KV-2「ドレッドノート」
●子供の頃、小中学生向けくらいの名作文学全集に出ていた、旧ソ連の「町から来た少女」というのを読んだ。いわゆる「大祖国戦争」時に、戦災に巻き込まれた少女が田舎の村に疎開してくる話で、たぶん、その話の中だったと思う。子どもたちが一緒にサウナに入って、そのうちの一人が木炭で壁に落書きをするのだが、それが反撃に出る赤軍戦車隊の絵で、
先頭を突き進むのは、カ・ウェ型戦車です!
というような一文があった。ずいぶん経ってから、ああ、あの「カ・ウェ型戦車」って、KVのことだったんだなあと思い至った。
●というわけ、では全然ないのだが、先日来、ちまちまと手を付けている、特価品で手に入れたトランペッターの「大砲塔KV」(キット名称『Russian KV "Big" Turret』)、要するにKV-2増加試作型の話。
同社のKV-2量産型については、すでに組み上げるだけは組み上げていて、詳細はこちら。
以前にも書いたように、トランペッターのKVシリーズはKVの主要な型をほとんど網羅しているだけでなく、構成する部品の違いも割と頑張って再現していて、さすが新世代のキットという感じ。この「大砲塔KV」も、平面で構成された試作型砲塔自体はこれまでガレージのコンバージョンキットで出ていたが、ゴム押さえ板の穴の数の多い、緩衝ゴム内蔵転輪の極初期型もちゃんとパーツ化されている。ついでに上部転輪もリブ付きのものになっているのがポイントが高い。
右画像は、一番右がこのキットに入っている極初期型、真ん中が一般的なタイプで、左がリム部に小リブのある(緩衝ゴム内蔵転輪としては)後期型。左のタイプは、エクラナミのキットに付属している。
●トラペのKVシリーズ共通の下ごしらえとして、左右の第一上部転輪位置の移動がある。後ろ側の3つのボルト穴を埋め、前方に3mmずらしてダボ穴を開けた。
以前の説明では目分量で「約3mm」と書いたが、かさぴー氏のパロラの車輌実測で位置が確認できたので、今回は堂々と。
ダンパー基部については今回も追加工作はパス。しかし起動輪のスプロケットのボルト列は今回もずれていたので、いじる必要がある(未着手)。
●これまで工作した2輌では手を付けなかったが、シャーシ後面の湾曲した装甲は、下端部に面取りがある(右写真参照)。
車体上部の湾曲装甲の面取りは極初期型だけの特徴なのだが(キットでも専用のパーツが用意されている)、下部のこの面取りは、現在キーロフスクにある40年型後期型でも見られる。
一方、アバディーンの鋳造砲塔型ではキット同様の面取り無しなので、(搭載砲の区別で言うところの)40年型から41年型に切り替わるあたりで、この処理も変更されたらしい。
もっとも、こんな部分を削っても作り上げてしまえば(ひっくり返さない限り)見えないので、ほとんど気分の問題。
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