupp+L2H43+Question-Info+Desired

ハンガリー軍の話だったのにいつの間にかポーランドに脱線しちまったぃ。なお、ハンガリー型、ポーランド型両方とも、鮮明な写真情報熱烈歓迎。

ところでハンガリー軍のプロッツェは“A Magyar Királyi Honvédség Fegyverzete”によれば3タイプともL2H143(1937年以降生産の後期型)シャーシで、ポーランド軍車輌は“Pojazny w Wojsku Polskim (Polish Army Vehicles) 1918-1939”によればL2H43(1933~36年)シャーシ。

Boxer 調べてみると、43型と143型では右図のように車輪間隔が微妙に変化しているのだが、計算すると後2輪の中心点は同じで、要するに後輪のサスをちょっといじったために後2輪の間隔が若干広がっただけ、ということであるらしい。

1:35にすると1mm内外の差なので誤差の範囲内だろうが(特にタミヤは1mmや2mmはすぐに伸ばしたり縮めたりするので)、後輪のコイルスプリングを挟むサスアーム形状が角張っているので、一応、タミヤのキットはL2H143ということになる(最初の兵員輸送型ではタイプを明言していないが、対戦車砲牽引車型ではL2H143と書いてある)。

……次回「対戦車砲編」に続く。

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追記:

改めて“A Magyar Királyi Honvédség Fegyverzete”を眺めていたら、ドイツ軍が使っているものと同じと思っていた兵員輸送型の、前席にドアが付いていた!

あまりにさりげなく付いているんで、思い切りスルーしてましたよ私は。よく見ると荷台側面も何だか様子が違い、もしかしたら金属製かも。とことん独自仕様にこだわるハンガリー、素敵過ぎ。ハンガリー仕様の3tハーフトラックがクローズド・キャブだったのに次ぐ衝撃。結局ドイツ仕様と大差ないのは対戦車砲牽引型だけ?

というわけで、再度web上の写真漁りに出掛け、追加でいくつかの写真を発見。

ハンガリー仕様・兵員輸送タイプ

http://www.surfacezero.com/g503/showphoto.php?photo=69068&title=hungarian-krupp-protze&cat=2016
(荷台中央に機銃架まであった)

http://www.surfacezero.com/g503/showphoto.php?photo=69061&title=budapest-1941&cat=2016
(前方から)

ハンガリー仕様・乗用車タイプ

http://www.surfacezero.com/g503/showphoto.php?photo=69078&title=hungarian-army-kruppprotze&cat=2016
(なんとカラー写真)

http://www.surfacezero.com/g503/showphoto.php?photo=69076&title=hungarian-army-krupppr&cat=2016
(フロントウィンドウ下とボンネットとの繋がりが通常型と違う……)

http://www.surfacezero.com/g503/showphoto.php?photo=62944&title=krupprotze-2&cat=2016
(不鮮明だが)

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コメント

昔作ったクルップボクサーを引張りだしてしまいましたよ。
>(フロントウィンドウ下とボンネットとの繋がりが通常型と違う……)
あそこが布の車両ってドイツは多いですね。
なんでですかね。

投稿: みやまえ | 2011年2月17日 (木) 23時25分

昔のタミヤには珍しく直球で大戦初期車輌を出してくれたというだけでなく、キット自体も作りやすいし、実車の形も素敵だし、ということで、私、タミヤのクルップ大好きです。出てすぐくらいに1輌作って、もう1輌作り掛けがどこかにあるはず。

フランスのラフリーあたりも、ボンネットと運転席前の間に布部分があったような。ドイツだとハーフトラックはだいたい布部分ありますよね。エンジンでボンネットが振動するのが、運転席まで伝わるのを避けるためとかじゃないんでしょうか。いや、本当に適当な想像で言ってます。

