薄幸のJSU-152(7)
●青木氏からあった、戦闘室側面の角の下にある、パッチ状の部分について。
青木氏によれば「フェンダーの底面(水平面)の板材を折り曲げて戦闘室へのノリシロとしている部分」とのことだが、現存車輌を見ても、どうもこの部分の処理にはいろいろありそう(と言うほど、まさにここをクローズアップしている写真などあまりないが)。
タミヤのキットは、どうやらモスクワ中央軍事博物館に館外展示されている実車を基本に設計されているらしく、この車輌では、キットのような大き目のベロが付いている。
「薄幸のJSU」や同日捕獲された「1212」号車はどうだったかというと、はっきり写っている写真はなく、その後1212号車は回収車輌に改造された際にフェンダーも改修されてしまったため、パロラの現存写真を見てもどうにもならない。ただし、「薄幸のJSU」の撃破時の写真を見ると、フェンダーは取れてしまっているが、前後と同じ高さでフェンダー取り付けの「のりしろ」痕が角部分に連続しているように見える。
というわけで、キットのパッチ状モールドは除去することにするが、このモールドだけを綺麗に削り取り、さらに通常ののりしろモールドと連続させて凸部を残すなど至難の技のように思えたので、結局、戦闘室横のフェンダーを全部切り取り、モールドを削り取ったあとでフェンダー丸ごと新たに作り直した。どのみち、シャックル装着具も作り直さないといけないし。
といっても、KVのフェンダーのように小リベットが打ってあったりもしないので、大掛かりな割にそれほど難しい工作ではない。フェンダー本体は0.5mm板で、のりしろのアングルはプラペーパー、外側折り返しは前後との連続性を考慮して0.3mm板の細切り。
●車体後面板下のヒンジに、ストッパーの小ブロックを付ける。これはどうということもなく、単に1mm板を極小の角切りにして付けるだけ。
ちなみにJSU-152のヒンジ形状には、比較的よく見られるもので3種あり、「薄幸のJSU」でもキットと同じ形状だったと思われるが、他に取付部ベロが三角形のもの、あるいは長円形の孔の開いているものなどがある。例えばキットに含まれる大きく「43」の数字が書かれた車輌は三角ヒンジだったりする(グランドパワー97/10、p126に写真あり)ので、個別の車輌を再現する際には注意が必要。
なお、この「43」号車の写真はベルリン市内で撮られたものとのキャプションが付いているが、左右とも後部フェンダーは取れ、タグロープも1本だけいい加減な積み方をし、背中に雑多な荷物を積み、履帯は左右フランジにリブが入って中央の模様もちょっと違うものも合わせて3種の履板を混ぜて履いているなど、なかなか題材として魅力的ではある。しかし、3種目の履板はアフターパーツでも出ていなかったかも。
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コメント
シャシー左側面の小さい丸ハッチの直下にある,L字金具を溶接したものは,何なんでしょうねぇ.溝があるので,ここにボルトを通して,何かを固定するものだと思いますが,何を固定するのか.
丸ハッチそのものの開閉やロックとは明らかに無関係なものです.
個人的には,この丸ハッチを通して車内に弾薬を補給するときに,重い弾薬を滑らせるレールのような補助具があって,これを固定するのが件のL字金具ではないかと想像しているのですが,全く想像の域を出ません.
投稿: 青木伸也 | 2009年12月27日 (日) 01時43分
私ゃ単純にロック用かと思ってました。いや、それ以前に、何か唐突だなあ、こりゃ展示車輌用にくっつけたもんかなあ、などとつらつら思ってました。だってアレ、付いている車輌と付いてない車輌があるでしょう?
……と思って、改めて写真を見直してみたら、「付いていない」と思ったサイト「tankmaster」のJSU-122のこの小ハッチの写真は、写真の上下が逆で、上側に写ってた(笑)。
あれは最初からあるもんなんですね。
投稿: かば◎ | 2009年12月27日 (日) 03時17分
ククク……,もしIS/ISUにこのL字金具が無かったら,おそらく1944年以降の世界史は塗り変わってたね(想像).
投稿: 青木伸也 | 2009年12月27日 (日) 07時36分