« PCトラブル(2) | トップページ | 薄幸のJSU-152(2) »

薄幸のJSU-152。

●パソコン不調で呆然としつつ寄り道のそのまた寄り道で作り始めてしまったタミヤのJSU-152。

もともと、JSU-152を作るならド派手な多色迷彩の車輌を作りたいと前々から思っていたのだが、どうもアレは結構な人気アイテムのような気もするし、それよりも来年は静岡で「フィン空くらぶ」に参加すると大見得を切った手前、何かフィンランド・ネタに手を付け始めないといけないなあと思い始め、いきなり方針転換。パタパタ組めそうなタミヤの新キットだし、これをフィンランド陸軍車輌にしてやろう、と考える。一応2色迷彩だし。

……って、空モノじゃないぢゃん!

●ちなみに、フィンランド軍は、1944年夏のソ連軍の攻勢を迎え撃つ中、6月25日に2輌のJSU-152を鹵獲。1輌は砲を取り外して回収車輌に改装され、そしてもう1輌は整備の後に戦闘に投入されるのだが、4日後にはT-34-85に滅多撃ちにされて破壊されてしまった。何とも哀れな身の上の車輌である。

なお、回収車にされた方は戦争を生き延び、退役後に再び砲を付けた形に戻されて、こちらは現在パロラに展示されている。

●さて、フィンランド軍車輌にしようと考えた当初は、ただ説明書通りに組んでしまってハカリスティを付ければイケルような気でいたのだが、よくよく写真を見ると、どうも細部に差がある。

資料を見てもJSU-152は1944年から生産が始まったとあるだけで、何月からなのかはよく判らないが、どうもフィンランド軍が鹵獲したのは(つまりこの夏季攻勢に投入されたのは)、JSU-152の中でも最初期に生産されたものではないかと推測される。

これら初期生産型の特徴を(いくらか推測交じりだが)列記すると、

  • 戦闘室側面・後面、およびエンジンルーム左右の手すりは標準型の鉄棒を曲げたタイプではなく、“足”を溶接した上に長い鉄パイプを差し渡した、SU-152とほぼ同様の仕様。
  • エンジン点検ハッチの取っ手代わりのリング付きアイボルトは2つではなく左中央に1つだけ。これはパロラに現存する回収車から再改修された車輌で確認できる。
  • 車体前部は鋳造タイプ。ただし、予備履帯は装着しておらず取付具もない。前面中央に、標準型では戦闘室左前部にある何かのアタッチメント(タミヤのパーツではG24)。したがって戦闘室左前部はプレーン。
  • 防盾および基部砲耳カバーは、SU-152に似た特徴を持つ。防盾はSU-152と同じ可能性もあるが現時点では判断保留。ただし標準型に比べれば丸みが強く、駐退器カバー部上部左右が三角に出っ張っているのもSUと同じで、防盾左右のフックもない。砲耳カバーは、標準型では周囲に湯流れをよくする小リブが多数あるが、おそらく初期型にはない(パロラの展示車輌はだいぶ“魔改造”している上に、砲は退役後に改めて載せたものなので100%鵜呑みにはできないが、砲はオリジナルのものを保存してあった可能性は高いように思う)。

今のところの私の考証はこんなところ。他に何かありますかね青木先生。

●加えて、フィンランド軍の「薄幸のJSU-152」固有の仕様は

  • おそらくグリーンにブラウンの、境目のはっきりした2色迷彩。
  • 前照灯、予備燃料タンクは欠損。
  • フェンダー再前部の継ぎ足し部は無し。
  • 少なくとも左フェンダー最後部は“生きている”時から変形。
  • 戦闘室左右と前面に大きなハカリスティ。

200912182027000b そんなこんなで、おもむろに手すり用の穴を埋めたり、予備履帯のアタッチメントを削り落としたり、新たな手すり用の穴を開けたり。

なお、ハカリスティは以前、はるとまん氏と作った「ひぽぽたまんデカール」フィンランド用にちょうどこの車両用のものを含めてあったのでそれが使える。と思って取り出してみたら、当時作ったデカールの説明書にすでにいくつか仕様の特徴が解説してあった。すっかり忘れていましたよ私ゃ。

|

« PCトラブル(2) | トップページ | 薄幸のJSU-152(2) »

資料・考証」カテゴリの記事

製作記・レビュー」カテゴリの記事

JSU」カテゴリの記事

コメント

うーん,どこかの模型誌向けのネタに,と思いメモしておいたんですが,まぁ出し惜しみ無しで.
……と書き込もうとしたら,長すぎるのかリンクが入ってるからか,スパム判定ではじかれてしまうので,下記を読んでください.
http://tsaoki.la.coocan.jp/model/article/a20091219.htm

投稿: 青木伸也 | 2009年12月19日 (土) 17時51分

グラパ2001年12月号の表紙にイラストが載っている多色迷彩のISU-152も、記録写真で見ると戦闘室左前に四角いホルダーが見えないので,つまりこれはホルダーがシャシー前面にある,比較的初期の生産車であるということです(戦闘室側面の手すりから見て,極初期というほどではない).
タミヤのISU-152はだいぶ後のほうの生産車ですので,そのまま組み立てて迷彩してOKとはいかんでしょうな.

投稿: 青木伸也 | 2009年12月20日 (日) 01時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 薄幸のJSU-152。:

« PCトラブル(2) | トップページ | 薄幸のJSU-152(2) »