薄幸のJSU-152(13)
●現実逃避の所産(といっても、流石に今日作ったわけではない)。
「薄幸のJSU」は、撃破後の写真では、この「カマボコ箱」は失われているが、その数日前の再塗装時の写真では付いており、おそらく撃破された際に飛んでしまったものと思われる。
先の写真によれば、箱の取り付け位置はタミヤのキットに示された通常の位置に対しちょっと高く(初期型は高かったのか、単に個体差なのかはよく判らない)、しかし右側の止め具が外れてしまっているらしく傾いている。本体の変形はわずかだが、弾痕と思しき穴が2ヶ所あり、さらに蓋は少しひしゃげて半開きになっている。
……というわけで、ちまちまと何となくそのように工作。
●飛行機模型の場合、特定の機体を作るというのは割と当たり前のことだが、陸モノの場合は、装備品の有無、変形、細部仕様など、個体別の表面の変化が大きく、「まさにその車輌」を再現することは結構面倒だし、それほど一般的ではない。
私もそうだが、よく使われる手は、ある写真に残された仕様を作ろうと思ったら、その車輌番号などをちょっとずらしてみたりして、「おそらく基本仕様は同じであるだろうと思われる、同一部隊の、しかし写真には写っていない車輌に仕立てる」というもの。こうすると、細部の状態などにかなり自由度を付け加えることが出来る。
もっともそれが裏目に出てしまうこともある。以前、ドラゴンのT-34-85が発売されたときに早速作って(私だって発売直後のキットをそのまま一直線に完成させてしまうことはあるのだ。……ごく希に)、手元の資料に出ていた自由ポーランド軍所属の車輌の、砲塔番号1番違いにした。ところがなんと、その後出た別資料に、まさに同一部隊の、私が作った番号の車輌が写っていて、しかも、それは別形式のポーランド国章が番号に重なって薄く消え残っているという、なかなか特徴のあるマーキング例だったのだ。ぎゃふん。
もっとも、ほぼ全車のシリアルと写真が残されていて仕様が判るフィンランド軍のIII号突撃砲とか、全車に固有名が付けられ書き込まれているシャールB1bisとか、否応なく特定個別車輌の考証が必要になる陸モノもある。
今回の「薄幸のJSU」も同様で、何しろ相手は1輌しかないわけだから、判っている限りの固有の特徴は織り込む必要がある。このカマボコ箱もそのひとつ。まあもっとも、判らない部分もたんまりあるので、その辺は想像交じりにするしかないんだけれど。面倒なこっちゃ。
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