素晴らしきヒコーキ野郎
●Vanatorul de care R-35も工作自体は終わりに近付き、久々に飛行機をいじりたくなって、こんなものを引っ張り出してくる。
旧パイロ社の1:48、マーチン・ハンダサイド1911年型。
その昔(40年くらい前?)に、映画「素晴らしきヒコーキ野郎」とのタイアップで発売されたという、元インパクト社製古典機6機シリーズの再販物である。
●どうも「素晴らしきヒコーキ野郎」と「華麗なるヒコーキ野郎」は邦題が似過ぎていて、いつもどちらがどちらか判らなくなるのだが……。
「素晴らしきヒコーキ野郎」は、1910年代初頭(というよりズバリ1910年?)、英新聞社の主催でロンドン-パリ間の飛行機レースが催されることになり、各国代表が集まり栄冠を目指すというもの。基本、ドタバタコメディで、各国代表がそれぞれその国の国民性をコミカルに体現していて笑えるが、それでいて当時の古典機を忠実に再現したレプリカも多数登場、古典機ファンには見逃せない。
「華麗なるヒコーキ野郎」は、ロバート・レッドフォード演じる第一次大戦後のバーンストーマーが主人公。これも飛行機映画として名高いのだが、とにかく、今日のお題は前者のほう。
●インパクト社が発売した古典機は、全てが「素晴らしきヒコーキ野郎」に出てきた機体というわけではなく、時代的に共通の航空黎明期の6機で、
- ブレリオXI
- ブリストル・ボックスカイト
- デュペルデュサン1911年型
- マーチン・ハンダサイドNo.3
- アブロ複葉機1911年型
- アブロ三葉機1911年型
発売後(おそらく)ほどなく絶版になってしまい、その後パイロ版、さらにその後数種のみはライフライクから再販されたが、いずれも短命で、オーロラあたりが割とちょこちょこ再販の機会があったのに比べると不運なキットと言える。
どれも古くはあっても、今の目で見ても基本のしっかりしたいいキットだけに惜しいが、時折、ヤフオクなどに割とリーズナブルなお値段(5000円以下)で出ているので、古典機ファンは手を出して損はないと思う。
ちなみに、最初のインパクト版は車輪が透明プラでモールドされており、塗装でワイヤスポークを再現するという、当時としては結構な新機軸が盛り込まれていた(パイロ版からは他のパーツと同じ枝に移されて普通のプラになった)。
AFVは小学校時代からの趣味だが、飛行機に関してはスロースタートだったので、私にとってもこのシリーズはプラモダイジェストで知るだけの未知のキットだったのだが、10年以上前、確か中古品を扱っている店で2つ手に入れたのをきっかけに、なんとか各版取り混ぜて6種類、揃えることが出来た。
以来、ずっと懸案のストックで、2つほどはちょっといじっては仕舞い込む繰り返しを続けている。
●というわけで、そのうちの1つ、マーチン・ハンダサイド(Martin Handasyde)を仮組してみたのが右の状態。
おそらく、シリーズ6機の中で最も無名の機体である。マーチン&ハンダサイド社自体は、1912年には名前を縮めてマーチンサイド社になり、第一次大戦中、あまりぱっとしない機体を開発しつつ、20年代に倒産したらしい。
キット化された機体は、合板製の、有名なアントワネット単葉機に似た細身の舟形胴体を持ったもので、説明書によれば「マーチン・ハンダサイド3号機(No.3)」とある。ただし、この時代の私の虎巻、鶴書房のcolour pocket encyclopedia、「初期の飛行機」には、
1910年春、より大型の第2号機が登場した。この機体は、その後4年半の存続中、一連の改造をほどこされた。原型のビーストン・エンジンをJ.A.P.35HPに換装し、アントワネット型の安定機構は通常のものに改められた。「マーチン・ハンダサイドの第3号製作機」というのは、この改造を誤解したものである。
と書かれている。キットの説明書にもJ.A.P.空冷エンジン搭載と書かれているので、まあ、3号機なのか2号機改なのか、とにかくこの機体であるらしい(キットのエンジンは、空冷なのは確かだが8気筒もあって、これで35HPしかないってホンマかいなという感じではある)。
とはいえ、鶴書房の本に出ている図も、ネット上で見付かる写真も図面も、1912年型の複座の「マグニフィセント・マーチンサイド」だけで、このNo.3はとんと見当たらない。6機の中で一番資料不足で、その分、キットを信用してそのまま作るしかなさそうなので、最初の1機に選んだような次第。
とりあえずは、ちまちまと小部品の整形、ヒケやバリの除去中。
| 固定リンク
「製作記・レビュー」カテゴリの記事
- Char 2C MENG 1:35(の突発的レビュー)(2024.08.17)
- I号戦車B型 アカデミー 1:35(2)(2024.07.12)
- I号戦車B型 アカデミー 1:35(2024.07.08)
- ミニスケール2題(2024.07.04)
- シロマダラ(2024.06.24)
「古典機」カテゴリの記事
- 「る・ろぉん」の続き(2024.05.09)
- ずしのむし(2023.11.02)
- 郵便機がらみの脱線話(2)(2022.03.03)
- 郵便機がらみの脱線話(1)(2022.03.01)
- 素晴らしきヒコーキ野郎(6)(2021.12.09)
コメント
お、これはまた今後が楽しみな物に手を付けましたね。
問題は車輪のスポーク。径が合うエッチングでもないものかと考えてはいますが。
R-35ともども、完成を楽しみにしてます!!
投稿: マクタロウ | 2009年11月22日 (日) 06時54分