投稿: かば◎ | 2011年2月18日 (金) 02時42分

コリャスゴイ!私もハンガリアン・プロッツ(乗用車)は思い出しように写真を探してましたが、このサイトは知りませんでした。後ろに兵員型を従えた隊列の一枚は、不鮮明なのがグランパの別冊に収録されてますが、それ以外は初見です。特にこのカラー写真は凄いなぁ。何とかでっち上げられそうな気になってきますが、こうなると車内の写真が欲しくなってきますねぇ。

投稿: hide | 2011年2月18日 (金) 23時49分

本当に、いつか挑戦してみたいですね、このタイプ。現段階で作るとすれば、幌を締め切っちゃうしか……(笑)。

さすがにいきなり35は辛そうなので、まずはICMの72でやってみるとか……。

兵員輸送型もよく見ると意外に「独特度」が高くて、個人的にポイント急上昇中です。

投稿: かば◎ | 2011年2月19日 (土) 02時15分

>兵員輸送型
確かにこっちも地味に違ってて良いですね。カーゴは例えばMBのG3あたりが載せてるのとよく似てるので、自前で改修したというよりは発注時に「こういう仕様でヨロ」って感じだったのかなぁ。
二枚目の写真の車両が載せてるのは水冷機銃っぽいですが、MG08?いやー、ハンガリー軍奥が深い。

投稿: hide | 2011年2月19日 (土) 19時14分

>>二枚目の写真の車両が載せてるのは水冷機銃っぽいですが、MG08?

あ、ほんとにジャケット付きだ(笑)。いや、やはりここはシュヴァルツローゼでしょう。

http://www.ww2incolor.com/hungary/Don+MG_+1942.html

ところで、セータ☆さんのところで仰っていた「“例の”D-8装甲車」のキットは私の家のストック庫にもありまして、存在そのものを記憶から抹消しかけていたのにhideさんのコメントで思い出しちゃいましたよ(笑)。しかも最近見掛けた↓のほうがよほど完成度が高く見えてますます脱力感に見舞われています。

http://www.aliexpress.com/fm-store/403832/210559575-343760231/-Alice-papermodel-WWII-Soviet-Union-armed-vehicle-model-D-12-D12-model-car-models-military.html

投稿: かば◎ | 2011年2月19日 (土) 21時00分

>シュヴァルツローゼ
あぁ、そりゃそうですね。ついドイツ軍目線で見ちゃうのはイカンなぁ。
>“例の”D-8装甲車
お、このペーパーモデルマキシム機銃のマウントまで付いてかっちょ良いですね。例のキットは私の場合、たまたま見かけてよく素性を知らぬまま面白そうだから買って帰って蓋開けたら「あちゃあ」だったのですが、でもホイールさえクリアすれば後は普通の模型工作の積み上げで何とかなるとは思うんですよ。積み上げる量が結構な上にほとんどの人にはそれが伝わらない事がネックなだけで(笑)。そう簡単にミニアートがリニューアルするとは思えないし、なんと言っても芬軍が使ってますしねぇ。

投稿: hide | 2011年2月19日 (土) 22時28分

あらためてD-8のキットを取り出して眺めてみたのですが、意外なことに、半透明のプラが印象をさらに落としているだけで、キットの出来そのものはMIRAGEのwz.34装甲車とそう変わらないんじゃないか、というところまで評価を改めました。

いやもちろん、決して「出来がいい」というレベルじゃありませんが。

しかし、あの装甲車体の形状もクセモノで、どうもキットの天井形状は実車と全然違うんじゃないか疑惑が私の中でふつふつと巻き起こっています。なんだか、ハッチのある部分って山形じゃなくて平らっぽいんですよ。

もっともそもそもまともな写真がほとんど出て来ない車輌だけに、ぐちぐち言うよりも、さっさとスポークを張り直して完成させてしまったかさぱのす氏はやはり勇者である、という私の評価は揺るぎません。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/4129/d8pienois.html

投稿: かば◎ | 2011年2月20日 (日) 22時35分

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